明けましておめでとうございます。皆さまにはご健勝にて新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年一年間は世紀末の混乱が具体的な形で私たちの前に立ちはだかり、何が起きるかわからない混迷の年でした。これらの一連の流れは、従来からの経験則では推し量れない新しい時代の出現と受け止めねばならないでしょうが、それでも戸惑いと混乱は随所に感じました。
ノストラダムスの大予言では今年は人類が滅亡する年だそうですが、自然界の営みに抗することはできなくても、人間社会の営みで改革改善すべきことは臆せずに全部やり遂げるべき時だと思います。
新しい時代を創り出す「産みの苦しみ」を乗り越えてこそ新しい時代が到来します。人間が作ったがんじがらめのシステムに縛られ呻吟している姿は忍従の美徳でもなく、ましてや道徳規範でもありません。思い切った発想の転換による新しいシステムの構築こそが必要であると思います。
=行政に新しいシステムの導入を=
身近な流れの中でもずいぶんと変化が感じられます。価格破壊に始まり、業際破壊へと進み、新しい流通システムが出現しつつあります。金融ビックバンもその典型的な例でありますが、何故か我々は横並びの感覚や従来のしきたりから抜け出すことにためらい勝ちであります。
最近の自治体はかつてない危機的な財政状況にありますが、依然として行財政のシステムには前例慣習が大手を振って闊歩している傾向が目につきます。
その反面、日本発の世界恐慌を防ぐためとはいえ、最近の財政運営は「何でもあり」の様相を呈するに至りました。金融不安を一日も早く閉塞させるために30兆円の公的資金の投入や、消費と景気浮揚のために大幅減税を含む24兆円の大盤振る舞い等々、その財源はすべて赤字国債で問題の先送りでしかありません。327兆円に及ぶ国債発行残高は誰が始末するのだろうかを考えると憂鬱な気分にさせられます。
ここまでくれば従来型の行政システムそのものを抜本的に作り替える作業が必要だと思います。
具体的に何をなすべきかが最大の問題点でありますが、まず行政が担うべき範囲の徹底的なチェックが必要であります。
「小さな政府」と良く言われますが、省庁の再編や地方自治体における部局の再編統合もさることながら、自治体の破綻を防ぐために、まず公務員の雇用関係と給与体系の抜本改革が必要だと考えます。
労使交渉でも昨年末に大きな変化がありました。
今日までの労使協議の中身は越年資金闘争に代表されるように、いくら積み上げるかが争点でありました。ところが、年末に神奈川県職組が徹夜の交渉をして決めましたのは職員のボーナスカットでありました。部長職30パーセント、その他の管理職10パーセント、一般職は3〜8パーセントカットがそれであります。
山口県が後に続く決定をしました。
労働組合との協議がアップではなくカット幅が話題であることは大変な様変わりであります。
このように、あらゆる場面で従来とは全く違う対応が次々に出現しています。
=自治体におけるリストラは可能か=
民間における過酷とも思えるリストラに対して公務員はどんな対応が可能かを考えてみますと、法律の定めでほとんど何もできません。
公務員の身分に関する法的な立場がどうなっているのかは承知をしていますが、法律改正を含めて行政のあらゆる分野に独立行政法人制度(エージェンシー制度)の導入や民間委託の一層の促進、学校や役所の統廃合など、血反吐を吐く思いを乗り越えて断行すべきであります。
「親方、日の丸」と言われた時代は完全に終わりました。
しかし「親方」の破綻は何としても防がねばなりません。
=12月定例府議会を顧みて=
昨年の12月定例府議会では公立高校入学金値上げ案が満場一致で否決されました。
5,500円を45,000円に値上げしようとする案でしたが、8倍の値上げ幅には確かに問題はありましたが、学校管理費の逐年増加に対する対応や情報促進のためのコンピューター導入費が否決されたことは、教育の将来を考えると若干問題であります。
値上げ幅の入り口の部分だけで議会は拒否をしましたが、それなら老人医療費助成に関する所得制限強化は何だったのか、特別職や議員のボーナスカットは何だったのかと言わねばなりません。
前者は、財政対応もさることながら、年齢構造の急激な変化に対する対応と、給付型よりも健康増進型への施策転換であり、後者は自治体破綻を防ぐための財政対応であった筈です。
財政再建プログラムの当初対応でつまずいたことがこれからの府政運営上大きな問題であると憂慮しています。
ちなみに私は私学助成との絡みもあり、府立高校の入学金は35,000円位の値上げをお願いし、これを突破口として再建プログラムの具体化を進めるべきが大阪府のとるべき対応ではないかと考えていました。
この件についてはかなり時間をかけて議論をしましたが、この不況の中で府民に負担を強いるのは忍びないというのが議会内の圧倒的な意見でした。
誰しも値上げは喜びませんが、自治体破綻を防ぎ生き残るためにもっと真剣に考え行動すべき時期に来ていると思うのです。
12月定例府議会は終わりましたが、2月に開催される定例府議会での新年度予算をめぐる議論如何によっては議会の見識が問われると思うのですが、同じ次元で府民の選択も大事な局面にさしかかっていると思います。
今年は統一地方選挙が施行される年です。繰り返し主張してきました通り、主権者におもねる対応よりも自らの信ずるところに従った本音の議論を勇気を持って披瀝し主権者の理解を求める努力が一番大切な時だと考えています。
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