疲労破壊

疲労現象は19世紀の中頃から発達した蒸気機関を初めとする産業機械の破損原因として発見され、それ以来工業上の重要な問題として技術者のかんな心を集め、数多くの研究が行われてきている。

疲労破壊の特徴は、繰り返し応力によって比較的低い応力下でも破壊が進行するところにある。写真1は、ディーゼルエンジンのクランク軸の疲労破面を示したものであるが、疲労破壊の典型的特徴である貝殻模様がみられる。

写真1 クランク軸の疲労破面

疲労によって金属が破壊に至る過程は、すべり帯→微視クラックの形成→巨視的割れの成長→その伝播→最終破壊の段階をたどるものと考えられる。その証拠として、疲労破面のミクロ的様相は、写真2に示すような、応力の繰り返しに対応した"すし"(ストラィエーション・Striation)が認められる。

写真2 ストラィエーション

疲労破壊を防止するためには、単に疲労強度の高い材料を用いるだけでなく、応力の形式、切欠効果や寸法効果、残留応力の効果などの知識を駆使する必要がある。

応力の形式と破面様相の間には、図1のような関係があるのを知っておくと、破面の様相から破壊に寄与した応力の形式が推定できる。

図1 応力の形式と破面様相との関係

下の写真は、ボルトの疲労破面の例である



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