第5章  こんなのあり?

初春のまだまだ寒い雨降りのある日。いつもとは違う

釣り場へ降ろしてもらった、ここは波止が短くポイント

となる所は少ないが人があまりいなくて、チヌ釣り師

(自称)にとっては未知の場所でもあった。

合羽を来ていても寒さがこたえる日でした。

波止の端まで、それも2回も探っても全くあたりが

無くテトラの方へ移動。

まだまだ水温が低いため「チヌはまだテトラの中

でおねんねかな」と判断しての事。

海草がテトラの間からゆ〜らゆ〜ら!カニが

なかなかテトラの中に落ちてくれない。

テトラの中はあきらめて、テトラの前にカニを

投入していた時、竿先が波にあわせてぐ〜っ!

としなった。「あ〜ぁ!海草に絡まりよった。

この寒いのに、仕掛けの作り直しかいな」と

竿を立てたとき、海草が引き返した「最近の

海草は締め込むんか?」と思って更に強く

引っ張った時ぐっ!ぐっ!と手応え。「あれっ!

釣れてるわ!チヌと違うな、ポン

(アブラメの30cmを超えた物)かな?」

とりあえず引き上げてっと。

水面すれすれまで引き上げた時、ギラッと

いつもの輝きと敵もこちらを認めたか

水中めがけてすごい引きが「チヌや!」・・・・

びゅん!びゅん!とラインがうなります

「これや、これや、この感覚や!!いつも

ながらいい感じや・・」と、

やりとりをして難なくタモ入れです。

確か36cmだったと記憶しています。

ストリンガ−にかけてテトラに降ろしました。

この時、テトラの穴に潜り込まれて取れなく

なった釣友の失敗談が頭に浮かび、水面

すれすれを泳ぐようにストリンガ−をセット

しました。

(これが後でとんでもない事になるとは

予想もしませんでした)

ストリンガ−の端をテトラにしっかりとくくり

つけて、2匹目を求めてテトラをあっちに

こっちにう〜ろう〜ろ!!

雨もいつの間にか止んだ様で、寒さも

ゆるんできた様で体がやっと暖まってきました。

「あ〜ぁ!2匹目はいずこに??

何処でおねんね??おいしいカニが

待ってるよ!!」と気分は上々。

「いないなぁ!!あたりも無いなぁ!

さっきの(チヌ)にご挨拶してこよっと」

テトラの間に見えるストリンガ−ロ−プを

目印にさっきの場所まで戻り、中を覗くと

大きな目をした物体がこちらをにらんで

「にゃ〜お!」

「うぉっ!!なんや!ネコか!!

驚かせやがって!!!あれっ魚を喰ってら、

チヌやないか。このネコもチヌ釣り師

(チヌ釣りネコ?)か?

 ・・ストリンガ−付きのチヌか?

 ストリンガ−のロ−プはどっかで見たこと

あるな。端はこっちまで延びてるけれど・・・

??????なっ、なっ、ぬぁ〜にぃ〜ぃ〜!!

そのチヌは俺のや!このくそ野郎!!!! 」

タモの柄で突きかかるも、敵も然る者

(然るネコ?)殴られては生死にかかわる

とばかり身を翻してテトラの更に奥の方へ

チヌをくわえて退散しおった。

残るは小生のストリンガ−のみ。

「おのれ逃がすか」と追おうとしても、

テトラへは寸とも入れぬもどかしさかな。

「こうなれば上から串刺しに」とばかり

テトラの上から気配を伺うも

「バリバリ、ガリガリ」

とチヌにむしゃぶりつく「いと美味しげな」

音ばかり「おのれ、おのれ、そは我がチヌなり。

返しそうらえ!」
(すみません、興奮のあまり時代が逆行した様で)

とテトラの上を何とか敵の姿が見えぬものかと、

あっちへこっちへ動き回り覗き込みますが如何せん
何としても姿をとらえることが出来ません。

「くそっ!くそっ!,.¥^−;:*・・・・」

もうがっくりです。目もうるうるします。

「あ〜ぁ!せっかく釣ったのに。虎の子の1匹なのに」

しばらくは立ち上がれません。

少し気分が落ち着いた頃「俺も今年は

厄年だしなぁ。厄年は散財をしてみんなに

厄を受け持ってもらわないとなぁ!

さっきのチヌもネコに厄を受け持って

もらったと思って差し上げよう。

そう考える事にしよう」

と考え直し「もう1匹釣れば気分も変わるか」

と再び釣行開始です。

しかし残念ながらその後はあたりの

見逃し2回のみでむなしく引き上げました。

皆さん テトラの猫には気をつけましょう。

                             以上


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