松室猛のTMニ水会定例講演・資料

 平成19年11 戻る




朝鮮半島における諸問題を、南北問題としてのみ捉えるのは間違いである。
57年前の朝鮮戦争を顧みるまでもなく、この地域は地政学的に周辺諸国の利害が交差する戦略的に大きな意味を持つ地域であり、よりグローバルに捉える必要がある。最近、北の核開発が発覚し緊張が高まっているが、分断国家、韓国、北朝鮮とはどんな国なのかを検証し、これからどうなるのか考えてみたい。

朝鮮民主主義人民共和国のあらまし
金日成(キム・イルソン)とはどんな人物か
1912年4月生まれとされている金日成は、南満州で中国共産党が指導する東北抗日軍で朝鮮人パルチザン部隊を率い反日抗戦を続けていた。金日成は中国から越境して朝鮮の普天堡(ポチョンボ)の町に夜襲をかけ成功したことで抗日パルチザンの英雄となった。
日本軍は大規模な掃討作戦を展開し、金日成は討伐を避けソ連に越境退却した。一時期スパイ容疑でソ連に監禁されたが釈放され、金日成部隊はソ連極東軍傘下の第88特別旅団に編入され第一大隊長(大尉)となった。
1945年にソ連軍が38度線以北を占領したが、北朝鮮地域で樹立すべきと考えていた共産党の指導者として、スターリンが金日成を指名した。
45年8月にソ連から元山港に帰国した金日成を迎えた民衆は、抗日戦線で
永年戦ったわりには若過ぎるので大変驚いたようである。
(一説には今まで金日成と言われていたのは金成柱と言われる男で、パルチザンの英雄の金日成とすりかわった別人だとも言われている)
金日成はスターリン型の政治手法を用いて政治的ライバルを次々に粛清し、
1948年9月9日、 朝鮮民主主義人民共和国政府樹立を宣言した。
1972年12月に新憲法を公布し国家主席となった金日成は、1977年に国家の公式指導理念をマルクス・レーニン主義から「主体思想・チュチェ」に変更した。

「主体思想」とは
金日成と側近が編み出した指導理念で、およそ次のような理念である。
自分の運命の主は自分自身であり、自分の運命を開拓するのも自分である。
民族は自主的でなければならず、革命と建設の主人公は人民大衆である。
大衆は必ず首領の指導を受けねばならない。首領の権威は絶対的であり、全ての人民大衆は無条件に従わねばならない。肉体的な生命は生みの親が与えるが、政治的な生命は首領が与えるもので、首領は生命の恩人であり父と同じである。従って、首領を代えることはできない。全人民は、団結して無条件に忠誠を捧げなければならない。
この文章文だけを読むと短絡的であるが、「主体思想」とはこのように首領に対する絶対服従を定め、この思想は普遍であると規定している。

二代目の金正日(キム・ジョンビル)と後継者問題
金日成の長男である金正日は建国以来2代目の国家最高権力者となった。
1942年2月、公式には白頭山生まれの65歳と言われているが、金日成の活動時期からして朝鮮生まれである筈はなく、ソ連極東地区軍事キャンプで生まれたものと思われる。
金正日は国防委員会委員長・共和国元帥・朝鮮労働党総書記の肩書を持ち、国家主席、元首などの肩書きはないが実質的な元首であり将軍様と呼ばれている。
最近は病気説が流れ、一時期かなり重病だといわれていただけに後継問題に関して、いろんな噂が取り沙汰されている。

金正日の後継者と目される者でハッキリしているだけで3人の息子がいる。

金正男(キム・ジョンナム・金正日の長男) 母は成恵琳(ソン・ヘリム)
金正哲(キム・ジョンチョル・金正日の次男)母は高英姫(コ・ヨンヒ)
金正雲(キム・ジョンウン・金正日の三男) 母は高英姫

金英淑(キム・ヨンスク)は正妻であるが、娘の金雪松(キム・ソルソン)はいるが息子はいない。

金正男の生母、成恵琳の夫はイ・ピョン(当時、金日成総合大学の研究者)であり、舅は作家同盟委員長の李箕永である。金正日が自分の息子の嫁を強奪したことで、これに抗議し生涯絶筆した。成恵琳は娘がいるが、夫との生活が順調でなく映画女優として活躍していたとき金正日が彼女を妻とし金正男が産まれたが、この事実を金日成や周囲の者に隠していた。成恵琳は金日成に息子の嫁として正式に認められることを望んだが金正日は、その経過からしてこれが出来なかった。
金正男が三歳なった頃、金正日は金日成が定めた女性・金英淑(正妻)と結婚したが、高英姫など他にも複数の女性がいる。
高英姫は金正日の愛妾で、喜び組のダンサーであった。
高英姫は在日朝鮮人・高泰文の娘で鶴橋生まれである。幼い頃に日本から父母と共に北へ帰った。高泰文は北朝鮮柔道の創始者であると言われている。
現在、金正日が最も慈しむ息子は高英姫が生んだ金正哲だと言われている。

成恵琳は金日成に認められないことから神経衰弱になりロシアに亡命し療養中で、愛妾の高英姫は死亡したので、正妻の娘である金雪松が金正日の身の回りの世話をすると共に「側近」としてかなりの影響力を持っに至った。しかし、男尊女卑の儒教思想からして表舞台に出ることはないのではないか。

金正男の不法入国と後継者問題
後継者の筆頭と思われていた金正男は2001年5月、成田空港で不法入国で拘束された。なぜ拘束されたのかについて憶測が流れていた。一説には後継者から脱落することを願う勢力がリークしたと言うもので、金正哲・金正雲の母の高英姫の筋ではないかとの噂もある。

後継問題に関して、共産主義国家が世襲で国家代表を決めることなど許されないことだが、親族に後継させないと前政権に対する批判を防げないことから世襲にならざるを得ないのである。北朝鮮は現政権が特異であり過ぎるから、その後継問題は大変重要な問題なのである。

情報閉鎖国家の典型例
北朝鮮が実効支配している国土面積は(38度線以北)日本の約3分の1程度で、人口は2,300万人位といわれている。国家予算の詳細は公表されていないが、重村智計氏によれば約4000億円位(この数字には疑問がある)ではないかとのことだが、大阪府の年間予算が約3兆円であることと比較すれば日本の過疎県以下の規模でしかない。
朝鮮のGNI(一人当たりの総生産額)は韓国銀行の推計によると914ドルとのことである。因みに韓国は24,200ドル、日本は38,980ドル(2005年)であり比較にならない規模である。

その国がミサイルを持ち核開発をすれば国民生活がどうなるかは一目瞭然で、国民は飢えに苦しみ惨憺たる状態であることは想像に難くない。

朝鮮は何故、内部崩壊しないのか
どの資料をひもといても経済的には破綻を通り越す惨憺たる状況で、毎年推定100万人の餓死者を出していながら軍備の増強を続け、遂に核開発をするようになった国が、どうして崩壊しないのか、不思議な国である。
政治体制は、一党独裁ならまだしも個人独裁国家であり、こんな国が存在すること自体が不思議だが、そのためには徹底した思想教育と洗脳が大きな力となっている。偉大なる指導者に逆らうことは直ちに死につながることを意味し、鉄の統制と徹底的な監視による締め付けがそれらを支えている。

軍によるクーデターの可能性は
北朝鮮の軍備のあらましは、27師団100万人、予備軍役700万人といわれ、舟艇690隻、航空機590機とされているが、韓国軍が69万人であることを思えば如何にその数が多いかがわかる。
金正日は先軍主義と言われる軍隊第一主義を貫いているが、この軍隊が反旗を翻すことは無いのかとの疑問が生じるが、金日成の母親の一族であるカン・ミョンドが韓国に亡命して書いた「北朝鮮の最大機密」で明らかにされたところによると1992年にクーデター計画が発覚し多くの軍関係者が処刑されている。
それ以降、軍幹部達は24時間体制の監視下に置かれるようになった。
このクーデター計画の起こりは、北朝鮮軍のエリートは軍幹部や戦死した英雄の子弟あるが、同じ世代の金正日の学生時代を良く知っており、能力もなく、あんな遊び好きの男が指導者であることや、うその伝説に我慢がならず、世襲で権力を握る封建的なやり方に対する反発であった。

毎年4月25日に朝鮮人民軍創建記念日に軍事パレードを行なっているが、ミサイルは姿を見せるが、戦車や装甲車を一切参加させないのはクーデターに利用される危険性があるためだ。
暗殺計画も3件あったそうだが、金正日はクーデターと暗殺を極度に恐れ、現在わかっているだけで4人の影武者をおいている。しかし、人民軍には、「野戦軍人」と「政治軍人」の2種類の軍人がおり、監視を仕事とする政治軍人は、その他の軍人との待遇に差があり、これが対立の火種になる可能性は皆無ではなさそうだ。

東西冷戦終結後に崩壊の危機が4回あった

第1回目  旧ソ連と東欧諸国の相次ぐ崩壊の時。
第2回目  金日成死去・大規模水害による食糧危機の時。
これを救ったのは金大中の「太陽政策」であった。

第3回目 

湾岸戦争の時に先代ブッシュによる軍事施設へのピンポイント攻撃を目撃し、金正日が震え上がった時。
これを救ったのはクリントンの命を受けたカーターの訪朝による融和策であった。

第4回目 

2005年以降のアメリカによる金融制裁の時。
中・韓が6カ国協議に支障が生じるとして反対し、2007年3月19日に解除した。

韓国が北朝鮮を支える理由(経済的理由)
北朝鮮が崩壊し統一されれば韓国社会が混乱するからだとする説が有力である。
失業者、ホームレスの急増で韓国民の生活水準は現在の半分、もしくは3分の1になる危険性がある。韓国の人口4,500万人、北朝鮮2,300万人だから、単純計算では韓国人2人が北朝鮮の1人を養うことになる。
韓国のGDIは約24,200ドル、北朝鮮は約1.000ドルであることから、南北の統一は理想ではあるが、直ぐに統一すれば経済的に大変なことになるので崩壊を防ぐための支援をせざるを得ないとする説である。

北朝鮮を支えるもう一つの理由(政治的理由)
北の核実験に際して盧武絃(ノムヒョン)大統領は、「我々を狙ったものではない」と言い、北朝鮮は「核は7千万民族の財産である」と韓国にアピールした。
しかし、北の核実験を契機に韓国内には盧武絃の融和政策は失敗であったとの世論が広がり支持率は10%台にまで落ち込んだ。現在の韓国の政権は親北の左翼政権であるが、国内では非常に評判が悪く、今年の年末に大統領選挙が行なわれるが与党が敗北するのではないかと言われている。もし野党が勝利すれば金大中、盧武絃が逮捕される可能性があることから、何としても12月の大統領選挙を勝たねばならないのである。
そこで盧武絃は、金大中前大統領が訪朝して脚光を浴びノーベル平和賞を受賞したことから、同じように金正日との会談を目論んだのである。

外貨獲得のために、なりふり構わない金正日は、金大中との会談の際に面会料を要求し、5億ドルがBDA(バンコ,デルタ,アジア)に振り込まれたことが確認されている。
盧武絃の面会予定が、かなりずれ込んだのは、北の水害だけが理由ではなく金融制裁のために決済できなかったからだと言われている。
一説にはこの度の面会料は10億ドルともいわれている。しかし考えてみると北朝鮮にしても韓国の野党ハンナラ党が勝利すれば困る筈であるが、金正日のしたたかさが窺える対応である。今回の訪朝は盧武絃の起死回生策であったが、果たして成功したと言えるのであろうか。

金大中が訪朝したときは、金正日とお互いに抱き合って挨拶をしていたが、今回の盧武絃のときは金正日は片手で握手をするだけであった。
金大中から太陽政策を引継いだ盧武絃政権だけでも北に対して3兆9700億ウオン(約33,5億ドル)の経済支援をしている。
この支援が民生費に回っているのなら良いのだが、ほとんどは軍需費に回されているのが問題である。

韓国大統領選挙の情勢
韓国の大統領選挙は与党のウリ党が盧武絃の不人気などが原因で離合集散を繰り返し、現在では民主新党と称する政党が与党を形成しているが、鄭東泳(チョン・ドンヨン)が民主新党の大統領候補になった。一方、野党ハンナラ党の大統領候補は、現代建設社長で国会議員として党の要職を歴任した元ソウル市長の李明博(リ・ミョンパク)だが、選挙は彼が優勢だと伝えられている。
彼は大阪の平野区生まれで、日本名は月山明博だった。朴正煕政権時、日韓基本条約締結の際、高麗大学生会長として日韓会談反対闘争を主導し逮捕された。最高裁で懲役3年執行猶予5年の判決を受けており、このことから朴正熙の娘で同じハンナラ党次期大統領候補であった朴槿恵(パク・クネ)に対し敵愾心を抱いていると言われていた。
一方で、無所属の文国現(ムン・グクヒヨン)が支持を広げているようである。選挙が始まる前から大統領がハンナラ党候補の発言に対して名誉毀損で告訴したり、李明博の経済活動に対する疑惑などをめぐり告発合戦が展開されており、何が起きるかわからない混沌とした選挙情勢となっている。

ハンナラ党前代表の朴槿恵は、昨年5月20日、ソウル市長選応援の遊説中に暴漢に襲われ、カッターナイフで顔を10センチ切られ、60針縫う被害にあった。この事件を盧武鉉大統領の支持団体から「60針を縫ったのは整形手術」という声が挙がったが、それが逆に反感を呼び、統一地方選挙ではハンナラ党を地滑り的勝利に導いた。
この結果、同じハンナラ党の李明博に次ぐ次期大統領選の有力候補としての地位を固めた。ハンナラ党代表を辞任し、党内予備選挙への出馬を正式に表明したが、2007年8月20日、党大会での予備選挙では李明博に敗れた。

12月19日が大統領選挙の投票日だが、韓国は「風の政治」といわれるように、まだまだ、何が起きるかわからない状況である。

中国が北朝鮮を支える理由
中国は隣国が民主化されることが自国に及ぼす影響が大きいことと、北朝鮮に米・韓との緩衝地帯としての役割を果させようとの意図があるようだ。
また、北京オリンピックを控えて中国は国境を接する北朝鮮が崩壊し、混乱することを避けねばならないからだ。
今回の6カ国協議から感じられることは、米中関係の中で、アジアに関する主導権を確保する上で北朝鮮は都合の良い材料であり、中国は、金正日を核もろともコントロールすることでアジアにおける主導権を確保し、アメリカに対する影響力を高めたい意向があるようだ。
また、北朝鮮の未開発の地下資源に対する利権にも中国は注目している。

アメリカが融和政策に転じた理由
何故アメリカがこれほど弱腰になったのかは、アメリカにおける政治の流れ、すなわち大統領を取り巻く選挙情勢が原因である。
ブッシュの共和党は中間選挙で敗北したが、その理由はイラク戦争の泥沼化、ベトナム化が批判されたためで、北朝鮮にまで手が廻らなくなり、9,11の時点ではブッシュは北朝鮮のことを「悪の枢軸」「テロ支援国家」と決め付けていたが、2期目に入った頃から急に融和政策を主張するようになった。
イラク及び中東には石油資源があり、アメリカにとって放置できない利権があるが北朝鮮にはそれらしきものが何もないから、さほど真剣に取り組まなくなってきた。日本が拉致問題などで協力を求めても、協力を約しつつも、それほど積極的でないのはこの辺りの事情によるものだ。
そんなことから北朝鮮問題を中国に丸投げしている状態となった。
韓国があれほど援助をしているのに北朝鮮は変わらないし、6カ国協議は核廃絶どころか核実験まで許してしまった。
国連の制裁決議すら中・韓は無視し、中国・韓国・ロシアまでが金正日を見捨てない意思を示すに至った。その結果アメリカはお手上げとなり、核さえ放棄すれば良いと、金正日政権の存在を容認するが如きありさまとなった。

アメリカも韓国と同様に、現政権の選挙情勢によって北東アジア問題が大きく変化しているのである。
こんな状況から北朝鮮が崩壊しそうで崩壊しないのは、次の6つの要素によるものといえそうだ。

(1) 中・韓が崩壊を望まない
(2) 儒教的価値観が体制を支えている
(3) 徹底した弾圧でクーデターを防いでいる
(4) 徹底した秘密警察の取り締まり
(5) 金大中・盧武絃の太陽政策
(6)アメリカの選挙情勢からくる融和政策
金正日が先軍政策を掲げ、要求が受け入れられないなら交渉決裂や武力衝突を辞さない態度をちらつかせる、いわゆる“瀬戸際外交”を展開しているが、後述するが、現在の北朝鮮にはその力は無いとする見方の方が正しいようだ。

北朝鮮の核開発について

北の核開発と6カ国協議を年表にすれば下記のようになる。
1985年12月 北朝鮮はNTP(核拡散防止条約)に加盟
1992年1月  IAEA(国際原子力機構)と協定署名
1993年2月 IAEAが北朝鮮に特別査察の受け入れを要求。同年3月NPTからの脱退を通告するが、米・朝共同声明でNPT脱退の発効停止を宣言
1994年6月 カーター訪朝、米朝枠組み合意、軽水炉の供与を決定
2002年1月 ブッシュが「悪の枢軸」「テロ支援国家」と発言
10月 ウラン濃縮による核兵器計画の存在を認める
2003年1月 NPTからの脱退を宣言
4月 核兵器の所有をアメリカに伝える
7月 アメリカが北朝鮮による再処理の開始を確認
      8月 第1回6カ国協議
2004年2月 第2回6カ国協議・北が核兵器計画放棄の意思表明
6月 第3回6カ国協議・米が核放棄確約を条件に燃料供与などを提案
2005年2月 北核兵器保有と6カ国協議参加の無期限中断を宣言
2006年12月 中国の斡旋により6カ国協議に復帰
2007年2月 6カ国協議で核凍結を決定

北朝鮮が核保有に固執する理由
北朝鮮は石油が無いから核開発に踏み切ったと見るべきだろう。また、韓国の軍事費は、北のGNPより大きいが、こんな状況のなかで北朝鮮が韓国に吸収されないために、あるいは体制が崩れるのを防ぐために核兵器がどうしても必要だと思い込んでいるのだろう。

核開発には二通りある。プルトニューム型と濃縮ウラン型であるが、前者は原子炉と再処理施設が必要であり、ウラン型は特殊な遠心分離機が必要である。北朝鮮の核施設は後者で、遠心分離機の部品や素材のアルミニューム管をパキスタンから輸入したのが発覚した際、北はあっさりとその事実を認め、それによって核開発を準備していることが発覚した。
北朝鮮とパキスタンの関係は、パキスタンにはミサイルの製造技術がなく、北朝鮮のミサイルとパキスタンの核技術及び濃縮ウランがバーターで取引されているようである。
北朝鮮は既に長崎型の原爆を1〜2個を持っているだろうと推測されている。
しかし、核兵器は輸送手段がなければ、さしたる意味を持たない。
近代戦争では5トン爆弾を爆撃機に搭載して空爆する時代ではないからである。従ってミサイルに搭載できる小型化が必須要件であるが、まだそこまで進んでいないようだ。
北朝鮮が核を持つことの脅威は言うまでもないが、北が直接使用する危険性よりもテロ集団に渡ることが最も恐ろしいのである。

北はすでにミサイルを輸出しており、それらに加えて、覚せい剤、偽タバコ、偽ドルまで印刷し、悪の限りを尽くしている。日本に入っている覚せい剤の3〜40%は北朝鮮製である。

北朝鮮の核実験は成功したのか
1996年10月に北朝鮮は核実験を強行したが、この実験についてアメリカ,ロシア,中国はともに失敗だったと断定している。

しかし、核実験を行なった国は、すべて核兵器を持っていること、アメリカは今まで核保有国を攻撃したことがないことなどを根拠に、核こそが生き残る道と確信しているようだ。
イラクのフセインは、核は持っていないと言ったから攻撃されたと言われており、北朝鮮はこのことを念頭に核開発を急ぎ、核の傘を自らで構築しようと考えているのであろう。

6カ国協議とは何か
北朝鮮は当初韓国を相手に「朝鮮半島非核化宣言」をしていたが、その話し合いを、より多くの見返りを求めるべくアメリカとの直接交渉を強く願っていた。
しかし、アメリカは度重なる約束不履行やイラン情勢の緊迫化などから、直接対話ではなく中国に仲介させるべく「6カ国協議」を立ち上げたのである。
6カ国協議はこうして始まったのであるが、北朝鮮の核開発阻止が目的ではあったが、崩壊しても不思議でない北朝鮮を孤立させず、暴発を避けるためとの大義名分とは別に、北朝鮮を媒体として影響力や主導権をめぐる関係諸国の思惑が働き6カ国協議が続けられた。

6カ国協議における中国の出方にはこのことを感じさせる動きが随所にある。
昨年12月に1年半ぶりに6カ国協議に北朝鮮を呼び戻したのは中国であり、その功績を評価する声があるが、金融制裁で北朝鮮をかなりのところまで追い込んだが、6カ国協議に支障をきたすとの理由で解除を迫ったのは他ならぬ中国であった。
このことを知ってか知らずか、北朝鮮は追い詰められると恫喝して逃げる、絶妙の外交テクニックを駆使して関係国を引きずり回している。

金融制裁をめぐる動き
金融制裁は3月19日に全面解除されたが、さすがにアメリカの財務省は条件をつけた。北朝鮮のBDAに預けられている資金は偽ドルや 麻薬取引、武器取引などのアングラマネーが大半であるため、アメリカ国内の銀行に対してBDAとの取引の中止を命じた。この処置は諸外国の銀行には発せられず、国内対応でしかなかったが、金融界を実質的に掌握している米財務局のこの通達は世界中に広がりBDAとの取引は事実上出来なくなったのである。慌てたのは北朝鮮で、またぞろ文句を言い約束履行を遅らせたが、ブッシュの命令で米財務省は受け入れ先の銀行に中国銀行を指定することで妥協した。ところが中国銀行はその受け入れを強く渋り最初は拒否したが、世界中の金融界を掌握しているアメリカに対して、受入れても制裁がないことの保証を求めた結果、制裁が実質的に解除となったのである。
この間にアメリカ国務省と財務省で激烈な議論が戦わされていた。外交を担当する国務省は、国内政治情勢に対する対応のため結論を急いだが、財務省は金融犯罪であるマネーロンダリングを断じて許してはならないと主張していた。
また一方、アメリカのマスコミ、ワシントンポストは「アメリカが持つ数少ない非軍事的影響力として大変効果がある金融制裁を放棄することで、なぜ北朝鮮がより真剣に核問題を議論することになるのか、理解しがたい」と昨年暮れに報じていた。

大変効果があった金融制裁を解除して本年2月14日に協議は1年半ぶりに一段落したが、6カ国協議が最重要視した北朝鮮の核開発については、「核施設の稼動停止」「IAEAの査察受け入れ」「寧辺以外の核施設の申告」を義務付けたが、核兵器廃絶の文言や核施設の廃棄の文言はどこにも見当たらない。
ここで重要なことは、核廃絶ではなく核施設の無能力化である事だ。無能力化と廃絶とは同じではないことを6カ国はどう考えているのだろうか。
結論を急ぎ過ぎたアメリカは、中・朝の連携による高度な外交テクニックに翻弄れたとしか言いようがない。

北朝鮮暴発の可能性
北朝鮮には戦争遂行能力はないと言われている。
なぜなら戦争には石油が大量に必要だが、北朝鮮が輸入している石油量は年間精々150万トンである。
アメリカを始め関係諸国から石油の援助を受けているが、戦争になればこれらは当然ストップする。民生用を除けば軍が使えるのはおよそ50万トン位ではないかと言われている。これでは到底戦争は出来ない。
因みに日本の自衛隊は平時でも年間150万トンの石油を使っている。

北朝鮮は「ノドン」と「テポドン」のミサイルを持っているが、このミサイルの射程距離は500〜1000キロ位だからテポドンは射程距離が長いので日本を飛び越える。日本に届くのはノドンだが、現時点では通常爆弾しか搭載できないようだ。
もし日本にノドンを1発打ち込めば在日米軍は日米安保に基づき直ちに反撃するし、自衛隊も反撃することになるだろう。恐らく現時点ではノドンに搭載できるのは通常爆弾だろうから被害は大したことはないが反撃側の誘導ミサイルは精度が高く金正日のいるところへピンポイントの攻撃をするだろう。だから簡単にノドンなどは発射できない筈だ。日本へのゲリラ攻撃や陸戦での戦いは輸送能力からして不可能だろう。
陸続きの韓国へは北朝鮮の地下トンネルから雨のようにミサイルを撃ち込むことは可能だろうが、こちらも在韓米軍が反撃するのみならず韓国軍は総決起するだろう。それでも瞬間的に数万人が死傷することになるだろう。
北朝鮮が陸戦とゲリラ戦だけで戦うなら兵力からして互角以上に戦えるだろうが、そんな戦争ゴッコのような戦いなどあり得ない。詰まるところ北朝鮮が暴発することは完全なる自殺行為であるだけに、あり得ないのではないか。

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北朝鮮の歴史に見る日本の対応
日本はどう対処してきたのか
かつて日本の言論界は韓国の李承晩や朴正熙のことを独裁者と言っていた。
確かに李承晩は反共・反日の凝り固まりで、内政において独善的かつ独裁的であったし、朴正熙は軍事政権で経済振興を最優先に掲げ民生を圧迫した点で独裁的強権政治家であったが、北朝鮮の金日成のことを独裁とは言わなかった。それどころか、1981年3月、当時の社会党飛鳥田一雄委員長は訪朝し金日成との共同声明で「米帝国主義糾弾」「朴正熙追放」と語り、北べったりというより北の指示に従った声明を発していたのである。
北朝鮮の反体制派を強制収容している事実を知りながら誰も目を向けなかった。帰国した在日朝鮮人が抑圧されていることも同じであり、拉致問題すら社会党は認めようとせず韓国国家安全企画部の捏造だと言っていたのである。

北朝鮮のテロ行為
わが国に対する最大のテロ行為は拉致であるが、この件は後述する。
1983年10月にビルマのラングーン(現在の地名はミャンマー・ヤンゴン)で全斗煥大統領を暗殺しようとしたテロ事件が勃発した。大統領は難を逃れたが17名の死者を出した「ラングーン爆弾テロ事件」や、1987年11月の「大韓航空機爆破事件」も韓国の捏造だとし真実を追求しようとしなかった。
大韓航空機爆破事件は、バーレーンで飛行機を降りた日本のパスポートを持った峰谷真一、真由美の親子を取調べた結果、偽造パスポートであることが判明し、本名金賢姫(キム・ヒョニ)と言う北朝鮮工作員であることが判明した。
裁判の結果、死刑判決を受けたが、北の計画である事実をすべて語り釈放された。それでも北朝鮮のテロ行為に対して日本の言論界はさしたる反応を示さなかった。
永年にわたり朝鮮労働党と友好関係にあった日本社会党は、朝鮮問題の窓口は社会党だと大見得を切っていた。「拉致」は韓国のでっち上げで、ある筈がないと言い続けていた元社会党委員長の土井たか子は金正日が拉致を認めた時点で初めて自らの不明を謝罪したが、こんな政党が消滅するのは当たり前である。

金正男の不正入国と日本政府の対応
金正日はこれまでに正式入国を含め何十回となく日本に入国しているが、なぜ偽造パスポートで入国しようとしたのか分からないままであるが、分からないのは日本側が調べないからである。
一番許しがたいことは、この事件に対する日本側の対応である。
成田空港で拘束した時に「金正男氏と見られる人物」との表現で特定を避けたのは何故か。断定すると本人も傷がつくし、金正日の体面も保てないとの判断だったようだ。こんなふざけたことがあってよいものだろうか。
入国目的も、東京ディズニーランド見物だなんて誰が信じるものか。
金正男でないのなら、なぜANAの特別機で外務省の審議官が付き添って北京に送り返すのか。不法入国だから拘留して偽造パスポートの入手経路などを徹底的に調べ上げ、北朝鮮に対して照会するなど、然るべき対応をすべきであった筈だ。普段は細かいことを指摘する日本の野党が、何も言わないのは何故だろう。政府ばかりではなく野党の外交音痴ぶりには驚くばかりである。
北朝鮮側から公式の要請も無いのに釈放したのは何故なのか。水面下で要請があったとするなら、拉致被害者と交換するくらいのことを何故言わなかったのか。超法規的対応としか言いようがないが、そもそも出入国管理は法務省の所管であるが、平沢勝栄衆議院議員によると、当時田中真紀子外相と電話で話した時、彼女は大慌てしていて、直ぐに送り返せと喚いていたとのことであった。小泉総理と田中真紀子外相をはじめ官邸筋が動かなければこんな芸当は出来ないはずだ。
なぜ日本外交はこれほど間抜けたことをするのか、腹立たしい限りである。
こんな事をしているから諸外国から、主権を主張しない珍しい国として嘲られ馬鹿にされるのである。

先進諸国で、もしこのような事件が発生すれば空港で拘束するのではなく、入国させ、何をするのかを徹底的に尾行し写真は勿論のこと盗聴録音などのすべての諜報活動を展開するのが常道である。
また、こんな事案は外務省や官邸筋ではなく警察庁と公安調査庁が行なうべきである。アメリカならCIAがやるのが普通であるが、前述のごとく外務省が慌てふためき、官邸(小泉総理)が、こんな決済をしたのは「過ち以外の何もの」でもない。

拉致問題に対する対応
森総理は「拉致はない。行方不明者なら調べる」と言われ、ブレア首相との会談の際に有本憲子さんを第3国に出して解決しようとし、ひんしゅく買った。
2002年9月17日、小泉純一郎首相は日朝首脳会談の席で、拉致被害者13人全員の安否情報を要求した。今まで北朝鮮が行なったテロ事件について一切認めなかった金正日は、この時初めて日本人13人を拉致したことを認め、口頭で謝罪した。
小泉総理は13人全員の安否情報を要求したが、何故か全員の帰国を要請しなかった。 それに対し北朝鮮側は5人生存、8人死亡と報告した。
小泉総理は5人の生存を確認した時点でも連れて帰ると主張せず、北朝鮮が主張した本人達の自由意志に任せるとの主張を受け入れた。しかし、拉致問題は完全な主権侵害、人権侵害だから本人の意志に任せる問題ではない。ましてや完璧な洗脳と言論統制をしているから本人の自由意志などある筈がない。
それなのに小泉は、2国間の懸案を解決するために国交正常化へ努力することを記した「日朝平壌宣言」を発表した。
じっくりと考えてみると、小泉訪朝で5人が帰ってきたのは大きな前進であるが、主権国家としての対応としては「おかしい点」が余りにも多過ぎた。

現時点で警察庁に届けられている行方不明者は全国で8万人いるが、果たして北にどれくらい拉致されたかは依然不明なのである。
福田総理は拉致問題は自分が解決すると言明しているが、拉致問題の解決とは、どの時点で解決とするつもりなのか、この問題は時間の制約があることを忘れてはならない。
余談だが拉致は北朝鮮だけでなく韓国も拉致を行なっている。
35年前の1973年8月8日に大統領選挙に敗れ、東京のホテル・グランドパレス2212号室に滞在していた金大中をKCIAが拉致した。
拉致にいたる経緯は、朴大統領と選挙戦を戦って9万票差まで迫った金大中を排除しようとしてトラックを衝突させる事故を装う事件が起こった。腰骨を折る重傷を負ったため、外国に逃れていたのを拉致したのであった。

アメリカのCIAは、非合法ではあるが拉致だけでなく、政権転覆のために非政府系に資金援助をしたり、時には暗殺のために人を送り込んでいる噂まであるが、良し悪しは別として諸外国では国益を守るためなら何でもするのである。
日本では考えられないが、国益を守る気概の希薄さは嘆かわしい限りである。

大韓民国のあらまし
大韓民国成立後の歴史は、憲法による政体の相違によって7つの時代に区分される。国家体制を定める憲法は、建国直前の1948年7月に最初の憲法を採択して以来、9回の改憲を経て現在に至っている。
特に、国家体制を大きく変えた5回の改憲は韓国政体の歴史的な一区切りとされ、それぞれの時期の憲法は第1から第6憲法と呼ばれている。
各憲法に基づいて構成されていた政体も、第1から第6共和国と呼んでいる。
現在の憲法は第6共和国憲法と呼ばれ、1987年10月に採択された。
この憲法は5年毎の直接選挙による大統領の選出を定め、大統領の再選禁止なども盛り込まれており、韓国憲政史上最も民主的な体制を規定した内容とされている。

朝鮮半島を巡る南北の動き

1948年8月15日

、大韓民国樹立を宣言−大統領 李承晩
親米、反共、反日路線

1948年9月9日 朝鮮民主主義人民共和国建国宣言−金日成主席
個人独裁政権で南北統一を模索
1950年6月25日

、朝鮮戦争勃発

1953年7月27日

、休戦協定調印。

1988年 盧泰愚大統領の時代から民主化路線が始まり、社会主義諸国との国交を回復し、韓国・北朝鮮が国連に同時加盟した。
1993年 金泳三大統領が文民政治家として登場
1998年 金大中の登場によって、反共路線から親北政策へ転換(太陽政策)
2003年 盧武絃大統領の就任以降、親北・反日政策が一層顕著となる

どうなる、これからの朝鮮半島
韓国では今年の12月19日に大統領選挙が執行される。
金大中・盧武絃の流れを継承する大統領、すなわち旧ウリ党系が当選すれば親北政策は続くだろうが、野党のハンナラ党候補が勝利すれば太陽政策はかなり変化し後退することになるだろう。
泥仕合の如き様相の大統領選挙の流れを変えるためには、朴槿恵(パク・クネ)と李明博(リ・ミョンパク)が名実ともに手を組んで戦うことである。
そうなれば与党候補の鄭東泳(チョン・ドンヨン)は無所属の文国現(ムン・グクヒヨン)と合体する可能性はある。

彼女は予備選の段階で李明博の経済人時代の活動に疑惑があると鋭い批判を浴びせており、民主新党と手を組んでいるのではないかと噂されるほどであったが、彼女に対する支持層を巻き込めれば勝利する確立は高まるだろう。
彼女は予備選敗退後、李明博支持を表明しているが、皮肉にも彼女が指摘した疑惑が告発合戦にまで至っており選挙戦は流動的だ。

月刊朝鮮編集委員の趙甲済(チョウ・カプチョ)は最近の世論調査で、金正日・盧武絃会談は左派候補を有利にできなかったと語り、簡単に言えば李候補が死亡しない限り彼の当選を防ぐ方法はないだろうと語っている。(産経11/5)

しかし、韓国大統領選挙の結果、多少流れが変わったとしても南北の統一などは到底考えられないが、同一民族なるが故に支援を打ち切ることも出来ないし、その支援が北の民生向上に役立たねば個人独裁体制を増長させることになり、ジレンマが付きまとうだろう。
この点については日本も同じで、アジアに平和と安定をもたらすためには、従来以上に日本がリーダーシップを発揮すべきだろうが、日本のこの種の問題に関する対応は、情けない話だが「謝罪と経済援助」くらいだろう。
北朝鮮との間の戦後処理に関して財産請求権の問題はあるが、賠償は朝鮮と日本とは戦争状態ではなかったので支払う必要はないし、戦後の補償などはまったく関係のない話である。しかし、そのこととは別に莫大な経済支援をすることになるだろう。そのカネが生かされるなら良いが、仮に正常化が進んだとしても、この国の政治体制が改革されねば意味のないものになるだろう。

日朝正常化はアジアの安定と平和につなげるために必要なことは理解できるが、きちんとした条件を示し、それを北朝鮮が実践することが大前提である。
これほど約束を反故にする国はないだけに、もし約束したとしても信用できな
いではないか。

ではどうすれば良いのか
北の体制が変わることを待つことである。
金正日の健康がすぐれない事は世界中に知れ渡っているが、後継政権が集団指導体制などを含め新しい体制になれば新しい局面が期待されるだろう。
このように考えてくると北朝鮮との融和や正常化などは、急いで進める必要性がないと思えてならない。

しかし、ブッシュ、ライス、ヒルのトリオは、この先さらに日本の頭越しに北朝鮮と急接近するだろう。
11月4日の新聞報道によれば北朝鮮は、テロ犯人をかくまうことはテロ支援国家の指定を受けることになるから、「よど号乗っ取り犯人」を帰国させるようだが、こんな些細なことより日本の悲願である拉致家族問題の解決がなければ指定をはずさないと、なぜアメリカは言わないのだろうか。
アメリカがテロ支援国家の指定を取り消すのは時間の問題のような気がしてならない。それどころか、もっと大胆な予測をすれば、核封鎖だけで北朝鮮を国家承認する危険性がある。

そうなれば日本は、その必要がないのに、慌てて国交正常化に向かって進むことになりそうな予感がする。

いずれにしろ、日本と言う国が主権国家として、明確に主権を主張し、国益を重んじる当たり前の対応をすることが重要である。

韓国の政変(大統領選挙)に期待することは、盧武絃が制定した「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」の扱いである。(2004年3月2日制定)
この法律の旧名は「日帝強制占領下親日反民族行為の真相糾明に関する特別法」であるが日本との外交関係に配慮し、「親日」が外されたが、何が外交上の配慮か。韓国がいまだにこんな法律を新しく作る国であることを我々は忘れてはならない。

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国内政治情勢について思うこと

衆・参捩れ現象に加え、不祥事が相次ぐわが国の政治政情は混沌としているが、11月1日でテロ対策特措法(給油関連法)は時間切れとなった。
新法を粛々と衆院で審議を進めて参院に送り、否決されれば差し戻して再可決すれば良いのである。
それが出来ないというのなら、何をかいわんやで、解散総選挙しかないではないか。参院選では惨敗したが、この問題が重要だというのなら、堂々とこの問題で民意を問えばよいのである。

福田・小沢の党首会談が二回行なわれたが、どちらが仕掛けたかなどは大した問題ではないが、なぜこの時機に大連立の話が出てくるのか。
唯一つ言えることは、自衛隊の海外派遣に関する「恒久法」に関して、自・民が基本的に歩み寄れる雰囲気になったようだが、それなら、それを契機に政策協議に入ればよいのであって、直ちに大連立とは話が唐突に過ぎる。
話の過程で公明党との連立は維持するといったそうだが、それなら、まさしく大政翼賛会である。その場にいない者にも、こんな話が実現する筈がないことはわかり切っているではないか。
現在の自公連立でもそうだが、技術論的に連立は選挙の際の候補者調整が至難であり、特に大連立の場合は現行選挙制度を根本的に改正する覚悟をしなければ容易に出来るものではない。

この稿を執筆中に、突然小沢一郎辞任のニュースが飛び込んできた。
何を考えているのか! 訳の分からない出来事に驚くとともに、先の安倍総理の突然の辞任劇が脳裏を駆けめぐった。
大事な時期に、突然辞任するのが流行っているようだが、前回の辞任劇もふざけていたが、今回の辞任も筋の通らない陳腐なものであると思った。
小沢一郎の辞任会見や、その後の話を総合すると、福田康夫が呼びかけた大連立構想を党内に持ち帰り役員会に諮ったところ、全員が反対をしたので自分に対する不信任と捉え辞任することにしたと言うが、語るに落ちる話である。
それなら小沢は大連立を肯定していたことになるが、民主党の中で小沢一郎ただ一人が、どう考えても現時点では不可能な大連立を考えていたことになり、彼の政治感覚は完全にズレており、党首としての資質は無いと思わざるを得ない。
福田首相から持ちかけられたことになっているようだが、福田はこの点に関して微妙な物言いをしているが、そんなことより小沢がマスコミの報道を強く批判していたのは何を意味するのだろうか。
彼は党代表でありながら、党内での話し合いの重要性やコンセンサスの醸成をいかに軽んじていたかが窺われ、所詮は独りよがりで傲慢な裸の王様だと思った。

またまたニュースが飛び込んできた。辞任を撤回するとのことだが、そんなことをしたって党内における求心力は失せ、不協和音が高まることは必至である。そうなれば小沢は、13人か17人かは分からないが小沢信奉者を引き連れて離党するような気がしてならない。
この時機が来るのか、来ないのか、大いに興味と関心のあるところである

民主党の茶番劇によって自民党が国会運営の主導権を握ったかに見えるが、もう一つ気がかりなことは防衛省の不祥事である。
証人喚問を聞いていたが接待漬けは認めていたが、山田洋行への便宜供与は無いと明言していたが、どうもこのままで終りそうにない。
日本の防衛予算は5兆円で、装備費だけで1兆5千億円である。
装備品の購入に際して昨年度は75%が随意契約で、一昨年、一昨昨年は共に100%であることが明らかにされたが、もしこの防衛費関連で疑惑が明るみにでれば政権崩壊は避けられないだろう。

半島情勢も気がかりだが、自民党も民主党ももう少し主権国家として真っ当な政治運営をしてもらわねば諸外国から疎んじられるだけでなく、一番迷惑するのは「国民」であることを忘れないで欲しいと、心底思う昨今である。

(文中敬称略)
平成19年11月
松 室  猛
参考文献

北朝鮮問題を整理する5ファイル 西岡力・他
凍土の共和国   金元祚
ならず者国家は、なぜ生き残ったのか 黄民基
最新・北朝鮮データブック 重村智計
北朝鮮はなぜ潰れないのか 重村智計
日朝関係と六者協議 日朝国交促進国民協会
外務省HP.Wikipedia・他



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