まだまだ筏釣りの何物かを全く知らない頃の話です。
筏竿とて無く、餌も何をどうやって付けたら良いのかも解らない頃の話。
竿は2mのキス竿と、投げ竿と「浮き」を持って行きました。
餌から合わせ方から全て、餌屋でノウハウを仕込まれてから、筏に渡して頂きました。
ダンゴはダンボ−ルに入っているやつで、水分の調整のみですぐ使用可。
教えてもらった通りにやってみたのですが、全くだめでアタリすら分からない。
(今から思うと当然ですが)
ラインを指で押さえていても、アタリなど伝わってこない(これも今から思うと当然の話)。
いい加減、嫌になってキス竿の方に3号の中通し重りを付け、サナギを2〜3ヶ針に通し
海中へ投入、そのまま放っておいた。
投げ竿には、浮きをつけて、貝のむき身を餌にして海中へ
(何を狙うつもりかって?・・・さぁ・・・)
浮きには当然の事ながら、全くあたり無く、ひょいとキス竿の方を見ると、竿先がビンビン曲がっていた。
「おっ!釣れたっ・・・」とわめきながら、慌ててキス竿を掴み、早速巻き上げにかかる。
「慎重にやれっ! 慌てると切れるぞ!」と一緒に来た釣友が外野でわめきます。
言われるまでもなく、慎重に慎重にリ−ルを巻き上げているのですが、になせ引きの強い
チヌの事、しばしばリ−ルを巻く手が止まります。
それでも何とか海面近くまで巻き上げた頃「ギラッ」と水中にチヌの輝きが。
「お〜ぉ!チヌや でかいなぁ!」
この時は2号のラインでしたから、切られる心配は少なかったのですが、針が外れると
大変なので無理はしませんでした。
この時は釣友がタモですくってくれました。
「おぉ〜 やった やった」って人の迷惑を省みずに叫んでいました。
「31cmもあるぞ」(今では笑い話ですが)
しばらくは、手のふるえが治まりませんでした。
それまでの釣行で30cmを超えるような獲物には、お目にかかったことは
ありませんでしたし、それにチヌです。
噂には聞いていましたが、実物はなんといかつい事か。目がギョロッとして、
背鰭がきつくて刺されそうです。
それでも大切にク−ラ−に確保しました。
次の獲物を狙って餌(サナギ)を付けようとしますが、手がまだふるえています。
とにかく、何とかやっと餌をつけて、海中に投入します。
しばらく、キス竿を監視しますがすぐにはあたり無く、緊張もほぐれてきました。
またしても、浮き釣りで遊んでしまいました。
「やっぱり先程のチヌはまぐれ当たりかなぁ! あ〜ぁ 釣れないなぁ」
「おぃ!また引いてるで」
「えっ!」とキス竿を見るとまたしても、竿先がビンビンでした。
すぐにキス竿をつかんでリ−ルを巻き上げます。
チヌ独特の強い締め込みは、本当に癖になりそうでした。
結局その日は、31cmを筆頭に30cm・28cmの3匹をゲットし帰路につきました。
その日は貝やエビ餌ではダメで、サナギの当たり日だったようで、本当に
ビギナ−ズラックでした。
その後、筏用の竿や竿置き、尻手ロ−プなどを用意するようになります。
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