〜It's my fragment of The heart〜
花山ゆきの
| 梅雨は嫌いです 水分を含んだ着物がいつもより重く感じられる 着物を着る者にとって雨の日というのは実に恨めしい それが何日も続くのだからたまったものではない その日は、琴の稽古を終え家路についていた・・・ 雨が上がったばかりのむせるような初夏のある日のことだった 近道をしようとホテル街を横切った時、そこで徳仁さんを見かけた こんな偶然て有るものだなと声をかけようとしたとき 徳仁さんの横の女性に気が付いた その女性は徳仁さんの腕に絡みついて楽しそうな顔をしていた 徳仁さんは私に気が付かないままホテルの中に消えていった・・・ 私は何が起きたのかわからなかった・・・何故? こんなに愛しているのに・・・ あんなに愛してるって言ってくれたのに 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛してるのに・・・愛してるのに・・・愛してるのに・・・ 愛している・・・・? 本当に? それからどれほど時間がたったのかわからなかった 気が付いたのは徳仁さんがホテルから出てくるのを見つけたからだ 雨が降っていた・・・ 体が冷えきっている 関節がぎしぎしと音を立てた・・・ ホテルから出た徳仁さんは私に気が付いておどおどしていた 何故だろう? あんなに愛してると言った私が怖いのだろうか? そんなはずがない! ふと目をやると隣の女も怯えていた 無意識に体が動く・・ ・・・? 何が起きたのかわからない 視界の全てが真っ赤だった 綺麗な赤だった・・ その真ん中にたたずんでいた・・・ 何かが弾けたかの様に感じた・・・ 何だろう? ここは何処だろう? 広い野原で屍に囲まれて私がたたずんでいる 刀を片手に・・・これが私の生きる道? 再び目を開けるとそこは布団の中で 泣きはらした目のお父様が目の前にいた。 しきりに心配ないからなと連呼している・・ ・・・夢では・・ないのね・・・ その日から私は剣の修行を始めた。 自分の弱さに勝つため。 いや、強さで弱さを隠すために いつまで続くのだろうか? 偽りの日々が・・・ |