やっと筏釣りの道具らしきものを揃え、いっぱしの筏釣り師の気分になったいじょうは、
「一流の釣り場へ行こう」と場所を物色していました。
その時ちらっと小耳にはさんだのが、ここの釣り場。
なんでも「あんまり釣れすぎるので、全員船釣りで、時間制にしてある。
それも船長さんの指示で『はい、竿を出して。棚は底。』でヒラメが1時間ほどで
バカスカ釣れて『はい、今度は中層を狙って』で大型のチヌが入れ食い。ほんの2時間
足らずでク−ラ−がいっぱいになる」と言う噂を釣友から聞きました。
こんなのを聞いたら、素人に毛が生えたような当時の作者でも「絶対に間違いなく釣れる」
と判断したのもやむを得ない事です。
早速、釣友達4人で釣行に出かけました。しかし聞いていた噂と様子が全然違いました。
ここは、船釣りではなく、筏とカセの渡しでした。
ここもそうだが、筏は各釣り場によって、独特のル−ルがあります。
ここは2人以上で、1つの筏もしくはカセに渡してくれます。
4人で1つの筏を占有したので「話と違うな?」と思いながらも、気兼ねなく準備にかからせて頂きました。
それでも、竿立てや尻手ロ−プをセットしていると、いっぱしの筏釣り師になったような気分です。
「こんなん、気分のもんだいやなぁ!今日は釣れそうな気がするで!なんせ爆釣の釣り場や!」
なんて軽口も飛び出す。「ここが爆釣の釣り場なんだ」と自分に何度も言い聞かせます。
習ったばかりのダンゴの捏ね方と、餌の付け方を自己流に工夫し爆釣を期待します。
緊張の第一投。
ダンゴが着底してから、割れるのを待ちます。緊張しています。
昨夜のイメ−ジトレ−ニングでは、ダンゴが割れた瞬間竿先に「ぴっ!」とアタリがあり
しばらくじっとして、次に「くっくっ!」と竿先が揺れた瞬間を、鋭くしゃくり上げると釣れるはず。
ダンゴが割れるまで、緊張して待ちます・・・。まだ緊張しています。
ダンゴが割れて・・ダンゴが割れて・・ダンゴが割れ?????ません!・
あれっ、おかしいな。曲がった竿がそのままで、なかなかダンゴが割れません。
なんでや?何で割れんのや????待つしかないか!
緊張も途切れます。「ビ−ルでも飲んで景気づけや」
とばかりに、ク−ラ−の中の缶ビ−ルを「プシュ」と空けて・・。
お隣を見ると、竿先に集中しています。
「そんなに、慌てなくてもなんぼでも釣れるで!」なんて軽口をたたいていると、
いつの間にか、自分のダンゴが割れていた。慌てて、自分の竿に集中しました。
来るぞ!来るぞ!ピピッと来るぞ・・ヒピッと・・・ん〜こないなぁ!
おかしい、昨日のイメ−ジトレ−ニングと違うぞ。
まてまて、ここは持久戦か?じっくり待とう。
ビ−ルを飲みながらじっくり待ちます。今度は、竿先をじっくり見ながら。
缶ビ−ルを飲み干した頃になって、もう我慢できずに巻き上げます。
巻き上げてみて納得しました。餌が無かったのですから。
ダンゴが割れた瞬間に餌を取られて、そのアタリを見逃したと思われます。
いくら爆釣ポイントでも、餌が無ければ釣れません。
もう一度ダンゴを作り投入します。
ダンゴがなかなか割れないのは「水分が多すぎて柔らかすぎるからだ」と釣友が
教えてくれました。
釣友に手伝って貰って、ダンゴ餌を一緒に混ぜて水分を平均化し、水分の含有量を
先程より少なくしました。少しは硬くなりました。
今度こそと、挑戦しますがダンゴが着底するまでに割れてしまいます。
次は、ダンゴを硬く硬く握ります。又々ダンゴが割れません。
おかしい!おかしい!何度やっても着底してからすぐにダンゴが割れません。
この時になって、筏釣りの難しさの1つを実感させられました。
ダンゴ餌の水分の調整具合によっては、全く釣りにならない。
対策は・・・・と経験の無いのに考えます。
とにかくダンゴを着底させなければどうにもなりません。
着底したダンゴが割れるのを根気よく待つ事にしました。
集中力を持続させるのは難しいので、割れるタイミングを測る事にしました。
着底から、2〜3分程度で割れています。
ダンゴを投入して、しばらくは放っておき、2〜3分後に竿先に神経を集中
させるようにしました。
その時、竿先がぴぴっと震えます。おっ!と緊張しました。次に竿先がなにやら
もぞもぞしています。一か八か「えいっ」とあわせます。
「どん」という手応えがあり、ぐぐっと引き込まれます。
「やったか」と期待して巻き上げますが、チヌにしては最初の抵抗のあと
すんなりとあがってきました。
魚影が見えましたが、なにやら赤く見えます。何と真鯛です。
チヌ釣りでは外道ですが、こんな外道は有り難く頂戴しました。
大きさも、20cm程度でしたが、最初でしたからkeepしました。
「30cm以下は放流」なんて事はしません。
その後もこの要領でぽつぽつ釣り上げましたが、噂の様な爆釣にはならず、20cm以下のが
「赤だ、今度は黒だ」なんて調子です。結局10匹も釣れてません。
「2時間でク−ラ−が一杯の爆釣」も経験できず、納竿です。
ここはその後も4〜5年通うようになります。
ここは「筏」と言うより「やかた」って言う事を知ったのは、後になってからです。
左に絵を載せましたが、
屋根があり日除けになります。
帆布が支柱に巻き付けてあり、
風の強い日は、帆布を利用して
風を遮る事もできます。
2人以上ならのんびりできて、昼寝も
できる場所です。
(筏は5m四方はありますので)
最終は午後4時に迎えに来ます。
当時は「帰りのフェリ−で2時間待ち」、
帰宅が午後10時なんて事もありましたが
今は四国まで橋が繋がっていますので、
行くのに楽な釣り場と言えるでしょう。
但し、通行料を割り勘で安くするための
釣友は、4〜5人は欲しいですね。
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