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釣りは殆どがそうであるように、時期というものがあります。
その日は9月頃に大物が釣れると聞いて釣行した日の事です。
竿は2本用意しています。
一本は、テトラのガシラ狙い用の竿で、中通しの5号重りを通して、
シラサエビを餌にし置き竿にしました。
メインのチヌ竿はちゃんと竿受けにセットしています。
置き竿は、合間・合間に見れば「びくびく」しているのが分かるでしょう。
それからでも遅くはありません。・・えっ、何を狙っているのかって?
それは、舞鶴でサナギを餌にした置き竿で、チヌが釣れたことを思い出したから。
ダンゴの練り方は慎重にしました。最初は硬めに。
最初から柔らかくしてしまったら、もうどうしようも有りません。
硬い分には後から水分を追加すればOKですから。(ちゃんと、学習したでしょう!)
それに市販のサナギも購入していましたので、それも混ぜ合わせています。
「今日こそ絶対爆釣だ」と期待して神経を集中しています。
なかなか釣れませんでしたが、そのうちに置き竿が、ずっずっとずれました。
ハッとして竿を押さえます。
竿を引っ張って行くような奴は、ものすごい大物に違いありません。
「おっ!歳無し(50cm以上のチヌのこと)か」
「いや、なんかおかしいで。全然引かへん。これ魚かな?
ラインは出て行くけど、全然手応えないわ!なんかに絡んだか、
それともサメかな、頑張ったらラインが切れそうや・・・
もうええわ、ライン切ったる!!」
「おい!よせよせ、目の下二〜三尺の真鯛やったらどうすんねん。
この辺にはそんなんおるでぇ」
「えっほんまかいな!」
これは慎重にならざるを得ませんが、何としても上がりません。
ラインは出て行くばっかりで、切れそうになるまで頑張って
押さえてもびくともしません。
そのうちに、20m程前でなにやら、水面から「ジャンプ」しました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
皆さん何だと思います?
またまた、このおかげで、あとでちょっとした話題の主になってしまいました。
分かりますか。
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実は「エイ」でした。
今までは下向きに延びていたラインが、そのジャンプした
「エイ」のあとを追いかけるように、角度が変わり延びてゆきます。
さっきまで「大鯛や!」と周りで騒いでいた釣友の目が冷たく変わります。
「なんや!あれか?」の言葉を最後に釣友達は、自分の釣りに戻ってゆきました。
50m巻きのラインが出尽くしてしまうところでしたので、もう迷わずに
ラインを切らせていただく事にしました。
「あ〜ぁ!大鯛やと思ったのに!」
「そんなん、滅多に釣れないよ?」
おいおい、急に冷たくなったな?・・幸いにも、ラインの方ではなく、ハリスの方から切れていました。
それからは、あまり釣果無く引き上げてきたような記憶があります。
今でも、エイと格闘した記録と記憶ははっきりと残りました。
*これは余録ですが・・・
ある時、団体さんと一緒になりました。この団体さんは毎年ここで大会をしているそうで
した。
しかし、あまりマナ−の良い人たちではなく、渡し船に乗ろうとしても場所を譲る
どころか迷惑そうに睨みます。
「すみませんが」と断ってもちっとも動こうとしませんでした。
船長さんのお声掛かりで、何とか載せていただきましたが・・・・。
そして、団体を先に筏に降ろして、自分たちが最後になったときやっと
「ほっ!」とできました。
筏に道具を上げてさあ準備にかかろうとした時です。
釣友の一人が突然
「あれっ道具の入ったク−ラ−が無い」と言い出しました。
どこかに紛れ込んでいないかと、みんなの道具を確認しますが、見あたりません。
「さっきの団体が自分のと間違えて持っていったのか?」
でもここは海の上、取りに行こうにも泳いで行くしかないし、渡しの船は12時前に
お弁当を持ってきてくれるまでこないし、どうしようもありません。
ビ−ルくらいなら皆のを分ければいいのですが、道具ではどうしようもありません。
せっかくの楽しみの「筏釣り」も暗澹たる気分に浸るかに見えたとき、
良いことに気がつきました。
今でこそ、簡単なことの様に見えますが、その時は「よくぞ持っていた」と皆に
感心されました。何だと思います?
「携帯TEL」なんです。今でこそ殆どの人が持っていますが、当時の普及率は
低く、贅沢品と思われていました。
基本料金が「\4,000〜\3,000」では仕方がありませんでした。
でもこの作者は、出張から帰るその次の日の午前2時集合で釣行する事に
なっていました。出張先は新潟でしたから、出張先の都合で帰ってこれるかどうか
不安がありました。
「せっかくの筏釣り。何としてでも行きたい」の思いが強く、
「間に合わなかったら、放ってゆくぞ」の釣友の不安を和らげる必要がありました。
もしも間に合いそうなら「絶対行くから待ってて」と、途中(新幹線の中)から
TELするために、家内に呆れられながら強引に入会し
「NTTのドニ−チョですが」持っていました。
(出張の帰りに、最終に近い新幹線で一人の時は、携帯TELが無いと
とてもではないけれどTELなんてできっこありませんよね)
「海上」で通じるか?と心配しましたが、通じました。
渡船屋さんにTELして事情を話し、船をよこして頂き探して回ることになりました。
その時の話です。
今思い出しても腹が立ちます。
普通と言うか、常識人と言うか人のク−ラ−を間違えて持ってきたら
「済みませんでした」か「ごめんなさい」くらい言いますよね。
それを知らん顔して・・・、たまりかねた釣友が軽く
「済みませんぐらい言っても良いんじゃないの」って言って、
船で離れようとしたとき「自分の持ち物ぐらい自分で管理しとけ、この*****!」
って怒鳴ってたそうです。(詳しくはかけません。汚い言葉ですから)
戻ってきた時にこの話を聞いて、みんな憤慨しました。
さすがに船長さんも気の毒がって
「まぁ、いろんな人が来るから。忘れて楽しんで」とか何とかなぐさめてくれたのを
覚えています。
今更ごちゃごちゃ書きません。でも少なくともこんな釣り師にはならないでおこう。
と思っています。
「お互い様」の心を常に持って。「情けは 人の為ならず 巡り巡って 自分のために」ですものね!
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