for once


彼女がいるなんてわかっている
許されることじゃないことだって
でも どうしてもできなかった
このままあの人の背中を見送ることなんて

ただ一度だけ
たった一日だけでいい
あなたの隣にいさせてください

とても優しいあの人は
怒りもせず笑いもせず
ただ困ったような瞳をじっとこちらに向け
かすかに 小さく頷いた

本当の恋人のように接してくれた
ありふれたデートだけど
私にとって夢のような時間
ううん 多分これは夢そのもの

あの人がくれた微笑みは
彼女に向けるそれと変わらないようで
でも 何分の一の重みしかなくて
そんな今に満足している自分が哀しくて

知らず流れたものをそっと拾ってくれた指に
ただ一度だけの恋人の欠片が揺れた
困ったような暖かい瞳と
「ごめんね」の言葉が滲んで揺れた


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