1.ショート・ウォーク と ビュー・ポイント
  (Short Walk & View point)



 グランド・ティトンは、急峻な山と平らな大地がはっきり区分けされた地形で、平らな大地には標高2000mの大草原が広がり、山々は標高4000mクラスの秀峰が連なっている。平らな大地からは遮るものが殆どないので、自動車道路のどこからでも山を眺めることができ、所々に小川や川が流れ、湖があり、見える山も変化していくので、飽きることなくその美しさを堪能できる。
3日間の間に、ドライブとハイキングに行く途中にちょっと歩いた所や、訪れたビューポイントをまとめてみます。

地名はグランド・ティトン国立公園のページにある地図を参考にしてください。
ジャクソン・レイク・ロッジの2階フロワーの大窓越しに見るグランド・ティトン連峰
ここもビューポイントの1つです




シュワバッカー・ショート・ウォーク 
(Schwabacher Short Walk)

 歩いた日;2012年7月18日
 コース; Schwabacher Road Parkingから 往復約40
         標高差:無し、標高約2000m

 ルート191号線を空港方面から北に進みムース・ジャンクション(Moose Junction)を直進しグレーシャー・ビュー・ターンアウト(Glacier View Turnout)を過ぎて間もなくシュワバッカー・ロード(Schwabacher Road)の標識があり、ここを左折する。じゃりみちの細い道路で、砂埃を立てながらガタガタとゆっくり進む。行き止まりに小さなスペースがあり、ここが駐車場。映画「シェーン」のロケ場所というので来たが、何の変哲もない所なので、空振りだったかと心配した。。
 所が、車を下りて少し歩いてびっくり。小川が現れ、川に映ったティトン山が素晴らしい。

帰国後に分かったが、小川に出た所が「シェーン」のロケ地で、子供がシェーンを追いかけワンちゃんも後を追って川を渡るというシーンの場所でした。また幌馬車が川向うを走るという場面もあったが、これもこの場所ではないかと思います。
車を降りてちょっと歩いたら、この景色
このポイントが、映画「シェーン」のロケ場所(右の写真)でした
映画「シェーン」の一場面 

 川沿いの草地に上流に向かって踏み跡があるので、これを伝って歩く。川の深みが増してきたのか、ますます川に映る山の姿が鮮やかになり、実際の山よりも映る山の方がはっきり見え出し、針葉樹の濃い緑が映える。この川はスネーク・リバーの一部と思うが、本流はもっとずっと大き川の筈で、恐らく分流して流れているのだと思う。
 踏み跡はもっと先に続いていたが、程々歩いた所で引き返した。ここで出会ったのは数えるほどの人、駐車場に止まっていた車も数台だった。ここは静寂の中の別天地でした。
 
山は左からサウス・ティトン(3814m)、ミドル・ティトン(3902m)、一番高い山はグランド・テートン(4197m)、次いでマウント・オーエン(3940m)、一番右はティーウィノット・マウンテン(3756m)
左下に見えるのが歩いた道(踏み跡)
 





 ビューポイント


トランスフィグレーション礼拝堂
(Chapel of the Transfiguration)
 
礼拝堂への小道 礼拝堂の祭壇
 ルート191号線のムース・ジャンクションからティトン・パーク・ロードに入り、橋を渡って直ぐ右に入る道路がある。これを進むと駐車場。トランスフィグレーション礼拝堂は直ぐそこ。丸太作りの小さな教会の後ろには悠然と聳えるティトン山群が連なる。中に入ると正面の祭壇が窓になっていて、十字架の背後にグランド・ティトン(4197m)が中央に見える配置になっている。
同じような配置は、ニュージーランドの南島・テカポ湖畔の教会(善き羊使いの教会)にもある。ここでは祭壇の十字架の背後の窓越しにマウント・クック山の遠景が見える。写真に撮ろうとしたら、牧師さんからダメ、と叱られたのを思い出した。
この礼拝堂は通常無人のようで、自由に写真が撮れる。

この礼拝堂の直ぐ近くに、メナーズ・フェリーという昔の渡し船がある。朝が早かったせいか、渡し船はオカに上げてあり、店も開いていなかった。



ウィンディー・ポイント・ターンアウト
(Windy Point Turnout)
 
 トランスフィグレーション礼拝堂への道を通り過ぎて暫く行っ所にあるビュー・ポイント。ティトン山の姿は礼拝堂から見るのと殆ど変らないが、山の名前が記された説明版が置かれ、氷河期の氷河の流れの説明もなされていた。それによると
氷河期には一帯の平地は全て氷河で覆われていて、今、針葉樹の育っている所の多くはモレーン(氷河が押し出した土の小山)の跡とのことでした。 
山は、左からサウス・ティトン、ミドル・ティトン、一番高いグランド・ティトン、ちょっと隠れ気味なのはマウント・オーエン、右端はティーウィノット・マウンテン


アンテロープ・フラッツ
(Antelope Flats)
 
ルート191号線のムース・ジャンクションを過ぎると間もなく、右に入るアンテロープ・フラッツ・ロードの入口がある。
アンテロープ・フラッツは映画「シェーン」の多くの場面が撮影された所で、最後の場面でシェーンが去っていく映像もこの辺りと言われている。道は簡易舗装のあまり広くない道路で、時々対向車に出会う。一面の大草原に1つ、2つと小屋が見える。それらしき小屋の1つに向かい、その前に止めて車を降りる。
誰も住んでいない小屋の周りをうろうろしながら草原の先に立ち上がって聳えるティトン山のを眺めていると、なるほど、この辺りは映画「シェーン」の世界にどっぷりと浸かった感じになれる。
 映画「シェーン」の最後の場面を頭に描いて撮ったつもりの写真だったが、家に帰って映画のシーンと比べてみると、庭の柵などは無いし、山の角度が微妙に違う。映画では山がもっと重なって見えるので、ロケ場所はもっと北(右手)に行った所のように思う。
映画「シェーン」の場面(右)を頭に描いて撮ったつもりだったが  映画「シェーン」の一場面


ティトン・ポイント・ターンアウト
(Teton Point Turnout)
 ルート191号線のアンテロープ・フラッツ・ロードの分岐を過ぎて少し行くとティトン・ポイント・ターンアウトの駐車場に出る。このビューポイントからは、一番標高が高いグランド・ティトン山を中心にしてティトン山脈の全てをバランス良く眺めることができる。 また、写真の左端の樹林帯辺りが、このページの一番最初に紹介したシュワバッカーのショート・ウォークを歩いた所になります。
山は中央の一番高い山がグランド・ティトン(4197m)、
グランド・ティトンを中心にして、左に順番にミドル・ティトン(3902m)、サウス・ティトン(3814m)、マウント・ウィスター(3502m)、バック・マウンテン(3639m)、スタティック・ピーク(3445m)、右に順番に重なって見えるマウント・オーエン(3940m)とティーウィノットマウンテン(3756m)、平らなマウント・セント・ジョーン(3484m)、重なって見えるマウント・ウッドリング(3532m)とマウント・モラン(4842m)


スネーク・リバー・オーバールック
(Snake River Overlook)
 
スネーク・リバーが文字通り曲がりくねっている様を見下ろすビューポイントがここです。ティトン・ポイント・ターンアウトを過ぎて暫く走った先にあります。 川とグランド・テートン山が中央に位置し、時にラフティングのボートが川を下るのが見えます。直ぐ真下に曲がって流れる川が流れているのですが、針葉樹に隠れて殆ど見えないのが残念なところです。



バッファローの放牧場  
スネーク・リバー・オーバールックの手前だったか、それを過ぎてからだったか、その場所の記憶が曖昧だが、家畜用の柵が道路沿いに見え、ここでバッファローの群れを見ることができる。この時はバッファローが柵外に出てきて自動車道路まで進出、見学する車と通過する車で一時渋滞になった。このバッファロー、間違いなく野生ではなく牧場で飼われている家畜だと思う。
余談だが、昼にジャクソン・レイク・ロッジのレストランで、メニューリストの中にバッファローのステーキを見つけたので、ミディアム・レアーで頼んだが、これが予想外に味が深くて柔らかく、西部の旅で食べたステーキの中では最高であった。他のレストランのメニューにもバッファローが載っていたので、野生のバッファローとは別に一般に家畜化されているのだと思う。
 



オックスボー・べンド・ターンアウト
(Oxbow Bend Turnout)
 
ルート191号線を北上し、モラン・ジャンクション(Moran Junction)を通過して西方向に向きを変えた所に、オックスボー・ベンド・ターンアウトがある。

ここはスネーク・リバーが枝状に分かれ、流れが極端にゆっくりとなり、山が綺麗に水に映って見える。この場所から見る山の主役は今までと違ってマウント・モラン(3842m)になる。


ウィロー・フラッツ・オーバー・ルック
(Willow Flats Overlook)
 
ティトン・パーク・ロード(Teton Park Road) を左に見て191号線を北上して直ぐの所にウィロー・フラッツ・オーバールックのビューポイントがある。
ここはジャクソン・レイクを間に挟んでティトン山群を見ることができる所で、丁度太陽が昇り出す時に遭遇した。
こんな絶好のシャッター・チャンスの時でも、我々以外にここにいたのは、たった一人だけでした。
朝日の当たるティトン山脈
右から、マウント・モラン(3842m)、マウント・ウッドリング(3532m)、マウント・セント・ジョーン(3484m)、左の高い山はグランド・ティトン(4197m) 




シグナル・マウンテン
(Signal Mountain)
 191号線からティトン・パーク・ロードに入り、ジャクソン・レイクのダムを通過して暫く南下すると、シグナル・マウンテンという山に行く砂利道の細い道路がある。この山の標高は2355mで平地より300m程度高いので景色が良いだろうと行ってみた。
グネグネと曲がる道を登っていくと頂上の駐車場に着く。駐車している車も多く、さぞかし素晴らしい展望が、と期待したが、大きな針葉樹に殆ど囲まれていて、景色はさほどのものでもなかった。残念、と車に戻って少し下ると、トレイルの入口らしき所が見えたので、再び車から降りて少し歩いて見ると、ようやく南方向が大きく開けた。
写真の右端はグランド・ティトンの山、左端に帯状に見える林はスネーク・リバー沿いの針葉樹林。広がる草原は標高2000m以上もある。
 ティトン山脈をもっと見られる所はないのかと探してみたが、山方向は針葉樹が邪魔して綺麗に見えない。諦めて来た道路を下る。大分下った所で僅かの範囲だが樹木が無くティトン山脈を見通せる所がようやくあって、路肩に車を止めて撮ったのが下の写真。
シグナル・マウンテンは、少し標高があるので、他のビューポイントとは違った角度で見られるが、残念ながら落ち着いて景色を眺められる所ではなかった。
 



マウンテン・ビュー・ターンアウト
(Mountain View Turnout)
 
ティトン・パーク・ロードを南下すると、次第にティトン山脈が近くなる。マウンテン・ビュー・ターンアウトの手前辺りで丁度朝日が真後ろから当たり、山が金色に輝き、車の陰が進行方向に長く伸び出したので、停車して景色を眺める。立った姿の陰が長く長く伸びて、その先に光り輝く山の姿を眺め、今まで経験したことのない光の造景に感動した。
もう少し南下してマウンテン・ビュー・ターンアウトに着くと、一層山が近づき、草地も山もまぶしいほどの輝きとなって眺められた。

道路の向きが変わり太陽が真後ろから当らなくなると、いつもの朝日の当る景色に変わってしまった。
 
 
真後ろから朝日が当る
マウンテン・ビュー・ターンアウトに近づいて 
カメラの真後ろから朝日が当る
マウンテン・ビュー・ターンアウトから