5.「A Prayer of Saint Patrick」(聖パトリックの祈り)
「キリストよ、私とともに、私の内にいてください」
JOHN RUTTER Anthems
第1ステージ
1.「All things bright and beautiful」(全てのものは輝かしく、美しい)
「全能の偉大なる神は、自然も、そして私たちもお創りになった。」と歌
います。何度か転調しながら、次第に盛り上がっていきます。
2.「The Lord bless you and keep you」(神は汝を神は汝を祝福せし)
「神はあなたに安らぎを与えてくださる」と歌った後、アーメンと呼び交
わしながら曲を閉じます。
3.「A Gaelic blessing」(ゲール人の祝福)
「キリストはこの世の灯火であり深い平和を与えてくださいます。」
4.「God be in my head」(我が心の中の神)
「主よ私の心の中に、私の思い出の中にいてください」と歌う、無伴奏の
賛美歌風の曲です。
・少年時代
思い出の歌
and keep you
・ A Gaelic blessing
・ God be in my head
Saint Patrick
・ A Prayer of
・ The Lord bless you
「蔵王賛歌」
・この道
・早春賦
から「海よ」
1.「少年時代」(作詞・作曲:井上陽水)
柏原兵三の小説「長い道」と藤子不二男Aの同名漫画を原作にした映画
「少年時代」のために書き下ろされた井上陽水の名曲。戦時中の富山を舞台
に東京から疎開して来た少年と、地元の少年との葛藤を丹念に綴った映画は、
篠田正浩監督が昭和とはなんだったかを問いかける秀作です。 ラストシー
ンに流れる主題歌は、戻らない時代への郷愁そのものです。
2.「蔵王讃歌」(混声合唱組曲「蔵王」から)
(作詞:尾崎磋瑛子、作曲:佐藤眞)
「蔵王」は1961年、ニッポン放送の依頼で作曲された第16回芸術祭
合唱部門参加作品です。同年、日本音楽コンクールで交響曲1番が第1位入
賞と特別作曲賞を受賞したばかりの佐藤眞は、東京藝術大学専攻科(現在の
大学院)1年在学中でした。
初版の「合唱名曲コレクションD5(廃盤)」に綴られた作成者意図より。
(新版出版に当り省略)
3.「Ave Maria」(作曲:S.ラフマニノフ)
ラフマニノフは古代ロシアの声楽術の伝統を持つ、ノブゴロドの生まれで
す。またラフマニノフ一族は、その音楽の才能で名声を博しました。
ロシアの著名な古文書学者S.V.スモレンスキーの追悼のために作曲さ
れた無伴奏合唱曲「晩祷」は1915年初頭に発表され、3月10日モスク
ワで修道士合唱団によって演奏されました。「Ave Maria」はその第6曲目
です。
彼の音楽の底流を為す「ロシアとその民衆的なものを愛する心」は、この
小品にも溢れています。
指揮 : 松阪 康久
ピアノ : 松阪 香織
ピアノ : 松阪 香織
指揮 : 松阪 康久
・混声合唱組曲「蔵王」から
・Ave Maria
・混声合唱組曲「水のいのち」
6.「For the beauty of the earth」(大地の美しさ)
「大地や空の美しさ、愛の喜び、兄弟、姉妹、父母、子供、これらは全て
神からの素晴らしい贈り物。」
本日演奏するアンセムの中で最も長い(といっても約4分)曲で、また、
ラターのアンセムの中でも最もよく演奏されるものの一つです。流れるよう
な旋律と、巧みな転調により曲は次第に輝きを増していき、頂点を築いた後、
静かに曲を終えます。
・ Magnificat anima mea
(そして、憐れみは)
(主は力をもって)
(私に大事を成させたから)
・ Quia fecit mihi magna
1.Magnificat anima mea(私の魂は主をあがめ)
「わたしの魂は主をあがめ、私の霊は救い主である神を喜びたたえます。
身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださったからです。今から
後、いつの世の人もわたしを幸いな者と言うでしょう。」(新共同約聖書に
よる。以下同じ。)
マリアがイエスを身ごもった喜び、神への賛美を歌っているこの曲は、冒
頭から変拍子を含むリズミカルな伴奏に支えられて、コーラスが流麗な旋律
を歌いだします。それまでのバッハやベートーヴェンなどの宗教曲の堅苦し
いイメージを大きく覆したインパクトがあり、ラターの音楽の大きな特徴が
示されているとともに、彼の音楽が世界中で愛されている大きな理由でしょ
う。
新約聖書の「ルカによる福音書」第1章には、キリスト誕生の物語が記さ
れています。
聖母マリアは大天使ガブリエルから、自らが神の子イエス・キリストを身
ごもったことを告げられ驚きますが、自分が選ばれたことを喜びを持って受
け入れます。この場面は、有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」
をはじめとして、多くの画家が題材として描いています。
その際、マリアが喜びを持って主なる神を讃え歌うのが、この「マリアの
賛歌」として知られるマニフィカートです。
原文はラテン語ですが、ラターはこれに英語の詩や、ラテン語のミサや祈
祷文からも詩を取り入れ、より一層マリアと神を讃える気持ちを強く表した
ものとしています。
(バラ、愛らしいバラ)
・ Of a Rose, a lovely Rose
(私の魂は主をあがめ)
JOHN RUTTER Magnificat
・ Et misericordia
・ Fecit potentiam
ピアノ : 松阪 香織
ソプラノ : 河出 綾子
指揮 : 松阪 康久
3.Quia fecit mihi magna(私に大事を成させたから)
「力のある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊
く、」
男声合唱により、力強く歌い出されます。終わりの部分ではミサ祈祷文の
「Sanctus」が歌われ、古いグレゴリオ聖歌の旋律が付けられています。
2.Of a Rose, a lovely Rose(バラ、愛らしいバラ)
この曲は15世紀イギリスの古い英語の詩によっています。英国の古い民
謡を思わせるメロディーが、バラの花に寄せて、マリアに起こった奇跡を歌
います。
・ All things bright
and beautiful
・ For the beauty
of the earth
ジョン・ラターは1945年生まれ、今年64歳になる現代イギリスの作曲家、
指揮者です。といっても、彼の音楽は決していわゆる「現代音楽」ではあり
ません。
彼の曲は、美しく心に残る旋律と、少し現代的な味付けもされた心地よいハーモニ
ー、そして、ジャズ的な要素も取り入れた変拍子が随所に見られる,ロマン
派的な音楽に、現代的な要素を巧みに取り入れたものです。
彼は、ケンブリッジで音楽を学び,在学中から作曲と指揮活動を始めまし
た。その後、母校で教鞭も取りましたが、作曲活動に専念するため、1979年
にはカレッジを辞し、1981年には、主として自らの曲を演奏、録音するため
にケンブリッジ・シンガーズというプロの合唱団を結成します。
彼の曲はそのほとんどが合唱曲で、無伴奏のアンセムやクリスマス・キャ
ロルなどの小規模な曲から,大規模なオーケストラ伴奏のものまで多彩です。
そうしたことから,イギリスでは彼は「合唱の神様」とも呼ばれているそ
うです。
今日の演奏会では、小規模ではありますが、1曲1曲が珠玉の輝きを持つ
アンセムと、大規模な曲の代表的名作である「マニフィカート」を取り上げ
ました。
JOHN RUTTER
(ジョン・ラター)
アンセムとは,イギリス国教会の礼拝で歌われる聖歌のことで,通常の賛
美歌は会衆がみんなで一緒に歌うための有節歌曲(詩の各節に同じ旋律をつ
けて歌う歌曲)であるのに対し,専門的な聖歌隊が歌うための,より芸術性
の高い曲となっています。歌詞の多くは聖書や英語の儀式文集から取られて
います。
6.「海よ」(混声合唱組曲「水のいのち」から)
(作詞:高野喜久雄、作曲:高田三郎)
「水のいのち」は英訳すればThe Soul of Waterだと作曲者は述べていま
す。水の魂とは私達のいのちであり、私達の心の姿である、とも。自身が敬
虔なクリスチャンであった作曲者が、詩集「存在」に出会い、その“祈り”
にも似た詩の言葉を“音楽”に再現したこの曲は、合唱する私達にとって
「バイブル」と言っても過言ではありません。水の永遠の循環に重ね描かれ
ている“空の高みを憧れ続けるちいさないのち”とは、私達自身であり、目
指していく海はすべてを、死をも受け容れる母胎、すべての魂を空に返す終
わりのない始まりです。
5.「早春賦」(作詞:吉丸一昌、作曲:中田 章、編曲:林光)
モーツァルトが35歳で早すぎる死を迎える年、歌曲「春への憧れ」K.
596を作曲しました。この曲は、シンプルで親しみやすいメロディーで、
「ドイツ民謡」といっても良いほど親しまれています。歌詞には「5月が早
く来て、樹々が緑になり、すみれが咲き乱れ、散歩に行きたい。…」とあり、
春を待ち望む思いが表されています。この旋律は、同年に作曲された「ピア
ノ協奏曲第27番」K.595の中にも表れます。どちらも、自らの死と向き
合ったモーツァルトの、静かで穏やかな、一種突き抜けた明るい境地を感じ
させます。死の彼方に、再び来る春を夢見ていたのでしょうか。本日演奏す
る中田章「早春賦」は、この「春への憧れ」を下敷きとして作曲されたと言
われています。1913年発行の「新作唱歌第3集」で発表。作詞家吉丸一
昌は、雪解けの安曇野の清らかな景色を背景に、同じく春を待ち望む想いを
余すところなく詠い上げています
4.「この道」(作詩:北原白秋、作曲:山田耕筰、編曲:林光)
白秋は、大正14年に北海道・樺太などを旅しました。翌年その体験をも
とに児童雑誌『赤い鳥』8月号に発表しました。耕筰の作曲は昭和2年
(1927年)。日本語のアクセントをそのままメロディーに置き換えた傑
作と言われています。郷愁というにはあまりに瑞々しいある場所の記憶。耕
筰にとっては幕張の枳殻の垣根のある、白秋にとっては柳川の運河の土手の、
そして、だれもの故郷の道への郷愁をもたらす曲となりました。
・ Esurientes
・ Gloria Patri
(飢えている人を)
(父に栄光あれ)
4.Et misericordia(そして、憐れみは)
「その憐れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。」
ソプラノソロがテーマを美しく歌います。それを支え、慈しむようにコー
ラスが「Et misericordia」と繰り返し歌います。
5.Fecit potentiam(主は力をもって)
「主はその腕で力を振るい、思い上がる者を打ち散らし、権力ある者をそ
の座から引き降ろし、身分の低いものを高く上げ、」
強烈なシンコペーションを含む前奏に続いてリズミックな旋律をバスが歌
いはじめ、次第に全コーラスへ広がっていきます。ラターの曲の大きな特徴
である、変拍子やシンコペーションが随所に現われ、緊張感を高めるととも
に、躍動感のある音楽を作っています。
6.Esurientes(飢えている人を)
「飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます。」
この曲も、ソプラノソロが美しいメロディーを歌い、コーラスがそれを支
えます。
7.Gloria Patri(父に栄光あれ)
「父と子と精霊とに御栄あれ。初めにあったように、いまも、いつも代々
限りなく。アーメン。」
このグロリアは、本来のマニフィカートにはありませんが、曲の締めくく
りに神を賛美するグロリアを置き、また、後半は「Sancta Maria」というマ
リアを賛美する詩を置いています。最後は1曲目の流麗な旋律が戻ってきて、
壮大なアーメンにより全曲を締めくくります