@ラスベガス近郊・ショートハイキング
 (Short hiking at Outskirts of Las Vegas)
ラスベガスはグランド・キャニオンへ入る中継地だが、ここでショーを見ようということで、有名なシルク・ドゥ・ソレイユの’O(オー)’とロングランの’ジュビリー’を見ることにした。
昼の2日間が空くが、ショッピングや食べ歩きで丸々時間を潰す気にもならないし、カジノで頑張る資金力もないので、ラスベガス近郊でハイキングができる所はないかと調べると、車でそう遠くない所に2か所あることが分かった。一つは159号線の「レッド・ロック・キャニオン国立保護区」、もう一つは169号線の「バレー・オブ・ファイヤー州立公園」という所です。他にもう一つ、フーバーダムで作られたアメリカで一番大きい人造湖がある「ミード湖国立保養地」という公園がありますが、ここは主にフィッシングやヨットやボートを楽しむ所のようです。
「レッド・ロック・キャニオン」も「バレー・オブ・ファイヤー」も砂漠の中、しかも名前からして如何にも暑そう。地図を見ると両方ともハイキングのトレイルが色々と書いてあるが、できるだけアップダウンが少なくて短いルートを選び2日に分けて其々朝早く出かけることにした。
なお、キャニオンとかバレーとか名がついておりますが、この2つの公園は広い盆地か平地の中に山があるといいた感じで、渓谷や谷と考えるイメージとは大分違った景色です。何々バレーという地名があちこちにありましたが日本で言う平地と考えて間違いないと思いました。

話は飛びます。
せっかく見るショーなので、お金を奮発して一番良い席を前もって購入し、夜、楽しくショーを見始めたのですが、そのうち2人ともコックリコックリ、昼のハイキングの疲れと時差が一気に襲ってきて、2夜ともショーの半分程は夢うつつ。何事にも感激の薄れてきた老夫婦には、何とももったいないショーでありました。

ラスベガス近郊地図 

泊まったホテル




 レッド・ロック・キャニオン国立保護区
(Red Rock Canyon National Conservation Area)

モエンコピ・ヒル(Moenkopi Hill)

 日本から夕方ラスベガスに着きその翌日の朝、ホテル内をストックとザックを持って歩くのは、いささか違和感を感じながら駐車場に向かう。
なかなかナビのセットができず時間を浪費した後ようやく出発。ラスベガス市街中心から北上し159号線に乗って西に向かうと出発してから約40分、何やら赤い岩が右手に見え出すとレッド・ロック・キャニオン国立保護区の入口に着く。
入場料は車1台7$だが、これから巡る国立公園の費用を考えて、アメリカ・ザ・ビユーティフル(America the Beautiful)という国の公園の年間パス(80$)を購入し、ハイキングガイドが書かれたパンフレットを受け取り入場した。
沢山のハイキングコースがあるが、最も簡単と思われるモエンコピ・ヒル・ハイキングのループ・コースを歩くことにした。


 歩いた日;2012年7月07日
 コース; Red Rock Visitor Centerー(35min)Calico分岐ー(15min)Moenkopi Hill(5min休み)ー(25min)Red Rock Visitor Center
合計時間:1h15min (総合計時間:1h20min)  標高差:90m 最高標高:,1,200m 

 レッド・ロック・キャニオンのビジターセンター


ゲートを過ぎるとすぐにビジターセンターの駐車場に着く。立派なビジターセンターで、地質や動植物の展示がある。
ビジターセンターから見える景色は小さな灌木と枯れたような草がまばらに生えた荒寥とした砂漠で、その周りには全く木が生えていない赤色や灰色や黄色がかった岩山が囲み、ビジターセンター以外に建物は全く見えない。
こんな所に訪れる客はあるのかと思うが、車で一周できる観光道路があるせいか、ビジターセンターには結構な人で、係員が2人で旅行者の質問に忙しそうに応対している。




 
 歩道完成の念石があり、
この奥にトレイル入口の標識が見える


ビジターセンターの横にモエンコピ・ヒル(Moenkopi Hill)のハイキングの入口があるはずだが探しても分からないので、ビジターセンターに戻り係員に聞く。一番上の駐車場の西側にあるとのことで、行ってみるとすぐ分かった。車に戻り登山靴を履く。
トレイル入口の手前にきれいな歩道があり、そこに歩道完成の記念石があった。何やら書いてあるので読んでみると、
What lies behind us and what lies ahead of us are tiny matters compared to what lives within us;
Henry David Thoreau
日本によくある記念碑とは書いてあることが違うなー、とちょっと感心。

この記念石の前の歩道を進むとトレイル入口の標識の前に出て出発。ザックにはラスベガスのホテルの店で買ったElectrolyte(電解質)の粉末を入れた水を3リットルほど入れてある。

 
 カリコ(Celico)分岐付近から振り返る、山の下にビジターセンターが遠く見える


朝の九時半だが直射日光がまともに当たり暑い。このトレイルを歩いている人は誰もいない。砂利とも土とも違う感触の荒れた地面を進む。ほとんど登りが無いので助かるが歩みは亀のよう。カリコ(Calico)分岐で水を飲み振り返るとビジターセンターが遠く離れて見える。
ここから西向きに歩き、ゆるい登りになる。




 僅か90m程の標高差だが汗ぐっしょりでモエンコピ・ヒル(Moenkopi Hill 1,200m)のピークに立った。ピークにはカリコ・ヒル(Calico Hill 1,490m)に向かって説明板が立っていて、赤い岩は含まれた鉄分が酸化した砂岩、その上の白ぽい岩はサンゴ礁などの石灰岩とのこと。何億年前に海底から隆起してできたと書かれていた。反対側の西の方向には地層がはっきりと分かるスプリング山(Spring Mountin 2130m)の山並みがよく見える。
 赤い砂岩の上に白い石灰岩のカリコ・ピーク  はっきりとした地層が見えるスプリング山
 モエンコピ・ヒルからはビジター・センターが見下ろせる。ビジター・センターの右奥に見える建物は料金を払って入った公園入門ゲート。この建物以外に何か見えるか探したが見えるのは観光道路の一部だけ、それ以外360度全く人工物は見えなかった。
 
 (左)モエンコピ・ヒルから見るビジター・センター、右奥の建物は公園入口ゲート(拡大)


 
 15cm程のトカゲ


水をしっかりと飲んで出発。ゆるい下りをゆっくりと進む・途中岩陰からトカゲが出てきて愛嬌をふりまいてくれた。ゆるい下りは自然に足早になってビジター・センターの駐車場に無事戻った。トイレの水洗で身体を拭きシャツを着替えてやっとホットした。



レッド・ロック・キャニオンの観光道路(Scenic Drive)

 歩き終わってから観光道路をドライブした。一方通行で舗装された綺麗な道をループ状に回れるようになっている。一番最初がカリコ駐車場。下車して谷に下りる道があり、沢山の人、人気のポイントのようだ。ここにもハイキングコースがあり谷筋を歩く人やカリコ・ヒルのピークに登る人もいる。歩く人など誰もいないのかと思ったが、酷暑の中を子供連れも歩いていて、そのバイタリティーに驚く。ビューポイントで下車しながらゆっくり観光道路を一周しても約1時間といった所だろうか。
 (上)カリコ駐車場から少し歩いてカリコ・ヒルに近づく  (上)カリコ・ヒルのピークに立つ人
(下)観光道路(Exploring Nevada Comより借用) 
 (左)観光道路よりみるスプリング山







 バレー・オブ・ファイヤー州立公園
(Valley of Fire State Park)
ホワイト・ドーム・ハイキング(White Domes Hiking)


 ラスベガスから「バレー・オブ・ファイヤー」まではハイウェー15号経由で約90km、ルート167号経由で約100kmの距離にある。「レッド・ロック・キャニオンに比べて少し遠い為か、訪れる人は遥かに少ない感じがするが、ここにも立派なビジターセンターがあり、奇岩の連続で結構面白い公園でした。
 
この公園は州立公園なので、年間パスは使えず入園ゲートで車一台10$を支払う。167号線を通る場合はミード湖国立保養地を通るので10$の入園費がかかる(国立公園年間パスを持っていればフリー)。
ハイキングは、観光道路の一番奥にあるホワイト・ドーム・ハイキング(ワンマイル・トレイル)という所で、短いが変化がありそうなので、ここを歩くことにした。


 歩いた日;2012年7月08日
 コース; White Domes Parking ー(Rouund)White Domes Parking
合計時間:45min 標高差:アップダウン有  標高:,約600m 

 ホワイト・ドームスのハイキング出入り口(車がある所から先に歩き出す)


ラスベガスからハイウェイ15号を経由して169号線に入り西側の公園入口まで約1時間少々、この辺りから赤や白やグレーなどの色の奇妙な岩が次々と現れる。更に進むと左側に観光道路の入口があり、その横にビジター・センターがある。立派なビジターセンターで展示物を先ず見た。
観光道路に入り何か所かあるビューポイントで車を降りて景色を眺めながら進む。観光道路のドン詰まり、ニョキニョキと白い岩が正面に現れた所が目的地・ホワイト・ドーム(White Domes)、白くて先端が丸いので正に読んで字のごとしの地名。
トレイルの説明が書かれた大きな表示がある前に車を止める。







 
 スタートして暫く下る


ズック靴でも歩けるかな、と少しトレイルに入って確かめると、ここは砂地。傾斜も結構あるので登山靴に履き替える。ゴツゴツと張りぼてのようなコブが幾重にも重なっている上にトレイルが砂地で下りなので踏み跡が判然としておらず注意しながら歩く。


 下りた所は周囲を大きな岩で囲まれたちょっとした広場で、傍らに日干し煉瓦で作られた壊れた壁がある。何故こんな所にと思って周囲を見渡すと、説明書きがあって1966年に作られた西部劇「プロッフェッショナル(The Professionals)」のセットの跡とのこと。昔見た記憶があるが、こんな所まで来て撮影をしていたのかと、俳優さんも大変だったろうな、と感心する。
下りて来た方を振り返ると、ちょうど岩と岩の間のV字の根元を下りて来たことが分かる。
   
 
 下った先の広場、右の壁は映画のセット跡、後ろのV字がスタート地点  映画「プロフェショナル」のワン・シーン


広場からトレイルは右に進む、直ぐに行く手に大きな岩が立ちはだかるが、岩と岩の間に人一人が通れるような隙間があって抜けられる。ちょっと気持ち悪いが面白い。 
 岩の谷のレイル  岩の間の僅かな隙間を進む


 岩の隙間を抜けるとゆるい登りになって開けた感じになる。道の両側に石がを並べてあり砂地のトレイルから外れないようにしてある。短いトレイルだが、一歩外れれば砂漠の中をさまよいかねない所なのでありがたい。
更に進むと、ホワイト・ドームの岩が見え始めた。赤い岩と白い岩が好対照になって聳える。「レッド・ロック・キャニオン」と同じように鉄分が酸化した砂岩とサンゴ礁の石灰岩だろうか。
駐車場に戻りトイレの水洗(綺麗なトイレで、こんな所でも水がちゃんと出る)で身体を拭きシャツを着替えた。この駐車場にはトイレの他にピクニック・ベンチやシェルターがあり、しかも管理も行き届いていた。
 岩の谷を通り過ぎてきた所、両側に石が置かれたトレイル  トレイルの終盤近く、左にホワイト・ドームの岩が見える



バレー・オブ・ファイヤーの観光道路(Scenic Drive)
 道路は片側一車線の綺麗に舗装された道路で、訪れる車も少なく、のんびりとしたドライブができる。今回はビジター・センターから北に入る観光道路のビューポイントでは下車しながら景色をよく眺めたが、東西両エントランス・ゲイト間の169号線沿いにもビューポイント多数あったものの。殆ど下車することなく通り過ぎてしまった。帰ってから調べると169号沿いのビューポイントにも面白い形の岩が沢山あるようです。
観光道路入口(ビジター・センター前)  マウスス・タンク・ビューポイント前
レインボー・ビスタ・ビューポイント  レインボー・ビスタ・ビューポイントの反対側