Rainy Heart
デジタルの紅い数字が 終りの瞬間を運ぶ
街に溢れる光の洪水も
カラフルな傘の花の群れも
全てが遠ざかって
永遠に続きそうな沈黙が 耳に刺さる
身を斬るような寒さの中
じっと握り締めたモスグリーンの受話器に
汗が べっとりと不快な感触を返す
「アタラシイカードヲ イレテクダサイ」
耳障りな機械の声と共に 残り一枚のテレホンカードが吐き出される
ガラスの雨粒が 自分の重さに耐え切れずに滑り落ちてゆく
ちょうど 今の私達みたいに
最後まであなたは「さよなら」を告げなかった
叫ぶような「あの…」という言葉が聞こえたような気がした
そして 後に残ったのは
低い唸り声にも似た通話中の音だけ
コートの前を掻き合わせて外に出た
すれ違いざま 列の先頭にいた女子高生が睨み付けてきた
様々な人の祈りを受けて 雨はやがて雪に変わり 街を白に染めるだろう
だけど私の心に降る雨は 涙をはらみながら孤独の器を満たすだけ
Go Back To Home