2.アンクル・トムズ と サウス・リム と クリアー・レイク・トレイル
Uncle Tom's Trail, South Rim Trail & Clear Lake Trail



イエローストーン国立公園には、キャニオン地域と言われる大きな滝で有名な峡谷がある。イエローストーンと言われるのはこの峡谷の岩の色から取られたそうで、その存在感の有る所を知ろうと訪れた。
ここにも立派なビジターセンターがあり、宿泊施設も充実している。
谷を挟んで道が色々と曲がりながらあるせいか方向感覚が定まらずで、最初の内は道を何度か間違えた。
峡谷には北(North Rim)と南(South Rim)の展望地が幾つか有り車で回ることができる。.

峡谷の周囲には色々なトレイルがあるが、南側にある3つのトレイル(アンクル・トムズ、サウス・リム、クリアー・レイク)をつないでを歩いたので紹介します。
また峡谷の北側にあるショート・トレイルや展望地も訪れたので触れてみます。
 
 歩いた日;2012年7月21日
 コース;
Uncle Tom's Pointー(往復40min)South Rim Trail分岐ー(40min)Artist Point(5min休み)ー(30min)Lily Pad Lake(5min休み)ー(15min)Clear Lakeー(30min)Uncle Tom's Point
合計時間:2h35min、総合計時間:2h45min
最高標高:約2420m、標高差合計:約250m
アンクル・トムズ・トレイル(Uncle Tom's Trail)から見るロウアー滝(Lower Falls)
滝の上の反対側に見える展望台はブリンク・オブ・ロウア―・フォールズ・トレイル(Brink of Lower Falls Trail)の展望台



朝早く宿を出て、キャニオン地域に向かって車を走らせ、南口(サウス・エントランス)からイエローストーン国立公園に入り、暫く進むと、道路脇の林が少し切れた所にエルクの群れが草を食んでいるのに出会った。オスの角はやはり立派だ。
 
 エルクの親子 オスのエルク

車はウェスト・サム・ジャンクション(West Thumb Junction)を右に折れ、レイクを過ぎて両側が深い林の中を進んでいると、左手の道路脇に何か黒いものが一瞬動くのが見えた。熊では?と車を止め、後ろから車が来ないのを確認してバックする。見ると路肩のすぐ横の木の根っこをブラックベアーが次々と掘っては鼻を突っ込んでいる。何も見つからなかったのか、その内深い林に入って行ってしまったが、初めてブラックベアーを間近に見た。 
 ブラック・ベアー


 キャニオン地区に入り、展望地を車で回った後、ハイキングのトレイルに入るべくアンクル・トムズ・ポイントの駐車場に着いた。先ずはアッパー・フォール展望台(Upper Falls Viewpoint)が近くにあるので行ってみる。あまり高くはないが水量が多く大きな音を立てている滝を正面に見る。なかなかの迫力。
暫く眺めてかアンクル・トムズ・トレイルに入ろうと観光客が沢山歩いていう道を戻ると、目の前でレンジャーが手を広げて「離れろ―」と大声で叫んでいる。何事かと周りを見ると、いつ現れたのかバッファローが直ぐ近くにいる。一斉に皆が急いで離れた。
 所が、アジア系の若い男がカメラをかまえながらバッファローに近づいて行った。「お前は英語が分からんのか」とレンジャーがものすごい形相で怒った。暫く説教していたが若い男に通じたのかどうか。喋り方からみて日本人ではなかったと思うのだが。
ビューポイントから見るアッパーフォールズ  アンクル・トムズ・ポイントの歩道に突然現れたバッファロー、皆その場を離れた


 アンクル・トムズ・トレイルに入って少しの間はなだらかな下りだが、直ぐに鉄の急な階段になる。下りは楽だが帰りの登りは大変な感じ。階段は320段ほど有るらしい。
下るにつれて、滝の落下が見え出し次に滝つぼも見えるようになる。飛散する水しぶきに太陽の光が当り大きな虹が出ている。太陽がどの時間帯なら滝つぼに光が当たるのか知らないが、この時は午後の2時少し前でした。  
 
 アンクル・トムズ・トレイルの鉄の階段  ロウア―・フォールズに架かる虹 


更に下ると滝が岩の陰に隠れ、滝つぼしか見えなくなったが、虹が一層輝きだして美しい。虹を眼下に眺めながら下る。
行き止まりにある展望台は滝つぼからまだ大分上だが、滝の全体を見上げられる位置にあり、なかなかの迫力。一番よく見える所が限られているので代わる代わる場所を交代してベストの所で写真を撮る。周囲を良く見ると、目の前の岩に雪がまだ残っている。平原の中の峡谷だが標高は2千3・4百メートルもあるので冬には結構雪が積もるようだ。

対岸の滝の落ち口にあるブリンク・オブ・ロウア―・フォールズ(Brink of Lower Falls)の展望台に沢山の人が乗っている。午前中に歩いて行った所だが、せり出した岩の上の展望台は、ここから見ると、岩もろ共いつ落ちてもおかしくないように思える。

滝を堪能して帰りは階段の登り。振り返っては滝を見ながらゆっくり登る。途中にベンチが置かれているが階段の標高差は150m程なので休まず登り切った。
 
 トレイルの最下段に近づいてみる虹  トレイルの最下段から見上げる。滝口の対岸は
ブリンク・オブ・ロウア―・フォールズの展望台


   鉄の階段が終わって更に少し登って左のサウス・リム・トレイル(South Rim trail)に入る。渓谷の南側の崖沿いに作られたトレイルで最初は暫く登る。登り切った所で展望が開け、先ほどまで見上げていた滝を今度は上から見下ろすようになる。
ここから先のトレイルはほぼフラット。滝を背にしながら林の中に入ったり絶壁の上に出たりを繰り返しながら進み次第に滝が遠ざかる。
 サウス・リム・トレイルに入って見下ろすロウア―・フォール サウス・リム・トレイルを東に暫く歩いて見下ろす


 対岸の崖の上に展望台が見える。地図で見ると午前中に行ったノース・リムのルックアウト・ポイント(Lookout Point)のようだ。人が沢山見える。
 
ノース・リムのルックアウト・ポイントが峡谷を挟んで正面に見える  ルックアウトポイントが正面に見えた場所から滝を見下ろす



 多少のアップダウンがあるものの快調に歩いて、滝が後方に大分遠くなった。

更に進むと峡谷に張り出すような広場に出た。アーティスト・ポイント(Artist Point)の展望台で、滝が川の流れと共に峡谷の正面に見え、下流方向に流れる川も見通せる絶好の展望地。ここは車で来ることができるので沢山の観光客だ。

ここから先は、峡谷を離れてリリー・パッド・レイク(Lily Pad Lake)を経由してクリアー・レイク(Clear Lake)を巡るトレイルに入る。
アーティスト・ポイントからロウア―・フォールズを見る
左の崖の上の林を出たり入ったりして歩いてきた 
アーティスト・ポイントから峡谷の下流を見る
(滝とは反対方向)


 林の中の緩い登りを進む。今までの荒々しい渓谷の景色とはがらりと変わり静かな雰囲気の歩きになる。森林浴を楽しみながら進むと水草が美しいリリー・レイクに出た。静寂そのもの。ここには分岐があって東に進むとリボン・レイク・トレイル(Ribbon Lake Trail)になるが、西に向かうクリアー・レイク・トレイル(Clear Lake Trail)を進む。

何か景色が変わり、木も草も無く何か少し荒涼としてきたかな、と思って周りを見てみると、直ぐ近くに僅かに煙か蒸気のようなものが上がっている。足が温かく感じる。ニュージーランド北島のトンガリロを歩いた時に経験したのと同じで地熱だ。進むと所々に「危険・近づくな」という表示が立っている。ブツブツと音を立てながら突沸を繰り返している所や赤黒く焼けた木の根っこが転がっていて、ちょっとした地獄めぐりをしているような気分になる。
 リリー・パッド・レイク 地熱地帯を歩く


 地熱地帯を過ぎると間もなく一転して林に囲まれた静かな佇まいのクリアー・レイクの東端に着く。先ほど通過したリリー・パッド・レイクとは違って水草が全くない正にクリアーな湖だ。
少し離れた岸辺にバッファローが水を飲んでいる。トレイルの周りを良く見ると牛糞のような塊があちこちに落ちている。この辺りにバッファローが良く出没するようだ。歩いている湖岸に居なくて良かった。
緑がかった湖面と緑の樹林を眺めながら南側の湖畔の砂地を進む。
 クリアー・レイクの対岸にバッファロー クリアー・レイクの対岸とバッファロー


 クリアー・レイクを過ぎて少し登ると、林が所々切れて高山植物の花が咲く草原が現れた。進むに従い多種多様な草花が一面に広がり歩くのが楽しくなる。
更に進むと木々が無くなり完全な草原に出た。広くて気持ちがいい。ここは牧草地だろうか。国立公園で今まで民家を全く見てこなかったので多分自然にできた草原だと思うのだが。
鼻歌を歌いながらの草原歩きを楽しんで進むと、何時の間にか出発点のアンクル・トムズ・ポイントの駐車場に着いた。

キャニオン地域の歩きは幾つかあるが、このコースはさほどの距離を歩いた訳でもないのに、変化があって面白く十分楽しむことができた。
 多種多様な沢山の花
   
 そして大草原に出る。
遠くの草原と手前の林の間は峡谷のはずだが、そのようには見えない
気持ちがいい! 
 





ブリンク・オブ・ロウア―・フォールズ・トレイル
(Brink of Lower falls Trail)
 歩いた日;2012年7月21日
 コース; 往復30分強、標高2350m 標高差約150m


 一方通行のノース・リム・ドライブ(North Rim Drive)の道路に入って直ぐブリンク・オブ・ファールズ・トレイルの駐車場がある。ここから崖沿いに下を覗くと上流方向にやや遠いがアッパー・フォールズを見ることができ、真下にはロウア―・フォールズと滝口横の展望台が見える。この展望台はブリンク・オブ・フォールズ・トレイルの到着点で、このトレイルを下りてみた。
 
 
 ブリンク・オブ・ロウア―・フォールズから見るアッパー・フォールズ  ブリンク・オブ・ロウア―・フォールズから見下ろすロウア―・フォールズ



 大勢の人が登り下りしていて広い道だし急坂ではないので危険な所は無いが、繰り返すジグザグの道のため登りでは辛そうな人を何人も見ながら下る。15分もかからずに下りきる。
展望台は滝口の直ぐ横にあり、ゴウゴウと音を立てて流れ落ちる大量の水をじっと見ていると吸い込まれそうな不安な気持ちになる。滝つぼは立ち上がる水しぶきもあってか良く見えないので高度差をあまり感じないのが残念。
 立ち上がる水しぶきの向こうには深く切れ込まれたV字の深い崖と激流を見通せる。

帰りは登り、グランド・キャニオンもそうだったが、行が下りで帰りが登りというのはどうも勝手が違って歩きにくい。
 
 ここまで下りられる(滝口の直ぐ横にある展望台) 展望台から下流を見る
右の崖上にサウス・リム・トレイルがある
一番奥がアーティスト・ポイント
 




他の展望台(View Point)  車を降りて直ぐの所に色々と展望台がある。ルックアウト・ポイント、インスピレーション・ポイント、それにブリンク・オブ・アッパー・フォールズを訪れたので載せてみます


 一歩通行のノース・リム・ドライブを更に進むとルックアウト・ポイント(Lokout Point)の駐車場があり、そこから少し歩くと展望台に出る。ここから更にレッド・ロック・ポイント(Red Rock Point)と言う展望台に歩いて下りられるが、また帰りに登るのもしんどいので止めにした。ルックアウト・ポイントの展望台からはロウア―・フォールズの全景が見える。

ルックアウト・ポイントの歩道から何人かが双眼鏡で下の岩の方を見ている。良く見ると肉眼でも岩のてっぺんに鳥のようなものが見える。双眼鏡で見ていた青年に「あれはイーグルか?」と聞くと「いやあれはアスプレーだ」という答え。「見てみるか」と言って双眼鏡を貸してくれた。巣があり頭が白い。あれは白頭ワシではないのか、と思いながらお礼を言って双眼鏡を返した。アスプレーが何の鳥か分からないので手帳にカタカナで「アスプレー」と書いておいた。帰って辞書で調べたが分からない。
すっかり忘れていたが、テレビを見ていて沖縄配備で問題になっている「オスプレー」という言葉で、もしや、と思い調べると「Osprey:(鳥)ミサゴ」とある。発音記号を見ると「オ」よりも「ア」に近い。俺の耳もそんなに悪くないじゃないかと1人喜んだ。
 ルックアウト・ポイントから見るロウア―・フォールズ 崖の上のミサゴ(オスプレイ)



 一方通行のノース・リム・ドライブを更に進むと北に方向が変わる。暫く行くと右に入る道がありインスピレーション・ポイント(Inspiration Point)の展望台の駐車場に行くことができる。この展望台からはロウア―・フォールズは遥か彼方に小さく見えるだけだが、深い渓谷と激流の川が良く見える。ここは車で来られる峡谷の一番離れた展望台で、これから先はカスケード・オーバールック・トレイルCascade Overlook Trail)を歩けば先に行ける。
 
 ビジター・センターを経由してメイン道路に戻り、ブリンク・オブ・アッパー・フォールズ(Brink of Upper Fallz)の駐車場に行き、少し歩いて滝口の直ぐ近くの展望台に行った。アッパー・フォールズはロウアー・フォールズに比べると落差は半分ほどだが流量は同じなので近くで見るとやはり迫力がある。
 インスピレーション・ポイントから見る渓谷
一番遠くの正面の崖の白い一筋がロウアー・フォールズ
 ブリンク・オブ・アッパー・フォールズの展望台から見るアッパー・フォールズ