岡田達也さんのこと

「極私的東京」も佳境に入ってきました。書けば書くほどボロが出て無知を
さらけ出すような気がして複雑な心境です。特に私はエッチ系の話題には
とんと疎いので(中学生以下かも)、どうか笑い流してやって下さい。

さて、今回の上京の目的は岡田達也さんのお芝居を見ることでした。毎年
彼の舞台で、私の一年の観劇は幕を閉じます。今年も「裏切り御免!」が
最後になりました。神戸で見てからかなり日が経っているので、芝居が
どんな風に練れているかが、とても楽しみでした。初めてキャラメルボックス
の芝居を見る方を連れて行ったので、自分も新鮮な気分で見ることが出来
たのが、意外な収穫でもありました。

私がキャラメルボックスを知ったのはまだ三年ほど前のことで、舞台好きの
私としてはずいぶん遅い出会いでした。いわゆる小劇団系のお芝居という
ものに触れる機会が、あまりなかったのです。「ウーマン・イン・ブラック」と
いう芝居で偶然上川隆也さんを知り、キャラメルボックスに出会い、上川さ
んを一目見ようと出かけた劇団のイベントで、岡田さんに出会いました。彼
はそのイベントでは音響のスタッフとして動いており、私は音響ブースから
流れてくる「今晩は、岡田達也です」というたった一声で、一気に岡田ファン
に転んだのです。もう、神の啓示としか言いようがありません(笑)。あの日
から今日まで、多少の紆余曲折はあったものの、私の中で岡田達也さんの
占める割合は、どんどん大きくなってきています。

彼は、いわゆる二枚目俳優ではありません。かと言って個性の強い演技派
というのとも違います。岡田達也という人を解説するのはとても難しい。TV
や映画に出るわけでもなく、客演を多くこなすわけでもなく、しかし「演劇ぶっ
く」の年間ベストテンでは必ず上位に食い込み、地味だが確実に観客を動員
しているキャラメルボックスの、屋台骨を支えている役者さんなのです。ただ、
こんなことを書いていても、実は空しい。彼の魅力は実際そんなところにはな
く、一人の人間として魅力的ということに尽きるからです。価値観、生き方、
人との接し方。そんな、おおよそ芝居とは別のところで彼は素敵。だからもっ
と芝居も見てみたくなる...そういう人です。
以前にも書きましたが、指の美しさは際立っています。鍛えた細い足首も綺
麗です。袴がとても似合う人です。話し上手、聞き上手。料理上手(笑)。自
分のことを好きで、自分はとても幸せな人間だと言って憚らない。もしかした
ら、私はそこが一番好きかもしれない。前向きで、「どうせ○○だから...」
なんて、死んでも言わない。そういう人となら、この暗澹たる時代を一緒に渡
っていけそうな、そんな気がするのです。