◆Gacktツアー2003『上弦の月』〜最終章〜完全版◆
あの感動をもう一度 ライブDVD発売記念スペシャル


 というわけで、9月18日、めでたく発売になったライブDVD。えらい早いよねぇ。まだあれから2ヶ月も経ってないのにな。でも嬉しい。醒めないうちに甦るあの感動。そしてたぶん、映画『MOON CHILD』のDVD発売にも合わせてあるんじゃないかな。1週間後、映画のDVDが発売になり、1ヶ月後、小説が刊行、そして、2枚目の『MOON』アルバム……。ああ、物入りだわ……。

 まず、私が書いたライブ体感記の曲順、ほぼ合っていた。ただDVDには『death wish』が納められてなくて。この曲がどこに入ってたのか記憶が曖昧だったんだけど、やっぱりはっきりしなかった。もしかしてライブで歌わなかったのかな? 歌ってくれたような気がしたんだけど……幻聴?

 ちゃんとピアノ・ソロが割愛されずに入ってたのが本当に嬉しかった。何しろ私はごっつい斜めから見てて、ピアノ弾いてるところは背中しか見えなかったので、「ああ、こんな顔で弾いてたんだ」というのが見られてすっごく嬉しかったの。どんな顔かっていうと、「意識が飛んでる顔」。「狂気っぽい表情がいい」と前回も書いたんだけど、ホントにガックンってね、目が飛んでるの。虚空を見てるっていうのかな。どこか違う世界に入り込んでるっていうか。光に弱くて家ん中真っ暗にしてる人だから、あんな大光量のステージではたぶんホントに何も見えてないのかもしれない。現実の、目の前にある空間は見えてなくて、白く飛んだ視界にはきっと物語の世界が映ってる。そういう、怖ろしく神秘的な表情でピアノも弾いてた。すごいねぇ。私、鍵盤見てても弾けない(一緒にすんな!)。

オレンジの太陽  続いて新曲の『君が待っているから』。ライブでは、「君が笑ってるなら」と聞こえてしまった曲です……もう一度聞き直しても、やっぱり「待っているなら」のとこが「笑ってるなら」に聞こえる……。良くない?それでも。君がどこかで笑っていてくれるなら、僕は生きていける、みたいな。ま、私の聞き違いはともかく、これがまたホントに素敵な曲で、なんか泣けちゃうの。じーんと来ちゃって。

 ライブ当日、「ごっつい斜め」から見てたせいでライトがすごく眩しくて、まともに見てられない所もあったんだけど、こうして映像で見て初めて、「そうかぁ、こういうライティングだったんだ」。前から見るとこうだったのかって。すごい、綺麗。凝ってる。もちろんガックンやメンバーの表情もよく見えて、あの感動がさらにパワーアップして襲いかかってくる。ああ、すごい……。

 『月の詩』では子どものショウもちゃんと口ずさんでるのがわかった。彼、本郷奏多(かなた)くんって言うんだけど。すごいね。「楽斗」に「奏多」だよ。響き合ってるよね。ガックンの子ども時代を演じられるだけの美少年だし。映画見た時から子どものショウ、大好きだったから、こうして二人のショウが歌っているのを見ると、また胸が熱くなってうるうるしてしまう。

 そして。やっぱり『下弦の月』と同じように、今回も『Mirror』でDisk1が終わる。計ったように……って、計ってるんだろうけど。やっぱりツアーファイナル、最終日は会場とのやりとりにも力が入ってる。途中メンバーも客席に降りてたし。いいよねぇ、最終日

 前日、7月5日のライブだってもちろんとっても良かったし、映画とリンクした最高のエンディングだったんだけど。しかし。まだまだ甘い日向霄。7月6日、「完全版」には最後の最後、トシ(山本太郎さん)が出てくる。のけぞったね。「えーっ、嘘ーっ!」と叫んだよ、画面に向かって。さらに「イーチェも孫も来いよ!」というトシの声とともに二人が姿を現した時には。

 のけぞった。ずるい。ずるすぎる!

 ガックンも映画の衣装でショウとして出てきて、映画の続きのように少しやりとりがあって。「俺たちはいつだって一緒だよ。そうだ、あれ歌ってくれよ。ケイがいつも歌ってた歌!」で『オレンジの太陽』が始まる。映画ではサビの1フレーズしかなかったけど、孫(ワン・リーホン)も入ってのフルコーラス。更に映画のシーンもかぶさって。

 泣くなって方が無理だ。

 最後には、ケイ(Hyde)の歌声も。さすがに本人は出てこなかった(確かHydeもあの日はラルク・アン・シェルの復活ライブをやっていた)。歌声と、ショウの伸ばした手の先に、誰もいない空間を照らすスポットライト。いないからこそ、いいんだよね。たとえ姿は見えなくても、たとえそばにはいなくても、いつでも心はつながっている――。

 ああ、もうホンットずっこいよね。生で見たかったよ、あのラスト。画面で見てさえあまりの感動に魂抜けたようになっちゃったのに、あの場にいたらどんなことになってたか。泣いてるファンの姿も映ってるけど、私も大泣きしてたかもなぁ。

 見終わって、ああ、終わっちゃったんだなって。これで、『MOON』という物語は終わってしまった。本や2枚目のCDは出る予定だけど、動く『MOON』は終わってしまった。目を閉じれば、いつでもショウやケイに逢いに行けるけど、でも、もっともっと、ずっとずっと、見ていたかった。

 それにしても、ここまで映画とライブをリンクさせるってすごい。太郎ちゃんやリーホンの都合が合わなかったらもう1回ファイナルライブをやり直すつもりだったって言うんだもん。このこだわりがガックンだよね。なんか、羨ましい。こんなふうに、CDや映画やライブをリンクさせて、様々な形で物語を紡いでいく。私なんて、心に生まれた物語をただ文章で書いてやることしかできない。それもひどく拙い形でしか。大好きなキャラクター達に日の目を見せてやることもできなくて。

 甘いんだよね、日向霄。「刻苦勉励」の権化のようなガックンを見てると、自分の努力の足りなさを痛感する。そしてまた、ガックンを見てると、「ガックンに逢えたからもう私の人生これでいいや」と思ってしまう……いいのか!?

 だって、特典映像としてライブ中のバースディパーティの模様が収録されてるんだけど。も、これ見てたら幸せでさぁ。他のこと、全部どうでもいいような気になっちゃう。MCの最中に、メンバーが急に「はっぴばーすでぃとぅゆぅ」を演奏し始めて、ケーキも出てきて。そんなこと知らされてなかったガックン、泣いちゃって。

 たまんないよ。なんで人の誕生日祝いでこんな幸せな気分になるかなって不思議なくらい、あったかい気持ちになる。好きな人が幸せだと本当に自分も幸せになるものなんだ。当たり前のことなんだけど、普段日常生活を送ってると、大好きなはずの家族ともなぁなぁになっちゃうというのか、過ぎてゆく毎日に紛れちゃうというのか、感動を覚えることが少なくなってしまう。いつも一緒にいると、いいとこばかりじゃなくて嫌なところも見えてしまうものだし。

 ライブって、ホント、幸せな時間だ。特典映像その2のファンからのメッセージ。みんな、とってもいい顔してる。「ありがとう!」「愛してる!」「最高!」みんな、ガックンにいっぱい幸せをもらってる。そして、「みんなの笑顔に僕は救われた」って書くガックン。不思議なことに、ファンが「ありがとう!」って言ってるのを見て、同じファンである私も嬉しくなる。なんて偉大なんだろう、「好き」っていうパワーは。

 しかしツアー行くならやっぱファイナルだねぇ。このDVD見た人、絶対みんな思ってるよ。誕生日パーティはあるわ、映画の出演者は出てくるわ、DVDにまで出演できちゃう。いいよねー、ずるいよねー。私も「ガックン、最高!愛してる!」ってカメラに向かって言いたかったよ。恥ずかしいからやめろって? まぁ、実際に見たら超恥ずかしいだろーね。きっと汗と涙で化粧もぐちゃぐちゃになってるし。でもガックンに見てもらえるんだよ!って、やっぱり恥ずかしいだけか……。(注:ファンからのメッセージは、横浜だけでなく全会場で撮っていたらしい。私が行った日も撮ってたんだろうか。ラジオでガックン、「あの映像見ながら、うちのファン可愛いよね、って自慢してたんだ」って言ってた。ああ、やっぱ映りたかったぞぉ)


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