第四章 ある5月の激闘の思い出!!
(第一部)−序章−
それは、今思い出すと懐かしくも誇らしいそして精も魂も
尽き果てた激闘の思い出である。
いつものエサ屋に「イ貝」の出始めが少量置いてあった
ので\500分購入し朝5時の船で我ホ−ムグラウンドの
ポイントへ。
ここは、5.4mのタモでないと海面まで届かない、
ちょっとスルリ・・?じゃなかった「スリル」のある
ポイント。ここは支柱のイ貝をチヌがエサにしており、
ゴ−ルデンウィ−ク前からボツボツ連れ出す
ポイントである。
但し、原材料の船が着いて荷揚げの作業をしている時は
「危険」と言うことで会社の人から退去命令が出る。
(そんなときは、中間の釣り師のためにも素直に
指示に従おう!決してトラブルを起こしてはいけ
ない)でも船が着岸していないときは、見逃して
くれる。たまに「どや!釣れたか?」とお声も
かかる。会社の人へありがとう!!
その日は船が着岸していなかった事もあり
「見逃してね」とばかり、西側へ回り込み、
探っていた。
ちょうどカニからイ貝へのエサの変わり目に
なっていたのか、あたりはばんばんあった。
でもなかなか針にかからない。
今度こそ、今度こそと焦ってバラしていても楽しかった。
あたりさえ続いていればそのうちに必ず釣れる、
となにやら予感めいたものもあって。
その時は、この釣行の結末がどんなものになるかは
予想だにできなかったが。
(第二部)−釣れ始め−
あたりの続く中で「よっしゃ」っと初めて掛けた
のは36cmだった。まさか今日はこの一匹だけでは
なかろう。と気分に余裕もあり探っていると竿先
をひったくって行くような強烈なあたりが「なんや!
ガシラかいな?」と思ってあわせるとグッ〜グッ〜
とすごい引きが「チヌや! それにしても今日は
荒食いしてるな」とやりとりをしていましたが、
なかなか竿が立てられません。
「なんやこいつ、そうとうデカいな!」となお
頑張っているとようやく水面近くでギラッと光る
物が「これはデカいぜ、慎重に慎重に、絶対バラ
さんで!!」敵さんは水面に引き上げられては
大変と今度は沖へ向かって逃亡を謀ります。
竿が殆ど伸されそうになりながら「頑張るモン。
絶対逃がさんモン!!」と歯を食いしばって・・
腕がしびれ掛けた頃ちょっと引きが弱まった様
な感覚が「今や、少しずつ引き寄せて・・・・」
とようやく水面から顔を覗かせ空気を吸わせる事
に成功しました。
その後横走りはしたものの何とかタモにおさまり
ました。竿を横に置いてタモを縮めてやっと引き
上げご対面です。
「ふぅ〜!腕が痛いぜこのデカ野郎」。
早速ウエストバックに入れているメジャ−で測定。
「46cmあるやないか。自己新記録や
(このとき迄の自己新は42cmだったもので)
今日はこれで魚拓や」
さっきの36cmと一緒にストリンガ−に掛け
ましたが「10cm違うとまるで親子やな」
なんてルンルン気分で次なる大物をさがしに出発です。
この時点で午前8時でした。
(第三部)−何でこんな事に−
その後しばらくはあたりが途絶えたので今度は
東側へ回ろうと判断しさっきの「デカ野郎」
と一緒に場所換えです。
何事もなければすぐに東側へ回れたのですが、
ここで思わぬハプニングに見舞われる事になります。
結果から申し上げるとこの釣り上げた2匹は
ちゃんと確保出来たのですが・・・・・
何だと思います?
えっ なんですか?「早く話せ」って。
はいはい。
実は汐の流れが変わって支柱に着いていた
直径3cm長さ2mぐらいのロ−プの切れ端が
水面近くをゆ〜らゆ〜ら。そのロ−プに小生の
大切な獲物つきのストリンガ−ロ−プがぐるぐる
に絡まってしまったのです。
強引に引っ張ればストリンガ−ロ−プの方が
切れるでしょう。
「う〜ん困った、取れない。このままでは
獲物まで・・・どうしよう。
迎えに来てもらう船にお願いしようか。
ダメだっ、ここはオイルフェンスが張ってあり
船は近づけない。
いっそ泳いで・・・・馬鹿なことを言うな
風邪をひくぐらいなら良いが遭難するで
(そうなんです)。
え〜っとう〜んと、なかなか良い考えが
浮かばずストリンガ−ロ−プを持ったまま
座り込んでしまいました。
そうだ、獲物のチヌの方からロ−プの切れ端
をぐるぐる回ってほどいていけば良いんだ。
さてここで問題です。「獲物のチヌの方から
ロ−プの切れ端をぐるぐる回って・・・・」
ってどうやったでしょう
小生はチヌ語を話せませんので、説得は
出来ません。
おわかりの方は掲示板へ回答をお願い致します。
それではこれで・・・・・・って終わったら
皆さん怒るでしょうね!
ご安心下さい、どうやったか話します。
実は簡単な事なのです。
タモを使いチヌを誘導しただけです。
チヌを押し込みロ−プの切れ端をタモで
すくって潜らせます。今度はチヌをストリンガ−
毎すくい、ロ−プの切れ端を超えさせてと、
この作業を繰り返しただけでした。難しいのは
チヌを押し込みロ−プの切れ端をタモで
すくって潜らせる時です。なかなか思い通りに
潜ってはくれません。それでも後2周を
残すのみになったとき、ストリンガ−ロ−プが
するすると外れ出しチヌも後についてきて
やっと外す事が出来ました。
せっかく外れたものですから大切に引き上げて
確保したとたんに疲れがどっと出ました。
汗もびっしょりかいています。
左手にストリンガ−ロ−プを持って操作しながら
右手でタモをもってすくっていたものですから
両手の二の腕の辺りの筋肉がパンパンに
張っています。手に力が入らずしばらく
座り込んだまま休憩していました。
(第四部)−指示に従い爆釣へ−
やっと回復した頃大切な獲物と道具を抱えて
先端の橋になっている場所へ移動しました。
ここなら絡まる物は何もありません。
「ポカリス***ト」で水分を補給後、東側へ回ろうと
した時の事です。
会社のライトバンから二人の方が降りて
こられて「釣れますか?」って。
この時はいつもの挨拶かなって思っていたけど
なにやら話し方から想像するに、かなり
役職の上の方々かと思っていたら、要は
「この着岸地内は危険だからテトラの方へ移って」
と言うご注意。こんな時、逆らっては絶対
にいけません。
「ここは沖の端ですからテトラへ移るには
構内を通らなくてはなりません。着岸地から
突き出た係留場に渡しの船が着きますので
其処にいます。着岸地内には入りませんから」
と言うことで、納得して頂き気持ちよく(?)
お引き取り頂いた。
結果としてこの注意が良かったのか、それから
爆釣モ−ドに突入する。
この端から着岸地に少し入ったところに
支柱があり、チヌが群がっている事を知っている。
小生は其処を集中的に攻め始めた。
あたりは相変わらず頻繁にありそのうちの
一つがヒットした。「よっしゃ!3匹目や」
とやりとりの途中で「スッ」と竿が軽くなり
「あっ!!バラしてしもた。 ん〜!
あれだけやりとりしてバラしたら散ってしもた
やろ。今日は2匹であきらめるかな」と
あきらめ半分で探っていると、またしても
あたりがあり反射的にあわせるとすごい締め込みが
「おっ!まだおるんかいな。どないなっとんねん」
でこいつが36cm。このときの時間が
午前10時ぐらいだったと思います。
それからも5m程度のポイント移動で
ポツポツゲットしてゆきました。1本の
ストリンガ−にこのまま掛けていったら、
引き上げるときストリンガ−ロ−プが切れる
かも分からんと4匹迄で止めて、もう1本の
ストリンガ−ロ−プを取り出し掛けてゆき
ました。「この調子やったらストリンガ−
が足らんようになる」(1セットは8本ですので)
と変な心配をしながら、夢中でした。
1匹ゲットしても又1匹もう1匹と「もう
こんな事は生涯二度と無いぞ」という思い
からか疲れた体にムチ打って
(キャ〜!エッチって何考えてんねん!!)
タモ入れをくりかえしていた時です。
迎えの正午の船が目の前を減速しながら
走っています。小生の、やりとりから
タモ入れまでを船長を始め釣り師たちがみんな
見学しています。「ここでバラしたら恥やで」
と慎重にタモ入れしたのが41cmでした。
正午の船が行ってしまったので次は午後3時迄
迎えには来てくれません。この41cmを
ストリンガ−ロ−プに掛けようとして
ストリンガ−の無い事に気づきました。
9匹目でした。

(第五部)−もう倒れそう。熟睡から帰路へ−
「9匹目はすぐに締めてク−ラ−へ
入れてっと」で締める時座り込んだ
のが悪かった。
立ち上がろうとしてフラッとして目眩が!
そのまま両手をつきしばらくじっとしていました。
このときになって体中の軋み、筋肉の
悲鳴が・・・・「もうだめだっ!しばらく
休憩しないと立ち眩みを起こして、海中へ
落っこちるぞ」目眩がおさまってから、
竿・カニおけ・タモを置いて、ストリンガ−
ロ−プと獲物を確認しその場にゴロッと横に
なり、帽子を顔の上に載せて(紫外線はお肌の
大敵です。特にシミのね)休憩です。

疲労感が体中からわき上がってくるのと、
爆釣の快感と、心地よい睡魔にもおそわれ熟睡
(爆睡?)してしまいました。
自分ではほんの5分程度と思っていたのですが、
背中の痛みに目を醒まし時計を見ると午後2時に
なっていました。
何と2時間近く熟睡していた事になります。
3時の迎えの船迄休憩していれば良いものを
悲しい宿命か、仕掛けのラインをチェックし
又探り始めました。
ところが今度は、全くあたり無く3時5分前に
納竿です。
ストリンガ−ロ−プを2本引き上げ獲物を
ク−ラ−に入れたは良いが、ク−ラ−が満杯で
カニおけ・ペットボトル・ゴミの袋が入らず
(釣り場にゴミを絶対に残さない。
ゴミがあれば拾って持ち帰る。これは当然の事、
来たときよりも美しくですよ!!)
ク−ラ−のヒモにくくりつけて帰ってきました。

帰る途中いつもの餌屋により「すみません、
バラの氷あります?」「おっ!兄ちゃん
釣れたんやなっ!どれどれ見せてみぃ〜!
おっ〜!おっ〜!ごっついぎょうさん釣れとる
やないか!!場所は何処や」
「あっ!いやそれは・・・・(* *);・
(@^@);***;;;+++;」って言えませんよね〜!
で適当にごまかして帰路に。
帰宅してからが又大変だった。
一人の釣行であったので、中間に信じてもらうため
写真を撮りたいが家の中では無理。
外に新聞を広げて9匹を並べて脚立を用意し・・・
で撮り終わったところで、「こんなにたくさん
食えねえぞ!どうしよう」。かあちゃん(家内)
に相談してご近所におすそ分け、で何とか処理。
しばらくしたところで1件から返却があった
「さばけないので捌いて〜!」だって。
「しようがないな、こっちも素人だぜ。
とにかく内臓を出して3つにぶつ切りで
どや!!」「それでも良い」って事になり
処理してやった。
チヌ釣り師をご近所/友人にお持ちの方々、
魚ぐらい捌こうね。
以上