大橋市長への質問状とその回答 2003年12月1日 西山東保護者一同
質問事項 1、市長は取材に応じて「十分議論することが苦痛を与えているとは思わない」と答えていましたが、私たち保護者はこどもたちのために幼稚園の存続を願い、1年運動してきましたが、その背景には家庭を犠牲にし、こどもを預けての大変な活動状況です。そういう状況を理解した上での発言なのですか? 2、今回の3歳児募集をするという決定は、兄弟同じ園に入れたいという保護者の希望を考慮しての判断があってもおかしくないとおっしゃっていましたが、考慮するというのならば、廃園と知らずに今年入園したこどもの兄弟、2つ下のこどもたちが入園し卒園できる事が本当の考慮だと思うのですが、市長はどのようにお考えですか? 3、説明会の場に市長も出席してほしいと言う、地域や保護者の要望があったにもかかわらず、今まで来られなかったのはなぜですか?今まで来なかったという事は、この廃園問題を軽く見ているとしか考えられないのですが。 4、政府は2006年度より幼保一元の新タイプ施設導入が決定したようです。幸い西山東地区は公立幼稚園と公立保育所が近くにあり、共に園舎が古いので今回政府が推進する新タイプ施設による統合については検討されないのですか? 5、最終決定権は教育委員会ですか?それとも市長ですか? 6、今回12月議会で民意を問わず卒園できない園児を募集するという決定は、あまりにもその場凌ぎの決定のように感じるのですが、市長はこの決定を尊重するとおっしゃっていましたが、この決定は本当にこどもたちにとって最善の決定なのでしょうか? 7、廃園は行革の観点から決定せざるをえなかったといっても幼児教育の場を廃園という形でなくそうとしているのであれば、こどもの権利を最優先に考えるべきだと思いますが、市長はどのようにお考えですか?
1.『十分議論することが苦痛を与えているとは思わない』ということは言っておりません。廃園決定を聞いてから保護者の方はみんな大変な思いをされて、何とか存続できないのかと、一生懸命努力をされていることは十分承知しています。記者から『十分話し合いはしてきたじゃないか、これ以上話し合いをしても平行線で、地元に苦痛を与えるだけだ。そのことをどう思うか』という趣旨の質問をされたので「それは違う。苦痛は理解するが、だから話し合いはムダだという話ではない」と言うことを申し上げたかったまでで、苦痛を与えていないなどとは申しておりません。
2.教育委員会は今年1月に廃園を決め、11月に3回開いた委員会で議論を尽くした結果 平成17年度いっぱいでの廃園という方針を変えないことを確認したわけでございます。 その上で経過措置をどうするかについて、当初の3歳児募集停止では「上の子と下の子が別 々の幼稚園に行かざるを得なくなる。それは困る」というご意見が多数あったことを踏まえ、そのご意見は十分理解できる、ということで、「保育への配慮」を最大限考慮して、16年度は3歳児募集を行うことを教育委員会として決断したわけです。 これによって、転園という新たな問題が生じ、これはこれで園児の心にもちろん影響がないとはいえないわけですが、そのことについての措置は、これからどういうことが考えられるか十分検討し、保護者のご意見もうかがいながらよりよい方法を考えたいと思います。
4.幼保一元化については、検討しております。識者や教育関係者にも参加していただき、新たに設けた和歌山市立幼稚園運営協議会でも、大きなテーマとして検討していただくことになるはずです。
5.説明会でお話しました通り、この問題について決定するのは教育委員会の権限です。もちろんこの問題は条例で決めなければならない事項でして、議会の議決を得ないと制定・改廃はできません。条例の提出者は市長ですが、教育委員会の権限に属することについて、教育委員会の決定を曲げて市長が決定を下したり、条例案を提出することはできません。
以下が法的根拠です。(私が六法をめくりながら文章をまとめました) 「地方教育行政の組織および運営に関する法律」は教育委員会の職務期限について第23条で「教育委員会は当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び廃止に関すること」とし、その1として「教育委員会の所管に属する第30条に規定する学校その他の教育機関の設置、管理、及び廃止に関すること」と明記しています。30条には学校その他の教育機関について「法律に定めるところにより、学校、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で教育に関する専門的、技術的事項の研究または教育関係職員の研修、保健もしくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる」とあり、いずれにせよ、公立幼稚園はその他の教育機関」と位置づけられています。一方、同法24条は「長の権限」として明確に教育委員会の職務範囲とは権限を分け、「地方公共団体の長は、次の各号に掲げる教育に関する事務を管理し、及び執行する」として以下を掲げています。 「大学、私立学校に関すること」、「教育財産の取得、処分に関すること」 「教育委員会の所掌に係る事項に関する契約を結ぶこと」 「教育委員会の所掌に係る事項に関する予算を執行すること」を挙げています。 また、地方自治法は地方公共団体の長の担任事務として第149条で 「普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること」と規定しています。さらに、第244条の2では、「普通地方公共団体(中略)公の施設の設置及びその管理に関する事項は条例でこれを定めなければならない」 従って公立幼稚園のような「公の施設」の設置・管理にかかわることは、教育委員会の決定だけでは行えず、条例案を議会に提出し、承認を得なければならないわけです。そして、教育関係の事項でも、条例案の提出や、予算の執行、財産の処分といったことは首長の権限となります。
6.説明会でもお話しましたが、最善とは思っておりません。しかし、廃園方針を決定している以上、最善ではないにしても、兄弟姉妹が当面同じ園に入ることができるわけですから、次善の策ではあると思います。
7.質問の趣旨がよく分かりませんが、平成15年1月9日に2園の廃園を決めた際、 教育委員会は、途中で転園となるデメリットを考慮し、募集停止という判断を下しました。しかし、その後保護者の意見を聞く中で、3歳児の募集が停止となることもまた、幼児にも保護者にも相当なデメリットがあると考え、判断を改められたわけです。教育委員会の判断は、子どもの権利を最優先に考えたものと思います。