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U. 平和への祈り

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第2回演奏会プログラムノート

J.ブスト(スペイン、1949〜)作曲
  今、日本で最も人気のある作曲家のひとり、J.ブストはスペイン北部バス
  ク地方の美しいリゾート地オンダリビアの生まれである。明快な旋律と清
  澄なハーモニーは、カトリックの伝統を色濃く残すその地の教会の静寂に
  満ちた堂内の響きを彷彿とさせる。

= Ave Maria =

聖母への祈り

第1ステージ

 「おめでとう マリアよ。恵まれた方。主があなたと共におられる」処女マ
 リアのもとに現れた天使ガブリエルがイエス懐妊を告げ、祝福する「受胎告
 知」。新約聖書のドラマはすべてここから始まる。
 聖母マリアはヨーロッパとくに南欧の精神風土の中心であり、カトリック聖
 歌の中でもとりわけ数多く歌われている。
 ラテン語による「Ave Maria」は、この天使祝詞(ルカ伝第1章28節)に
 始まり、同じく聖霊によって身ごもった聖エリザベツが、イエスを宿したマ
 リアを讃える祝詞(ルカ伝第1章42節)がこれに続く。
 エリザベツの子は、イエスに洗礼を行なった、洗礼者ヨハネである。

F.シューベルト(オーストリア、1797〜1828)作曲
  乙女マリアを讃えた敬虔な祈りに満ちた「AveMaria」だが、歌詞は聖書の
  言葉ではなくスコットランドの詩人W.スコットの叙事詩「湖上の美人」
  をA.シュトルクがドイツ語に訳したテキストである。

C.グノー(フランス、1818〜1893)作曲
  シューベルトと並び、最もよく耳にする「AveMaria」である。
  バッハを崇敬していたグノーが、バッハの平均律クラヴィーア曲集の中から、
  プレリュード(前奏曲)を用いた瞑想曲のひとつ。

G.ヴェルディ(イタリア、1813〜1901)
  1889年、ミラノの音楽新聞「ガゼッタ・ムジカーレ」紙が一般から「謎
  の音階Scala Enigmatica」を募集した。その応募作品の中で第1位を獲得
  した「ハ、変ニ、ホ、嬰へ、嬰ト、嬰イ、ロ」という音の配列に基づいて作
  られたのが、この四声のAve Mariaである。《聖歌四編》(Quattro pezzi
  sacri)の中でも美しく特異な響きをもっている。

S.ラフマニノフ(ロシア、1873〜1943)作曲
  ロシアの聖歌学者スモレンスキーの追悼のために作曲された《晩祷》作品
  37−無伴奏合唱によるミサ−は教会スラブ語をテキストに用い、ロシア
  正教会音楽の流れをくむ傑作である。Bogoroditse Devo(生神童貞女や
  喜べよ)はその第6曲目である。

・聞こえる

平和への祈り

第2ステージ

フランツ・シューベルト

シャルル・グノー

ジュゼッペ・ヴェルディ

ハヴィエル・ブスト

セルゲイ・ラフマニノフ

作曲者名

・さとうきび畑
・混声合唱とピアノのための
  「祈りの虹」より
V Vocalise
W ヒロシマにかける虹

 今、歌が歌える喜び、演奏会に聴きに来ていただける喜び。平和の尊さ・あ
 りがたさをかみ締めて…。
 世界中が平和で、歌があふれることを祈りながら…IN TERRA PAX

湾岸戦争、東西ベルリンの壁の崩壊、と時代が大きく変わりつつあった1994
年、合唱コンクール高校の部の課題曲として書かれたこの曲には、様々な対
立と破壊をはらむ時代への警鐘と共に、「希望」という作曲者・新実徳英の
強い願いが込められている。

聞こえる

さとうきび畑

終戦を目前にした1945年3月26日、沖縄の慶良間列島に米軍が上陸し、沖縄
は国内で唯一の住民を巻き込んだ地上戦の場となった。米軍に追われて破滅
した村や、集団自決に追い込まれた島もあった。まさに「海からやって来た」
戦争によって、終戦までの約3ヶ月間に9万4千人の住民が犠牲となったとさ
れている。
「あなたの足元に、今も遺骨が埋もれている。」1964年に戦場跡を訪れた作
曲者・寺島尚彦(2004年3月23日没)に語られたこの言葉への衝撃から、沖
縄戦の悲しみを歌った「ざわわ」は生まれた。

混声合唱とピアノのための「祈りの虹」より

怒りとは、殺戮のための道具でしかないあまたの核兵器・通常兵器などに対
する怒り、また、それらを作らしむる人の人を信ずることのできぬ心への怒
りである。そして、願いとは、平和への願い、人類の浄化への願いである。
音そのものは、どんな思想も語りはしないが、言葉と結びついた時、ある確
かな力を発揮する。その力が、より大きな結実へ向かわせるものであること
を、今、切実に願っている。         「新美徳英作品集U」より

レクイエム(Op.48)

「レクイエム」の楽曲は近代的な調感覚と和声法に基づきながら、中世カト
リック教会音楽の伝統−二声間の応答体、独唱と合唱との交唱体、カノン技
法など−を忠実に踏襲している。
一方、楽曲の構成は従来のレクイエムとは大きく異なる。まずモーツァルト
やヴェルディなどが大掛かりな劇的表現を見せる「Dies Irae(怒りの日)」
を、フォーレは 節度を保った内省的なものとしている。また、「Benedic-
tus」に代えて「Pie Jesu(ああ、イエスよ)」を配置する。 さらに>柩(ひ
つぎ)が墓地に運ばれる際に歌われる「In Paradisum(楽園にて)」を最後
に挿入し、安息を求め救済と浄化を願う敬虔な祈りで、この「レクイエム」
を結んでいる。
初演は1888年1月6日マドレーヌ教会でフォーレ自身の指揮のもと行な
われた。また、1924年、フォーレ自身の死に際しても、同じ教会で演奏
されている。

G.フォーレ(フランス、1845〜1924)

カトリックの伝統が深く根付いていた南フランスの小都市パミエで生まれた
フォーレは、幼いときからオルガンやグレゴリオ聖歌、ルネサンス期の合唱
音楽といった古典宗教音楽の教育を受けて育った。
また、32才でパリのマドレーヌ教会のオルガニスト兼楽長となり、カトリ
ック教会との関わりは密接であった。
1885年7月に父を失い、またその2年後に母の死を迎えたことが、この
死者のためのミサ曲「レクイエム」をかかせる動機のひとつとなったであろ
うことは推測できる。

X AGNUS DEI
W PIE JESU
V SANCTUS
T INTROIT et KYRIE
GABRIEL FAURE

REQUIEM Op.48

第3ステージ

Z IN PARADISUM
Y LIBERA ME

指揮 : 松阪 康久

ピアノ : 松阪 香織

ピアノ・オルガン : 松阪 香織

指揮 : 松阪 康久

ソプラノ : 森下美登利

指揮 : 松阪 康久

オルガン : 松阪 香織

バリトン : 石原 祐介

管弦楽 : アンサンブルM

 岩間 芳樹 作詞
 新実 徳英 作曲
寺島 尚彦 作詞・作曲
新実 徳英 作曲
津田 定雄 作詞
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