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平成10年2月定例府議会
平成10年度大阪府予算決まる
予算総額
3兆4,767億円
一般会計
2兆8,765億円
特別会計
6,001億円

 大阪府議会は会期を三日間延長して3月23日閉幕しました。超緊縮財政のなかで、コスモ議案取下げ、老人医療関連議案は予算の一部を修正をしたのち可決成立しました。
 平成10年度の予算は何とかやり繰りしたものの、次年度は見通しが立たず、財政破綻から大阪府をどう立ち直らせるかをめぐり今後の対応が注目されています。
 大阪府の歳入は、長引く景気の低迷で府税収入が落ち込み、単年度の財源不足額は3,118億円におよびました。そこで特定目的基金からの借入919億円、土地開発公社などに対する貸付金償還741億、地方交付税を前年度の倍額800億円計上し、さらに財政健全化債は後年度につけが残りますから借金と言わねばなりません。

 なぜこれほどの財政危機を迎えたのかは幾度となく報告しましたが、最大の原因はバブル崩壊以前と比べて法人二税(法人府民税と事業税)が40%と落ち込んでいるからです。地方自治体の財政力を示す数字に「経常収支比率」がありますが、大阪府は税収よりも義務的な経費が上回っていることを示す102%となっているのです。
 直ちに税収が伸びる程の景気回復が期待できないので、次年度は4,000億円規模の歳入不足が見込まれ、このまま推移すれば赤字再建団体に転落する可能性があります。

 そこで、大阪府は本年2月に「財政健全化プログラム」を発表しました。健全化のための取組の一例を記しますと、

10年間で一般行政部門で1,500人(10年度を含む)、教員単独加配の全廃で2,200人の削減
24カ月普通昇給の停止
建設事業の府単独分は50%カット
国庫補助事業10%削減
市町村補助金を廃止
市町村振興補助金(病院補助分を含む)の全廃

 等々、市町村にとっては死活問題ですから猛烈な反対論議が起きるでしょうが、これほどの荒療治をしなければ大阪府そのものが破綻するのです。

 私はあらゆる機会を通じて「昨日と今日とは違い、明日も違う」「過去の経験則だけで物事を推し量れない」「新しい時代」だと言い続けていましたが、いよいよ切羽詰まるところまできました。

 大阪府財政が今日に至ったのは数々の原因がありますが、国の地方財政計画に欠陥があることは紛れのない事実です。

三セク(第3セクター)破綻をめぐる

地方自治体の責任とは?

 泉佐野コスモの処理案がその後方的透明性を求めて「調停」の申立をし、2月に調停案の骨子が示されました。調停案の概要は、府が130億余円で土地を買い取ること、府の貸付金70億円の債権放棄、開発インターの負担金を解決金の名目で6億円支払うというものでした。この調停案をめぐり、厳しい財政状況の中でなぜそこまでしなければならないのかと大変な議論となりました。

 本来は財政事情と、果たすべき行政責任は別次元で論議されるべき論点ですが、このままでは調停案秘訣は歴然であり、自民党府議団は泉佐野コスモの今日に至る経緯に鑑みて、府も応分の責任を果たさねばならないと考え、再調停の申し入れを主張しました。いずれ、再調停の結果が示されますが、こんな時期に過去の清算とは言え、多額の府費の持ち出しが府民感情に沿うものかどうかをめぐり根強い反対意見もあります。が、さりとてそのまま放っておくことは許されず、三セクの破綻処理のリーディングケースだけに、府議会の見識を示すためにも筋を通した対応をしなければ・・と考えています。

進む高齢化のなかで新しい福祉施策を探る

 老人医療費補助制度の改正は国の制度の70歳以上医療費無料を、府は65歳から実施していますが、財政上の問題に加えて人口構造の変化や高齢者の健康増進のための施策に見直すものです。
 主な改正点は、現在助成を受けている人はそのまま助成を受けることが出来ますが、新しい対象者を市町村民税非課税の低所得者に限定したことです。
 福祉の切捨だと議論もありましたが、時代の変化に伴い施策も見直すべきであり、見直しの拒否は改革を否定することになりかねず、自民党は実施時期を市町村に配慮して3ヶ月繰り下げを提案しました。

 見直しで新しく実施されるものは、全部で31項目におよびます。その主なものは下記の通りです。

? 四十歳から毎年健康診断が受けられる「健やかドック」
? 介護の民間団体を支援する「街角デイハウス支援」
? 施設入所者に対するインフルエンザワクチン接種への助成
? かかりつけ医、薬局の普及
? 二十四時間ホームヘルプサービスの推進、訪問看護ステーション、在宅給食サービスへの助成拡充、空き教室の福祉活動のための予算措置

などの新規施策を実施することとなっています。

  

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