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長引く景気の低迷は各方面に多大の間題を引起し、文字通り世紀末の混乱が感じられる昨今であるが、その中で大阪の経済的落ち込みが一段と激しく厳しいのは何によるものかを検証してみると、大まかにいって3つほど理由が浮かんでくる。
この結果、
このような状態から脱して大阪経済を蘇生させねばならないが、大阪府の商工部〔現在は商工労働部〕が今日までどのような取組をしてきたのかを眺めてみたい。 |
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大阪府の取組について平成12年3月定例府議会の商工農林常任委員会で私が質問した内容を中心に紹介したい。
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まず12年度大阪府の商工関係予算を眺めてみると、 予算総額1,920億余円 内訳は、
以上の数字が示すとおり、予算総額の実に89%弱が貸付金となっている。 大阪府の商工行政とは何なのかを数字で見てみると融資でしかないことがハッキリと読み取れる。 このことを本年3月の定例府議会で改めて指摘をしたら、商工部長は答弁の中で、『数字が示す割合については事実だが、本来商工施策は基本的には中小企業者なり事業者の自助努力が前提であり、自助努力を促す意味で融資という形を取って施策を進めている』『制度目的に従った融資制度を構築して中小企業者を支援してきた』と答弁していた。 さらに、予算総額からして具体の振興策を導入できないのではないかとの思いから、私の方から『仮定の話ながら、商工部の予算を現在の倍に増やせば、まずどんな施策をやりたいと考えているか』と質間をしたところ、部長は『現在の予算総額をすべて一般財源にして事業を展開したとしても、やることはそんなに大きく違わないと僕は考えています。要するに施策として中小企業振興なり産業振興を考えるときに、やはりべ一スは産業界なり中小企業自身がどれだけ頑張るか、その頑張りをどう引出していくかというのが基本である。・・・予算がたくさんあれば効果が上がるという形ではなかろうかと考えている』との答弁があった。 これらのやりとりを通じて感じたことは、産業振興策は事業者の自助努力が基本であることは言われるまでもないが、残念ながら大阪府としての景気浮揚策の具体例や産業構造の転換を積極的に誘導してきた事実関係が見えないことと、十分な予算があったとしても「やることは大して違わない・・」と発言されていたが、正直な答弁とはいえ聞く側にとっては「どういうことなのだ」との思いとともに府県としての商工振興策のむつかしさを感じさせられた一幕であった。 |
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府の商工振興施策を振り返ってみると、
等がある。 具体的には「府立産業技術研究所」「関西特許情報センタ一 」「フォレックス・注(1)」「国際会議場」の建設整備などいろんな施策を打ってきてはいるが、大阪府のみならずわが国を取り巻く経済環境は大きく様変わりをしており、産業構造の転換を誘導する必要性は日増しに高まっている。 参考までに大阪府として扱ったものを記すと、
土木部はトンネルの継ぎ目の点検作業の委託と文化財の発掘調査、環境農林部は風倒木搬出処理委託事業が主なもの、商工部は協同組合の実態と二一ズ調査事業、大阪ええとこ発掘事業、企業立地促進事業調査、ベンチャービジネス・ナビゲーター派遣事業などである。 |
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大阪経済の落ち込みと府としての施策展開のあり方を考えるために、3月定例府議会での一幕を紹介してきたが、自助努力が肝要であるとされている企業者の動きにも問題はあるが、経済界のトップの動きについてもどうにも理解しがたい点がある。
理解し難い点だけではなく、ご存じないことを間違って堂々と発言しておられる事実も指摘をしておきたい。 具体的な問題発言を指摘する前に、若干古い話ではあるが知事選挙の際の対応についても触れておきたい。 今年の3月に突然の知事辞任を受けて出直しの知事選挙が行われた。 昨年の知事選挙で前任者の知名度が抜群であったことなどから共産党以外のすべての政党は知事選に対する対応を見送った。いわば不戦敗であったが、その知事が歴史に残る不祥事で辞任し新しい知事を選任することになった。 私たち府議会議員団は、今度こそは我々はもとより府民が納得する知事選対応をしなければならないとの思いから知事候捕の選考に入ったが、結果はご存じのとおり太田房江氏を自公保プラス民で擁立することが決められた。自民党大阪府連所属の地方議員は選考経過に納得できず党本部とは異なる独自の対応を決議し選挙戦に入った。 ご記憶であろうが選挙は勿論、政治に関する関与の仕方として従来はなかったことであるが「関経連」が「連合」に呼びかけて両者が中核となり政党に呼びかけ、反共産勢力を結集する形で知事選挙の体制がとられたのである。 経過については仄聞情報でしかないが、関経連の秋山会長が極めて積極的に動かれたのは氏の独断専行である筈はなく自民党本部筋は勿論のこと府連所属の一部の代議士がそのことを要請したからであろう。しかし党首脳と府連の代議士との連絡の不徹底と府連内部への不作為的な連絡の無さというふざけた対応によって混乱が引き起こされたことは、秋山氏にとっても迷惑な話であった筈だ。 時の府連会長の対応は、結果的にはトンでもない混乱を引き起こす原因となりその責任は重大であるが、ここで大変残念に思うことは、府知事を決めるのだから大阪府議会の意向はどうであるのかを関経連があれ程のアクションを起こされる前に何故リサーチされなかったのかという点である。 地方分権がどうであるとかの理屈以前の問題として誰が知事になられても府議会との意志疎通に問題があれば円滑な府政運営がむつかしい位のことは誰にだってわかる筈だ。それとも関経連の人達は府議会の党派別議席構成すらご存じないのだろうか。 秋山氏にすれば、府連会長が言ってきたのだから自民党府連全体がその意向だと考えた、と言われるだろうがこの認識が間違いだったのである。 地方議員といえどもそれぞれの地域の代表を自認する政治家の集団であり議員同志の意志疎通のむつかしさや団としての意思決定のむつかしさはお判りにならないだろうが、知事選挙に関する意思決定は見事なまでに統一されたものであった。 複数少数の不協和音があったことは事実だが、選挙費用を議員自身が拠出してまで独自選挙をやろうと決議していたことは後になってお判りになったはずだ。この際に明確にお伝えしておきたい。 良い悪いとは別の次元で現実の問題として府連所属の府市会議員は決して大阪選出の代議士に隷属しているのではなく、大阪のために陳情することや同志として統一行動をすることは当然ながらしばしばあるが、大阪府としての政策判断や政治判断をする場合は地方議員は主体的に行うのである。党本部が何と言おうとも大阪は大阪としての対応をする事実を今回の知事選挙でハッキリお判りになったと思うが、このあたりのことがお判りになっていなかったのが残念である。 もっとも経済界から疎まれている府議会議員側にもその責任が皆無とはいわないが、地方議員とは接触を持とうともしない以前からの財界の体質が最大の問題点だと思うのは身勝手な言い分だろうか。それとも秋山氏をはじめ経済界の方は知事とだけ接触を持たれることで地方行政に対する対応が万全とでも思っておられるのだろうか。 大きな組織を束ねる立場の人なら、また、選挙にあれ程の関わりを持たれるのなら、特定の人間の意向だけを受けて使い走り的に事をするのではなく、それなりのスタッフをお持ちであろうから、何故スタッフを使ってでも府議会の意向のリサーチをされなかったのか残念でならない。 そんなことをしているほど暇はないとおっしゃるのなら選挙などにあれほど関わりを持たれるべきではない。選挙の結果は秋山氏が推された現知事が勝利されたが、これからの府政運営が肝心なのである。自民党府議団は選挙の結果を厳粛に受け止め、知事に対しては、与野党の仕分けをするのではなく是々非々を貫き大阪の蘇生を目指して対応していくが、支援団体が、擁立した知事だからとて甘やかす雰囲気があるとすれば双方に対して率直な物言いをこれからも続けていきたいと考えている。 |
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意思疎通に関して相手ばかりを攻められないとは思うが、もともと大阪の経済界は地方議員の存在を全く意識することなく軽視している傾向が以前からある。古い話としてではなく現在もこれからもあり続けることだろう。
外形標準課税に関して銀行業界は当然、府議会議員との接触を頻繁に持つべくアプローチされていたし、我々も誠意を尽くしてお会いすることもした。大阪商工会議所の事務局も慌てふためいた対応をしていたが、今まで平時に一度でも府議会議員に接触を持とうとしたことがあったのかどうか自問されるとよい。しかし、銀行業界だけのこととお考えのためか、知事選挙には極めて積極的であった関経連の方々は何のアクションも起こされなかったのはむしろ見事であった。 その関経連の秋山会長が知事選挙後に雑誌のインタビューに答える形で発表された大阪経済の疲弊の原因に関する氏の見解を読んでびっくり仰天した。大阪府の行政に問題があるとするならば、もっと積極的に府の理事者や我々議員に意見を言われるべきであるのに、何もおっしやらずにご自分の写真入の記事で、よくもあれほどトンチンカンなことを言われるものだと呆れ返った。 問題の記事を紹介しよう。 |
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秋山氏が言われる「黒田府政以来、工場追い出し政策を徹底的にやった」事実は全くない。氏が言われる「工場立地制限法」に関して若干補足説明をするために法律の制定過程をたどってみると、
昭和34年「工場立地の調査等に関する法律」 〃 38年「近畿圏整備法」 〃 39年「近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律」 〃 39年「近畿圏の既成市街地における工場等の制限に関する法律」 →工場制限法と呼ばれているもの 〃 47年「工場再配置促進法」 〃 48年「工場立地法」が改定施行された 平成10年「新産業創出促進法」 以上の如く数多くの法律が制定されてきた。 これらの法律の趣旨は均衡ある国土の発展のために過度の集中を排除しようとするものであるが、これによって大阪経済が具体にどのような影響を受けたかを検証してみると、確かに工場の拡張等の際に制約を受けるケースはあったが府外への移転の理由は地価の高さ、用地確保のむつかしさなどの理由と労働力確保の観点にも影響されるものが多かった。 府外への転出に止まらず、生産拠点を海外に求めるケースなどはその典型的な例であり、工場制限法が府外への転出の一要因ではあるが、秋山氏が言われるように工場制限法を受けて更に府条例をつくり「工場追い出し政策を徹底的に行った」ことは一度もなく、文字通り事実無根である。知事の誕生に大きく関わりを持たれ、これ程までに産業政策にご意見をお持ちであるのなら、「工場再配置促進法」は通産省所管の法律であり、法律の趣旨の進行管理として1972年に制定をし2000年を目標年度として、移転促進地域の工業出荷額の対全国シェアーをl8%から11%程度に減少させる計画となっていることこそ問題にすべきである。 2000年と言えば今年(平成12年)である。法律の趣旨からすれば大阪の産業空洞化を推進しようとする通産省から知事を迎えて、従来から行ってもいない大阪の施策にケチをつけてどうするのか。確かに太平洋ベルトラインにあらゆるものが集積していることは国土の均衡ある発展の観点からは問題である。しかし、我々は大阪の人間として大阪府議会議員として、こんなぶざけた国の施策を黙って見逃すことはできない。勿論太田知事にも大阪の知事として国の施策に問題があるとすれば出身がどこであれ大阪のために頑張ることを強く求めて行くが、経済団体こそこんな主張をすべきではないのか。さらに、「大阪の人間を」と主張したことに対して秋山氏は次のように主張されているが・・・
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我々は「大阪生まれでなければだめ」とは決して考えていないことを申し添えておきたい。
ましてやモンロー主義など考えてもいないことを。 おっしゃる通り大阪を愛していることが大前提で、そのためには大阪に縁があり、大阪をよりよく理解している人、大阪に骨を埋めようと考えている人であることが望ましいと考えているだけなのだ。 ある日突然大阪に来られても、地理的には狭山池がどこにあり、どんな機能を持つものなのか、鴻池新田がどこにあるのか等が大阪と縁の薄い人には改めて勉強しなければわからない筈である。 大阪以外の土地で育たれても昭和30年から今日まで関電を通じて大阪と共に歩まれた秋山氏を「他所者」とは決して思ってはいない。生まれや育った場所ではなく、セクショナリズムとしてではなく大阪のために今何をなすべきかを真剣に考え、そのために軋礫を恐れず堂々と体を張る気概のある人が望ましいだけである。 勝手な理屈とお笑いかもしれないが、地方行政に係わる者には多少の地域エゴ的な感覚は許されるのではないだろうか。 「日本のため」を考えることも大事ではあるが、先ず「大阪のため」を考える知事であって欲しいのである。 中央の意向ばかりを気にするような人や団体など大阪にとって大した役に立たないのではないだろうか・・・・。 |
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