第7章 梅雨のある6月の雨の日に45cmが1匹
梅雨のまっただ中。昨日からの雨も小康状態で
濁りも入りちょうど良い加減の釣行チャンスの事。
いつもは、午前5時の船で出戦(?)し午後0時の船で
引き上げますが、この日は「午後3時まで頑張るぞ」
と気合いが入っています。
いつものカニを購入し渡船へ、小雨がパラついて
来ましたが天気予報によると「回復傾向」との事で
それを信じて合羽は着ずにいました。
船から降りて、とりあえずいつものポイントへ。
ついもそうですが、第一投目というのは興奮します。
そう度々釣行できる訳では無いので気合いが高まって
(溜まって?)います
爆釣のイメ−ジがありますので、直ぐにでもかかり
そうな気がします。
ポイントを変えて探っている内に気合いが減り焦り
に変わりますが・・・
その日もしばらく探っているうちに気合いの減少が
見られました。
「おかしい、こんなハズでは???」と焦ってきます。
いつもは探らない支柱へも探りをかけた時の事です
(さぁ〜!!皆さんお待たせしました、いよいよ始まりますよ!)
竿先にはっきりと「コツコツ」と
「いょっ!待ってました」とばかりにしゃくり上げます

ラインがびゅんびゅん唸りをあげチヌ独特の
締め込みが・・・
「でも小さいな。もうじき上がって来るぞ。30cm
すれすれかな?」(30cm未満はリリ−スが我が釣友間の掟です)
「こりゃ早めに取り込もう」と右手のばしタモを水面
までのばして・・・・!
(この判断は誤りでした、後でとんでもない事に発展します)
タモ網が水面につくやいなや、左手に凄い締め込みが!!
竿が伸されそうになります。
「こいつめ!タモを見つけて悪あがきしよったな!
それにしても小さいくせにえらい馬力や!」
少し浮いたところで左手の方へ横走りです。
ぎらぎらと横っ腹を見せながら。
「おっ!そう小さくも無いか標準サイズやな!っと・・
おいおい、それ以上左に行くなよ!!護岸の下に
潜り込む気か・・!」
大変な事なにりました。
最初「小さい」と早合点して、右手でタモを出した
ため左手一本でのファイトになっています。
(作者の標準、取り込みスタイルですが)
両手で押さえたいのですが、右手を放せばタモは海中へ。
敵も必死に護岸下へ逃げ込もうとしています。
竿は完全に伸される寸前です。
「いかん!無理に引っ張ったら切れるし、
護岸の下に潜られたらラインが擦れてアウトやぞ!」
全神経を、左手に伝わってくる引きの感覚に集中させます。
フロロカ−ボン1.5号の強さは体が覚えていますので、
限界まで引きを強めます。
左手と体を精一杯使い「引き」にあわせて延ばし少し
ゆるめばたぐり寄せます。
この時の体勢は最初の油断のせいで、竿尻を左肘で
押さえられずに左手首の「かえし」のみに頼る
という厳しい状況です。
左手に伝わる感覚を慎重に読み、少しでもあわせ損なう
とアウトです。
それに護岸の下へ逃げ込まれる寸前ですので冷や汗
ものです。
それでも引っ張りあいっこを繰り返すうちに、
少しづつたぐり寄せられてきましたが・・
「うっ! もう手首が限界やな、しびれからか
竿がたてられんぞ!」
それでも、敵の断末魔の一暴れが終わったとき、
ようやく竿尻が左肘の下へ!!
「ほっ!これでまだまだファィト出来るでぇ!
さぁいらっしゃい。」
ここで焦りは禁物です、いきなり「引き」を強く
するといけません。
今までと同じ調子で敵をなだめすかしながら水面
まで誘導し、空気を吸わせる事が大切。
「ほれほれ、いい子だから上がっといで」
ようやく、水面に顔を出させ空気を吸わせる事に成功。
で、お待たせしましたやっと右手の出番です。
タモを近づけると、やっこさん又もぐりよった。
「ほぉ〜!元気な奴やなぁ、こりゃ標準サイズ
じゃなくて大物のファィトやで!ここでライン切れって
のもよくあるからな。慎重に!!」
もうここまで来たら「フロロカ−ボンよ切れるな」
の思いだけでたぐり寄せようやくのことタモ入れに成功。
安心して竿を持った左手を降ろした時、左手が
「じ〜ん!」としびれて二の腕の筋肉も悲鳴をあげて
「うっ!いててっ」
今度は右手の試練です。せっかくの獲物を逃がさない
ようにしながら左手の回復をしばし待ちます。
左手に血液が周りじわっと暖かくなってきた頃、
慎重に大切な竿を置いて右手の応援です。
この頃になって獲物の大きさが判りました。
タモにずっしりと加わる重みと、チヌ殿の暴れる
激しさでタモが揺れます。
「こりゃ40cmを超えてるぞ」
左手でタモを縮めて護岸へ引き上げ計測したとき
「こりゃデカいわ。45cmあるやないか。
(←これですわ)
ありゃりゃ針は?・・・見あたらんなぁ・・・」
ここで釣り師として少し恥ずかしい話をしなければ
なりません。
落とし込みは、チヌの引きをタイミング良くあわせて
の釣方ですので、口の周りに針がかりするものです。
この時の針は、チヌに飲み込まれており中の喉の
あたりにかかっていました。
「あわせるタイミングが完全にずれてるわ。
ああ恥ずかし」(皆さん誰にも黙っててね!)
「それにしてもよくラインが持ったなぁ!
口で切られてアウトでもおかしないなぁ!」
チヌはカニや貝をつぶすために上顎と下顎にごつごつした
突起があります。(なんて云う名前か??です)
(←見えますか?)
これにやられたらラインは切れてしまいます。
改めてフロロカ−ボン1.5号に感謝しました。
色々挿入した絵は、自宅でのもの。
まな板は41cmあります。
上のチヌの口の突起が見えますか?凄いですねぇ〜!