ＴＨＥ　ＳＥＶＥＮＴＨ　ＮＩＧＨＴ

◆『君に逢いたくて／ピース』◆

　昨年の『Ｌａｓｔ　Ｓｏｎｇ』からほぼ１年ぶりの新曲。今年はベストアルバムとアコースティックセルフカバーアルバムが出たので、決して「空白の１年」というわけではなく、むしろ十分活動的な１年だったとは思うのだけど、それでもやっぱり待ちに待っていたニューシングル！　３年にも及ぶ『ＭＯＯＮ』プロジェクトがひとまず幕を下ろして、一体今度はどんな物語が始まるのか、本当に楽しみで、ワクワクしながら待っていた。

　１０月２７日の発売よりも前から、日テレ系の昼の情報番組『ザ・ワイド』のエンディングとして流れていて、がんばって２度ほど聞いてみたのだけど。もうほんとにちょろっとしか流れないんだよねぇ。最後の「あたたかった」しかわかんないって感じで、一体なんだってこーゆー番組にエンディングテーマがいるんだろう、なんでガックンのこの曲を使う必要があるんだろう、使うんならもっとちゃんと流せよ！って一人テレビに毒づいてしまった。まぁそれでも曲の雰囲気はなんとなくわかって、「ああ、ＵＮＰＬＵＧＧＥＤの流れをくんだバラードなんだな」と思っていた。

　で、『ミュージックステーション』でやっと頭から聞くことができて（これも発売前）、思ったとおりアコースティックで“素”な、可愛い曲だった。ＵＮＰＬＵＧＧＥＤでは、今までのアルバムとはまったく違う、地声に近い声と素直な歌い方で驚かせてくれたけど、それがそのままシングルになったなって感じで、昨年の『月の詩』や『Ｌａｓｔ　Ｓｏｎｇ』が同じバラードでも“濃い世界観”をまとっていたのに比べて、ずいぶんあっさりしている。良く言えば「意外な可愛さ」で、悪く言えば「意外な普通さ」。うん、バラードが２曲続いて、次はハードなのが聞きたいな、って思ってたせいもあって、最初聞いた時はちょっと物足りない気がした。

　だもんだから、カップリングの『ピース』はどんなだろうとものすごーく気になって、「ピースって“平和”かな、それとも“かけら”の意味かな」とあれこれ想像をふくらましていた。これまでにも『君のためにできること』のカップリングが『Ｃｕｂｅ』だったり、まるで印象の違う組み合わせのことが多かったし、「バラバラになったかけらを拾い集めてぼくを探しだして」とかいう「痛い歌」だといいなぁ、と勝手な期待をかけていたら。

　これが『君に逢いたくて』よりさらに可愛い曲だったんだよねぇ。ほんと、びっくりした。まず発売日の朝に着メロでチェックして、「こっちもバラードなんだ」ってことがわかって。発売日翌日、ＣＤを買って、まず聞く前に歌詞カードを広げたらば。……あまりの可愛さに詞を読んだだけで鼻の奥がツーンとなってしまった。古い表現だけど、実に「胸キュン」な歌詞なのよ。夕焼け空の下、川沿いの土手を自転車を押しながら歩いていくセーラー服の女の子と、その後ろを石ころけっ飛ばしながらついていく学生服の男の子、っていう絵が浮かんでしまったもの。好きな女の子に「好き」と言えなくて、茶化したりおどけたり、あげくに女の子の恋を応援したりしてしまう男の子。……思わず「槇原敬之か！？」と突っ込みたくなる世界なのだ。曲がまた実にあったか～い感じでねぇ。いやぁ、どうしちゃったんですか、ガックン。

　もちろんガックンのあの声で歌われると槇原敬之とはまったく違う、「ありそうでなかった珠玉のラブ・バラード」になるんだけれども。気がつくとついつい口ずさんじゃってるし。新しいＧａｃｋｔファンがまた増えるかもしれない。

　それにしてもここから始まる物語はどんななんだろう。来年、それも早い時期に出るらしい（ラジオでガックン本人がそう言っていた）アルバムは、一体どんな感じのものになるのか。ライブは？　もちろん今回の曲はアルバムの世界とはまた違う、独立した作品なのかもしれないけど、『Ｃｒｅｓｃｅｎｔ』の“痛さ”にどっぷり浸っていた私にはとても意外な一枚になるのかもしれない。うーん、早く聴きたいなぁ。そんでもってやっぱり、ガツンとハードなシングルも出してほしいなぁ。

　あと、これは瑣末なことだけど。『君に逢いたくて』の最後のフレーズ「あたたかった」がすごく気になる！　歌詞カードには「温かかった」と書いてあるんだけど、ＣＤでもテレビでも「あたたかった」と聞こえる。「か」が１個足りない。音割りの都合上「か」を入れない方がスマートだとは思うけど、しかし気になる。

　ちなみにＨＭＶのこの曲のカスタマーレビューにはガックン本人とｈｙｄｅからのメッセージが掲載されています。ネットだから、絶対本人っていう保証はないんだけど、でもあの２人を騙る度胸のある人はそうそういないと思うし……こんなところにアーティスト本人が書き込んだりするんだなぁ、と嬉しくなりました（さらにちなみにガックンのレビューのすぐ後に書き込んだのは私さ！）。

【おまけ】
　来年公開される映画版『Ｚガンダム』のテーマソングをガックンが担当するということで。オールドガンダムファンの私にはこたえられない！！！！！　『Ｚ』まではアムロもシャアもブライトさんも出てくるからねぇ。何故今更『Ｚ』を？とも思うけど、今だから『Ｚ』なのかなぁ、って気もしなくはない。かなり複雑な政治状況というか、対立状況がある話だし……。絶対見に行くぞ～っ！

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