現実のスキャンダルは遠慮します。 しかし映画 ‘スキャンダル’はいいですよ”
汗を流しながら食べたちゃんぽんご飯。

“鉄のボックスにサインすることは生まれて初めてです”


容易ではないというインタビューの約束を取りつけられたのは、たぶん写真撮影の小道具
としてで準備した‘ジェニ’という名前の子犬おかげだったと思う。
記者の仕事をして長い年月が経つのに写真の小道具だった子犬の名前を憶えているのは
純粋にベ・ヨンジュンのためだ。彼は写真撮影を終えて1年ほど経ってから記者に“ジェニ、
大きくなりましたか?”と聞いてきた。

しかし 7年前の事が昨日の事のように感じられるのは、その日のベ・ヨンジュンの素朴な
人間味を実感したからだった。

ベ・ヨンジュンは几帳面な性格の持ち主だ。パートナーにするのに一番難しいと言われる
生後 6ヶ月の子犬の’ジュニ’と一所懸命写真撮影を行った。
撮影を終えてから “インタビューしますか?”と言いながら、自分そばに置かれた椅子を
手の平でとんとんたたいて座って下さいという合図を送ってきた。
3〜4時間かかった仕事が終わったので、早い夕飯を食べる事にした。

“今日の夕食は私がおごります”と言うと、ベ・ヨンジュンは、
“そうですか? それでは僕はちゃんぽんご飯”と言いながらにこにこした。
先ほど3〜4時間もかかった仕事の苦労はすっきり忘れたように。
それで私たちは近所の中国料理店に出前を頼んだ。
しばらくして、ちゃんぽんご飯、ジャージャー麺そして酢豚が到着した。

テーブルに新聞紙を敷いて私たちは届いた料理を一つ、二つと並べた。
料理ががすべて整って私たちの聖餐(?)をちょうど始めようとしたら、ジャージャー麺を
配達してくれた少年が何かいいたげに私たちを見た。“あのサインをちょっと…” その配達
の少年はベ・ヨンジュンにサインをして貰いたくて、空の配達ボックスを片づけながら全身を
いじくり回して紙を捜していた。

しかし、その少年はどこにもサインを受けるに値する適当な品物(?)を見つけることができ
なかったようだ。とうとう少年は “ここにサインしてください!”と言いながらジャージャー
麺が入っていた配達用の鉄のボックスのふたを差し出した。
ジャージャーメンとちゃんぽんご飯、そして酢豚を前に置いて私たちは皆噴き出してしまった。
“本当ですか? ここにサインしていいんですか? 少年が帰ってからベ・ヨンジュンは
“鉄のボックスにサインをしたのは生まれて初めてですね”と言いながら大きな笑い声をあげた。

むしむしする写真スタジオでちゃんぽんご飯を食べている間、ベ・ヨンジュンの顔から汗が
したたり落ちた。あまりにもおいしそうに、夢中で食べている彼にティッシュペーパーを渡し
た。彼は白いティッシュペーパーで額の汗のしずくをぎゅうぎゅう押さえながらもしきりに食べ
ていた。

“食べ物は残してはいけないんです。米一粒を作るために一年中苦労する農夫の事を思った
らだめですし、ちゃんぽんご飯作るために苦労したコック長のおじさんのためにも、生ごみの
ために悩む政府のことを考えてもいけない事です。また、料理を配達してくれた人に対する
礼儀でもあります。そうでしょう? ”
汗をだらだら流しながら、 3千ウォンのちゃんぽんご飯をおいしく食べた彼の姿はスターでは
なく、その年齢の元気でまじめな普通の若者だった。

( レディー京郷 10月号頃永好記者 )