Bモニュメント・バレー (Monument Valley、ドライブのみ)


グランド・キャニオンを後にしてモニュメント・バレーに向かう。
出発して64号線を西に少し行った所にリトル・コロラド川渓谷(Little Colorado River Goage)という景色に変化のある所があって、ナバホ族の土産露店が道路沿いに何店か並んでいる。その内の一つに立ち寄って、家内がターコイズのネックレスを買いニコニコ顔。ここから先は山も谷もなく何の変化もない平らな砂漠と荒野が延々と続く。走り続けてハイウェ―160号線から163号線に入り、ようやく前方に岩がポツポツと見え出してモニュメント・バレーが近づいたことを知る。

モニュメント・バレーはナバホ族の居留地内にあり、ナバホ族が管理する公園で、国立公園ではない。正式名はモニュメント・バレー・ナバホ族公園(Monument Valley Navajo Tribal Parak)と言う。
公園内外には西部劇の映画で何度も見たビュート(Butte)と呼ばれる岩塔やメサ(Mesa)と呼ばれる頂上が平らなテーブル状の岩が点在している。これらを眺めるには車で未舗装のバレー道路を走るか、バレー・ツアーに申し込んでバレー道路やオフ・ロードをガイド付きで回るのが一般的。
公園入口の料金所で$10($5/1人)を払いパンフレットをもらいジター・センターに着く。
モニュメント・バレーには、ガイド無しでウェスト・ミトン・ビュートの周りを約1.5時間で歩くハイキング・トレイルが1箇所だけある。バレー道路に入る道を少し行ったキャンプ場からトレイルが始まることをビジター・センターで確認したが、歩くのは如何にも暑そうだし、家内が「わざわざ歩かなくても車だけで十分」、と言うので、歩くのを止めにした。

バレー道路は相当な悪路なので4WD車が良いとのことだが、ビジター・センターからバレー・道路を眺めてみると、乗用車も結構走っているように見えたので、ガイド付きの車に乗らなくとも大丈夫だろうとレンタカーで回ることにした。

そんな訳でドライブだけに終わってしまったのだが、眺める景色はなかなかのものだったので、まとめてみました。
 モニュメント・バレーの略図



 (1)バレー・ドライブ2012年7月12日)
 ビジター・センターは高台にあり、周りの展望が開けて見える。バレー・ドライブは先ず北に向かい、次いで右に大きく曲がりながら下る。このあたりは道は広いが強烈なガタガタ道、よりましな場所を探しながら恐る恐る車を進める。暫くは景色などを見ている余裕などは全くない。直線の道になってようやく凸凹も少なくなったがゆっくりと進む。ツアーのバンや4WD車が勢いよく追い抜いて行くので、その度にもうもうと砂塵を巻き起こして行き、車はあっという間に赤い色の砂まみれになってしまった。

地図に書いた@のウェスト・イースト・ミトン・ビュート(West East Mittenn BUtte)の展望地やAのエレファント・ビュート(Elephant Butte)の展望地辺りでは運転に必死で止まる余裕もなく通過し写真はゼロ。帰ってから調べるとこの辺りが「駅馬車」や「黄色いリボン」などの西部劇の場面で良く登場する場所と分かった。

地図のBはスリー・シスターズ(Three Sisters)の展望地、ようやく運転にも少し慣れ、車から降りて眺める。後ろを振り向くと@で見過ごしたウェスト・ミトン・ビューとメリック・ビュート(Merrick Butte)が聳え、その前を走ってきた地道が見える。
地図のBから
スリー・シスターズ
Bから振り返る
 ウェスト・ミトン・ビュート(左)とメリック・ビュート(右)、


 Cの十字路はキャメル・ビュート(Camel Butte)の展望地だが右か左か真っ直ぐかなどと言っている内に止まることなく通過。右に曲がってDのジョン・フォード・ポイントに着く。
高台になっていて、素晴らしい眺め。駐車スペースも広く沢山の観光客が思い思いに散らばり眺めていた。
ジョンフ・ォード・ポイントと言うくらいなので、この場所で沢山の西部劇が撮られたものと思ったが、帰ってからスチール写真等を調べたものの、それらしき場面は見つからずじまいでした。
当て推量ですが、左のジョン・フォード監督の写真が正にこの場所なので、こんな所からその名がついたのではないかな、などと思っています。
 ジョン・フォード監督(絵葉書より)
Dの ジョン・フォード・ポイント から


   戻って右に曲がり、山のような岩のまわりを周る。レイン・ゴッド・メサ(Rain God Mesa)という巨岩だがその東端に来た辺りでやっと変化のある景色となったので下りて眺める。
Eを過ぎて レイン・ゴッド・メサの東端あたり


 更に進むと、右手に何本もの岩の柱が現れる。トーテム・ポール(Totem Pole)という名の岩で、直ぐそれと分かる。
 Fから、トーテム・ポール(右)


 Gはサンド・スプリング(Sand Spring)という所で、地下水を含んだ帯水層があり家畜の貴重な水資源になっているらしいが、何も知らずに通過してしまった。
 Hはアーティスト・ポイント(Artist's Point)と呼ばれる所で、芸術家の創作に最適な場所、ということで名づけられたそうだが、バレー・ドライブの中で最もモニュメント・バレーの特徴を見せてくれた場所ではないかと思う。

下の写真で見えているのは
左から、メリック・ビュート、その右奥がセンチネル・メサ(Sentinel Mesa)、更に右奥はイーグル・ロック(Eagle Rock)、中央尖った岩がビッグ・チーフ(Big Chief, またはBig Indianとも言うそうだ)、右手前はイースト・ミトン・ビュート、その右奥は順番にブリガムズ・トム(Brigham's Tomb)、キング・オン・ヒズ・スローン(King on his Throne)、キャスル・ビュート(Castle Butte)、ザ・ベアー・アンド・ラビット(The Bear and Rabbit)、そして右端はステイジコーチ(Stagecoach) 。
Hの アーティスト・ポイン駐車場
 Hのアーティスト・ポイントから見る

 Iはサム(The Thmb、親指)という岩の展望地でしたが通り過ぎてしまい記憶無しです。

Jはノース・ウィンドウ(North Window)と言われていて窓から眺めた景色に例えられています。今にも岩の間からインディアンや騎兵隊が現れそうな雰囲気でした。


ここから十字路に出て、来た道を戻る。登りの坂道は砂が溜まっていてタイヤがスリップする。スタックしないようアクセルを踏み続けて乗り切った。続いて凸凹道、左右前後に振られながらも走り切り、ようやくビジター・センターに戻った。今まで走った経験の中では、この道は最悪でした。
雨の日がどの程度あるのか知らないが、ぬかるみがあるような日なら普通乗用車ではやめた方が良いと思う。
Jの ノース・ウィンドウ



 (2)グールディング・ロッジ と HW163号線 (2012年7月12日&13日)


 バレー・ドライブの後、ハイウェイ163号を挟んで西側にあるグールディングス・ロッジ(Goulding's Lodge)にチェックインする。
元はナバホ族との交易所で、後に村おこしにモニュメント・バレーを映画のロケ地として誘致し、ここを宿泊所として数々の西部劇映画が撮影されたとのことです。
当時の小さな建屋は博物館になっていて、ジョン・フォード監督の映画等が中心になった展示がなされています。博物館のモニターには「黄色いリボン」のビデオが映されていてバックミュージックのShe Wore a Yellow Ribbonの音楽が聞こえ、西部劇の世界に浸ることができました。
グールディングス・ロッジ 、泊まった部屋は手前の建屋で2階の一番右端でした


 グールディング・ロッジの部屋から見る日の出の景色、
   泊まった部屋の窓やテラスからはモニュメントバレーの景色が見渡せた。夕方から日没を過ぎて黄昏まで、そして翌日は朝早く起きて日の出前からの景色の変化を楽しんだ。
ここは禁酒圏なので、レストランにもロッジ前のコンビニにもノンアルコール・ビールやノンアルコール・ワインしか置いない。このことは日本を出る前から重要な情報として記憶していたので、不謹慎ながら前日に圏外で買っておいた缶ビールを持ち込み氷で冷やし、夕日を眺めながらおいしくいただいた。


家に帰ってからモニュメント・バレーで撮られた西部劇のスチール写真等と見比べながら、自分で撮ってきた景色と重なる所はないかと、色々と探してみたが、殆ど一致する所は無かった。これは順序が逆で、撮影された場所を予め調べておいてから、その場所を撮ってくるという作業でなければならなかった。出発前にはハイキング・トレイルばかりを調べ、映画や景色のことなど全くノーマークで、初めから焦点がずれていた、ということです。
それでも唯一つ「荒野の決闘(My Darling Clementine)」でヘンリー・フォンダ扮するワイアット・アープが保安官事務所前に座るシーンで、その背景がグールディング・ロッジの部屋から見る景色と一致することが分かりました。この映画では、グールディング・ロッジの前方の荒野に大きな撮影セットが作られたことが想像できます。
 「荒野の決闘」のワン・シーン
 
 上のシーンの背景と同じ
グールディング・ロッジの部屋から見る景色


朝、ハイウェイ163号線を北上し次の目的地のアーチーズ国立公園(Arches National Park)に向かう。
車の後方に去って行き次第に遠ざかるモニュメント・バレーの景色もまた素晴らしい。ハイウェイ163号線が真っ直ぐに伸び僅かながらの登りになってその一番高い所のスペースに車を止めて振り返る。ここがモニュメント・バレーが見える最後の景色となった。

昔々見た西部劇の影響で、西部と言えばこんな景色ばかりかと、つい思ってしまうが、広い西部に比べれば、モニュメント・バレーはほんの狭い範囲で、西部の中でも特異な景色、ということを改めて頭に刻むことができました。
ハイウェイ163号線を北上し、モニュメント・バレーを振り返る