enishi


    デストロン首領を倒し、日本に平和が戻ってきた。
   自分の名前を呼ぶ声が遠くに聞こえたが、そちらには行かなかった。
    そのまま日本を出て、本郷さん達と合流した。
   とにかく何も考えたくなかった。闘いしか自分には残っていなかった。


    「・・・油断したな。」
   大した敵ではなかったのだが、自爆技に巻き込まれてしまった。
   体が動かない。もう駄目かもしれない。遅かれ早かれこうなるとは思っていたが。
    あの世とやらがあったとしても、父母や雪子と同じ場所には行けない気がする。
   結城になら会えるだろうか。
   思えばほんの数ヶ月の付き合いの間に、何度も裏切られたり、殺されかけたり
   助けられたり忙しい奴だったが。

   「風見、かざみ!」
   目を開けると結城がいた。

   「なんだ。迎えにきてくれたのか。」
   「え?そう探したんだからな。会長達にも何にも言わずに行ってしまうし。」
   「それくらい、解るのかと思ってたが。」
   「無理言わないでくれよ、僕には本郷さん達みたいなテレパシー能力は無いんだから。」

   「とにかくあまりしゃべるな、志郎。傷にさわる。」

    本郷さんと一文字さんも一緒?
   「・・・もしかしてお前生きてるのか、結城?」
   「当たり前だろう、今ここにいるんだから。意識が混濁してるみたいですね。」
   「ああ、早く運ぼう。」
   「・・・・・」





    色々説明されて事情は解ったが、結城が生きていたのも知らず、
   「ライダー4号の名を贈るぞ!」なんて言っていた時の自分の姿を思い出すと相当情けない。
   今回のことで一文字さんにはからかわれるし。
   (本郷さんと結城はわかってないのが、不幸中の幸いだが。)
   本当にこいつと付き合っていると、これからも碌な目に遭わない気がする。

    そう思いつつ、先の事というものを考え始めた自分に気づいて苦笑した。