三  人  旅
むかし むかしの お話です。
そう むかしの台所には 今のような ガスコンロはありませんでした。
わら まき 炭などが 使われていました。
お母さんは 毎日 毎日 わらやまきを 炭にくべては火をおこし 食事の用意を
していました。
そんなある日 みんなが寝静まった 真夜中のことです。
台所で話し声が聞こえます。
「なあ、なあ、毎日 毎日 火を起こしてはるけど 今度は僕の番かな?」
「そうやな!このぶんやと 明日くらい 体に火 点けられるんと違うか。」
「そんな・・・なんか 嫌やななあ」
 話しているのは わらと いこった炭でした。
その話を袋の中で聞いていたものがいました。
「なに言ってんの。そんな のん気に話してる場合と違うやんか!そうや! 
三人で今から逃げよ!!!」
と言い出したのは 袋から 飛び出してきた 豆でした。
豆は 続けて言いました。
「こんな薄暗い台所に いたって なんも面白い事あらへん!三人で家出しよ!
外の世界はきっと面白いで・・・」って・・・。
わらと いこった炭は豆の話に すぐに乗りました。
そうと決まれば 実行あるのみ・・・。三人は勇んで 外へ 飛び出しました。
家の人に見つからないよう 一生懸命歩きました。
どんどん どんどん 歩いていくと 目の前に川が 現れました。
そんなに大きい川ではありません。
でも炭は水が苦手でした。それに 豆にはどうする事も出来ませんでした。
そこで わらが言いました。
「君達が渡れるように 僕が橋になってあげるよ!」って
そうして 橋になったわらの上を 順番に渡ることになったのですが・・・
いこった炭は 途中まで渡った所で 動けなくなってしまいました。
そう 水が怖くて動けなくなってしまったのです。
怖さのあまり どんどん赤くなっていく炭。わらは 炭の火で どんどん焼かれていきます。
その時・・・!”バシャ−ン”と 大きな音。わらと 炭は川に落ちてしまいました。
それを見ていた豆は おかしくて おかしくて 笑いこけました。
あんまり笑いすぎたので とうとう はじけてしまいました。
人の不幸を笑った豆は 今は一人ぼっち・・・はじけたところが痛くて泣いていますが
 わらも炭 もういません。
笑ったことを反省し シクシク泣いている豆を一人の娘が見つけてくれました。
あまりにもかわいそうに思った娘は 豆を家につれて帰り はじけたところを縫ってあげました。
でもね それがね なんと 黒糸で縫っちゃたんです。
それ以来です。豆に割れ目が出来たのも・・・そこに黒い筋があるのも・・・
そうですよね・・・他人の不幸を笑ってはいけませんね・・・
おしまい
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おかんの部屋