(第2章) 起承転結物語


第一章:起(絶好調)
それは本日5月13日の午前3時30分から始まります。

目覚まし時計を殴りつけ、あわただしく着替えを済ませ、車で

いつもの渡船屋へすっ飛ばします。

今日はいつもより30分も早起きしました。情報では「ゴ−ルデン

ウイ−クに13匹も釣った人が居る」との事。小生もいささか焦り

気味です。エサはカニのみではなく「イ貝」もゲットしようと、

途中の波止で「イ貝」を徴収する予定です。

目的の波止につくと時計を見ながら必死に「イ貝」を徴収します。

時間ぎりぎりまでがんばって今度はいつものエサ屋兼渡船屋へ

車をかっとばしました。

カニと渡船券を購入すると5時出船の5分前「兄ちゃん

(おっさんでも兄ちゃん言いよる)今日は遅いな、早よ行きや!」

「あんがとね!」なんて会話で船に飛び乗りました。

小生の今日のポイントは二人が精一杯一人先に居るので

「小生で満員か」なんて仕掛けを用意していると先に釣られた。

「あせるなぁ〜!」と「イ貝」とカニを交互に探っていたとき「カニ」

のエサで竿先にいつものあたりがあり「よっしゃ!」と合わせ、

グ〜〜!と強い引き。でタモに入れれば45cm。

あ〜!今シ−ズンは絶好調や!

 

第2章:承(落ち込んだ!)

今シ−ズンは調子良いな、40cm級がばんばん釣れるで。

と調子に乗ってエサをカニに絞って探っていると今度は「引き」

のあたり「ひょい」ってなもんで合わせるとグ〜〜!とまたまた

強い引き、よしよし「タモタモ」っと・・・ここまでは良かった。

初心さえ忘れなければ。。。。未だに悔やまれます。

なぜチヌの顔が見えるまで集中しなかったのか?

タモに気を取られた瞬間、スッと竿が軽くなった「あっ、

バラした!(逃がした)」

唖然・茫然自失・あっけに取られてボ−っとしてしまった。

「う〜っ!くそ〜!ちくしょう〜!****!」

先ほどまでの気分はどこへやら、がっくり、ショックで

「このへたくそ!」と反省しきりです。

あれだけやり取りしてバラしたらもう散ってしまったかな!

「でも、でも負けないモン」と気を取り直して又探り

始めました。「初心を忘れるな、初心を忘れるな」

とつぶやきながらそうするとまたしてもあたりが・・・「今度こそ」

と合わせるとグ〜!と引き込んで・・とたんに又スッと竿が

軽くなった「あっ、又バラした!しっかり針がかりして

なかったんやなんでもっと強く合わせな

かったのや?もう、もうあかん立ち直られへん!!」

 

第3章:転(立ち直り)

「もうあかん、もうあかん」と心が叫びます。「負けてたまるか、

負けてたまるか」と頑張ろうとする心も反撃します。ボ−っと

してたか、無我の境地か、手にコツコツとあたりがあり反射的

に「ひょい!」で竿がグ−っとしなります。「今度こそ!

今度こそ!慎重に・・タモは後や、チヌに集中して、

チヌに集中して。ようし浮き上がってきたぞ」チヌから目を

放さぬようにして手探りでタモを用意し「ここでバラしません様

にそっとそっと。神さま、仏様、お母ちゃん・・・・」と思いつく

限りの人に祈りました。あと50cm、あと20cmタモの金具

を越えて・・・「タモに入ってもまだ安心するな、タモが折れる

ことだって」そっとタモを縮めて波止へあげてと・・「ようし2匹め

ゲットや!!!」すかさずお祈りした人に感謝!感謝!

さっきまでの「落ち込んでた」自分が嘘みたい

やっぱ俺は天才や!バンザイ!!」

 

第4章:結(がっくり、でもにっこり!)

「2匹めは40cmかよしよし」で、うきうき気分でまたもや

探っていると・・・・で、3匹目をゲット「ちょっと小さめだな」

なんて生意気な事を考えて(35cm)とりあえずストリンガ−

かけておきました。それからはあたり無くそろそろ引き上

げる時間になり道具を仕舞い始め釣果のチヌをひょいと

見ると「あれっ!2匹しか居ない。海の中に猫でもいるのか?」

でストリンガ−を引き上げてみると・・

なんとなんとストリンガ−のフックが外れて1匹逃亡していた。

3匹をまとめていたが暴れた拍子にストリンガ−のフックのちょうど

良い(悪い?)ところを押さえるようになって・・・・

「あ〜ショックだ!ショックだ!せっかく3匹上げたのに・・・・

でも・・・まあいいか、幸い逃亡したのは一番小さいのだし。

大きいのが2匹もあれば晩御飯のおかずに充分」と言う事

で波瀾万丈だった釣行を終え帰路に「2匹あるので1匹は

親にあげよう。さっき祈らせてもらったものね」

と持って行くと。父親「うわぁ大きいな、これメバルか?」

小生:違うよチヌだよ!

母親:「何言うてんねん!黒ダイやない!チヌやね!

よく釣ったね!!!」さすが母上様よく分かってる!     

                      完

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