東亜日報ニュース−生活/文化 9/29/03 17:32
[シネ・ピープル]貞操とは何か・・・ペ・ヨンジュン− イ・ミスクの『スキャンダル』
キーワード対談
朝鮮時代、チョ夫人は浮気者チョウォンと共謀して9年間貞操を守り続けた叔夫人を
陥落させるという危険なゲームをする。チョウォンは真の愛に目覚め、「ゲームの法則」
に違反したため、嫉妬心に燃えたチョ夫人は彼を破滅の道に追い立てる。フランスの
小説『危険な関係』を朝鮮時代に移した映画「スキャンダル」、10月2日公開は、征服、
貞節、妬み、処女膜に関する新しい解釈と質問を投げかけながら、性愛に関する固定観念
をうち破る。
<略>
ペ・ヨンジュンとイ・ミスクが映画の中でおもだったセクシーな会話について語りあい
ながら、お互いの意見の違いを明らかにした。18歳以上観覧可。
貞操:「あなたは27年間堅く閉ざされていた扉(叔夫人の)を今開こうとしている
のですか? (チョ夫人のセリフ)
ミスク:処女膜が手つかずであるということ、それを確認すること、そのことだけが純潔
であることの証明だというの? 叔夫人は純潔を守ることだけを考えて生きていますが、
彼女はその時代によって課された痛みを包含しているんです。そしてチョ夫人は時代によっ
て強要された貞操に挑戦するわけ。叔夫人は貞淑な人ですが、チョウォンの「攻撃」にさら
され、敢えなく陥落してからはチョウォンに執着するわけでしょう。ところが、チョ夫人
は体は与えても心は与えない。どちらが純潔を守っているといえるのかしら。
ヨンジュン:朝鮮時代には”烈女門”という称号まで作って貞操を守る女性に贈るほど
貞淑な女性が少なかったということ(笑)? ところが、叔夫人という人はいったん心を
開いてしまえば、すべてを開いてしまう女性です。その一方でチョ夫人は儒教社会から
逸脱することで満足を得ているんです。
幸福:「私は今充分幸せです(純潔を守っていることが)」(叔夫人)
ヨンジュン:彼女は「これが幸せだ」と思ってきたけれど、いったん彼女を縛り付けて
いたものが取り払われた後は...。映画で僕は、会合やらチャリティー(叔夫人が信仰
しているカトリックの)に参加することで、彼女を攻略するための「コード」を簡単に見
つけだし、彼女の「ドア」を開けたわけです。
ミスク:本能という観点から見たらそれが幸せなわけないじゃない。女性は本当にその男
が好きなら「ドア」を開けるように出来ているのよ。それが愛からではなければ、少なく
ても、同情心から・・。ところが叔夫人は彼女のすべてを社会奉仕活動に捧げている。そ
れは今も昔も変わらない、性的欲望を発散するための手段じゃないの? 少し前にクロス
ステッチに凝ったことがあるの。一度始めたら、心は空っぽになって一晩中続けたわ。
心・体・結婚:「心はクウォン・インホの所に行っていて、体はチョウォンとともに
あるのに彼女はヨ氏と結婚するのか?」(チョ夫人)
ミスク:社会通念が許すのであれば、それが一番理想的な生活じゃない?(笑)
ヨンジュン:僕の考えでは、結婚したら一人の女性を愛さなければいけないけれど、
結婚前だったらたくさんの女性とつきあってもいいんじゃないかと思いますよ。
嫉妬:「姉(妹)は、二つの心しか持っていない人に見えます。一つは所有する心と、
もう一つは所有することが出来ないものは破壊してしまうという心」(チョ夫人)
ミスク:男を独り占めしたいと思う気持ちはすべての女性に共通するものよ。だけど、
私だったら彼を自分のものに出来ないからといって破滅させるよりも、あきらめる方を
選ぶ。女優としての私には、不倫なんてものともせず、男とみれば誘惑する女という
イメージがあるじゃない(笑)? 実際には、「彼は私を女として見てくれるかしら」
とちらっと思うくらい。多分私はドラマで演技をすることで、そういったストレスを
発散しているのね。
ヨンジュン:男でも女でも同じですよ。嫉妬心が刺激されると人はもっと積極的になり
ます。僕は今現在自分の中に無い感情を表現することは出来ないと思う。チョウォン
の不誠実なキャラクターも同じじゃないですか?
征服:「それは処女膜を破った痕跡よりもすばらしいな証拠ではありませんか?」
(チョ夫人) 「男に執着したその瞬間が女にとっての破滅だ」(チョウォン)
ミスク:男は”放牧”されなければならない。「あなたは私からしかそれを手に入れる
ことは出来ない」私は、女がそんなことを男に言うのは理屈に合わないと思う。男は自
分だけを見つめて欲しいと女に求めるけれど、女が彼に執着しはじめたら男の心は離れて
行く。男女の愛は今も昔も同じよ。発見、容認、作業、陰謀、女が傷つく、もう一人は
楽しむ、そして男は演技する。
ヨンジュン:本当の征服とは心を奪うことです。僕は征服なんてしたくないな。征服
されたいんです。僕がゴルフが好きな理由は、どんなにプレイしてもぜったいに制覇
することが出来ないからです。もし制覇して自分のものになってしまったら魅力がなくなる
でしょ。男と女の関係も同じですよ。
通じる:「本当に通じたのか?通じた後にあいつはおまえを捨てたのか?」(叔夫人
の義兄)
ヨンジュン:チョ夫人はチョウォンが叔夫人と体よりも心で”通じた”からチョウォ
ンに裏切られたと感じたんですよね? 今の世代にとってはそう解釈する方が容易だと思
います。僕の場合も(恋人の)体より心を(他の相手に)奪われる方が嫌ですから。
ミスク:私には叔夫人のような淑やかさがあるのか、それともチョ夫人のような面が
あるのかと自分自身を投影してみました。私たちは数々の善と悪について話しましたが、
結局答えを出すことが出来ないのが「性(セックス)」なんだということが、この映画の
メッセージなのではないでしょうか。
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