J グリムゼル峠〜シーデルホルン
  (Grimselpass〜Sidelhorn)



ベルナーオーバーラントで一番高い山はフィンスターアールホルン(Finsteraarrhorn 4274m)ですが、この山が綺麗に見える所は何処だろうかとWebサイトで調べた時に、シーデルホルン(Sidelhorn 2764m)という山から見た写真が目にとまった。調べてみると登山口はグリンデルワルトの丁度反対側になるグリムゼル峠(Grimselpass 2164m)で、フィンスターアールホルンばかりでなくラウターアールホルン(Lauteraarhorn 4042m)も綺麗に見えることが分かった。比較的短時間で登れ、グリンデルワルトから時間はかかるが日帰りで行けることも分かった。

今回登った時は残雪が多いためトレイルが分かりにくく苦労したが、頂上からは360度の素晴らしい展望だった。登るまで全く予想していなかったフルカ峠や、ローヌ氷河や、氷河特急が走るトンネルの入口が眼下に見えた。
グリムゼル峠へはマイリンゲン経由でバスで入ったが、途中の村や谷やダム湖の景色も楽しめた。
シーデルホルン山頂手前の山腹から
見るトーテー湖(グリムゼル峠)、
中央上部の凹んだ所はフルカ峠
参考地図 1250 Ulrichen ( 1/25000)
 



歩いた日:2010年7月2日
コース:Grimselpass-(10min)登山口-(45min)Husegghutte(10min休み)-(40min)稜線中腹-(45min)Sidelhorn(35min昼食)-   (15min)Triebtenseeliche-(1h20min)Grimselpass
合計時間:3h55min  総合計時間:4h35min  標高差600m  最高標高:2764m
 
グリンデルワルトからグリムゼル峠に行くには、グローセ・シャイデックを通ってマイリンゲンに出るのが短い距離で良いと思ったが、バスの時刻がうまく合わない。遠回りだがインターラーケン経由の方が時間的には早い。

         グリムゼル峠から見るシーデルホルン(上中央の山)


グリンデルワルトを朝7時49分発に出てインターラーケンで乗り換えマイリンゲンに着き、バスに乗り換え予定より15分遅れてグリムゼル峠に着いたのは10時40分だった。約3時間もかかった。
途中ヘアピンカーブを何回も繰り返して谷筋を登ってきたのでグリムゼル峠は谷合の狭苦しい所かと思ったが、前に湖(トーテー湖)があり広々としている。しかも残雪で白く輝く山々がどの方角にも見えて非常に気持ちが良い。、
目的のシーデルホルンはどれかと方角と地図を合わせて見上げると一目でそれと分かった。しかし残雪で山は白いし、地図では標高差600mだがそれより遥かに高く感じる。帰りのバスの発車時間を確認し、もし間に合いそうも無かったら途中で引き返すつもりで出発した。

最初は写真の右に写っているアスファルト道路を歩く。10分ほどすると標識のある登山口に出る。

グリムゼル峠とトーテー湖

始めはジグザグの急な登りが続く。振り向くとグリムゼル峠とトーテー湖が綺麗に広がり、その奥にローヌ谷を挟んでマッテンヘルナー(Muttenhorner 3099m)の山並みが見える。
所々石の積み重なりに残雪が残り道が不明瞭でマークを頼りに歩く。

前に小学生くらいの男の子4〜5人を連れた家族のグループが歩いている。あんな子供を連れているんだから大丈夫、と安心したが、子供達は歩き慣れているようで、スイスイと登っていく。この子供連れの家族とは最後まで先になり後になりして歩いたが、子供達は急な残雪も大石の重なった道も怖がる事もなく平気で歩いていたのが象的だった。




ヒュセックヒュッテの分岐、中央ラウターアールホルン

突然前が開け、ラウターアールホルン(Lauteraarhorn 4042m)が見え出す。グリンデルワルトの方向からはシュレックホルン(Schreckhorn 4078m)の陰になって見えにくいが、こちらからはラウターアールホルンが主役を務める。
ここにトリブテン湖に分かれる分岐の標識がある。直ぐ横にヒュセックヒュッテ(Husegghutte)の立派な小屋が建っているが閉まっていた。ここからはこれから登るシーデルホルンのピークも見え、絶好の休憩地だ。



小屋の周りは一面の残雪でどこが道が分からないので尾根筋めがけて登ると予想通りトレイルに出た。暫くは急な登り続くが、これを過ぎるとなだらかになり展望が一気に広がる。
稜線の先にはシーデルホルンがどっしりとした姿を見せる。右手には雲の中に隠れているがフィンスターアールホルン方向と、その右にラウターアールホルンが綺麗に見えだす。Webサイトで調べた時の景色そのものが目の前に現れて感激する。

←稜線の先に見えるシーデルホルン

               左の青い湖がトリーブテン湖、中央下の白っぽい湖がグリムゼル湖
稜線上から見るフィンスターアールホルン方向(左)とラウターアールホルン方向(右)


稜線上は残雪もなく歩きやすかったが頂上手前になって大きなゴツゴツした石が重なり合いその間に雪が残って歩きにくい。所々手を使って頂上に登った。頂上には10人ほどが既に着いていて思い思いの方向を向いて岩に腰掛け景色を眺めている。頂上からは360度遮るもの無し。身体を回転してぐるっと順番に見渡し、景色を順番に写真に収めた。

シーデルホルン頂上から西方向を見る
左の棒の陰がオーバーアールホルン、その右がフィンスターアールホルン、中央がラウターアールホルン、その右がヒエンダーストック、盛り上がった山がブレッチリストック

                 同じく頂上より西方向を見る

頂上から、ラウターアールホルン(拡大) 頂上の大ケルン、西北方向を見る

上の十字架、北から東方向を見る
中央はゲルステンヘルナー、その右奥がガレンストック、右の山の谷合がフルカ峠、
右下の湖はトーテー湖、その左がグリムゼル峠
トーテー湖の左上の白い所がローヌ氷河

から南方向を見る   下の村はオーバーワルト

拡大すると
氷河特急が走るトンネルが見えた
 オーバーワルト村(下) 




眼下に横方向に続く深い谷が見える。ローヌ谷だ。その谷の下に小さな集落が見えた。よくよく見るとトンネルの入り口が見える。ということは氷河特急の列車が走る新フルカトンネルの入り口のオーバーワルト(Oberward)の村ということになる。
4000m峰が見えただけでなくフルカ峠やオーバーワルトの村やローヌ谷を見ることができてシーデルホルンの位置関係がはっきりと理解できた。



南から南西方向を見る  右下に下りた所がトリープテンジー峠、右端の山はレッフェルホルン

ローヌ谷が南西方向にずーっと伸びている。谷の向うに見える山々はイタリアとの国境になる。雲が無ければマッターホルンも見えるらしい。
頂上で昼食。景色を満喫して、下りは登ってきた反対側に下りる。ここは更に大きな石の不規則な積み重なりで、石の間の空間に嵌まり込まないように慎重に下る。トリーブテンジー峠(Triebtenseelicke 2639m)まで下り、分岐を西方向に向かう。

下りの雪渓、マークが頼り 振り返る、トリーブテンジー峠とシーデルホルン

峠からはなだらかな下りだが、所々に大きな雪渓があって、トレイルが不明瞭なのでマークを探しながらの歩きになる。


ほぼ下りてきて眺めるグリムゼル峠(左端)とトーテー湖、
ローヌ氷河とフルカ峠(右端)が良く見える

シーデルホルンの南側の山腹を回りこむように進むと、出発したグリムゼル峠とトーテー湖が見え出した。この角度からは左のゲルステンヘルナー山と中央のガレンストック山が鋭く見え、ローヌ氷河も良く分かる。ここまでくればグリムゼル峠は近い。

グリムゼル峠に着いてバス待ちの間、大きなレストランのテラスでシーデルホルンを眺めながらビールを飲んで余韻を楽しむ。観光バスがひっきりなしにお客を運んでくる。日本人の観光バス旅行者も結構多く、中には話しかけてくれる人もいて、40分程のバス待ち時間は直ぐに過ぎた。


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