平成19年3月 戻る
パート ( 1 ) 金融新時代 上海発、世界同時株安によって株価が激変したが、なぜ中国株の動きが世界経済にこれほどの影響を及ぼしたのかについてそれぞれのアナリストが論評しているが、どれを読んでも明確な解答が得られない。そこで、これほどの問題に答えを出すことなど出来ないが、どんな要因があったのかを検証し、極めて雑駁であるが新聞紙上に現れているこの問題の基本的な流れと論点を整理し理解を深める作業をすることにした。 デリバティブとは何か デリバティブとは伝統的な金融取引から相場変動によるリスクを回避するために開発された金融商品の総称で、日本では金融派生商品という意味で使われている。一説にはNASAの科学者が開発した商品ともいわれている。 円キャリートレードとは何か 日本通貨の円安と低金利が続いていたので世界中の投資家が日本で資金を調達し金利の高い国の通貨を買う行動に出た結果、スワップにより稼ぐ者が多く出た。このような金利差で儲けるシステムを金利スワップという。 このことが示すように一国の通貨だけが低金利であれば金利の高い国の通貨で投資又は預金をすれば、その金利差で儲ける取引のことを言う。 為替証拠金取引・FX(Forex)とは何か マネーゲームともいえる資金運用に為替の証拠金取引がある。 証拠金を積むことによりその何倍かまでの外国通貨を買うことが出来るシステムで、少ない投資で大きな取引が出来るメリットがあるが、為替差損が生じた場合は買った金額×差損分が損失となるので差益が出た時も大きいが差損が出るのも大きい取引である。 証拠金取引の実例 買う通貨の時価によって証拠金率が決められている。 Ex 米ドルの場合は 4.8パーセント 具体的には米ドルを10万ドル@120円、Nドルを@80円で購入すると仮定すれば 120円×10万ドル=1千2百万円×4.8%、すなわち57万6千円の保証金で10万ドルを購入することができ、Nドルの場合は、80円×10万ドル=8百万円×6% 、48万円で購入できるのである。 この様に小額の保証金で多額の外貨を購入し為替変動により利益を得るシステムである。 こんな形で金融が動いていることも知っておく必要がある。 上海発世界同時株安の原因は 中国の証券市場では2年で4倍になる株の高騰が続いていたが現在開会中の全人代の会議において株式取引課税導入の噂が飛び、利益確定売りなどの売りが始まった。 多少は株価は戻したが、2月には18,000円台にまで上げていた日本の株は1週間ほどで パート (2) 選挙の年 今年は選挙の年で3月末から都知事選などを含む統一地方選挙が始まり7月の参議院選挙へとつながっていくが、3月初旬の時点で大阪府議会議員選挙の候補者数を調べてみれば例年に無く候補者数の減少傾向が顕著で、無投票選挙区がかなり出そうな状況である。 地方議会の特徴 (二元代表制) 地方議会は衆議院と異なり執行権者である首長も議員も直接選挙で選ぶシステムとなっており、これを二元代表制というが、首長と議会の支持基盤が異なる事態が多発している。 地方議員の評価が定まらないのは何故か 地方議会が機能していない、議員は何をしているのだ、議員の数が多すぎるとの声は大きいし議員の資質を問う意見が多いが、この原因の中には選出基盤と民意にも大きな問題がある。その原因の一つに地方議会議員の選挙区は総体的にみて狭い範囲で人口に比例した議員を選出するが、それだけに極めて個人的な魅力や人脈で選挙が行なわれる傾向が強い。換言すれば議員としての資質を問うことより、好き嫌いなどの情緒的判断で選ばれることが多い。だから議員を目指す者は政治家としての勉強などをしようとせず、ひたすら地元民との接触やお世辞、サービスに憂き身をやつす傾向が出てくるのである。その結果ひどい例としては本会議よりも地元のお葬式を優先するなどのふざけた議員を生んでいるのである。 こんな形で選ばれてきた議員は執行権者である首長にすり寄り選挙地盤に行政投資を呼び込むことで「力」を誇示し、首長も彼らをうまくコントロールすることで議会運営を図る傾向が強いので、必然的に「馴れ合い」と「癒着」が生じるのである。 首長に問題はないか このシステムの問題点の一つだが、首長が「対話集会」などと称して市民との直接対話を働きかけることが良く行なわれているが、これは首長も直接選挙で選ばれるから当然の対応であり選挙対策の一つでもありそのことを非難できないが、この事が過ぎると代議制民主主義の基本システムを侵しかねない問題を生じるのである。首長が直接地域住民と話し合い行政需要を充足させるのなら議会は予算などの首長提案を議決するだけの権限しか果たせなくなるからである。 議会改革の新しい流れ 最近、改革府県と呼ばれている自治体で二元代表制論が声高にさけばれ、首長と議会は対等であるなどを確認する「議会基本条例」の制定が取り沙汰されているが、今更の感じがしなくはないが、それでもやっとそのことに気づいただけでも一歩前進というべきだろう。北海道の栗山町では理事者の議員に対する「反問権」や、年一回議会主催の「報告会」の開催を義務付けることなどを盛り込んだ「議会基本条例」を制定しているが、こんな動きに対してももっと真摯に検討する議員が身近にいて欲しいものである。 さて、今年は選挙の年であるがこの程度の基本的な事柄すらわかっていない候補者がいるとすれば選挙民はこの時こそ選択権を行使すべきである。 議員および首長を選ぶ際の検討事項 ・先ず議員及び首長たるものは企画立案能力があること。 = 以 上 = |