1.アウグストボードパス(Augstbordpass)

参考地図は「Eアウグストボードパス、メイドパス、べラ・トーラ」のページにあります 



 歩いた日;2010年7月13日
 コース;Junguー(50min)Undri Lager(10min休み)ー(50min)2488mポイント(10min休み)ー(50min)2528m・Embd分岐(20min昼食)ー(1h)Augstbordpass(20min休み)−(1h)2370m・Gruobe Oberstafel(10min休み)−(55min)Gruben
合計時間:5h25min (総合計時間:6h35min)  標高差: 登り 895m 下り1075m  最高標高:2,893m 


朝、ツェルマットのホテルをチェックアウト。駅でスーツケースをマルティニ(Martgny)に別送(ライゼゲペック;Reisegepack)したので、ザック1つのハイキングスタイルになった。荷物を心配することなく自由に行動できるスイスのライゼゲペック・システムは本当にありがたい。

サンクト・ニクラウス駅(St.Niklaus 1127m)で下車。ユングー(Yungu 1998m、別名ユンゲン;Yungen)に上るゴンドラが駅の近くにある。駅舎と反対の線路の横の道を歩いて直ぐの所で、小さな小屋と箱のような4人乗りのゴンドラ、それに細いワイヤーが山の上に伸びている。
ゴンドラが狭いので荷物は外のラックの上。固定するひもなど無い。4人を乗せて出発。ラックにチョンと載った外のザックが落下しないか気が気でなかった。しかし意外に振動がなく最後までゆれることなく標高差870mほどを一気に上った。

ユングのゴンドラ駅(左)と表示板
マッター谷の奥にブライトホルンが見える

急な山の斜面に引っかかるようにして家が何軒かある。交通手段はこのゴンドラか徒歩のみ。牛がいる。僅かなスペースでも牧草地になっていて、感心してしまう。

ゴンドラを下りると直ぐ表示板があり目的のアウグストボードパス(Augustbordpass)まで3h15min、グリューベン(Gruben)まで5h05min とある。眼下にツェルマットへ繋がるマッター谷が見え、その奥にはブライトホルン(Breithorn 4164m)が白い。左にはミシャベル山群の高峰が並び右手にはヴァイスホルンの前峰が望める。時間は既に9時40分。あまりゆっくりと景色を眺めている余裕は無さそうなので、出発。



ユングから見るミシャベル山群
リード氷河とデュレンホルン(Dirrunlhorn 4035m)
ユングから見るビスホルン(Bishorn 4153m 右端)と
ブルネックホルン(Rrunegghorn 3833m 手前)




まばらな樹林帯の斜面をジグザグに登るとエンプト村(Embd 1358m)への分岐・ウントリ・レーガー(Undri Lager 2259m)に出る。ここを左に取り更にジグザグを繰り返し登ると東へ張り出した尾根の先端に出る。地図上の2454m辺りで、高度感が増しグンと展望も開ける。
マッター谷の奥にはリスカム(4527m)やブライトホルン(4164m)やクライン・マッターホルン(3883m)が見え、マッター谷を挟んだ目の前にはグレッヒェン村が広がり、この村からゴンドラで上れるゼッタールやハンニックアルプの駅舎も見える。この山越にラッギンホルン(4010m)やヴァイスミース(4017)だろうサース谷(Saastal)の西側の氷河の山も見える。その右にはミシャベル山群のリード氷河とデュレンホルン(Dirrunlhorn 4035m)が近い。目を転じて北東方向を見ると、霞んではいるが蛇行すアレッチ氷河が見えその背後にベルナーオーバーランドの山も遠望できる。この辺りが今日のハイライトだろう。

南方向; マッター谷、
奥はリスカム、ブライトホルン、クライン・マッターホルンが聳える、
右はブルネックホルン


東方向; 村はグレッヒェン(Grachen)、
手前の山は右端がゼッタール(3037m)、左端がハンニックアルプ(2122m)

後ろの白い山はラッギンホルン(4010m)とヴァイスミース(4017m)

東南方向;  リード氷河とデュレンホルン(Dirrunlhorn 4035m)
北東方向:  ベルナーオーバーランドの山、
山の間に見えるのはアレッチ氷河




アウグストボードパス(2883m 中央)、 右シュワルツホルン(3201m)


登りがなくなって更に尾根を回り込むと、今日越えなければならない峠・アウグストボードパス(Augustbordpass 2893m)がようやく見えた。右手にシュワルツホルン(Schwarzhorn 3201m)が文字通り黒々と聳えている。

谷に向かって砂礫の傾斜をアップダウン無く進む。





エンプト村分岐(2523m)付近から振り返る

小さな池の上の小川を渡り少し登るとエンプト村からの道と合流する。標高は地図上で2523m、峠まではまだ350mもある。ここで昼食。東にラッギンホルン(4010m))だろう、まだ白い山が見えている。

ここからは、峠に向かって変化のない道を真っ直ぐに黙々と登る。






アウグストボードパスから見るシュワルツホルン(3201m)

長い登りを一気に歩きアウグストボードパスの峠に立った。峠を通り過ぎる風が強く冷たい。もう時計は午後1時45分。もしかしたら登れるかもしれないと淡い期待を持っていたシュワルツホルンは時間的に無理、登るのを諦めた。



峠からは明日越えるメイドパス(Meidpass 2790m)の山並みがズラッと見える。明日登りたいと思っているべラ・トーラは右側に見え残雪で白い。ツェナールの村に近いフォルクレっタ(Folcletta 2874m)の峠も左端に見える。

アウグストボードパスからトゥルトマン谷越しの展望(西方向)


              メイドパス(2790m)↓
         ↑メイド・オーバー・シュタッフェル(2334m)
           アウグストボードパスから見るメイドパスへの山腹



正面にメイドパスへと登る山腹の斜面がはっきり見える。その途中の集落・メイド・オーバー・シュタッフェル(Meide Ob. Stafel 2334m)を通る車道も良く見える(トレイルは別にあってこの車道を横切る)。

木が殆ど無いので明日は暑そうだ。






アウグストボードパスから振り返る

登ってきた谷を振り返る、右手に見える尾根の先端あたりを回り込んで登ってきた。右手遠くに今までよりもはっきりとフレッチホルン(3982m)やラッギンホルン(4010m)、ヴァイスミース(4017m)の山が白く見える。





アウグストボードパスを振り返る

峠の強い風を避けて休んだ後、トゥルトマン谷に向かって下る。暫くガレ道を下り、次いで草付の道に変わる。振り返ると、ここが峠ですとはっきり分かるU字の形をしている。
下り道は危ない所や分かりにくい所なども無く順調に下る。






草地が次第に濃い緑色になっていく辺りで柵のある無人の農家小屋に出た。平坦な台地で絶好の休憩地。地図にあるグリューブ・オーバーシュタッフェル(Gruobu Oberstafel 2370m)だと思う。ここからは深いトゥルトマン谷がローヌ谷に向かって広がるのが見え、その向うにはバルムホルン(Balmhorn 3698m)だろうか、その他にも幾つかのピークが見える。

グリューブ・オーバーシュタッフェル(Gruobu Oberstafel 2370m)の農家小屋 トゥルトマン谷と、ローヌ谷を挟んで山はバルムホルン(Balmhorn 3698m)?




農家小屋からはまばらな樹林帯に入りジグザグの急な下りになる。下るに連れて左手に氷河の山が現れた。ヴァイスホルンに連なるレ・ディアブロン(Les Diablons 3609m)の山だ。正面に突然ニョキッと岩のピークが現れた。前から見えていたはずだが気がつかなかった。地図を見るとメイドホルン(Meidhorn 2874m)とある。標高は高くはないがシンボル的な岩山のようだ。

レ・ディアブロン(Les Diablons 3609m) メイドホルン(Meidhorn 2874m)




更に下ると完全に樹林帯の中に入り、急な下りが続く。暫くしてようやく谷底に何軒かの家が見え出す。グリューベンの村だ。この村は冬は無人になるそうだ。この村で唯一の宿泊所の山岳ホテル・シュワルツホルンに午後4時15分に着いた。
アウグストボードパスを相前後しながら越えて来た他のパーティーもこの山岳ホテルに泊まった。ホテルには車で来た人たちも泊まっていて、個室もドーミトリー(ベット)も満室。シャワーもあり快適。

グリューベンの村とメイドホルン グリューベンのホテル・シュワルツホルン




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