「……あら、何これ?」
 だるいだけの仕事からようやく解放されて我が家に帰ってきた私を出迎えたのは、郵便受けにすっぽり収まっている、小包ほどの大きさの封筒だった。
 差出人の名前はなし。どうも本のような感じがするけど、誰からだろう……。恐る恐る包装を開くと、中から真っ白なカバーの一冊の本が現れた。

*

「……へぇ、結構面白いじゃない。でも、オチがどれもいまいちよねー」
 ベッドの上で寝転がりながら、例の本を読んだ、それが率直な感想だった。メーリングリストのメンバー、それも普段から既成のホラーに飽き飽きしている人達が、出会ったことのないような恐怖に苛まれて壊れていく様は、なかなか笑わせてくれる。が、肝心のラストの切れが悪い。みんな行方不明になったり、恐怖に負けて自殺したりと、あまりにもありがちかつマンネリなのだ。人物描写なんかはかなり生き生きとして凄いのに、勿体無い。
「あれ、今度は私? なんかワクワクするわねー。タイトルは……『合わせ鏡』か」
 一体どんな話なのだろうか。期待に胸膨らませて、私はページをめくった……。

――了――

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