Otona     2007      No.5
               


■うそつき村と正直村 1■


ある晴れた日、旅人が村にたどり着きました。
その村は「うそつき村」か「正直村」のどちらかであるそうです。
「うそつき村」の人は必ずうそを言い、「正直村」の人は必ず本当のことを言うと言うのです。

旅人はのどがカラカラで水を飲みたいと思ってました。
目の前にある桶の中に水が入っています。  この水は飲めるのでしょうか?
そこで、飲めるかどうか、近くにいた一人の村人に聞いてみました。

「いい天気だね」
「はい」
「この水は飲めるかね?」
「はい」

さて、この水は飲んでいいんでしょうか?

ええ、飲めます。 飲んで大丈夫です。
なぜなら、「ある晴れた日」 に 「いい天気だね」 と聞かれて 「はい」 と答えているから、村人は本当のことを言っています。
つまり、その村は「正直村」であったのです。
したがって、桶の中の水は飲めるということなのです。

では、旅人が村にたどり着いたとき、その村は「うそつき村」か「正直村」か、その村の住人にたった1つだけ質問をして、「うそつき村」か「正直村」かを言い当てねばならないとすると、なんと質問すればよいでしょうか?
                                         (2007.1)




うそつき村と正直村 2■


先月は、その村の住人にたった1つだけ質問をして、「うそつき村」か「正直村」かを言い当てねばならないとすると、なんと質問すればよいかというところで終わりました。

そのたった1つの質問とは  「あなたは、この村に住んでいますか?」 でいいのです。

その村が「うそつき村」であった場合、 「あなたは、この村に住んでいますか?」 という質問に対して、住人は必ず 「いいえ」 と答えます。
その村が「正直村」であった場合、 「あなたは、この村に住んでいますか?」 という質問に対して、住人は必ず 「はい」 と答えます。
つまり、 「あなたは、この村に住んでいますか?」 という質問に対する答が 「いいえ」 であればそこは「うそつき村」であり、 「はい」 であればそこは「正直村」ということになります。

「うそつき村と正直村」のような問題のルーツは、遠く紀元前6世紀までさかのぼるそうです。
その頃、クレタ島の詩人で予言者であったエピメニデスは、「クレタ人は皆うそつきである」と言ったのです。
ところで、エピメニデスもクレタ人です。
ということは、エピメニデスもうそつきであり、「クレタ人は皆うそつきである」も、うそということになり、エピメニデスはうそつきでないと・・・・・・・・・

これが循環論法的「パラドクス」の始まりと言われています。
パラドクス(Paradox)とは逆説、逆理、邪論などと訳されています。
1つの学問が完成しかかった時、それに難くせをつけて「ゆさぶり」をかけるのがパラドクスの特徴といえます。
けれど、そのお陰で理論が純化され完全なものに仕上げられるというのも興味深いです。
                                                  
                                         (2007.2)




■水晶かトランプか■


受験シーズン、残すは3月のみとなりました。
すでに高校、大学の合格通知を受け取った人もたくさんいることでしょう。
良かったですね。  CONGRATULATION!!
ところで、あっちも受かって、こっちでも受かって、さてさてどちらの学校へ行こうかと、贅沢な悩みの方、ないですかねー

太郎君は努力のかいあって、A高校とB高校の両方に合格しました。
進学先を決めかねた彼は、どちらの高校に進んだ方が前途有望か、将来を占い師にたくすことにしたんです。  (私は、そりゃーないだろうって、言いたいですが)

太郎君が占ってもらう占い師というのが、70%の確率で当たる見料7000円の水晶占い師と、20%の確率で当たる見料2000円のトランプ占い師の二人。
太郎君は、しかし、手元のこづかいはそう多いわけではありません。
コストパフォーマンスを考えた場合、彼はどちらの占い師に見てもらうべきなんでしょう。

私が太郎君の親だったら、5000円出してあげるから確率の高い水晶占いで見てもらったらと言ってるでしょう  (親ばか。 けど、7000円出すとは言わないところが・・・ワカリマス?)

まぁま、そんなことを言ってると算数の問題にならないので、安くて、当たる方法を伝授しましょう。

トランプ占い師の見立てが例えばA高校であった場合、A高校に進学して将来が開ける確率は20%。
これは逆に考えると、B高校に進学して将来がひらける確率は80%ということになります。
したがって、格安の見料2000円で、見料7000円の水晶占い師より高い確率で前途有望な高校を選べることになるのです。   (5000円出すという前に、よく考えるべきでした)
                                          (2007.3)




■当選のボーダーライン■


4月8日東京都知事選。
ある新聞には百花繚乱?なんて言葉が舞ってました。
現職の石原都知事、建築家の黒川氏、元宮城県知事の浅野氏、それに・・・・・
元宮城県知事がどうして東京か?と尋ねられ、「日本人だから」は上手いと思いましたね。

今年は選挙の年。 
イノシシ年は何か起こるそうですが。 さて???
今月は、選挙の当選のボーダーラインについて考えてみましょう。

例えば全票数が1万票の3人区(3人が当選する区)に、6人が立候補したとしましょう。
絶対当選するためには最低何票が必要なんでしょうか。

立候補者が3人とすると、無投票で必ず当選できます。

立候補者が4人とすると、2501票以上とれば必ず当選できます。

立候補者が5人になっても、5人目が0票もあり得るので、同じく2501票必要になります。

立候補者が6人になっても、同様に5人目、6人目が0票もあり得るので、やっぱり2501票が必要ということになります。

わかりやすい計算なんですが、何となく化かされているように思いませんか?

さあ、東京都知事はどなたに決るのでしょう。 賭けます? たぶん、また石原さんでしょうか。
私好み?では・・・・・ませんが。
                                          (2007.4)





便利な数え方■


今月30日に神戸市内で陣内智則・藤原紀香夫妻の披露宴とか。
最初、お二人の結婚という話を聞いたとき、ほとんどの人が、「ほんまかいな」 というのが本音だったろうと思います。  経済効果もすごいらしいですね。
人生いろいろ、楽しく面白いと感激?でした。  末永くお幸せに!!

披露宴など大きなホテルでパーティーなどがあると、招待客も1500人とか2000人などという大変な数になります。
1人につき、ナイフ、フォーク、スプーンなどが合計10本必要だとしても、これらの本数はものすごく、1本1本数えていたら手間と時間が大いにかかってしまうことになるでしょう。
あまりの多さに数を間違えることだってあるでしょう。

実は、短時間で簡単に数える方法があります。  その便利な数え方とは?

次のように、「重さ」を利用して本数を決めているのです。
いま、ナイフ1本の重さが48gとすると、1500人分の重さは

                    48×1500=72000(g)

つまり、72kgだから、はかりで72kg分のナイフを量れば、ごくわずかの手間と時間でナイフの用意が出来るというわけです。  10本分の重さを基準にしてもいいですよね。

以前、北海道の面積を求めるのに、「重さを量る」方法での求め方 (2004.9)を取り上げましたが、よく似た考え方です。
本数と重さ、面積と重さ、一見関係なさそうに思える組み合わせで、計算が簡単になるとは。
やはり、頭は使いようなんでしょうか?
                                          (2007.5)





3.14の計算の早ワザ!■


突然ですが、ある中学受験塾の暗記法です。

2×3.14 6.28 2時はムニャムニャまだ眠い
3×3.14 9.42 サンタさんが9時に来る
4×3.14 12.56 4階で12時頃に待ち合わせ
5×3.14 15.7 ゴジラを見にいこぅな
6×3.14 18.84 ローマ字知らない人は恥
7×3.14 21.98 なんと今日は肉や!
8×3.14 25.12 やくざな双子、銃に死す
9×3.14 28.26 くさいぞ、兄やん風呂はいれ
12×3.14 37.68 自由になれない、皆、牢屋
14×3.14 43.96 ジューシーのしみ(取り)苦労する
15×3.14 47.1 囲碁はしない
16×3.14 50.24 いろいろあるけど、これにしい
18×3.14 56.52 18の頃、コツつかむ
24×3.14 75.36 西むく侍とはなんでござろう?
25×3.14 78.5 双子のかたわれ、名はゴン太
36×3.14 113.04 寒くてもいいさ、オッシ
49×3.14 153.86 よくぞこられたイチゴさん、ハロー
64×3.14 200.96 虫の飼育200匹、苦労する
81×3.14 254.34 ハイ! 双子よ、見よ

62×3.14 などの計算は 60×3.14 と 2×3.14 の2つに分ければ、6×3.14=18.84 を利用して
     60×3.14=188.4, 2×3.14=6.28
これをたして求めることができます。
掛算の筆算の必要なしに解くことができるので、計算過程でのミスが減少するということですって。

                                          (2007.6)





■井の中の蛙■


緑の田んぼで、おたまじゃくしがザバザバと派手な音をたてながら元気に泳いでいます。
蛙になるのも、もうすぐ間近。
またまたにぎやかな合唱を子守唄にして、私は眠ることになるでしょう。

カエルのケロ吉は、ただいま深さ10mの井戸の底にいます。
そろそろ井戸から出たくなりまして、準備体操も終わり、井戸登りに挑戦することとなりました。
ケロ吉は、1時間に3m上がって、2mすべり落ちてしまいます。
「あんたも大変ねー」と言われそうですが、ホント、大変です。
で、このケロ吉は、何時間後にこの井戸から出られるでしょうか、というのが今月の問題です。
ただし、すべり落ちるのにかかる時間は無視とします。

単純に計算すると、3m上がって、2mすべり落ちるのですから、1時間に1m上がるということですよね。
深さ10mの井戸ですから10時間後と言いたいところですが・・・・・・

確かに1時間に1m上がるので、7時間後には7m上がってます。
残り3m。
ここでよく考えてみましょう。
この3mは一度に上がることが出来ます。
ということは、8時間で井戸から出られるということになります。

10時間と、8時間じゃえらい差だ。
それに、あと数cm井戸が深かったら、また、2mすべり落ちてたなんて・・・・・・
ケロ吉よ、ちょっきり10mでよかったねー

                                          (2007.7)





■おかしな話■


2人の父親が2人の息子にこづかいを与えました。

1人の父親はその息子に 3000円、もう1人の父親は息子に 1500円を与えました。
2人の息子が貰ったこづかいを数えてみたら、息子2人の所持金は、合わせて3000円?にしかならなかったのです。     4500円のはずですが・・・・・・
どうしてでしょう?

実は、2人の父親と2人の息子は、祖父、父、息子だったのです。
祖父  →    父  →    息子
   3000円    1500円

父は3000円貰いましたが、息子に1500円与えたので、父の所持金は1500円。
だから2人の息子(父と息子)の合計の所持金は、3000円ということになります。

全く話の中身は違いますが、このようなからくりのよく似た話が政治の世界にも、また社会のしくみの一部にもありませんか?

参議院選挙は終わり、自民は歴史的大敗をしました。 でも安倍さんは続投です。
あの方々は私達の生活を本当にご存知なのでしょうか。
時にはワイドショウーなどもご覧頂き、庶民の暮らしを覗いてください。

現実に、年を取るのが怖い世の中になりました。
豊かな老後は夢?  ただただ平均寿命がのびているだけの淋しい老後はツライです。
国民の目線に立った政治をお願いしたい!

なんか今月は選挙後ということもあり、いつもと違う結びとなりました。       
                                         (2007.8)




■インド式計算法■


「脳のトレーニング」として大人の間にも広がっている、インド式計算法。
IT先進国として経済的にも影響力を強めているというインドの状況も「インド式」が注目された背景の一つでしょう。
インド人学校に子供を入学させる日本人も出てきていて、インドの教育への関心が急速に高まっているらしいのですが。
中身はどんなものなのでしょうか。

例題(1) 「89×97」の場合
  「100」から例題の「89」と「97」をそれぞれ引いた「補数」、
  「11」と「3」が「キー数字」です。
  まず準備。    
  「11」と「3」の合計は「14」    これを「100」から引くと「86」
  最後の答えは、
  「86」に「100」をかけた8600に、
  補数「11」×補数「3」の33を足した「8633」という具合。
            (86×100)+(11×3)=8600+33=8633

例題(2)  「47 x 63 」の場合
  十の位の数字どうしをかけて100倍     4×6×100=2400
  外側どうしの数字をかけて10倍        4×3×10=120
  内側どうしの数字をかけて10倍        7×6×10=420
  一の位の数字どうしをかける              7×3=21
  答えは計算した数字を全部たす       2400+120+420+21=2961

例題(1)を例題(2)の方法で計算すると
   (8×9×100)+(8×7×10)+(9×9×10)+9×7
  =7200+560+810+63
  =8010+623=8633
確かに簡単なように思いますが・・・   いかがでしょう? 
                                         (2007.9)





■おまけゲット活用法■


秋は食欲の秋。
ぶどう、なし、柿、みかん、栗・・・・・ 果物もたくさん並びます。
1山いくらなんて、ざるやバケツに入ってよく売ってます。
スーパーではおまけという言葉が少し遠くなりましたが、商店街ではまだまだお店が閉まる直前になるとおまけや値引きをしてくれます。  ここでちょっとおまけについて考えてみましょう。

例えば、1山800円で7個入っている柿があります。
1個おまけしてもらうと8個になり、1個当たりは100円になります。
1割引だと、800円の1割引は720円(800×0.9)で、1個当たり100円を超えてしまいます。
したがって、この場合は1個おまけしてもらう方が得になります。

それでは、おまけしてもらう方が常に得なのか、またちょっとちょっと考えてみましょう。

1山A円で、B個入っている柿があります。
1個おまけしたときの1個の値段は    A/(B+1) 円
1割引きしたときの1個の値段は     0.9A/B 円
A/(B+1)=0.9A/B  として、Bを求めると、 B=9 個

つまり、1山9個だと、1個おまけされても1割引されても単価は変わらず、客にとっては損も得もないということになります。
そして、1山の個数が9個より少ない場合は1個おまけが得、9個より多い場合は1割引が得ということなのです。

これからは必ず1山の個数を確認してはいかがでしょうか。
でも、おまけも値引きも安くなることには何ら変わりません。 
                                       (2007.10)




■おいしい話のウラ話■


「円天市場」で、電子マネー「円天」でお買い物。
先月強制捜査に入った株式会社エル・アンド・ジー。
1年ごとに、預けた金額と同額の円天を受け取ることができるなんて。
そんなおいしい話がいつまでも続くわけがないことを、どうしてわからないのでしょう。
世の中には上手い儲け話は転がっていないのです。

ある会社が2つの内容のダイレクトメールを2万人に送ります。
その内容は、1万人には「A社の株価は絶対上がります」
そして残りの1万人には、「A社の株価は絶対下がります」というもの。

デタラメな情報ですが、株価は上がるか下がるかどちらかなので、どちらかの1万人に送った予想はドンピシャ当たります。
すると、その1万人は「ダイレクトメールの情報は正しかった」と思います。
そこですかさず、予想が当たった1万人の半分の5000人には「B社の株価は絶対上がります」
残りの5000人には「B社の株価は絶対下がります」と書かれたダイレクトメールを送ります。

すると、2回とも正しい予想が書かれていたダイレクトメールを受け取った5000人は、「このダイレクトメールを送った会社の情報は、かなり信頼できる」 と思ってしまいます。

このようにして、信頼させて、あとでお金をともなう取引を持ち出してくる、そんな悪質な商法もあるそうです。 単純な発想ですが、上手く考えたものです。

世の中においしい話はないと肝に命じて、また、私だけは騙されない、大丈夫という思い込みはきっぱりと捨てましょう。
 
                                       (2007.11)





■宝くじの歴史■


宝くじの歴史をたどると、約2千年前のローマ時代にまでさかのぼるそうです。
そして、今日のような宝くじが最初に発行されたのは、約560年前のオランダで、町の建設や要塞構築などの資金調達のために、「富くじ」が発行されました。

日本の宝くじの起源は、約380年前の江戸時代初期。
摂津箕面(現在の大阪府)の瀧安寺で、正月に参詣した善男善女が自分の名前を書いた木札を唐びつの中に入れ、それを寺僧がキリで3回突き、選ばれた3人に「お守り」を授けたのが起源とされています。

その後、昭和20年7月、軍事費の調達をはかるため1枚10円で1等10万円が当たる富くじ「勝札」が政府から発行されました。
戦後になると、戦災によって荒廃した地方自治体の復興をはかるため、各都道府県が独自で宝くじを発売できることとなり、昭和21年12月に地方くじ第1号「福井県復興宝くじ」が登場。
政府発行のくじは昭和29年には廃止され、地方自治体が独自又は共同で発売する地方くじのみになりました。

現在、地方くじは全国自治宝くじ、東京都宝くじ、関東・中部・東北自治宝くじ、近畿宝くじ、西日本宝くじの5つのブロックごとに発行されています。
全国自治宝くじはジャンボ宝くじを発行しているので、知っている人も多いと思います。
日本の復興を助けてきた宝くじ。 
宝くじの元来の役目を知らぬまま、1億、3億と夢を追いかける手短な手段の一つとなりました。
1億とは言いません、せめて1千万ぐらい当たりたい! (買わなきゃ当たらん!)

                                          (2007.12)