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5.「おらしょⅡ」(混声合唱のための おらしょ
       カクレキリシタン3つの歌 から)   (作曲:千原英喜)
   作曲者自身、以下のように解説している。
   オラショ(ラテン語でOratio)とはカクレキリシタンの祈りのコトバで
  ある。それらのコトバのうち、本来ラテン語、ポルトガル語であったもの
  が、日本語的に転訛しているところがおもしろい。
   この楽章では、オラショ「きりや れんず(Kyrie eleison)」、「み
  ぜれめん(Miserere mei)」、「あめまりあ(Ave Maria)」、「けれど
  (Credo)」を作曲上の核として、聖母マリアへの賛歌<オー グロリオー
  ザ ドミナ>と『サカラメンタ提要』所載のグレゴリオ聖歌より<キリエ>
  が歌われる。これらの歌がドラマティックに展開してゆくなかに、壮麗で
  神秘的かつ敬虔な祈りの、凝縮された空間を現出させていただきたい。

第1ステージ

1.「BELIEVE」(作詩・作曲:杉本竜一)
   NHK番組『生きもの地球紀行』の3代目のエンディングテーマとして
  1998年の、発表されました。
   小学校の合唱でもよく歌われ、特に卒業式の歌として、広く愛され続け
  ています。昨年はコマーシャルのBGMとしても使われ、明日のこと、未
  来のことに思いを寄せられない絶望の中から前に踏み出そうとする人々へ
  の応援ソングにもなろうとしています。

2.「瑠璃色の地球」(作詩:松本隆、作曲:平井夏美、編曲:源田俊一郎
   原曲はデビュー以来、男女の恋や愛をテーマにした曲を歌ってきた松田
  聖子が結婚し、出産を控えて活動を一時休止していた頃にレコーディング
  し、1986年発表したアルバムに収められています。彼女の新しい可能性に、
  大変注目が集まりました。
   その後、合唱用に編曲され、女声コーラスの「歌いたい曲ランキング」
  にも上位に位置しており、PTAコーラスや多くの合唱団に広く愛され、
  歌われている曲です。

3.「種子」(作詩:寺山修司、作曲:信長貴富)
   「もし、世界の終わりが明日だとしても、私は今日、林檎の種を蒔くだ
  ろう」
   寺山修司は、著書『青春の名言 心さびしい日のために』の中で、ルー
  マニアの政治家・革命家のゲオルギウの言葉として、紹介しています。
  (しかし、彼がこの言葉を言ったということを裏付ける文献等は見つかっ
  ていません。マルチン・ルターの言葉だという説もあります)
   報われないとわかっていても、そうすること自体に意義があると信じて、
  そして最後の瞬間を支えるものはやはり希望である、というまさに生きる
  姿勢の根本、人生の意義を私たちに投げかけ、問いかけています。
   「世界の終わりが明日だとしても、君は種子を蒔くことができるか?」
  この問いかけに、あなたは迷わずYESと応えられますか?

4.「夕焼け」(作詩:高田敏子、作曲:信長貴富)
   「台所詩人」と呼ばれた高田敏子の詩に曲をつけた女声合唱曲集『空の
  名前』の終曲の混声版。(初演は合唱団京都エコー)
   夕焼け空のようにゆったりと広がる歌声に、ピアノから聞こえてくる懐
  かしい旋律が、誰かが待っている家に帰りたくなる、そんな温かい風景を
  思い起こさせてくれます。
   夕焼けはバラ色 ― あたりまえの事が、あたりまえにできる毎日こそが、
  何よりの幸せであると、昨年の東日本大震災以来、しみじみと感じた人も
  少なくないことでしょう。
   『夕焼けが火の色に、血の色に見えることなどありませんように』戦火
  を体験した詩人の平和への祈りをも、私たちの心に刻みつけられます。

混声合唱のためのカンタータ

第2ステージ

・ 夕焼け

・ おらしょⅡ

・ Gloria

Laudamus te

・ Et in terra pax

・ 種子

(作詩:大木 惇夫、

  この作品は、1962年に、同年の宮中歌会始の御題にちなみ、「土」をテー
 マとして作られました。当初は、混声合唱とオーケストラのためのカンター
 タ(器楽伴奏による声楽曲)として作曲され、後に男声合唱用やピアノ伴奏
 版が編曲されています。作詩の大木惇夫はクリスチャンでもあり、7つの楽章
 からなる作品はミサやレクイエムにも通ずる構成になっています。 内容は、
 当時の時代背景から第二次世界大戦の影響を色濃く残していました。人間を
 「土から生まれ、土と共に生き、土に還るもの」としてとらえ、戦争や原爆
 の人災と天変地異によって痛めつけられた大地が、そしてそこに生きる人間
 が、困難と葛藤の後、見事に甦る力強さと神々しさを、畏怖の念を持って描
 き出しています。
  終曲の「大地讃頌」は独立して歌われることも多く、日本中の合唱団に愛
 唱されてきた名作の1つですが、全曲を貫くテーマに思いが及ぶことは少な
 かったかもしれません。 昨年の3・11東日本大震災を経た今、改めて1つ1つ
 の歌詞を読み直してみると、その意味の深さが胸に響き、作品誕生から半世
 紀を経ても、そのテーマの普遍性は色あせることはないと気づかされます。
 そして、どんなに破壊され、打ちひしがれても、やがて逞しく甦っていく大
 地と人間を信じることが、希望の光に繋がっていくと思えるのです。復興へ
 の祈りを込めて。

指揮 : 松阪 康久

ピアノ : 松阪 香織

ピアノ : 松阪 香織

 指揮 : 松阪 康久

      「土の歌」から

    作曲:佐藤 眞) 


6.Gloria (伝W.A.Mozart W.Müller「ミサ ハ長調」から)
   かつてはモーツァルトのミサ曲第12番K232の一部と見なされていたこの
  曲は、「栄(さかえ)あれ、万代(よろずよ)までも」の訳詩と共に日本
  でも親しまれ、卒業式や合唱団の演奏会で愛唱されて来ました。 「恐らく
  カール・ツレーナーの偽作」との記述がある楽譜もありますが、現在では、
  ヴェンツェル・ミューラーの作と考えられています。フルート奏者・鍵盤奏
  者としても活躍したアウグスト・エバーハルト・ミュラの1806年頃の作と
  の説もあり、ケッヘル番号からは削除されています。

・ Gloria in excelsis Deo

(神なる主よ、天の王よ)

    solus sanctus

    Rex caelestis

・ Domine Deus,

1.第一楽章「いと高きところに神の栄光あれ」
     華々しいファンファーレに始まる、現代的でスケールの大きい音楽が神の栄光を讃
   えます。VIVACEのわくわくする音楽が繰り広げられます。

  ジョン・ラターは1945年ロンドン生まれ。現代イギリスを代表する宗教音
 楽家の一人です。ロンドンの私立学校ハイゲイト校の聖歌隊員を経て、ケン
 ブリッジ大学で音楽を学んだ彼は、在学中から作曲と指揮を始め、卒業後も
 母校で音楽主任を務めました。その後作曲に専念する為、カレッジを辞した
 彼は、教え子を中心としたプロの合唱団ケンブリッジ・シンガーズを結成。
 自らの作品を含めた合唱曲の演奏、録音を中心に活躍しています。
  敬虔なキリスト教徒である彼は、1996年、英国教会カンタベリー大主教か
 ら音楽博士号を授与されています。
  ラターの音楽は親しみやすく、合唱の快楽ともいえる心地よい旋律で、各
 国の合唱団に絶大な人気を誇っています。作品はキリスト教に関連した合唱
 曲が大半です。随所に変拍子やジャズの要素を織り交ぜることで現代性を加
 え、またグレゴリオ聖歌や民謡を効果的に取り入れ、親しみやすい音楽とな
 っています。
  代表作のひとつ、「Gloria」は1974年に作曲された、ミサ通常文による荘
 厳で華々しい輝きに満ちた作品です。

       神の栄光あれ)

(いと高きところに

JOHN RUTTER Gloria

第3ステージ

・ Quoniam tu

 ピアノ : 松阪 香織

ソプラノ : 今井 順子

指揮 : 松阪 康久

3.第三楽章「主のみ聖なり」
   第一楽章の華やかさが戻ります。複雑な主題の展開とフーガの後、クラ
  イマックスに向かって音楽は咆哮し、爆発的に終焉を迎えます。

2.第二楽章「神なる主よ、天の王よ」
   天上の音楽を予感させる静かな序奏に、合唱の中世的な旋律が重なり、
  荘重なクライマックスに続きます。そして突然の沈黙の中、ソプラノとア
  ルトの神聖な響きが淡い光を投げかけ、心洗われる静かな祈りを捧げます。

・ BELIEVE

・ 瑠璃色の地球

・ Qui sedes ad

   dexteram Patris

(主のみ聖なり)

・ Cum Sancto Spiritu

 アルト : 大垣華代暦

8.Laudamus te (J.S.BACH「ロ短調ミサ」から)
9.Qui sedes ad dexteram Patris (同上)
   「ロ短調ミサ」はバッハが死の前年まで、精魂傾けた作品です。最終的
  に完成するまでに24年間もかけて、ひとつのミサ曲を作ったのです。
   2時間半の演奏時間は当時の教会典礼の常識を大きく越えており、生前
  に演奏された記録も一部を除いてありません。宗教改革のお膝元、ライプ
  ツィッヒ聖トマス教会の音楽監督であり熱心なルター派信者であったバッ
  ハが、何故ラテン語ミサ通常文をテキストにしたカトリックのミサ曲を作
  ったのか。そして、作曲家が職人だった18世紀に、依頼も上演(収入)の
  予定もなく、純粋な創作意欲だけで曲を残したのは何故か。その理由は今
  も謎に満ちています。
   ロ短調ミサ曲は時代や宗教、国を越えてバッハが全人類の為に遺した音
  楽のメッセージなのかも知れません。
   本日はグローリア章(栄光の讃歌)より、2曲のアリアを演奏致します。

  Laudamus te 「われら汝をほめ讃え」  
     ソプラノⅡが長い装飾句を交えて歌う神への讃歌です。スピリチュ
    アルな演奏と追いかけあうソリストの技巧を聴かせるのは心憎いバッ
    ハの企みです。

  Qui sedes ad dexteram Patris「父の右に座したもう主よ」
     バッハがしばしばアルトに託した哀れみのアリア。長いメリスマを
     歌って曲を終える印象的な楽曲です。  

7.Et in terra pax (A.VIVALDI「グローリア ニ長調」から)
   バロック時代の作曲家といえばヴィヴァルディの名が上がりますが、19
  世紀後半にバッハの作品のうち10数曲が、ヴィヴァルディの作品を編曲し
  たものと判明するまでは、イタリア後期バロックにおけるその偉大な存在
  は、歴史から全く忘れられたものでした。
   ヴェネツィアの孤児を養育する施設で事実上の女子音楽院「ピエタ養育
  院」の合奏長であったヴィヴァルディは、毎週開かれるコンサートの為に
  協奏曲やオラトリオ等を数多く作曲しました。オペラの作品上演でも精力
  的に活動した彼の名声は当時ヨーロッパ各地に届いていました。しかし、
  次第に彼の作品は時代に取り残され、新曲も聴衆を魅了することが出来な
  くなっていきました。1740年オーストリア皇帝を頼ってウィーンに移住す
  るも、彼の音楽は完全に過去のものとなっていました。
   ヴィヴァルディが1741年7月28日にウィーンの貧民墓地に埋葬されたこ
  とが分かったのは、死後2世紀を経た1938年のことでした。「比類なきヴ
  ァイオリニスト」とも言われたヴィヴァルディは、劇場専用の作曲家宿舎
  で、失意の内に63歳で客死したのです。
   「Gloria」はスケッチの状態で残されていたものを、イタリアの作曲家
  アルフレード・カゼッラに発見され補筆の後、1919年シエナのヴィヴァル
  ディ・フェスティバルにおいて彼の指揮で蘇演されています。

10.Cum Sancto Spiritu (G.ROSSINI「小荘厳ミサ」から)
   ロッシーニは「セビリアの理髪師」、「ウィリアムテル」などのオペラ
  で知られるイタリアの天才作曲家です。彼の作品は当時の大衆や、ワーグ
  ナーやショパンなど同時代の音楽家に絶大な人気を博していたものの、
  「ウィリアムテル」の成功を機に、わずか37歳で突然オペラ作曲界から引
  退しました。そして死に至るまでの半生を、ボローニャの音楽学校長をし
  ながら数曲の歌曲やピアノ、宗教作品の作曲活動のみに費やしました。
   「小荘厳ミサ」は晩年の1863年、華やかなオペラのステージを去って
  30余年後に、ひっそりと生み出された作品です。
   「神よ、ここに小さなミサ曲を完成しました」と記されたこの作品は、
  実際には演奏に80分近くかかる大曲。コンサートでの演奏を念頭において
  書かれたこのミサ曲は、近代の宗教音楽の傑作と言われています。

第6回演奏会プログラム