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公務員給与と
『人事委員会勧告(人勧)』実施について
公務員給与の改定時期を迎えたが、地方財政の現況からして完全実施が可能だろうか?府民感情との整合性は...。
 長引く景気の低迷は、あらゆる分野の商工業者に多大の影響をあたえ庶民の生活を圧迫するに至っている。このような危機的な状況に対して政府は10月21日の「緊急国民経済対策」に続いて11月14日に第二次経済対策を決定した。考えてみると一ヵ月も経たないうちに「第二次対策」というのも妙なものだが、中身は規制緩和の前倒しと光フアィバー網の全国整備の早期実現や、民間資金を活用しての土地の先行取得促進、田園住宅構想の実現など、『何を今更!』の感がしなくもない。

 景気対策に従来型の財政出動が効果を上げないというのは過去の事例から判らなくもないが、さりとて今回示されたような対策が本当に効果があるのか、大きな疑問である。ではどうすれば良いのかは大変難しい命題だが、不況の影響は商工業者のみならず地方自治体でも大変な財政危機に直面しており、来年度予算編成が可能かどうかの議論までされているのである。

 こんな時期に、国、地方ともに公務員の給与改定が話題になっているが、昨年からの経過を踏まえ人勧と公務員給与に関して見解を述べておきたい。

 人事院勧告(地方自治体は人事委員会勧告)は公務員が労働基本権の制約をうけていることに対する代替措置として官民の給与を均衡させるために給与改定の勧告をする制度である。毎年年度当初から始められた調査の結果が10月の中旬頃に示され、国、地方ともに12月の議会で議論されるのであるが、昨年の12月府議会で自民党府議団は、人勧制度は尊重するが、財政窮迫を理由として各種の使用料、手数料の値上げを府民にお願いしていることから、4月に遡及して支給することは府民感情に馴染まないと指摘し、12月以降の値上げとすべきであると主張した。ところが自民党を除く総ての会派は府民感情よりも組合の主張に配慮し「人勧」の完全実施を主張し自民党府議団の主張は退けられたのである。

 官民の給与を均衡させることの必要性は理解できるが、民間企業では今日の大不況を乗り切るために、かなり強引なリストラを断行し減量化に努めている事実があることを忘れてはならない。公務員の場合も早期退職勧奨制度はあるにはあるが、民間との比較では問題にならないことは誰しもが知っているところである。

 更に加えて府の職員の場合は、給料は下がるが退職後のある期間は外郭団体などで再雇用が慣行として行われており、この点だけを捉えてみても官民の逆格差がある。

 苦しいだろうが、ある意味では未曾有の財政危機を乗り切るために「痛みを分かち合う」対応が今日の公務員に求められているのではないだろうか。

 自民党府議会議員団は現時点ではこの件に関して党議決定はしていないが、昨年の時よりも厳しい対応が求められている事実からして人勧の凍結も視野に入れた議論の必要性を痛感しているところである。

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