第11章  タイムアウトぎりぎりに


暑い!暑い!!とにかく暑い。今年の夏は異常だ!35〜36゚C
なんてざらだもの。
最高気温発表で36゚Cって言ったら外気温は40゚Cはあるでしょう。
ねっ!
その日は朝5時でも暑かった。渡してくれる船の中で、お肌対策
の日焼け止めクリ−ムを丹念に塗りこみました。そうしないと、
シミが又増える(
老人性?ってか。・・ほっとけ!
それに作者の場合、
おでこにも塗らないと・・・
大分後退してきましたので!・・これもほっといてくでぇ〜!
お盆休みという事でか、異常に人が少なく船は5名。
作者のホ−ムグラウンドである、いつもの、ほんとにいつもの
ポイントに降りるつもりでした。
渡船の船長さんから

「帰りは10時でいいか?」
「いゃ!12時まで釣りたいんだけど」
「あの人も同じ所で降りるけど『暑いから10時でいい』
と言ってるよ」
「ん〜!じゃァ10時で良いです・・・・暑いもんね・・・」

と気の小さい作者は10時で妥協しました。
(だって客が少ない上に、一人の迎えのためにだけ船を
出して頂くのも気の毒だし、だってだって
暑いもん!)


第一投でいきなり蟹が無くなりました。
「落ちたかな?」と不思議に思い気を取り直して再開です。
その後しばらくはアタリも無く、探っているうちに、
又蟹が無くなりました。

「おかしい!アタリが全くわからん。本当に落ちたんではないのか?」
わけが分からずにいました。様子が全く違います。
この釣り師(自称)の目をごまかして、こんなに上手に蟹を
取れるわけがない。(ホントかな?)
又、蟹が無くなりました・・・又々、蟹が無くなりました・・・
どんどん蟹が無くなってゆきます。
おかしい?こんなにいくつも蟹が無くなる(落ちる)訳が無い。
どんどん蟹が無くなってゆき、30匹のカニがあっという間に
10匹ぐらいになっています。時間は9時近くでした。
「これはおかしい、絶対あたっている。渋いだけや!!」
残りの蟹を気にしながら「今度こそ、今度こそと」頑張ります。
時間もどんどん無くなります。


張りつめたラインと竿先に全神経を集中させますが「ピリッ!」
とも竿先は動かず、蟹だけが無くなります。
もう蟹の残りがわずか2匹です、時間は9時50分。
ラストチャンスとも思えた時、それまで張っていた竿先が、
僅かに緩みました。
普段なら「波だ!」と判断して無視するところ
ですが、この度はすかさず「ひょぃ!」っとあわせます。
竿先に手応えがあります。「根がかりかな?」と思わせる
不動の感触の後「ビンビン」手応えがあり、簡単に引き寄せ
られ、浮き上がって来る様な感じがします。
「何だ!小チヌか?さっきからの餌取りはこいつか?
そろそろタモの用意かな?」
と思ったとき、いきなり凄い締め込みが始まりました。
「何だ!こいつデカいぞ!」
ぐいぐい締め込み、竿先が水面に触れそうになっています。


油断でした。
蟹が直ぐに無くなっていたのは、水面の浅いところであたって
いたためでした。
作者の「落とし込みは」(前にも書きましたが)目印を付けずに、
竿先でアタリを見ます。
そのため、ここの釣り場の様に足元の中に餌を放り込む
「メクラ釣り」の場合、餌を落としてから「竿先を張る」迄に
若干の時間が必要です。

こんな感じです。

その間にあたられては、全くわかりません。
これが解るまで、何と時間の掛かったことか?


原因の解ったところで、気を入れ直してこっちもファィトを
楽しませて頂きます。
最初の引っ張り合いっこでは、先手を取られましたが、
徐々に挽回してゆきます。
今度こそ水面に顔を覗かせ、横走り「ギラッ」といつもの
お姿拝見です。
「40cmはあるかな?」ちょっと余裕も出てきます。
その後はどうということ無くタモ入れ成功です。
タモを引き上げてみると、40cmは切りましたが39cmでした。
「今日はこのくらいで勘弁してやるか?」
とそのまま、道具を持って着船場へ急ぎます。
時間は9時55分でタイムリミットぎりぎりでした。


ともう一人の名人(?)と話し込んでいるうちにこんな事が
解りました。
「ここは、漁船による漁は禁止の区域のはず。それを土日
漁師が3人おり、着船場5〜6mの円形部周辺に網を張り
中でボ−トを走らせていた
(驚いた魚が暴れると網に掛かる)。最後は30cm程度の
セイゴが3匹程度。それを見ていた!
その後はここでは全くあたらなくなった。
又、構内の漁ーの禁止区域にもカゴを仕掛けている」

何という不届き者か?
う〜ん!土日漁師? 普段はサラリ−マンでしょ。
これは漁師と違って「ただの釣り(?)好き?」それも、
大好きなポイントを荒らす「心ない魚好き」だ!


戻る