◆ラブ・バラードアルバム◆
『Love Letter』


 昨年(2004年)のコンセプト、『GIFT』の最後の作品『Love Letter』が2月14日、バレンタインデーに発売になりました。バレンタインにファンのみんなに贈るラブ・バラード集ということで、なんとも胸キュン(古い(^^;))な、今までのアルバムとは全く違う、でも今までの作品に勝るとも劣らない素敵な一枚に仕上がっています。ホントにね、もうバラードはいいから!、って思ってたはずなのに、「意外にいい」どころか、「うわー、いい……」なんだもん。参っちゃう。

 「いい……」の、この「……」。「いいっ!」じゃないのね、「いい……」なの。きゃーきゃー騒ぐような、CDをかけていきなり「いいっ!」と叫ぶようなのじゃなくて、聴いているうちにじんわりと胸に沁みてきて、ため息とともに「いい……」って言葉を吐き出す感覚。

 今までのガックンの濃くて痛くてゴシックロマンなアルバムに比べたら、この『Love Letter』はとっても地味だ。こんなのGacktじゃないって思う人もきっといるだろう。私も初めて聴いたとき、「やっぱ大人しいよな」って思った。丁度真ん中へんに『ありったけの愛で』や『君に逢いたくて』といったシングル曲が入ってて、そこはもう知ってるからのれるんだけど、アルバムオリジナルの1曲目から3曲目はまだ「ふうん」って感じで、「ああ、ほんとにラブソングばっかりなんだ」と思ったりしてた。

 『Dears』のバラードバージョンに「へぇ」と思って、次の『サクラソウ』で「あ……」と胸を掴まれて、最後の『Love Letter』でじーん……。ガックンはやっぱりすごい。やっぱりいい。詩も曲も、聴けば聴くほど胸に沁みて、大好きになる。

 『Dears』が入るというのは発売前からHMVのカスタマーレビューに書かれていて知ってたんだけど、「ラブ・バラード集にDears?」ととても意外だった。GIFTコンセプトの2枚のアルバム、シングルベストとアコースティックカバーには一番の名曲『Dears』は入っていなくて、昨年のツアーでも聴けなくて、寂しいなぁ、プレゼントしてほしいなぁと思ってはいたけど、あの「闘いの決意の歌」がどうやったらバラードになるんだろう。なんで『Love Letter』に入るんだろうって不思議だった。

 で。聴いてみると、これがちゃんとバラードになってるんだよなぁ。いや、そりゃ当たり前っていうか、別にアレンジするだけなら難しくないのかもしれないんだけど、「ああ、ちゃんと『Dears』だ……」って。静かで、決して声を張り上げたりしない、でも逆に、だからこそよけい「前を向いて闘い続けていく」っていう想いが体中にしみとおっていく。がむしゃらなだけじゃない、痛みも苦しみも哀しみもすべて呑み込んで、かすかに微笑みながら、歩き続けていく強さ。少しだけ詞が付け加えられていて、ブックレットには花を携えて墓標の前にたたずむガックンの写真。みんな死んでいく、みんないなくなる。でも、僕たちが出逢えた奇蹟は決して消えないから。決して忘れないから。きっとまた、逢えるから……。「恋愛」の「LOVE」じゃない、もっと大きなもの。ああ、ホント名曲……。

 最後から2曲目の『サクラソウ』はピアノの音色がとっても美しくて、詩付きのインストゥルメンタルみたいな短い曲。ガックンのピアノ、ほんとに素敵なんだよなぁ。

 アルバムと同じタイトルの『Love Letter』でこのバラード集は幕を閉じるわけなんだけど、これがまた、いい。この間テレビで歌っているのを聴いた時、「これって究極のウェディングソングやん」って思った。ガックンの歌には珍しく、大切な人がそばにいる。そばにいて、「永遠を歩いていける」。――誰か結婚しない? 私、披露宴でこの曲歌ってあげるよ(笑)。気がつけば結婚して早や十年目の私としては、なんか妙に考えさせられちゃいました。愛について。この、ただ一度しかない人生を共に歩いていくということについて。

 またブックレットがとっても豪華で凝っている! いつもそうだけど、ミニ写真集として楽しめる。『ピース』でホントにピースしてるガックンのアップはとっても可愛いし、『etude』は手紙(恋文?)で折った紙飛行機。菜の花畑の墓標『Dears』……是非手にとって見てほしい。そしてもちろん聴いてほしい。きっと人恋しくなると思います。

 それにしても、バレンタインにこんな素敵なプレゼントをもらってしまった私たちは一体ホワイトデーに何を返せばいいの……? 前を向いて、しっかり自分の人生を歩いていくことだけが、私にできるただ一つの恩返しなのかな。

 今年のツアーは秋ということで――待ちきれなーいっっっっ!! それまでにもう1枚アルバムが出たりするのかな。『Love Letter』を生で聴くことはできるのかしら。聴かせてほしいなぁ。