飼う事を決心して、すぐにわんこを動物病院へ連れて行きました。
病気があったりしたら大変だと思っていたのですが幸いにも何処も悪い所はないとの
事でした。ただ「ここ数ヶ月胃の中に何も入っていませんねぇ・・・おそらく水だけかなぁ」と言われました。私が、わんこが我が家に来てから今までの話しを獣医さんに
すると「何も貰えないのに2ヶ月居たんですか・・・?きっと食料確保できる所があったから、それまで生きていたんだと思いますよ。なのに、何も貰えない所で2ヶ月ですか・・・」と先生はとても驚いた様子でした。私はてっきり何処かで何か食べているんだろうと安易に考えていたのです。それなのに胃が空っぽだなんて・・・
「凄い縁ですね・・・」と言った後「飼うつもりがないのならここへおいて帰ってください。もし飼われるのであれば、すぐに餌をやって下さい。」と言われ「もちろん飼います」と答えていました。その後の検査でわんこは推定7ヶ月とわかりました。逆算すると9月産まれ・・・私たちの結婚記念日が9月15日なので、わんこの誕生日も同じ日に
決めました。自宅へ連れて帰り、先代のロッキーが使用していた小屋を実家から持って来て
わんこがいつも居た軒先に小屋を置きました。胃が空っぽのまんま数ヶ月も過ごした為に、餌はほんの少しを1日に何度にも分けてあげる様に先生に言われました。
急に沢山あげると胃がビックリしてしまい受け付けずに吐くだろうとの事でした。
わんこの名前は当時3歳だった長男がつけました。
丁度その頃、花壇に植えたチューリップの球根がつぼみをつけていて「もうすぐチューリップ
咲くねぇ」と毎日楽しみにしていたのです。
そんな時に我が家の家族の仲間入りをする事になったわんこに、長男は”はな”
と言う名前をつけてくれました。
お花のはな・・・チューリップのお花のはな・・・だそうです。
首輪を付け替えたその日から、はなは我が家の家族になりました。
はなが捨てられていた公園は今や休日には親子連れで賑わい平日には幼稚園や学校が
貸し切りバスで遠足に来る様な立派な公園になりました。
辺りが暗くなり人気が無くなる頃・・・どこからともなく野犬たちが集まり
ゴミを探したりする光景が見られます。
その中に明らかにはなの兄弟だと思われるわんこ達を何度も見かけた事が
あります・・・誰にも飼われることなく、野犬になった兄弟が不幸で、はなが
幸せかと言うと一概には言えないと思うのです・・・
ぬくもりを味わったはなは、又捨てられたらどうしよう・・・又帰る家がなくなったら
どうしよう・・・と言う不安を現在も抱えながら生きているのですから・・・
6年も一緒にいる私たち家族とでさえ遠くのお散歩へ行くのを嫌がるのです。
もし、もし・・・
もしかしたらこの日記を見て心当たりのある方がいらっしゃるかもしれないと
思うと書かずにはいられないのです。
はなは、平成8年9月(推定)生まれです。
開発中の公園に数匹の兄弟と一緒に段ボール箱に入れられて捨てられていました。
みんなお揃いの赤い首輪をつけて捨てられていました。
1つだけ聞きたい事があります・・・
真新しい ピカピカの 首輪をつけて 捨てたのは
あなたの最後の優しさだと 思っていてもいいですか・・・
雨水だけで2ヶ月・・・2章