孔食(Pitting)

腐食が金属表面の局部だけに集中して起こり、内部へ向かっての進行速度が大きいために、腐食孔となったものを孔食(Pitting)と呼ぶ。孔食の特徴は、腐食した局部以外のところは、ほとんど完全に初めの状態を保っていることであり、全面腐食を起こすような条件では孔食は起こらない。孔食を起こす金属は、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、ニッケル、銅、鉄などである。

ステンレス鋼の孔食(Pitting of Stainless Steel)

 

ステンレス鋼は一般に酸化性媒質内では容易に不動態化されて使用されるが、ハロゲンイオンの存在下では局部腐食をうけます。表面の局部活性化が起こったために、それぞれの活性中心に腐食が発達し、孔食と呼ばれる深い腐食損傷が現れます。

孔食成長の3条件

孔食が成長するには次の条件が満たされている必要があります。
(1)電解質内に復極剤*1と活性化剤*2が含まれていること。
(2)系の酸化・還元電位が孔食電位と呼ばれる臨界電位より正であること。
(3)表面の大部分において、金属の酸素に対する親和力が活性化イオンに対する親和力よりも高いこと。

各アニオンの不動態化能



 

*1:酸化剤[復極剤] (空気中の酸素,)

 

酸化剤濃度が増加すると、浅い孔食や孔食数が増加する。平均侵入深さは低下します。  

*2:活性化剤

 

ピットの例です。