店主のつぶやき日誌のバックナンバーです 001
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1100……12月4日(水)
朝、来春からはれて牧師となるH氏と電話で会話。現在、関西学院大学神学部大学院に通っている人で、すでに修士論文を400枚書いたのですが、半分に縮めなくてはならないそうです。H氏、貧乏学生生活を3年間堪え忍んで、待望の牧師となるまであとわずかとなりました。今は修士論文の目途もだいたいたって、安心しているところです。ひさしぶりの心安まる年末なのでしょう。要件は、筆者が毎年個人的に開いている忘年会に出席するとの返事でした。
1099……12月3日(火)
マクベスを読んでいます。いまさら、シェークスピアはどうしてと言われるかもしれません。ちょうど原稿を一本書き終わったので、読書する余裕が生まれたのと、マクベス夫人が手をこすってもこすっても落ちない王ダンカンを殺した血のしみがとれないことにおびえている様が強烈に印象に残っているからです。
もともと筆者は戯曲を読むのが好きで、高校時代から大学生にかけて集中的にギリシア悲劇を読んでいた時代がありました。なので、筆者の血脈のなかに、あの韻文世界の朗々たる響きが流れているものと思われます。ちなみに詩では西脇順三郎でしょうか。学生時代にヨーロッパを旅行した最初の地として選んだのはギリシアでした。これはヨーロッパ文化を自分なりに遡行してみたいとの思いと、ギリシアの演劇世界に惹かれてのことでした。
それ以後のエクリチュールとの付き合いでは、戯曲の表現には向かいませんでじたが、日記の中に、戯曲形式の対話を多用していた時期がありました。この形式だと自分の中にあるアンビバレントな側面を共時的に表現できるという利点があるのです。
1098……12月2日(月)
カルメンの定休日。今年最後の何もしないオフの日と定めて、自宅周辺しか動きませんでした。岡本の本屋で岩波文庫版『マクベス』(シェークスピア著、木下順二訳)を購入。新古書店を覗きましたがめぼしいものはなし。レンタルビデオCD屋に行って、元ちとせのシングルCD「この街」をレンタル。次のFMわぃわぃ「南の風」の番組(奄美篇2002年総集篇)用に使います。いい曲ですね。でも何度もリビングでかけていると、家族全員からブーイング。この曲はNHKがかかわっているだけに、編集が贅沢でちとせものびのびと唄っています。
1097……12月1日(日)
19人が参加する俳人・川柳作家・歌人入り交じった句会がカルメンでありました。「北の句会」という名前で、堀本吟さんという俳句と評論を書く人が主宰しています。超結社のこの試みは2年前から始まったもので、川柳や俳句の有季定型・無季の区別なく作品本意で、選句する面白さがあります。
午後5時30分からは、忘年会に。ひとりずつ個性の違う定型作家の集まりは面白いものです。60歳を過ぎたかくしゃくたる川柳人から、筑波大生の有季定型俳人までその幅広さは、ひとえに堀本さんの人脈の広さでしょう。
1096……11月30日(土)
寒さのせいでしょうか。それとも近づくさらなる不況に対する不安からでしょうか。カルメンの11月売上げは、対前年度比で少し大きなマイナスになりました。こうして不況がこれからまた近づいてくるという時に、人の心理というのは冷え込むものです。ごく普通の人たちの消費意欲とみごとにリンクしている飲食業界に身を置いていると、世の中の好不況の波に売上げに敏感に反応していることがよくわかります。
スペインも経済の調子のいいといわれているヨーロッパの中にあってJaponより悪くないはずですが、失業率は高止まりです。仕事がないということ、なんてつらいことなのでしょう。来年のJaponはいったいどうなってしまうのでしょう。
1095……11月29日(金)
ダイエー三宮のパレックスという電気専門販売コーナーが撤去され、ダイエーと別資本のヤマダが来年1月に入居するそうです。そういえば、この一年、神戸の電気量販店が増えて、チラシがしょっちゅう織り込まれるようになり、しかも大型化してきています。電気屋大好きな筆者としては好ましいことなのです。
面白いことに、男の子というのは、すぐにいま何を欲しいというモノがなくても、新聞折り込み広告の中で電気量販店のチラシを見るものですね。それは男の子の少し先輩である筆者も同じ。少し前なら、パソコンの新商品が異常に幅をきかせ、次は携帯電話だっでしょうか。でも今は目玉となる電化商品がないんですね。欲しいモノは、不況に関係なく出現するものですが、不況が極まると、そのヒット商品さえ出ないジリ貧状態となるのでしょうか。
1094……11月28日(木)
ホッとしています。同時に「脱稿ブルー」状態です。5月から話のあった20枚ほどの原稿を数日前に書き上げたのです。ある事典の一項目の原稿依頼でした。その項目は資料、関係文献が多く、しかも公的機関が発行する計数を押さえていなければならないので、まずその文献・資料あつめに苦労しました。事典といっても、硬直化した文章で書く必要はなく、読者が考える素材を与えるような編集方針だったので、経済を中心に、社会、歴史、文学の要素も交えて書きました。
うんうんと苦しかったこの数カ月ですが、不思議なことに、脱稿するときの直観は働くものです。「アッ、出来た!」という感嘆。この快感に到達するために、ひとすら苦労を重ねていたのかもしれません。
夕方、編集部から電話による校正を受けました。筆者担当の項目が一番最後ぎらいだったのかもしれません。電話向こうの校正者の声は切迫したものでした。悪いことをしました。原稿は30枚の分量はほしかったのですが、内容は面白いものに書き上がったと思っているのですが。
1093……11月27日(水)
明日まで書き上げなくてはならない原稿で徹夜状態です。昨日から追い上げをしています。筆者はだいたい四本(右手中指、左手人指し・中指・薬指)を使ってキーボードを叩いています。しかもひらかな入力です。これだけでも驚かれます。しかし、今年はたくさん原稿を打ったので、自分でも早くなったと思います。手が書いていると、頭の中で思って湧いてくる文字に、手で実際に現れる文字がついてこなく、イライラしていたのです。パソコンの場合は、手で書くより早いのと、漢字転換などに気が削がれる分、だいたい頭の中の言葉と、ディスプレー上の言葉の速度は似たようなものになります。ただ、面白いもので、筆者は日本語変換ソフトは"ATOK13"を使っていますが、漢字転換するとき、このソフトとの相性らしきもの日によって変わり、「奄美」と出て欲しいところが「甘味」と出た時は、「いったい何度奄美を打ってるんだ!」とパソコンに向かって怒鳴りたくなるのです。また、こちらが思うところの漢字がことごとく第一選択で出ないときは、「このやろう、私に反抗するのか!」と言ってしまいたくなるのです。
1092……11月26日(火)
雨です。韓国大統領選が加熱しています。
筆者が最初に行った外国は韓国。1976年冬のことでした。時の大統領は朴正煕氏。ソウルの目抜き通りにあるホテルの一室にとある韓国の知人を訪ねていった時、ホテルの従業員がわれわれの部屋に入ってきて、表通りに面した大きな窓のカーテンを閉めはじます。どうしてなのかと聞くと、この下の通りをいまから朴正煕大統領が通過するのだということです。あの当時、韓国にはピリピリした雰囲気が漂っていました。まだまだ密告が横行していて、現在の北朝鮮の惨状を大声では非難できないような社会だったのです。筆者の知っている知人たちはクリスチャンが多く、その祈りは深いものがありました。現今の世俗的な権威が支配する現実とは違う、もうひとつの権威(イエス・キリスト)にすがることで、精神のバランスを取っていたのかもしれません。
1091……11月25日(月)
カルメンの定休日。FMわぃわぃの生放送です。この番組は、インターネット・ラジオ局であるので、地球上のどこにいても、インターネットさえつなげば聞くことができます。つい先日、筆者のメール・ボックスに到着したのは、奄美島唄に関するホームページを作っている東京の人から。FMわぃわぃ経由で、メールを知ったもので、そのホームページ内にある掲示板に「南の風」の番組について書き込みをしました。
すると、筆者のメールを見て、顔見知りの人も返答を書き込んでいます。こんな時、匿名を使う人と使わない人がいます。筆者は実名派。でも匿名を使っている人は、そのハンドルネームで返事を書くという二重性を保持しなければなりません。
番組は、カサン中堅の松山美枝子さんの初CDアルバムの特集。でも、筆者が奄美で福山幸司さんとコンビを組んだ独自録音の方が、いいような気がするのでずが。
1090……11月24日(日)
朝日新聞に安藤忠雄が短いエッセィを連載していて、これを読んでいる"連れ合い"が気に入ったため、安藤忠雄の本を読みたがっていたので、建築雑誌や『太陽』で2回連載した号を彼女によく分かるところに置いたのですが、見向きもしません。本が大きいのと、内容が小難しそうなので、読む前から匙を投げているのです。もともと"連れ合い"は読書家ではありません。結婚する前、少しは本を読んでいたようですが、出産・育児・家事の多忙を理由に読まなくなり、読書を再開するのは、子ども達が大きくなるにしたがって、自分で本を読むようになってからです。それも面白いのは、子どもの成長にあわせて、読むレベルを上げていっているのです。今は、高校の理科系クラスに通っている長男に合わせて、科学・生物の入門書的な新書を読むまで進化しています。
でもいずれ子どもたちが手を離れると、彼女の読書進化論は停止するでしょうね。
1089……11月23日(土)
来年1月17日の阪神大震災発生の日も、カルメンでフラメンコを踊っていただきます。先日、その中川さんが、大阪帝人ホールで、一年に一回のステージを披露されたのです。ちようど平日だったので、鑑賞はできなかったのですが、02.1.17フラメンコディナー・ショーのチラシを会場に持っていくために、ひさしぶりに大阪の都心に行って来ました。周囲は当然ビジネスマンばかり。しかも本町に面している所は、大手企業がテナントとして入居しています。さすが、大阪と思いたいところですが、通りを一歩入ると、これも大阪らしい中小企業の相貌を見せてくれるのです。
1088……11月22日(金)
筆者の属しているメーリング・リストに、台湾人の女性がいて、沖縄のとある大学院を卒業して、台南に赴任したとのこと。実はこの台南、筆者の父とおおいに関係しているのです。1930年代に数年間、一家として住みついたことがあります。祖父は堺でしていたアルミ工場の経営が行き詰まり、心機一転台湾で事業をすることになったのです。
父が住んだ場所は、「苦力(クーリー)」と呼ばれていた肉体労働者が手で押す鉄道が家の前を通り、隣家は棺桶屋さんだったとのことです。その鉄道はゼーランジャ城のある海岸までつながっていたとか。この城はかつて台湾を治めていたオランダ人の居城なのです。
父は日本人用の国民学校に通っていました。なかには台湾人子弟も何人か学んでいたようですが、台湾人と学校は違っていたのです。
1087……11月21日(木)
書の展覧会のお知らせをひとつ。"BOMY書展"というもので、詩作品を書にしたためるというもので、上野賀山氏、玉井洋子さんや、詩人でロルカ詩祭にも朗読者として参加している今野和代さんも作品を出展しています。
場所は神戸市中央区雲井通5のサンパルビル5階の「ギャラリードゥ」。22日(金)から27日(水)まで開催しています。時間は午前10時から、午後7時まで。
このグループの傾向は、いってみれば「俳画」ならぬ「詩画」「詩書」というべきでしょうか。書き方も自由で、のびやかさ、自由さを大切にします。
1086……11月20日(水)
ヤギさんのチーズください。まるでいまから絵本が始まる台詞のようです。
場所は岡本。三カ月前に出来たというチーズ専門店に初めて訪れた時に店主と交わした会話です。「まえやまチーズ市場R」という名前の店で、店主は服部隆則氏。面白いですねえ、チーズ(ケソ)専門店なんて。筆者はvinoもquesosもくせのある方が好きなのです。以前、企画でスペインのquesosの特集をやった時、この山羊チーズの"くさみ"がなんとも素晴らしく、惹かれてしまいました。服部氏によると、山羊チーズは乾燥しやすいので、固くなりやすいとのこと。
スペイン産quesosは置いていなかったのですが、せっかく訪れたのですから、何か買おうと思ったのでずが、服部氏は反対に「こういうのはどうです」とフランス産クロタン・ド・シャヴィニョルの山羊チーズを提示されました。「じゃあ、これを下さい」と言うのですが、料金を受け取ろうとしません。「いいんですか」となんども固辞したのですが、無料でいただきました。服部氏のチーズに対する情熱をいただく意味もあって、ご厚意に甘えることとしたのです。
この服部氏、レストラン業界にいたわけでも、食品産業に勤めてもいなく、チーズ好きが高じて専門店をたちあげたそうです。「山羊のチーズは最初揃えていたのですが、あまり売れなくて補充をしていなかったら、つい先日も山羊チーズを求めるお客様がいらして」と恐縮するばかり。スペインではvinoとquesosの相性は抜群。この組み合わせの妙を知ったJaponの人たちも少しずつではありますが、増えてきています。
1085……11月19日(火)
午後1時から、『ぴあマップ』の取材。最近、こうした情報誌の売上げはどうなのでしょうか。筆者の学生時代には、情報誌の走りのころで、デジタル的な情報紹介だけでなく、文化的なメッセージも伝達しようという編集内容でした。でも今は、インターネットで検索すれば、たいがいの情報を得ることが出来るので、かさばる情報誌を買う人は多くないのかもしれません。本当に時代は変わったものです。
カルメンはこの『ぴあマップ』に掲載されていたとばかり思っていたのですが、今回初めての紹介だそうです。この雑誌をもって店を訪ねてくれる人も多いことでしょう。発売は来年春です。
1084……11月18日(月)
カルメンの定休日。とうに締め切りが済んでいる原稿の執筆で、頭がいっぱいです。テーマが多くの文献を読破することを要求しているために、それらのテキストを集め、読み、まとめるのが大変。締め切りは分かっていたのでずが、なかなか筆は進まないものです。編集部からは、明日が最終締め切りだといわれ、せっつかれています。
拙宅にノート型パソコンを持ち帰って、日中は暖かい子ども部屋でしますが、なかなかはかどりません。気分転換に岡本へ買い物に。ダイエー横のチーズ(ケソ)専門店を初めて訪れました。この時の話は面白いので、別稿で書きましょう。
夕食をすませて、午後8時から沖縄から来ているK氏と、Gで痛飲。黒糖焼酎を呑み交わしながら、濃密な会話を交わしていきます。しっかりした批評眼を持っている人で、会話の内容はそのままテープにおこせば対談記事にもなりそうです。
話が弾み、ふと筆者がいま原稿書きに必死になっていると伝えると、なんとそのK氏も、同じ本(事典)の執筆者で、筆者と会う前にパソコンに向かっていたというのです。二人とも同じ本の執筆で悩んでいたことがわかり、そこで二人はがっちり握手。「なんだ、同じか」と。嬉しくなってしまい、キープしていた喜界島産黒糖焼酎(一升瓶)の残り半分を一気に飲み干してしまいました。
1083……11月17日(日)
9〜10人連れの奇妙な女性たち。一列に並んで同じような背格好。全員帽子からブルージーンズまですべて同じ。無表情でもくもくと歩調を合わせて、三宮センター街を東に西に。しかも二組いる。彼女たち、京街筋のところで直角に南へ折れる。昨日からセンター街に出没する女性達の奇抜な「広告」で目を引いたのが、ユニクロ神戸店のオープンセールです。160センチ前後の女性達が、連れだって歩く姿はそれは目立ちます。何を持っているわけではないのです。ただただ黙々と歩いている。もうちと表情を豊かにするとか、何かを配るとかではなくて、ユニクロと書かれたゼッケンのようなものを貼り付けて歩いているのです。
新聞紙上で前年度比売上げ値がいまだベタ記事で経済面に登場するユニクロです。これまで郊外店が多かったようですが、三宮という都心への出店です。開店したのは、旧・ダイエー男館。かつてここには"HUB"というダイエーにしては洒落た英国形式のパブがありました。ダーツなどが置いてあって、神戸の中の異国といった風情だったのです。そのビルも震災で倒壊・解体へ。以後、ダイエーの経営危機もあいまって、再建されることもなく、更地のままだったのが、このたびユニクロが入ったというわけです。
さすがに昨日、今日のセンター街は人でごった返していました。最近、土日でも人の出が少ないことが常態となりつつあっただけに、ユニクロ出店がどのように影響するのか、注目されるところです。この二日間、ユニクロは入場制限をしていました。
1082……11月16日(土)
本日は、朝日放送のテレビ取材が入りました。番組名は「おしゃべりブランチ」。来年1月の放送となります。
取材されたのは、"アホ"の料理。つまり"ajo"=ニンニクの料理です。提供したのは、
Sopa de ajo con huevos。卵入りガーリックスープ。ニンニクとタマネギをオリーブオイルできつね色になるまで炒め、そこにパプリカ、ブイヨンを入れ、パンを乗せます。このパンは固くなったものを使います。パンをオリーブオイルで炒めて味をしみ込ませるという方法もあるのです。最後の仕上げに、卵を流し込むのです。この番組はニンニク特集だそうです。番組スタッフがスペイン語でニンニクのことをAjo(アホ)ということを知っていて、スペイン料理のカルメンに取材にきたという次第なのです。
筆者もちょい役で出演しています。「これがアホの料理です」とかなんとか言いました。番組の日が決まりましたら、またお知らせします。
1081……11月15日(金)
小さな変化です。先日、大型CDショップである"HMV"神戸店に行ったところ、筆者がいつも一度は寄る奄美・島唄のコーナーが移動していました。いままではWorld Music のコーナーにあったのですが、J-Popsに移ったのです。
これは面白い変化です。最近は隆盛するAsian Pops の隣りに「沖縄/奄美」あるいは「沖縄」コーナーが同居していました。それはそれで整合性があり心地よかったのです。つまり「World Music >Asian Pops>奄美の島唄」という構図だったのが、どうやら音楽界のマーケット(市場)は、奄美しまうたをJ-Popsと認識したようです。
これはひとつには、元ちとせによる島唄ブームに起因していることでしょう。沖縄/奄美のしまうたを、うちうちの音楽と認識した内的動機はいったい何だったのでしょう。また、これだけ奄美出身の元ちとせが若者の間でブレークしながら、沖縄/奄美と併記されずに、いまだ沖縄の中に奄美が含まれてしまったりする現状はどう考えたらいいのでしょう。沖縄/奄美のしまうたといっても、ちとせの歌うしまうたは高音、裏声を多発する特徴があり、沖縄のしまうたとあきらかに差異があります。これをいっしょくたにしてしまうのは、少々繊維さに欠けるカテコラスイジングですが、現実は混在したままなのです。
J-Popsの棚に入ることで、好事家向きだからロットは少なくても存在は許されたジャンルから、売上げが低迷した途端、棚が縮小されるというシビアな商業主義の土俵に乗ることを意味します。だから、このブームが過ぎてしまったら、いつかまた「沖縄/奄美」「沖縄」のCD群は、World Musicの棚に戻るかもしれません。推移を見守ろうと思っています。
1080……11月14日(木)
「脱北者」に関するテレビニュースの報道特集を見ていました。昨晩のことです。北朝鮮から韓国に渡るためには、広大な中国を横断してタイやベトナムに不法入国し、その地での韓国大使館に駆け込むのがルートとして確立しているそうです。しかし、成功の確率は100分の1ほどと言われています。また、元・在日朝鮮人も生活苦に耐えかねて、中国国境を渡ってくる人も増加しているとか。Japonに帰ってきても、北朝鮮に住んだ経歴が障害になって、なかなか職がみつからないそうです。
かつて希望を胸に抱いて「地上の楽園」を信じて渡海していった人たち。井上青龍という今は亡き社会派写真家の初期の頃の作品群に、新潟港から北朝鮮への出港を待つ在日の人たちの表情をとらえたシリーズがあります。そのシリーズに切り取られた在日の人たちの表情は、後の北朝鮮生活の苦労を暗示するように、決して希望に満ちたものではありませんでした。
写真家は自分の心を被写体に反映させていく表現者だと考えていいと思います。あの時、新潟にいた在日の人たちは、きっと「地上の楽園」を信じたからこそ渡海したのでしょう。しかし同時に未知の土地へいくこと自体への人間の本能的な不安と、すでに「地上の楽園」から漏れ聞こえてくる暗部の情報に動揺もしたのでしょう。写真家・青龍さんはその不安を実に上手に作品として昇華し、また彼なりの「地上の楽園」に対する懐疑もヴィジユアル化したのです。
1079……11月13日(水)
サンテレビの取材が入りました。「うまいもんテレビ」という番組で、月亭八光(はちみつ)が案内役として登場。「鍋」料理の特集ということで、コシードを取り上げました。カルメンが用意したのはファバーダ。豚を使ってことこと煮詰める料理です。
撮影は12時45分から。料理を一品ずつ撮影し、あとは八光くんが試食し、筆者が横について説明するという役回りです。テレビという媒体は自分がモニターにどのように映っているのか分からないために、どのようにしゃべっていいのか苦労します。筆者はまだまだこの媒体に慣れていません。
撮影したのは、ファバーダ、フィデウア、かきのグラタン(アリオリソース風味)の産品です。
1078……11月12日(火)
きのうのことでずが、「南の風」の番組が始まる前、K新聞のM記者の取材を受けました。来年復帰50年を迎える奄美のことです。M氏は気骨のある記者です。2年間、海外青年協力隊に参加して、帰国後復職するといった経歴の持ち主です。終了後、FMわぃわぃに取材にきていたA新聞のB記者と立ち話。震災担当とのこと。もうすでに神戸のマスメディアは、1.17の震災の日に合わせて取材を進めています。ただ、8年目になるからといって、何がどう劇的に変わるものではなく、記者たちの視点の新鮮な角度から取材・記事が求められます。続いて午後6時から、N社のK氏と三宮でうち合わせ。筆者に対してある依頼がありました。筆者、今のままでも多忙だと自分で思っているのですが、来年また新たなことを始めなくてはなりません。暇な人はどんどん暇になっていくものです。反対に多忙な人は、ますます「多忙」君に気に入られて時間がなくなっていくのです。もうしらない。
1077……11月11日(月)
カルメンの定休日。FMわぃわぃ「南の風」の放送は、〈中野律紀そしてRIKKI〉という題で企画しました。唄者としても優れている中野律紀は、日本民謡大賞を受賞するなどの実力者ですが、POPS歌手としてもデビュー。ソニーのプレイステーションの「Final Fantasyィ」のテーマ曲を歌うことでメジャーデビューを果たしました。だから息子にとって彼女はRIKKIなのです。
ところが、その後POPS歌手にとって必要ないわゆるヒット曲に巡り会わず、島唄の要素も加味したアルバムを作っています。今年の8月に「蜜」というアルバムを発表。ところがその1カ月後に同じレーベルから「しまうたRikkel」という島唄オンリーのアルバムも発表します。これは明らかに元ちとせブームによる島唄ブレークの影響です。
筆者はどちらかというと、島唄を紹介する番組に携わっているひとから、しまうた回帰路線を支持したいのです。この最新アルバムには、築地俊造といったベテランや中孝介といった若手の質のいい唄者も参加しています。また、バックの楽器に三線を使わずギターを使っているのも面白い試みです。大島のではない「海ぬ笹草」(沖永良部島の島唄)を導入するなど、選曲も工夫しています。
さて、〈中野律紀そしてRIKKI〉のこれからは一体どうなっていくのでしょう。
1076……11月10日(日)
川柳作家の樋口由紀子さんが娘さんを連れて来店。12月1日にカルメンで行う句会と忘年会の打ち合わせをしました。樋口さんは「豈(あに)」という句誌の同人でもあり、結社に属しないか超結社の俳人・川柳作家が参加しています。去年もカルメンで忘年会をやってくれました。その時は西は赤穂市、東は滋賀県近江八幡市。南は和歌山県橋本市から参加がありました。スペイン料理にひかれて参加した人もいるし、句会(「北の句会」)を主宰している堀本吟さんの魅力にひかれて参加した人もいて、たいへんな盛況でした。
この句誌「豈(あに)」は、毎回編集人がかわるというスタイルです。もともと摂津幸彦という早世した俳人が始めたメディアだったのを、死後もその自由な編集スタイルを維持していこうとする編集同人の意思で現在まで刊行が続いているのです。今は東京在住者で編集が行われていますが、次の次の号では関西にいるメンバーを中心に刊行する予定だそうです。
1075……11月9日(土)
雨、曇天、雨、曇天、雨‥‥まだ11月の上旬ですよね。
でも里ではすでに紅葉の便り。山間部では雪の便り。どうなっているのでしょう。不況だと天候まで不興になるのでしょうか(スミマセン、オヤジギャグです。笑ってやってください)。次男が神戸市公立中学校で進めている「トライヤルウィーク」で、公立図書館に一週間働きに行っています。今日が最終日。「なにをするの」と聞くと「本のカバーかけ(コーティング)や返品本の整理なんか。窓口業務は面白いよ」と答えます。この図書館を選んだのは合計4人(男女半数ずつ)。毎日一緒に働くクラスメートが迎えにきてくれくます。
筆者は本好きなのでその息子が本に囲まれている図書館を「職場」に選んだことに、一瞬喜びました。本人に聞いてみました。「なんで図書館選んだん?」。次男「ちょうどハーリーポッターの最新号が発売される時期やから、返本されてきたものを優先的に借りれるかな、と思って」と。
うーん、ハーリーポッターねえ。まあ、いいか。本を全く読まない子、若者、大人、老人が多い中で、ベストセラー本でも読んでいるのですから、まだマシでしょう。でもこのシリーズ、殆どの漢字にルビが振ってあるんだよね。そりゃあ読みやすいよ。
1074……11月8日(金)
スペインワインを扱うM社の営業マンが来店。現在、カルメンはM社が扱うシェリー酒finoを置いています。おそらくシェリー酒の中でも一番名の知れたブランドです。でもカルメンのコンセプトとしては、有名すぎるワイン・シェリーは置かない、というポリシーがあるので、早晩他のものと変わると思います。
かつてカルメンで、このM社が取り仕切っているCAVAで、"carmen"というプライベート・ブランドとして流通されていたものを取り扱っていました。もともとその中味は"Codorniu"社のものです。それを別会社がラベルだけ替えて販売していたのを、当店の店名と同じだったので、しばらく取り扱っていたのです。ところがこの営業マンに聞くと、M社が提示した「販売本数ノルマ」をその別会社がなかなか達成してくれなくてと言っていました。結局、この"carmen"は販売中止となり、当店のワインリストからも"carmen"は消えてしまったのです。
他にもいくつか面白い話を交換しましたが、スペインワインは基本的に業務関係で取り引きされているのが殆どだとか。つまりスペイン料理店が大きな取引先なのでしょう。となると、ロットは多くありません。ただ、最近、別の酒販店の人に聞くと、スペイン・ワインを置くイタリア料理店やフランス料理店もあるとのこと。こちらスペイン料理店であるカルメンは100%スペイン産しか置いていないのに、それはちと越権行為ではないでしょうか。それともコストパフォーマンスに優れているスペインワインをさらに自慢すべきなのでしょうか。
1073……11月7日(木)
立冬。この24節気というのは、中国・中原(ちゅうげん)地方の季感を基に設定されているで、関西地方の気象実態とはずれる場合が殆どですが、今年の立冬とはそのものずばりです。つまり関西も、中国の北京や西安あたりと同じ寒さとなっていると言えそうです。
このまま長〜い冬になるのでしょうか。この「長〜い」という語感、現今の不況と同位相で、いちど冬に突入してしまうと、4月の花冷えまでの約6カ月間の半年続く寒〜い季節=長〜い不況に底抜けしそうで、暗〜くなってしまいます。
もうJapon経済を活性化するカンフル剤の材料はもう見あたらないでしょ? 長〜い冬になりますよ、皆さん。
1072……11月6日(水)
ファド歌手の月田秀子さんから手紙が来ました。恒例の年末ライブは12月3日(火)大阪・サンケイホールで午後6時30分開場、午後7時開演。今年は小説家・五木寛之氏とのジョイント・コンサートとなるそうです。問い合わせ先は、サンケイ企画06-6345-5062まで。全席指定なので、早めに予約して欲しいとのことです。
その同じ手紙の中に、月田さん、東京に転居しました、との報告が入っていました。「もう一度、ゼロから出発したい」との思いを抱いて東京に活動の本拠地を移すとのことです。おそらくJaponで唯一のファド専門歌手である月田さんは、どこにいてもマイペースを崩すことはないと思われます。
もしよろしけば、彼女のサイトを覗いてみてください。
月田秀子さんのサイト
http://www.fado.jp/1071……11月5日(火)
カルメン、休みの日です。紅葉でも見に行こうと思っていましたが、"連れ合い"が風邪でダウンしているので、おとなしく拙宅周辺で過ごしました。
銀行まわりのついでに、岡本にあるベルギー・チョコレート屋"Leonidas(レオニダス)岡本店"へ行きました。10月に開店したばかりです。美味しそうなので、何品か買ってみました。なんでもベルギーのチョコレートというのは、ナッツ系を多用するのが特徴のひとつだそうです。
筆者にとってチョコレートとは、コスモポリタンのものが一番気に入っています。このLeonidas(レオニダス)という店は、東京に本店があり、関西ではまだ店舗数が少ないようです。果たして関西・神戸の人に受け入れられるでしょうか。細く長く続けてもらいたいものです。
1070……11月4日(月)
カルメン・スタッフの橋本道平君が、神戸御影の"The Garden Oriental"で挙式を上げました。26歳。高校・大学の同級生の中でも結婚一番バッターだそうです。この会場は、阪急御影駅のすぐ北に位置するお屋敷町にあります。日本生命の旧会長宅だったところで、財閥解体で払い下げられたそうです。それはそれは贅を尽くした作りで、本当の金持ちが住んでいる家という感じです。
式は敷地内にある教会堂で簡素に。披露宴は、総勢80名で盛況でした。座り仲人もなしという方式で、今の若者に支持されているとか。筆者の頃は、形だけでも仲人はいるものと相場が決まっていました。しかし、なければないですっきりしています。
筆者は主賓格の挨拶をさせてもらいました。お話ししたのは、コシネーロ(料理人)にとって大切なのは"花"ではないかということ。世阿弥の『風姿花伝』という芸術論集に書かれた中心概念です。「面白き心」「珍しき心」を持つことがすなわち「花」であると言っています。これは料理の世界でも同じ。つねにお客様に対して、そして自分自身に対しても、面白いものを提供するのだという心構え、新しいちょっとかわった味を提供するのだという進取の気性が、コシネーロにとってもつべき心構えではないか、という内容を話したのです。
さて、幸せ一杯に多くの人たちから祝福された二人。明日からスペインに旅行するそうです。たくさん、スペイン料理を食べてカルメンの新メニューに付け加えてほしいものです。そしてなによりも、いつまでもお幸せに!!
1069……11月3日(日)
ひとつの敗北です。「あと18本です」と言われた時、心の中で思わず「しまった!」と叫んでしまいました。あと100本はオファーしようと思って酒販店に注文しようと思っていただけに、ショックは隠せません。
待望のRioja tinto 1994cosecha Gran Reserva が比較的入手しやすい価格で出ていたので、どんなに少なくとも30ケース(360本)は買おうと思っていたのです。ところが結果は108本(因縁めいた数字です)の購入どまりでした。本当は、一挙にオファーをかけたかったのですが、残念ながらこの不況下で思うように資金が動かせず、毎月少しずつ買い求めていたのですが、予想より3カ月ほど早く完売してしまいました。もう少し早い時期に多めに注文をいっておけば、と悔やまれます。
そのvinoとは、"Coto de Imaz"。最近、Japonは経済が停滞しているためなのか、素晴らしいCosechaの素晴らしきクラスのものは、英米中心に輸出されて、全く入ってこないか、入手できてもわずかかだ、とエージェンシーの人に聞いたことがあります。
まあ、この後、94年Rioja tinto Gran Reservaは、高値どまりでしよう。いまでも小売価格が8000円とか9000円もするレベルなのです。この"Coto de Imaz"、いまメニューに載せています。特別価格で5800円。冗談だと思われるでしょ? いや本当にこの値段でワイン・リストに載っているのです。
でも、これはあくまで感謝価格。あと数本でれば、このクラスに見合った金額に適正化します(つまり値上げです)。もし、94年Rioja tinto Gran Reservaを5800円で体験したい方は早めに来店してください。そしてある程度消費されたら、今度はワインリストから消去します。長期熟成に回すためです。カルメンにとってアニバーサルな時(例えば創業50周年など)に、こうした素晴らしきCosechaの長期熟成タイプのvinosを特別リストとしてお出しするつもりです。
スペインワイン・ファンの方、どうします? 今がチャンスですよ。
1068……11月2日(土)
11月になって急に寒くなりくました。コートを着ている人が10人にひとりぐらいいます。昼の休憩時間、東急ハンズから、セイデン、ジュンク堂書店に急いで回ってきました。筆者が使うバックは近年は東急ハンズで買うようにしています。ファスナーが壊れたり、紐をかけるフックが壊れても修理してくれるからです。いつまでも商品を大切に使い続けたい筆者のような人には、いい店です。
神戸にはバック屋さんが多いのです。但馬・豊岡の地場産業であることもあるのでしょう。しかし、どうも三宮には売り棄てのような気配が漂っている店が中にはあり、修理などアフターサービス面で信頼できる店にいまだ出会っていないのです。
高校生以来、筆者は多くのバックを買ってきました。しかし、ひとつのバックを何年も使っているかというとそうではなく、飽きてしまったり、部品が壊れたりすると、次のものを買ったりすることがあります。いま姪っ子が使っているデニム地のバックはかつて叔父にあたる筆者が高校時代に使っていたものです。かつて自分が使っていたものを姪が使っている姿を見ていると、ドキッとする反面、身内の者が使ってくれていることへの感謝の気持ちが湧いてくるのです。
そういえば、拙宅にパラシュート生地で出来た頑丈一方のショルダーバックが眠っています。20歳代後半に盛んに使っていたのですが、B4サイズが入らず、単行本の収容能力もあまりないので買い換えたのです。しかし丈夫なので、筆者が老人になったら、20歳代にしていたと同じように使おうと思って取っているのです。その時はジーパンを着てさっそうと街を大股で歩いていることでしょう。
1067……11月1日(金)
混乱をきわめる拙宅の書斎について。決して自慢できる部屋ではありません。広さは三畳程度。窓と引き戸を除いた壁面はすべて書棚で、そこにコピー機と、FMラジオの番組製作に、MDプレーヤー、ミニコンポなどが所狭しと並んでいます。奄美現地で録音した貴重な音源もあり、所狭し、雑然と並んでいます。
机にはマックのPC、モニター、モデム、MOディスク、スキャナー、プリンター、キーボードが鎮座しています。狭い机なので、なにか書き物をする時は、キーボードをひょいとモニターの上にのけなくてはなりません。
部屋は絨毯敷きで、床に座って作業します。狭いゆえなのでずが、この方が本や資料を広げやすい利点があります。筆者がひとり座るだけで精一杯の部屋なのですが、たまに友人を呼び寄せます。
韓国の友人に聞きますと、その人にとって一番大切な人は書斎で応対し、そこで飲食を共にするのです。さすが文の国です。書斎がその家の中でコアとなる位置を占めているのだという民族の気概を感じます。このことを証明するように私の朝鮮民族の知人たちは、立派な書斎を持っている人が多く、万巻の書物に囲まれての歓談を実に楽しそうにするのです。
ひるがえってJaponの近代の家作りというのは、どう考えてもソファの置き場でしかないようなリビングに通されて家人も客人もそらぞらしく応対するというのがよくある光景ではないでしょうか。そこでは、在日韓国・朝鮮人家庭の書斎の中で交わされる書籍(知)との交歓のような、なにかと共生しようというコンセプトは感じられません(ただ、紅茶とケーキが出てくるのは、お茶のお手前の近代風といえなくもないのですが)。
筆者が書斎で応対する友人は、書を愛し、日常言葉さえ大切にする知の探求者です。少しばかりの肴と焼酎を呑みながらの歓談は格別なものがあります。
1066……10月31日(木)
経済、まだまだ厳しい数字が更新されます。近畿の失業率が9月に7.6%へ上昇。最悪の数字となりました(29日読売夕刊)。神戸地区はこの数字を上回っているでしょう。いまだ最悪の数字が更新されるのですから、景気回復などまだまだ先の話です。特に関西は、不況業種が多く、これからもリストラや企業統合・倒産などで、失業者が増えることが予想されます。
そのような中でユニークな記事に出会いました。全国都道府県の各人事委員会が都道府県職員の月給を調整するよう各知事部局に対して勧告したところ、全国で唯一値上げを勧告した自治体があるということです(29日読売朝刊)。これは中央の人事委員勧告を受けて、各都道府県の人事委員会がその自治体の財政事情にあわせて、月給の上げ下げを決めるものです。
その全国で唯一公務員の値上げを勧告した自治体はどこか分かるでしょうか。答えは大阪府です。たしか財政再建団体になる可能性もなきにしもあらずといわれた自治体です。府知事には、中央官僚出身で、国とのパイプの太さを看板に掲げていた人だったはず。まあ、他の自治体でも下げ幅は最大でも2.7%(群馬県)という、民間からすればケタを間違えているのではないかと思わせるような数字です。でも、唯一の賃上げ勧告をした大阪府は目立っています。筆者はどうしてこのような勧告を出したのか、詳細は分からないので、批判は避けますが、少なくとも府職員はこの勧告を歓迎していることは確かです。でも、府民は黙って見ているのですかねえ。
1065……10月30日(水)
来月から、季節料理は冬ヴァージョンに変わります。今年どのような料理をいれるのか、コシネーロたちと相談しました。去年ブレークした「かきのグラタン アリオリソース」は当然ラインナップに参加します。候補にあがった新作料理は、シードラ(リンゴで作った弱発泡性ワイン)を使った"Salmon a la sidra(サーモンのシードラ風味)"。
ビスケー湾岸に位置するアストゥリアス地方の特産料理です。カルメンはSidra("El Gaitero"というアストゥリアス産)を扱っています(750ml 2500円)。とてもおいしそうです。近日中に試作品をつくることにしましょう。この料理のヒントをくれたのは、現在マドリー在住のバイレ・大橋由実さんです。由実さんは、チョリソーのシードラ料理を好きだそうですが、残念ながら現在Japonには、スペイン産チョリソーは輸入できない状態なので、サーモンでシードラを活用することを考えたのです。
1064……10月29日(火)
殆ど関心のない日本シリーズ。関東勢同士ということもあって、神戸では話題にもなりません。巨人ファンの無邪気すぎる強者信仰に付き合うのもうんざりします。神戸のスポーツの話題といえば、ヴィッセル神戸がなんとかJ1に残留できそうになったことでしょうか。いつも残留か降格かせめぎ合っている球団ですが、残留が決定したときの悦びはひとしおです。スリートップなんて勇ましい布陣でのぞんだ今期ですが、やはりJ1ぎりぎり組に顔を出す始末です。来年は改装なったウィング神戸でのホーム試合を見てみたいものです。
それにしても関西のサッカー界を盛り上げるために、J1J2所属の4チーム(ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、ガンバ大阪、京都パープルサンガ)による関西マッチなんてしないのでしょうか。入場料はすべて失業者、生活保護家庭、身体障害者の人たちに寄付するなど考えていいと思います。
1063……10月28日(月)
カルメンの定休日。FMわぃわぃ「南の風」は、ヒギャ唄に登場する七人の女性達を取り上げ、歴史的な背景を説明しながら、島唄をかけました。「奄美うたの風景シリーズ」のひとつとして企画したのです。
番組終了後、スタジオを出た時、シアトルから長田の街づくりについて取材に来ていた米国女性と、それを取材している新聞記者氏と立ち話。三人一緒にJR神戸駅までタクシーに乗っていきました。
午後6時から、笠原芳充氏のキリスト教に関する講演を聴きに行きました。ちょうど筆者が読んでいる本の著者だったので、悦び勇んで出かけたのです。笠原氏は「芦屋集会」を45年にわたって主宰している人です。一度のぞいてみたいものです。講演終了後は、笠原氏とその「芦屋集会」メンバーと共に、居酒屋で歓談したのです。
1062……10月27日(日)
正午から、イスパニック倶楽部の総会。スペイン、ラテン・アメリカ大好き人間の集団なので、ちょっと変わった料理を中心に提供しました。その中味を紹介しましょう。1.ハモン・セラーノ(スペイン産生ハム)
2.スペイン風トルティーリャ
3.魚介類のエンサラーダ
4.トレド風うずら肉の白ワイン煮込み
5.ヘレス風牛スネ肉のシチュウ
6.うさぎ肉入りパェリャ
7.(デザート)クレーマ・カタラナ
8.コーヒー(1)は、現在スペイン産生ハムのJaponへの輸入がストップしているので、スペイン料理店は国内在庫分しかないはずです。カルメンにはあとすこしスペイン産が在庫しているので、スペイン大好き人間の皆さんに提供しました。カルメンでも在庫分がなくなると、イタリア産を使わざるを得ませんが、まだ少しありますので、ご希望の方は早めにご来店下さい。
(2)は多人数で取り分けやすいので提供。(3)もさっぷりドレッシングで好評。(4)はさまざまな食材が解け合ってこってりとした味に仕上がり、あっと言う間になくなってしまいました。(5)はホークで持ち上げるとトロリと落ちてしまうほどよく煮込んだスネ肉がサルサとよくマッチングして、絶妙の組み合わせです。(6)は、バレンシア地方のパエリャにはコネホ(うさぎ肉)が入っていることが多く、スペインではオーソドックスな形なのです。参加者にコネホが大好きな人がいて、大喜びでした。そしてデザートはバルセロナの有名な「焼きプリン」。
これでスペイン産赤ワインがついて一人4000円。安いでしょ。
1061……10月26日(土)
曇天、ところによっては小雨。セイデン三宮本店がリニューアル・オープン。ちらっと見てきました。さすがに開店したばかりなので活気があります。しかし、何も買いません。
いまキリスト教文学についての本を読んでいるので、その関係の書籍を目指して、センター街の古本屋を覗きます。書籍というのは、初めからこれは古書肆でなければありそうにないものがあります。筆者が今回探しているのもそうした本です。
今回の書籍探索は簡単でした。あの書店のあの棚にあると目星がついていたからです。サンパルビル3Fの「MANYO」へ。まず購入したのは「マチウ書試論」が収録されている『吉本隆明全著作集4--文化論1』(勁草書房)。マチウとはフランス語でマタイ、つまり「マタイによる福音書」の著者とされた人です。このほか、椎名麟三の文庫本を探しましたがこれは見つからず(絶版なのでおいそれとは見つかるものではありません)。
もう一冊購入したのは、『世阿弥芸術論集』(田中裕校注、新潮日本古典集成)。"花"について書かれた有名な「風姿花伝」が収められています。青帯の01という分類番号が冠せられた岩波文庫版「風姿花伝」を求めたのですがなく、たまたま「MANYO」店内を漫歩して見つけたのが『世阿弥芸術論集』でした。"花"の概念をネタにして、来月ある場所でおしゃべりしようと思っています。
欲しいと思っている時にその本に出会ってしまう。単なる偶然でしょうが、広大な店内を漫歩している時にふっと自分が買いたいと思う本に出会う不思議。筆者は書籍探索の眼力はさしてないほうですが、こうした偶然以上の出会いは、なにか運命的な出会いを誕生させる筆者の内なる直観力があるのだと思いたくなるものです。
1060……10月25日(金)
フラメンコ・ディナーショーから一夜あけて、祭りの後の静けさです。創業記念祭が終わると、筆者の心のなかではすでに秋から冬にかけてのモードに入っていきます。日ごと、涼しくなります。今年は暑さのぶり返しは少なく、正直に秋が進行していきます。
仕事の都合でなかなか紅葉は見に行けませんが、そろそろ奈良・京都の山々は色づいているに違いありません。昨日の熱気がある故にこそ、今日はどこか古都にデジタルカメラを持って撮影しにいきたい気分です。
1059……10月24日(木)
創業46周年(11月23日)を先取りしたフラメンコディナー・ショーを催しました。
出演はEL CARDAMOMO(エルカルダモモ)の皆さん。リーダーの伊集院麻果(バイレ) 、大橋由実(バイレ)、小池朱美(バイレ) 、 岡本進(カンテ) 、 松井高嗣(ギターラ) の各氏。
熱い熱い踊りと演奏を見せてくれました。
ちなみにカルメンが出した本日だけの特選料理は、
1・ドライシェリー
2・エンサラーダ マリスコス
3・牛スネ肉のヘレス風煮込み料理
4・きのこのパエリャ
5・チョコレートケーキ
6・コーヒー 〈チャージ/3000円(合計6000円税別)〉大橋由実さんは、スペイン生活7年目。今回はたまたま帰国していたのを、伊集院さんが声を掛けたそうです。マドリー在住。旅行会社に勤めて、バイレとしての修業を積んでいます。ステップの力強い踏み込み、表情の卓越さ、身のこなしの切れ味など、魅せてくれました。この人すっかり"フラメンコ顔"になっています。
小池朱美さんは、神戸を本拠とするプロの方です。土曜日だけタブラオに変身するエルパンチョ北野で毎週踊っておられます。一晩で2回ステージがあるとのことで、リハの時にさかんに冗談を言っていた人が、フラメンコ衣裳に着替えると、まあなんと素晴らしきバイレに変身されます。「カルメンでももっとフラメンコやって下さいよお」と。
伊集院さんはこのグルーポの代表。去年とメンバーを替えて組み立ててくれました。今回は三人ともソロを踊れる力量なので、堪能させてもらいました。フラメンコは踊る回数が多ければ多いほど技能も心も鍛えられていきます。去年より今年、今年より来年の踊りに磨きがかかっていることでしょう。この人の踊りを見つづける楽しさがあります。
マドリーに今月末に帰る予定の大橋由実さんに、カルメンのホームページに載せる「マドリー日記」を書いてみませんかと誘いました。なにせメールで送れば、郵便事情がいいとは思えないスペインとの距離などあっと言う間です。インターネットって本当にすごものですね。
1058……10月23日(水)
明日のフラメンコ・ディナー・ショーの準備をします。PA関係で買いそろえたいものがあったのですが、運悪くセイデンもJoshinも改装中です。Joshinは部分改装だったので、なんとか無理をいって買い物をしました。
セイデンは全館改装中です。一階にTUTAYAが入ります。レンタルと新品の販売を兼ねるのでしょうか。この長い長い不況の下で、街の相貌が変化していきます。
神戸・三宮はこれからどうなっていくのでしょう。
1057……10月22日(火)
筆者は仕事柄と、経営者であることから、一週間に一日しか休みません。休日の月曜日は、一家そろって夕食を囲みます。今春から月曜日に塾がなくなったためです。昨晩は、O記者と聞こし召した勢いで、筆者、多弁になっています。しかし、明日から中間考査の始まる長男は、筆者が参加する夕餉に同席したくなかったようです。理由は「食事が長くなるから」。筆者がいると会話が多くなるので椅子に座っている時間がいつもより長くなるのです。うっとおしいに違いありません。高校生の男の子にしてみれば、正直な感想です。長男は、どちらかというと口数の少ない性格。食卓は、弟と妹が喋り続けていることが多いのです。
筆者と同じ三人の子どもを持つ人と世間話をしていた時のこと。その人は読書をちゃんとする教養人であり、子ども達が幼い頃は、本を読んで聞かせてくれるよきパパ。子ども達の「人気者」だったそうです。ところが今では「私が家に帰ると、すっと子ども達が散っていく」のだそうです。ちなみに一番下の子もすでに大学一回生。子ども達は本を読んでいますか、との筆者の質問に「それが本棚に本がないんだわ」。うーん、それは筆者の家庭も同じです。ただ、次男の本棚には漫画本が山のように積まれていますが。
教養人の父を持つ子ども達でさえ、本を読まないんですね。
1056……10月21日(月)
カルメンの定休日。今回の番組準備は少し遅れて、当日朝からの準備です。
FMわぃわぃ「南の風」、今日の放送は「(奄美島唄にとって)大切なことは何か」というテーマで、元ちとせが生まれた、奄美の"うた"文化の原型をもういちど捉え直すというテーマで、制作しました。古仁屋の富島甫氏の戦前のウタアシビの様子や、加計呂麻島の"諸鈍シバヤ(旧暦9月15日に行われるもので、今年は10月14日)"、そして旧暦8月15日に踊られる「八月踊り」は、喜界島上嘉鉄集落のものを紹介しました。今回の番組の前後に、某日刊紙学芸部の記者から取材を受けました。金沢支局長まで勤めながら、管理職にはならず、大阪本社にもどってからは一線記者として再び学芸関係の署名記事を書いているO氏です。近い日に夕刊「テーブルトーク」というコラムに筆者が写真付きで紹介されると思います。
番組終了後、取材を受け、その後、二人でJR鷹取駅近くの立ち飲み屋へ。筆者お気に入りの店です。二人で大ジョッキー2杯、中ジョッキー2杯、アテ3品を頼み話し込みました。実はこのO記者とは、20年来の付き合いなのです。二人とも、会いに行くのを楽しみにしていた歴史研究者の落合重信氏の思い出話や、帰郷のこと、津和野のこと、鶴見俊輔のこと、O氏の古里のこと(亀井静香と倉田百三の出身地でもある)、神道、俳句のこと‥‥このO記者、さすがに学芸部の名物記者だけあって、どんなテーマをぶつけても、すらすらと対応するのです。このような人をインテリというのでしよう。
1055……10月20日(日)
東急ハンズへ、24日に行われるフラメンコ・ディナーショーのために、その舞台板となるコンパネ(コンクリート・パネル=ベニヤ板)を買い換えました。フラメンコは激しく板を打ち鳴らすので、ある程度の厚さが必要なのです。続いてジュンク堂へ行って、社会思想社の新刊『キリスト教文学を学ぶ人のために』を購入。このシリーズ、人文・社会系の学部を目指した人は、購入するしないの如何にかかわらず、題名は見たことがあると思います。筆者が学生のころからあるシリーズです。
著者の半数以上が同志社女子大学関係者です。この出版社が京都にあるからこういう布陣になったのでしょう。こうしたベタベタな入門書はしばらく買っていなかったのですが、筆者が持っているコラムに、カトリシャンで文学者であるある人のことを書く予定なので、『遠藤周作文学全集』、『日本カトリシズムと文学』(戸田義雄著、大明社)などを読んでいるのです。
1054……10月19日(土)
甲南大学で行われたとある文学研究会に参加しました。今回筆者は発表とは関係なく聞くだけなので楽と云えば楽です。研究者の発表は、なるべく実証的な内容を重視して、調査したテーマについては悉皆的に研究論文を網羅してあたり、漏れがないように自説を構築していかなくてはなりません。ただ、そうした細部に神経を集中させた研究(発表)というものは、「この研究がいったい何の役にたっているのか」という"木を見て森を見ず"的な隘路に陥ってしまう危険性があることも確かです。
1053……10月18日(金)
今年の10月は暖かい日が続きます。ただ、困るのは衣裳替えが終わっていないので、長袖シャツなど秋物を納戸に収まっている衣裳函からいちいち出さなくてはならないことです。筆者の洋服ダンスには夏物がいまだ鎮座しています。家族全員の服を衣裳替えするのは大変なのよ! と"連れ合い"は9月が来ると言い始めます。今日現在まだ彼女は夏物を着て外出をします。筆者がこそこそと冬の衣裳函を探るのには理由があります。家族の中で筆者の分が一番最後になるからです。だから待っていたら風邪をひいてしまうのです。
1052……10月17日(木)
カルメン、今日、昼のまかないは讃岐うどんです。このうどんをおかずにしてご飯(白米)を食べられるかどうか、"関西(大阪)人度"がチェックされます。筆者はかつて大阪に住んだことがありますが、ああも徹底してうどんをおかずにしているとは知りませんでした。といいますのは、もともと筆者は母譲りの蕎麦党で、母と三宮に出かけて必ず入った店が蕎麦屋であり、決してうどん屋ではなかったからです。
食い地が張った青年時代は、ざる蕎麦大盛りと、"おばけ"を平らげ、さらにとろろ蕎麦を食べたこともあります。しかしこんな時もかやくご飯は食べずに、ひたすら蕎麦をかき込んでいたのです。母の食べ方に影響されたのでしょう。
それが大阪で働くようになって、かの地ではうどんであろうと蕎麦であろうと、ご飯がごく普通に共存していることに驚いたのです。今では"連れ合い"が大阪ネイティブだということもあり、筆者も麺類とご飯を共存させて食べています。しかし、"連れ合い"はさらに、お好み焼きをおかずにしてご飯を食べるのです。筆者はそこまで"大阪人"化していないので、その組み合わせはいまだ驚きの対象です。
1051……10月16日(水)
筆者にしては珍しく2時間テレビドラマを見ました。昨晩のことです。「松本清張サスペンス--鬼畜」というもので、ビートたけしと黒木瞳が主演です。子どものいない印刷所を経営する夫婦のもとに、三人の子どもを連れた女(室井滋)が突然やってます。三人とも夫(ビートたけし)の婚外子だというのです。すでに認知されていると強気です。その夜、女は子どもを置いたまま姿を消します。それから妻の黒木瞳が夫に対して「この子たち、あんたに似てないわよ」と言い続け、夫婦が共謀して一人ずつ片づけていこうとする内容です。
テレビ・ドラマというもの、どうしても出演者のキャラクター(俳優力)に頼りがちなところがあります。これが映画なら一流の出来とは言い難いものがあります。黒木瞳は連れ子を徹底して疎外する「鬼の継母」ぶりや、妻から夫を求める"濡れ場"シーンなど好演していて、さすがタカラヅカ出身の演技力を見せつけてくれました。この熱演ぶりを受け止める男優もそう多くないでしょう。このドラマ、彼女のドラマといえるでしょう(子役もよかった)。ちかごろ女優としてまたキャリア・アップしたことが分かります(もちろん、筆者は黒木瞳が好きなのでひいき目に見ているのですが)。
ビートたけしのダイコンぶりが気になりましたが、さてこの役を例えば小林薫が演じると、黒木瞳の鬼気迫る演技に呑まれそうです。少しだけ見ていた"連れ合い"が言うには、夫役に真田広之がなれば、派手な夫婦げんかの修羅場の場面が出てこざるを得ない、というのです。それに生真面目一本で生きてきた職人肌というこの役割にこの人は合いません。
原作に登場する石版印刷についてですが、このドラマにはパソコンで印刷する他社との競合が描かれているのに、かつての印刷方法として石版印刷を出してくるのは少し無理があります。筆者の体験からしても25年前に石版印刷をしている印刷業者はいませんでした。パソコンのひとつ前の印刷方法といえば、活版印刷でしょう。今のDTPと石版印刷を競合させるのには設定自体に無理があります。
まあ、テレビのサスペンス・ドラマとしてはこのレベルでいいのでしょうが、もう少し監督が自分の作品にシビアであっていいのではないでしょうか。それともテレビのレベルってこんなものですか? 1000回記念ドラマにしては、完成度がイマイチです。
1050……10月15日(火)
カルメン、今日は休みです。"連れ合い"に弁当を作ってもらって京都に出かけました。
岡崎公園にある京都市立美術館で開催されている「メトロポリタン美術館展」に行くためです。阪急電車で行ったのですが、車中はずっと原稿執筆のための資料を読んでいました。京都までならもう何度も景色を眺めているので、興味はありません。それに最近の特急はやたら停車駅が多く、ロマンスシートも少なくなったので、ごく日常の延長として京都があるといった感じです。
四条河原町に到着。筆者は京都に5年間住んでいたので、どこそこなら何行きの何番の市バスに乗れば行けるという直観が働きます。岡崎に到着後、まず弁当を食べ、缶ビールを飲み、いざ美術館へ行きます。
筆者はこの展覧会に行くまで誤解していたことがあります。アメリカのこの著名な美術館、特に20世紀の巨匠たちの作品を網羅した贅沢な展示を誇るその内容は、きっとアメリカの金持ちが札びらを切って蒐集したのだとばかり思っていたのです。ところが、展覧会の説明文によると、購入した作品ばかりではなく、寄贈作品も多いとのことです。
館内は、多くの著名な作品を現物で見ることが出来るという素晴らしい展示でした。所蔵品だけで、エコール・ド・パリの歴史を俯瞰できるというまことに贅沢な内容です。これを筆者の身近な京都で見ることが出来るということも素晴らしいことです。展示された作品群は、美術雑誌のみならず、思想・評論・民俗学など幅広いジャンルの著作に引用されていて、絵画が表現に及ぼす範囲の広さを実感することが出来ます。
しかし、と思いました。例えばピカソ。「青の時代」の作品はいまから100年前のものです。20年代、30年代と、パリの美術界は黄金時代を迎えます。そして忍び寄るナチの影。40年代はすでにパリからニューヨークへ少しずつ芸術の中心が移動していきます。20世紀は、このエコール・ド・パリの影響下にあるといってもいいと思います。今この芸術運動を振り返っても、いかに革新性に満ちた内容であったのかが理解できます。しかし、100年〜70年前のことです。21世紀に生きている我々はそののち、エコール・ド・パリを越える何かを産み出し得ているのでしょうか。
それにもう一つ、こうした教養主義的な展覧会、筆者、少々、あきてしまいました。「もうええわ」というのが正直な"読後感"です。
1049……10月14日(月)
月曜日ですが、カルメンは営業中です。昨晩、カルメンのスタッフ(コシネーロ)の祝い事のために、以前勤めていたアルバイト・スタッフを含めて8人ほどで、カルメンの営業終了後に呑み会を催しました。会場は、カルメン近くの東門街入り口に出来たビルの中にある若者系居酒屋です。
こういう飲み屋さんは、(1)単品価格が安いけど量は少ない。(2)特に美味しいという料理は少ない。(3)やたらカクテルの品数が多く、若者はカクテル・サーフィンをする(これは昔から我々もやっていてそんなに変わっていませんが)。(4)焼酎は置いているが、品数が限られている。イモなら白波といった有名ブランドを置いている---といったところでしょうか。
このタイプの飲み屋さんは、お互い少しずつ差別化しているようですが、筆者の世代からすると、その区別はつきにくいのです(要するにみんな同じに見えてくる)。まあ、飲んで楽しければいいのですが、筆者と同世代の者同士が行くのには少しシンドイといった感じです。
筆者はJRの最終電車で帰りましたが、残りのスタッフは朝の5時30分まで飲んでいたそうです。まあ、元気なこと。
1048……10月13日(日)
引き続き、素晴らしく晴れ上がった一日です。先日、オリックス・ブルーウェーブのファン掲示板(yahoo管理)を開いていると、オーナー、球団社長、監督ともども批判の嵐でした。批判された三人はこうしたサイトを閲覧しているとは思えません。極端な言辞が飛び交いがちな匿名性掲示板ですが、ファンがいま何を思っているのか、すこしは触れてほしいものです。
最も最下位と縁遠いチームと言われた阪急-オリックスが早々にドンケツになったわけですから、オーナー、球団社長、監督を弁護しようと思っても無理なことです。「来年も140試合の消化試合だ」と辛口阪神ファンでも口にしないような罵詈が書かれています。
消息筋によりますと、オリックス社内でもしらけたムードになっているとか。そりゃあ、そうでしよう。大型補強をしない、ファンを無視した監督人事、貢献度が高い助っ人をクビにする、意固地な阪急人脈軽視‥‥など、果たしてフロントの人たちはどんなチームづくりをしようとしているのか、見えてきません。
石毛「監督」なる人はどうでもいいのです。球団社長が続投に意地を張っているだけで、ファンそしてチームメイトはすでに離反しています。かのロッテにも大きく水をあけられての最下位ですから、たとえ監督1年目であったとしても、この人に監督は務まらないのです。単なる「無能」男です。秋キャンプの途中に辞任を表明してもらったほうが、後任監督が早く決まります。
今年はオリックスの身売り話が出ませんが、オリックスは、球団経営のノウハウを確立しないまま、席をたちたくて仕方ないのでしょう。オリックス本体は、この大不況下でも業績を伸ばしています。だからこそ、プロ野球チームを所有できているのですが、こうしたソフトに関連する事業でつまづくと、企業イメージが悪くなることを懸念しつつ、経済原理で売却を検討しているのでしょう。
いっそのこと、プロ野球チームがない日本海側(新潟)か四国の企業に身売りしたらどうでしょう。たとえば「四国巡礼ボーイズ」とか、「長岡まきこカクエーズ」とか。神戸を離れるのは寂しいのでずが。
1047……10月12日(土)
さわやかな秋晴れ。トーアロードにはいくつもの小さい白テントが。その一つ一つにさまざまなクラフトが並べられています。南は大丸のすぐ近くまで。北は旧NHK神戸の跡地あたりまで出店されています。なかには三線を奏でながら、人々の注目を集めようとしている人もいました。
今日と明日、北野を中心にジャズ・ストリートが開催されます。中高年のカップルが多いのが特色です。こうした場合、デキシーランドジャズといったモダン・ジャズ以前のジャズが好まれます。明るい陽の光の下では、こうした陽気な音楽が合っているようです。あいかわらず「茶色の小瓶」とかいった1940年代のジャズがもてはやされているのです。
このスウング全盛の時代、Japonは国家、国民あげて目をつり上げて、鬼畜米英と戦う体制に突入。街には五七調の軍歌がいたるところに流れていました。当然、敵性音楽のジャズは禁止。ジャズ・プレーヤーたちは部屋を閉め切って「君が代」や「軍艦マーチ」にアドリブをつけて演奏したというエピソードを聞きます。また上海の租界地で営業を続けていたクラブに活躍の場を求めた人もいますが、アメリカーノが高度な演奏技術を磨いていたときに、Japonのジャズは消滅寸前でした(ふと今当時のJaponは、音楽を一切禁止していたアルカイーダのアフガニスタンとだぶって見えてしまいました)。
かたや、われわれが青春時代(1970年代)に享受したジャズは、頭(こうべ)を垂れて、ひとり自分の世界へ下降していくモダンジャズでした。あるいは、絶望とオプティミズムが奇妙に交差するアヴァンギャルド・ジャズです。いま、ジャズ・ストリートなどに露出するジャズは陽気モードが主流になっています。でも、ジャズの長い歴史の中では、長引くベトナム戦争で、社会に閉塞感が漂った不安定なアメリカ社会を背景に発展したモダンやアヴァンギャルドもあります。むしろ、若い人たちにとって、このアヴァンギャルドなどは新鮮に聞こえるのではないでしょうか。
1046……10月11日(金)
この月、街でも住宅地でも、建設や解体の工事が進んでいます。今年のワールドカップで突然出現した感のある「スポーツ・バー」なる店のうち、阪急三宮駅東口近くのバドワイザー専門店が解体工事に入っています。閉店の公告もなく先月末で店を閉じたようです。
かつてこの店の前から、ワールドカップに酔いしれる神戸の歓喜の群衆が生まれたのです。店の外に向けてしつらえたテレビ画面の前に人だかりが出来たのがすべての始まりです。Japon代表が勝利すると、それに酔いしれる若者たちが"にっぽん"、"トルシエ"などを連呼して、日の丸を肌に巻き付けて、「君が代」を歌い出す者もいました。
午後10時すぎはもっぱらこの店の周辺が群衆の中心だったのですが、徐々に"デコボコ公園"に移動して、何人かは地下鉄乗り場の屋根に登って、ドンチャン騒ぎをしていたのです。こういうことがあって、ワールドカップ期間中は、バドワイザーのスポーツ・バーにはカジュアルな格好をしながらも、警備員がしっかりと店入り口に立つようになり、自己規制を強めていきます。
サッカーが終わればそのまま野球関係のスポーツ・バーに変身するのかと思っていましたが、経営者側は、騒動の渦中にこの店が位置することを嫌悪したのでしょう。明確なコンセプトをしめさずに推移し、お客さんの入りも悪くなっていきました。それでも昼前から店を開けるなど、高齢者などの新しい顧客開発にも努めましたが、やはり一度定着したスポーツ・バーのイメージを突き進めなかったのがいけなかったのでしょう。
1045……10月10日(木)
二人目のノーベル賞は、企業研究者でした。小柴昌俊氏(物理学賞・東大名誉教授)に続いて受賞した田中耕一氏(化学賞)は、京都の島津製作所に勤務する人です。43歳。東北大学卒業ですが、大学院に進まず、学部卒業だけで、ノーベル賞を受賞したこと。そして企業で働きながら成果を築いたことに賞賛の目が注がれています。
東大でもなく、京大でもない東北大学出身ということも、関係者を喜ばせています。筆者としても、これまでノーベル賞を受賞するための通過儀礼とでも言える経歴を歩んでいない田中さんが快挙をなしとげたことに拍手を送りたいと思います。今回のノーベル賞受賞は、大学という研究するために恵まれた環境の中で活躍する研究者ではなくて、私企業のさまざまな雑事をこなしながらの開発担当者が受賞したことの意義は小さくありません。
これは東大物理学科をビリで卒業したとされる小柴氏の履歴よりも、一般の人間には琴線に触れる快挙です。ノーベル賞受賞後は人生が大きく変わるといいます。小柴氏の長男氏も東大理学部を卒業して、大学で研究者の道を歩んでいますが、父がノーベル賞を受賞したということで、大きなプレッシャーとなるのに違いありません。ちなみに小柴氏は、筆者の父と同年齢です。
このまま田中氏は島津製作所に残るのでしょうか。会社側としては、昇格試験を受けなかった田中氏に対して、今の地位のままにしておくわけにはいかず、何らかの飛び級的な昇進と、研究しやすい環境をつくる必要にかられます。すぐ退社されても企業イメージが傷つくので、給料面など待遇を変えなくてはいけません。
田中氏はこれまで自分を育ててくれたことに感謝する意味でもこの会社で働き続けようと当面は考えるでしょう。また、ノーベル賞受賞者と一緒の会社・研究所で働きたいと希望する若者も増えることで優秀な後輩社員が集まることも期待できます。同時に、大学からの誘いも一挙に増えるでしょう。まだ40歳代の若手。あと20年間、移籍後の大学に在籍するとなると、現役のノーベル賞受賞者がいる大学・学部ということになり、一挙に付加価値が高くなるのです。国公立大学も独立採算性に移行することから、熾烈なヘッドハンティングが展開されるかも知れません。
どうする田中さん、これからが大変ですよ。
1044……10月9日(水)
大阪で行われたスペイン・ワインの商談会に行って来ました。今年の傾向や気付いた点をアットランダムに記述していこきうと思います。
■2001年のナバラ産赤の"Joven"を飲みましたが、噂に違わず素晴らしいティストでした。ちょうど同じvinoのcoshaちがい(2000年)を飲んでその違いに驚愕しました。01年はすでに出来上がっていて、これはこれは素晴らしい。筆者、初めて01年産を飲んだのですが、これからRiojaや Revera del Dueroの01年赤が登場すると思われますので、大変楽しみです。
■今回の参加エージェントだけの出品傾向だけで判断するのは、早計かもしれませんが、出品DOが、ますます拡散傾向にあるということです。数年前までは殆どのエージェントがRioja産を半分以上揃えようとしていましたが、近年では、筆者でさえスペインDO地図を見ないと分からない未知のDOを扱うエージェントが増えたのです。それも毎年、新参のDOが変化していて、少し前はToroなどが数多く出品されていましたが、今回はそうでもなく、タラゴナ、アルマンシアなどのDOも見受けました。またペネデスを扱うエージェントもいくつか見かけます。かのDOの面白いところは、ワインのスペイン規格(crianza 、reserva、 granreservaなど)を一切採用していないことです。カタラン人の強烈な矜持を垣間見ることができます。
■DOの拡散状況の中で着実に、オリジナルのブランド力を付けてきているのは、カリニェナではないでしようか。ここはローマ帝国時代からのワイン産地なのですが、小規模な蔵元が多いために、ほんの少し前まで、リオハなどに樽売りをしていた割合が高かったと聞きます。最近では、crianza 、reserva、 granreservaなどのクラス別差別化を厳格に実行し、今回初めてこの地域のgranreservaを飲みましたが、てらいもなく円満にまとまっているティストを現出していて、好感を持ちました。小規模蔵元ゆえの丁寧なワイン造りをしているものと思われ、評価します。ひょっとして、筆者の知る限りのスペイン国内DOの中では、Japonの人たちの嗜好に一番無理なくフィットするのが、このカリニェナ産vinosではないかと思っているのです。
■Vino de Jerez に関しては、奥が深く、筆者まだまだ勉強不足です。エージェントの人としゃっべっていても、頓珍漢な質問をしてしまって、苦労をかけてしまいました。今回の出品のうち、シェリーはこだわりのボデガスが印象に残ります。フローラが生じるタイプのFino とAmontilladoの間に、"Palo Cortrtado"というクラスを作っているボデガスもありました。Sanchez Romante Hnos というところです。ここのブランデーが変わっていて、Amontilladoのような味わいのする"Cardenal Mendosa"を作っています。まだ筆者はVino de Jerezを極めていないので、もう少し勉強してから評したいと思っています。
■名の知れたDOから、最近売り出したDO に至るまで、大きな傾向としてあるのは、味のソフト化です。つまり筆者の好きなスペイン・ワインらしい"こてこて"を排除しようとしていることです。国内消費分はともかく、こうして海外に出品する商品に関しては、アメリカーノの影響は避けられません。かつて本格焼酎の"臭み"を嫌った都会人向けにソフトな焼酎を作ったJaponの蔵元を想起します。
スペインでいえば、樽熟をするのにも、従来のアメリカン・オーク樽より、ソフト感が出るフレンチ・オークで熟成させることが多くなり、またアメリカン・オーク樽の熟成を短期間にして、後はフレンチ・オーク樽に入れ替えるということをしているボデガスが増えているようです。これは世界の最大消費地であるアメリカとイギリスの消費動向に合わせた結果であるのです。
筆者はこうした傾向に対して警鐘をならしつつ、アメリカーノに対して「こんちくしょう」と思っています。といいますのは、最近元気がないJaponに対しては、評価が高いコセチャのvinosが入ってこず、すっ飛ばされ、米英に優先的に輸出されているとも聞くからです。
Vinosもまたグローバルな経済動向とリンクしているのですね。この商談会の帰り道で気付いたのでずが、次はReas BaiXas のBlancoを買い換えなくてはなりません。
1043……10月8日(火)
あまり話題にならない釜山アジア大会。その中でも、ひときわ話題を集めているのは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の応援団として韓国に来ている女性たちです。「美女軍団」といわれたりしています。釜山市内のホテルには宿泊せず、北朝鮮から乗ってきた船を釜山港に停泊させて、その船に寝泊まりしています。外界との交渉を一切ち、移動する時も、いつもパッケージのまま移動するそうです。
確かに美人が多いような気がします。厳選されたのでしょう。美女たちを一目見ようと岸壁に集まってきた韓国市民に対して、歌舞音曲を披露しているそうです。しかし、個人へのインタビューは拒絶。韓国の地を踏んでの感想を聞きたいところですが、無理なようです。それに若い女性ならいろいろと買い物をしたいに違いありません。
今の北朝鮮の国情からすると一般市民が観光のために韓国に足を踏み入れることは困難なはずです。つまり彼女たちは、国家のショーウィンイドー的存在です。それにしても、応援団に「美女」ぱかりを送り込むというのは、なんとも"オヤジ"的な発想です。「"きれいし"をやな、ぱぁっとな、ようさん送り込んでやな、あっちも悦びよるでぇ」とかなんとか言いながら、筆者の周囲にこうした発想をしそうなオッサン・オヤジがいます。北朝鮮のオッサン・オヤジの総勧進元(=美女を送り込んだ張本人)といえば、あのK・J氏でしょうか。もっと、自国の経済を立て直し、拉致問題にも真剣に取り組んでほしいものです。
1042……10月7日(月)
昼少し前、アルバイトのUさんに教えてもらった摂津本山のスパゲティ屋へ。筆者はトマトソース系、"連れ合い"はクリームソース系のパスタ、それにほうれん草と生ハム(ソテーしていた)のサラダを注文しました。さらに"連れ合い"に顰蹙をかいながら、軽めのイタリア赤ワインを一本。この店は、スペインのワインも置いています。かの有名なトーレス社の"Sangle de Toro"です。かつて10年以上昔、このワインはカルメンの主力ワインでしたが、筆者の好みで主力の座を交代させました。しかし、今でも在庫はしています。このワインを指名されるお客様がいらっしゃるからです。
ほろ酔い加減で三宮へ。映画「阿弥陀堂だより」を"連れ合い"と観ました。この映画を選んだ理由は簡単。筆者は主演女優の樋口可南子が好きだからです。さらに、この作品には香川京子も出演しています。趣味が良すぎます。筆者お好みの日本映画の女優が新旧2世代にわたって出演するなんて、気が狂わんばかりです。
この映画、いろいろ読みが可能ですが、日本映画の伝統を意識して、長い間蓄積されてきた正統的映画の系統発生を目論んでいるような意図を感じます。ロケ地として選んだのは、長野県。Japonらしい四季・民俗がある地域と仮構された場所です。長野を選択した時点で、すでに制作者の恣意性は明確となります。
この映画の中には全的にJaponしか存在せず、他者(外国、国際化社会)のまなざしに関係なく(あるいはそうしたまなざしを排除して)単独で存在するJaponが描かれています。ハリウッド映画で白人しか出てこないアメリカ映画とある意味で同位相なのかもしれません。それだけにJaponの人たちは、快楽としてJaponに酔うことができます(またそれ故にこそ、外国からもエキゾティズムの対象として評価され鑑賞されるかもしれません)。
あるいは、経済が破綻状態であるJaponに対する勇気づけのために作られたのでしょうか。樋口可南子扮する女医は都会の勤務医で心の病に冒され、転地治療のために夫の故郷にやってくるのです。つまり〈長野=仮構されたJaponの原郷〉に還ることで癒されるのです。
そしてその癒しを施す具体的な人物がおうめばあさんです。96歳の老女に語らさせている内容には、それほど深刻な話は出てきません。ストーリーのところどころに出てくる満州移民の話もさらりとしか出てこないし、雪によって境界ががあいまいになる山と里の(あらがいを含む)差異も美しい映像の中にとけ込んでしまっています。
この〈長野=仮構されたJaponの原郷〉の舞台となっている夫の故郷には濃密に昔からの伝統芸能が保存され、継承されています。この映画では"癒し"を施すMother Landには、いまだ機能している共同体が存在していることが描かれているのです。これは制作者の意図なのか願望なのか分かりません。
もうひとつ面白いのは、病んでいるのは、夫ではなくて妻であるということです。「病妻もの」といえば、すぐに島尾敏雄・ミホ夫婦の日常と作品が想起されます。吉本隆明風に言えば「古代的なシャーマン」としての性格を持っていたミホさんが、ヤマトの異世界の中で悶着することで発症した心の病を治すために故郷の奄美に還る事に対して、今回の(都会生まれと思われる)女医は流産をキッカケとして現代社会の中で病み、共同体が機能していると仮構されたJapo原郷に還るというベクトルの違いがあります。
二つの"物語"に共通しているのは、共同体に癒しの力があるということを前提としているということです。しかし、ミホさんと女医との"物語"の間には、人口の多くが都会生まれとなったという時の流れがあり、都会に人口が集中したために、大都市圏外にある地域共同体の人口減少・高齢化が進むことで、共同体そのものが維持できるりかどうかという瀬戸際に立たされているということでしょう。また都会生まれの人たちにとっては、生まれてからもともと"原郷"など存在しなかったという現実があります。
この映画には"らしすぎる"という場面が何度か出てきます。神社の境内で主演の夫婦が子ども達と遊んだ後、子ども達が帰り際に「夕焼け小やけ」を合唱したりするシーンなど「ちょっと待ってよ」と言いたくなります。この作品、下手をすれば自治体が絡んだ観光映画の世界とぎりぎりせめぎ合いながらのレベルであるとも言えます。監督も"凡庸の悪魔"と何度か握手してしまったような感があります。また最後、女医が42歳で妊娠するハッピーエンドは、話の最後に「。」をつけるために少々苦しい出来事であるように思えます。
もうひとつ、主人公の売れない小説家役の寺尾聡のこと。あいかわらずひょうひょうとした演技をみせてくれるのですが、いまどきの小説家が原稿用紙にモンブランの万年筆とはちょっと疑問です。まあ、売れない作家なので、パソコンを使うほうがおかしいのかもしれませんが、こんなレトロな作家はもはや80年代で死滅しているか、あるいはもっと高齢の作家ではないでしょうか。
この映画、派手なテーマではないのですが、入場者数は悪くありませんでした。高齢のお客さんが多かったようです。館内は、役者の一言ひとことに賛同のどよめきが起こり、映画館ならではのシンパシー(共同感覚・共同感受)を経験できました。高齢者といえば、映画の中で、ロケ地のお年寄りたちが自然な語りをしているのも面白い箇所でした。ある婆さんは、「毎日の楽しみは?」と村の広報誌を配る寺尾聡に聞かれて「毎日、(近所の友達と)おしゃべりすること」ときらいなく語ることシーンが好感が持てます。都会に住む高齢者の方が、気軽に毎日おしゃべりできる場所や友達を見つけにくいのかもしれません。
さて、物語ですが、女医(妻)は少しずつ癒されていき、無医地帯だった夫の故郷の村で診療所長に赴任することを決意します。では「花見百姓」と村人から揶揄された小説家(夫)はどうするのでしょう。自分でも「新人賞をとって10年間、鳴かず飛ばす」と自嘲しています。「Japonの原郷」に癒された女医である妻、近代に発生し今でも需要が高い小説の世界にこだわり続ける夫。いずれも近代(妻も西洋医学に依拠している)に足場を置きながら、再出発のキッカケを得られた立場と、得られなかった立場とに別れたのです。
この夫、もし小説家ではなくて、詩人、歌人、俳人だったらどうでしょう。もとよりこうした文芸ジャンルだけでは食べていけないことは覚悟しているはずなので、むしろ帰郷することで一挙に帰農することを選んだに違いありません(映画の中でも「来年は自分の田んぼを持たないとね」と農作業を手伝っている合間に村の仲間から声を掛けられている)。小説家は一度棄てた故郷に帰することはひとつの敗北であり、小説という文芸ジャンル自体、国内エグザイル(亡命者)としての性格を持ち合わせていることが分かります(また、反対に俳句などはJaponの四季や花鳥諷詠に基調を置くことにで、原郷に対するオマージュの度合いは強く、帰郷は作家活動にはプラスと考えるはずです)。
1041……10月6日(日)
昼、少しだけ定型詩作家の読書会(大阪)に参加。俳人、歌人、川柳作家入り交じっての論戦となり面白い会となりました。やはりジャンルによって、"うた"に対する見方は違うものです。会終了後、加古川在住の俳人Y氏を捕まえて、デジタルカメラで顔写真を数枚撮ります。Y氏をある媒体に紹介するためです。徳之島出身の人なのですが、不思議と奄美出身者は俳句形式を選んでいる人は少なく、歌人の方が多いようです。これはかの地域には琉歌の伝統があり、有季を強要する俳句は、奄美と風土が違うために、普及しずらいのかもしれません。
1040……10月5日(土)
金木犀の香りがします。筆者は「金木犀頭痛症」なので、息苦しくなるのですが、香りは一週間と続かないので、深刻な事態とはなりません。夜中にトイレへ行くため、廊下に出るだけで、金木犀の香りを感じるのですから、その芳香性はかなり強いものがあります。
暖かい10月です。ノースリーブの女性を今日もよく見ました。別に珍奇な光景ではなくて、ごく普通に見ることが出来ます。Tシャツの若者も大勢います。
星電社が大きく変わろうとしています。ニノミヤ神戸店が先月末で閉店した後、プリンターのインクを星電社で買っています。ニノミヤより約1割ほど高いので、頭の痛い話です。センター街の本店が、26日から1FとBFに"TUTAYA"が入るとのことで、改装工事の真っ最中。一度、倒産してしまった会社なので、全面改装はやむを得ません。かつてはこの本店だけで売上げ日本一の記録を作ったこともあるそうです。
しかし時代は変わり、本日の新聞には郊外型大型電気量販店のチラシがいくつも入っていて、そのお互いの価格競争の相手に星電社は含まれていません。これから星電社本店は、電化機器販売店というより、都心型複合集客施設へと変貌していくことになるのでしょう。
1039……10月4日(金)
筆者のこだわりの話です。この人の作品なら、発売されているすべての作品は買っておきたいと思う人が二人います。漫画家の花輪和一と、ミュージシャンの吉田美奈子です。
花輪和一は最近受刑した時の日常を綴った漫画本で話題をさらい、崔洋一監督によって映画化されようとしています。筆者は、中世・近世の歴史ものを書き続けた花輪作品を偏愛してきました。完璧ではないのですが、ほとんど全ての漫画単行本を買っています。
昨日の朝日新聞夕刊に登場した吉田美奈子。ほとんどノーメイクに近い顔でさらりと登場するあたりは、実力派ミュージシャンとしての迫力を感じます。この人の音楽は特にバラード系が気に入っていて、筆者の琴線にぐぐっと迫り、時に涙してしまいます。この人も完璧なコレクションではないのですが、多くのLP、CDを持っています。
その彼女の新作CD「Stable」が今月発売されるとのこと。これは是非買わなくてはなりません。もう一枚「BELLS」というCDも発売されると書かれています。これは16年前に3000枚出してファンの間では"幻のCD"と言われていると書かれています。"美奈子オタク"の筆者ですから当然、持っているだろうと確かめたのですが、ありませんでした。筆者は"もぐりオタク"なのでしょうか。ちょっとショックです。
吉田美奈子を聞き出したのは、大学生の頃。友人からまとめて2.3枚LPを借りて、すぐにファンになりました。それ以来、彼女のミュージシャンとして活動暦の長さに助けられ、ずっと聞きづけ、彼女と共に加齢してきました。まるで、筆者にとって、アイデンティティを証明する物証のようです。
こうした一人の作品を追い続けて年齢を重ねるというのもいいものです。吉田美奈子--この人のホームページを見ていると、こだわりが強く性格もひつこそうなので、これからも濃密な曲作りと、筆者なかせのバラードを歌い続けてくれると思います(けったいな褒め方ですね。美奈子さんゴメンナサイ)。ただ、ヴァージンなど巨大CDショップのJ-pop棚を見ていると、この人のコーナーが外されるなど、「マイナーだけどこかメジャー」だった美奈子が、「マイナーだけどマイナー」なミュージシャンとなっていくかもしれず、ファン=オタクとして一抹の淋しさがあります。
1038……10月3日(木)
今日は、1990年から始まって、毎年秋に開催しています"シェリーフィエスタ"の料理内容をお知らせしておきます。この企画は、震災の年(1995年)も中止することなく続いている好評のコースです。
》》 第13回シエリー・フィエスタ 《《
お待たせいたしました。今年も好評の「シエリー・フィエスタ」の時期が到来しました。「毎年、どんな新しいメニューが出るのか楽しみです」との嬉しいお客様の声援も頂いております。 今年も新しいスペイン料理が続々と登場します。しかも4300円というお値打ち価格です。是非、カルメン伝統のコース企画を堪能してみてください。今年初めて、シェリー酒にドライタイプを提供することにします。また今や「高級魚」となったいわし料理も登場するのは注目です。また手長エビ、コネホ(うさぎ肉)が登場するなど、新しい味の挑戦も試みています。老舗だからこそ出来る新しい料理コースです。是非、秋のひとときをカルメンでお過ごし下さい。
1.ドライ・シェリー(初登場)
2.いわしのエスカベッチェ
3.まきのこのソテー シェリー酒風味
4.アンチョビとバジルのソーパ(スープ)
5.魚介類のサラダ
6.手長えびのアリオリソース焼き
7.a.牛フィレ肉のステーキ
b.牛フィレ肉のカツレツ マスタード風味
a b いずれかを選択
8.a.ミックス・パェリャ
b.うさぎ肉とガルバンソー豆のパェリャ
c.パン
a b c いずれかを選択
9.サツマイモのモナブラン風デザート
10.a.コーヒー b.紅茶 c.クリームシェリー
a b c いずれかを選択//////////////////////////////
平常料金/ 8580円相当
優待料金/4300円
(お一人様)(税別・サ無)
期間/2002年10月1日(日)〜11月30日(日)
時間/12:00〜14:30
16:00〜21:00(ラストオーダー)〜22:00
//////////////////////////////
ご希望の方は、078(331)2228(FAX兼用)へ1037……10月2日(水)
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に拉致された人の中には、筆者と同年齢の人もいます。故国・家族との連絡が一切出来ない状態での生活が永く、すでに北朝鮮での生活の基盤が出来上がっています。しかし、かの国はいつ粛正されるともしれぬ危険性とともに生きていかねばなりません。あるひとつの国家が他国の国民を拉致するなんとてうことは、どう考えても許されることではありません。さらにそれ以上に自国の国民が拉致されている情報を、国交がないからといって、長い間放置してきた外務省・政府の態度にも強い怒りを感じます。つまり外務省の役人には、たとえ国交がなくても自国民を守るのだというという気概は全くなく、役人以前の人間としての人道上の使命感さえ持ち合わせていないことになります。
こうした外務省の態度を、Japon全体の「平和ボケ」という安直な形容の中に逃避させるつもりはありません。外務省という役所が伝統的に持つ国民軽視の風潮だといっていいでしょう。今回の拉致問題でも、早く幕引きを願っているのは、北朝鮮当局よりも外務省の役人諸氏でしょう。
1036……10月1日(火)
台風が近づいているせいか、蒸し暑く感じます。たまたま"mac.com"にメール・アドレスを持つ数人からアドレスの変更通知がありました。転勤が多い新聞記者は社のメール・アドレスは変わらないので、これは便利です。さすがに全国的に展開している業界はメール環境も整備されています。
もうすぐ秋用の特別料理を発表します。お楽しみに。
1035……9月30日(月)
カルメンの定休日。"連れ合い"はせっかく子ども達が休みの日なのに、どこへ行こうともせずに目を三角にして、拙宅の片付けをしています。子ども達はその気迫に押されて、自分の部屋に閉じこもったままです。
今日はFMわぃわぃの放送日。午後3時に局に到着。本日のゲストは高嶋正晴氏。筆者と二人で、「島唄ブーム」について検証します。元ちとせ、中野律紀、中村組などのアルバムを取り上げて、ブームとはいったい何なのかを、多角的に取り上げました。
番組終了後、二人でJR鷹取駅前の立ち飲み屋で、軽く生ビール。高嶋氏はグローバリゼーションを専攻しているので、本職の話も興味深く聞きます。河岸を替え、東灘区へ。黒糖焼酎の置いてある店へ。喜界島産。一本キープして飲み始めます。筆者はロックで、高嶋氏はストレートで。次第に酔いがまわり、午後11時でお開き。高嶋氏の家は京都なので、この時間で解散。
帰宅後、食事をしたことまでは覚えているのですが、気づくと服のままで寝込んでいました。午前3時半。"連れ合い"に発見されて、パジャマに着替えたのです。高嶋氏は無事帰れたでしょうか。
1034……9月29日(日)
今日は、出勤前に小学校の運動会をのぞいてきました。さすが小学生ははち切れんばかりの元気と若さです。今年はどうしたことか家族が多くつめかけています。午前9時にはすでに校庭は満杯状態。学年の雰囲気もあるでしょうが、ここ一、二年出席率は高いのです。不況で父親族の日曜出勤が少なくなったからでしようか。
校庭では知り合いに挨拶。でも、長男・次男がこの小学校に通っていた時に比べると、知人は少なくなりました。午前10時すぎに拙宅に帰ります。娘はそのすぐ後に披露された創作ダンスを見てくれなかったと怒っています。でも仕方ありませんねえ。筆者はまだ少しの時間でも見学できますが、理容・美容業界の親の人たちなどは絶望的に無理です。娘の徒競走だけは見ました。一等賞でした。
1033……9月28日(土)
昨晩から降り始めていた雨もようやくあがり、なんとか次男の中学校の体育祭が出来るようになりました。まだグラウンドはぬかるんでいますが、雨はもう降りそうにありません。甲南女学院発祥の地に立っているその公立中学校は、一学年6〜7クラスで編成されています。筆者は途中までしか見ることはできませんが、一年生はまだ背の低い子も多く、小学生とさして体格は変わりません。それが二年、三年となると見違えるように身長が伸びていきます。
二年の次男も朝、起きると身長が伸びていることが実感できます。今はまるで枯れ木のようにひょろひょろと骨がらのようですが、その身長の伸び具合は驚嘆すべきものです。
昼、大阪・上本町へ。三宮からたっぷり1時間15分かかります。俳人、川柳人が集まる寄り合いに。この上本町は大阪の文教地区であり、私立男子校が多く、土曜日は授業があるために多くの学生服の生徒を見ました。公立高校は国家の管制下に置かれているために、完全週休二日制としている時、受験校である私立はこうしてもくもくと土曜日に授業しているのですね。これでは公立高校からの有名大学への合格率向上はますます難しくなりそうです(まあ、それがいいかどうかの価値判断は別ととて)。
1032……9月27日(金)
某県立高校野球部の母親たちとクラブ担任の先生方が、団体で来ていただきました。野球部といえば、強い弱いにかかわらず、練習量がおおいことで有名です。彼らには甲子園という華やかな舞台が待っていることもあって、甲子園に一歩でも近づくということが、希望でありステータスなのです。またその子ども達を支える母親たちのまなざしも熱く、とうぜん親同士の連帯感も生まれてくるのです。このように、親たちばかりが集まって盛り上がるというのも、野球というスポーツが持っている呪力と魅力なのでしょうね。
1031……9月26日(木)
(ポートワインの話/1)雨、といっても、しょぼしょぼと降る雨です。
少し前まで、カルメンにはポルトガルの赤ワインであるダン・ワインを置いていました。首都リスボンより北に位置するその産地は、ポルトガルの中でも特に有名です。大阪にあるI産業という、建材としてのコルクを扱う商社が扱っていたワインでした。
筆者もこのダン・ワインが気に入って、多くの人に薦め、このワインを飲みに来るお客様も定着したりして、すっかりカルメンのワイン・リストの定番として定着していたのです。ところがポルトガルがEUに加盟して、ユーロを使う機に値上げをI産業に通告してきたのです。いわく「フランスのボージョレー・ヌーボーなみ」の価格だったので、その商社は取引を停止。そのためカルメンのワイン・リストからもダン・ワインが消えたということになります。
I産業から購入しているは、ワインの他に、ブランデーと、ポートワインがあります。ブランデーの話し永くなるので後日にするとして、甘口のデザートワインとして、絶対的な評価を得ているポートワインについて、お話しすることにしましょう。
1030……9月25日(水)
昨日の話の続きです。3時間、高校の体育祭をたっぷりと見学した後、帰宅して久しぶりに国道2号線沿いにある「古本市場」に行って来ました。ここは次男が根城にしている拠点のひとつです。一人は勉強とクラブに明け暮れ、一人はマンガが豊富にある二つの古本売り場をハシゴする毎日----兄弟でもなんという違いでしょう。
筆者はまずそこのマンガ本の種類と量の多さに感嘆します。当然、マンガを読み耽っている子ども達がいます。中にはたむろしている子ども達がいて、これはちょっと親としては看過できません。筆者もマンガ世代に属しますが、子どもたちが安直にマンガばかり読んでいると、貧弱きわまりない教養の持ち主になることは充分予想できるのです。
筆者の目的は、遠藤周作の『最後の殉教者』という題の文庫本を探すことでした。これは、先月訪れた津和野で殉教した"浦上四番崩れ"のキリシタンのことが書かれています。この文庫がなかなか入手できなく、この本屋を頼ったというわけです。
ありました。助かりました。遠藤周作という作家は多面的な要素を持つ人ですが、筆者はもっぱらカソリック作家・評論家として注目しています。キリスト者ということを一歩入り込んで、カトリシャンとしての自覚に基づいた作家・評論家活動を展開しているのです。
ついでに売り場をめぐっていると、ちくま文庫の『浦上四番崩れ』(片岡弥吉著)という本にも出会うことが出来て、買い求めました。これはラッキーでした。著者はキリシタン史研究家で、津和野についても詳しく記述しています。
しかし、こうした新古書店の新刊売り場というのは、売れ筋・人気作家が圧倒的に多くが並んでいます。筆者はこういう棚揃えは全く興味がないので、著名作家の棚の中に混入している文芸書・評論集を探し求めます。しかし、求める本はたいていそこにはありません。そうした棚とは別にしつらえてあるコーナーに、その他十把一絡げ的な扱いの棚にこそ、筆者が欲しい本があるのです。
歌集がいっぱいありました。若手、ベテラン歌人が交じっているようです。いずれも美装本ばかり。残念ながら、筆者は短歌・歌人に詳しくなく、目利きが効かないのです。ただ、そんな筆者でも知っている道浦母都子さんの歌集を三冊買い求めました。『夕駅』(河出書房新社)、『風の婚』(同)、『青みぞれ』(短歌研究社)。いずれも一冊95円。道浦さんが聞いたら激怒しそうな値段です。これは私にとっては望外の買い物でした。
こうした歌集は、売り手から購入した新古書店が、古本市場に転売したほうが、利益があがりそうです。もちろん、古本市場でどれくらい価値があるのかどうかは、プロとしての目利きが必要です。こうしたプロの目を育むシステムが、新古書店業界にないのでしょうか。いつも不思議に思っています。
筆者にとっての新古書店めぐりの楽しみは、単行本のうち、目利き不在によって生じる廉価本を購入することです。でも、こうした新古書店には一年に二度いくぐらいが程良いインターバルでしょう。滅多に質がいいながらの廉価本と巡り会わないからです。
1029……9月24日(火)
カルメン休みの日。長男が通う県立高校が、王子球技場で運動会をしていたので、見学にいきました。当然ですが、筆者のような父親の姿は圧倒的に少なく、殆どが母親と思われる人たちです。一緒に見た"連れ合い"は、何人か知り合いと挨拶を交わします。小学校が一緒の人たちです。筆者は、長男のクラス担任の先生と挨拶します。この先生、名物先生で文章が達者です。時々長男が持って帰るエッセィを読んでいて、思わず涙がうるんでしまうこともありました。
午後の部の一番最初は、クラブ対抗リレー。この学校はクラブ活動をすることを奨励しているので、多くの生徒が体育系クラブに属しています。筆者の長男は陸上部。そのユニフォームは走るためのものなので素っ気ないものです。それぞれのクラブがそれぞれの運動着で出場しているのが面白く、中には乗馬クラブもあったりして、当然乗馬服で入場行進、その姿で走るのです。こういう時に不利なのは、剣道部です。走るためのスポーツではないので、裾をまくしあげて走るしかなく、当然早くなく"ベッタ"です。
各クラブの入場行進の後、女生徒が団長を務める応援団がエールを送ります(この女性団長の存在も奇貨なりで興味深いものでした)。そして次にこの高校の応援歌を歌います。それがなんとも面白い。数あるクラブの中で、歌っているのは二つだけ。どこのクラブだと思います? 野球部とラクピー部です。その二つの真ん中にいたバスケット部の男の子たちがつられて何人か歌っていましたが、全員が歌っているわけではないのです。
でも、その二つのクラブの男の子たち、歌っているというより怒鳴っているという感じでした。まさに彼らこそ体育系の中の体育系的ノリの人たちです。おそらくクラブ活動の中で、ことあるごとに強制的に大声で歌うよう命令されているのでしょう。で、左右のその他大勢の運動部員はまるで異国の国歌を聞いているような態度です。この対比が絶妙で筆者は笑ってしまいました。
そしてクラブ対抗リレー。陸上部は負けるわけにいきません。必死に走ります。走る姿はさすがにフォームが出来上がっていて、身体のブレが無く安心して見ることができます。しかし、陸上の選手は初めから安定した走りとスピードが最初から最後まで出来るということは、意外性が欠けるという事実もあります。勝負は当然陸上の勝利でしたが、ラクピー部のアンカーがあとすこしの距離まで追いつめて、距離がもう少し長ければ逆転されていたでしょう。
ラクピー部のアンカーがゴールに到達すると、部員の全員がかけよって、胴上げを始めます。陸上部も胴上げをしているのですが、ラクピー部の華やかさにはかないません。まるでラクピー部が優勝したようです。このほか、水泳部が水泳パンツだけ着て浮き輪をつけて走り、それを第二のバトンにしたり、柔道部がバトンタッチする際には、フィールドの上で技を披露したりで、まるでカーニバル気分です。これままったく、旧制高校的なノリと形容したほうがいいのかもしれません。
また障害物競走では、3年生の最期の組が、走り出すと、やにわにトラックの横から大きなブルーシートを持った生徒達が駆け寄ります。走者たちはそのブルーシートの中に入ってもぞもぞと何かしています。最初、何のことか分からなかったのですが、一人二人と変装した生徒たちが出てきて、会場の爆笑を誘います。新郎新婦の格好(新郎はステテコ姿の禿げオヤジ)や、デビルマンの格好をした生徒もいます。点数やクラス対抗はそっちのけで、奇抜さを競っているのです。これがまた面白い。
長男に後であれは3年生という学年の雰囲気かそれとも学校全体の雰囲気かと聞いたのですが、どうもこの高校が持っている伝統的な姿のようです。体育祭の会場はリベラルな雰囲気に取り囲まれています。先生たちも家畜を先導するような強制的な怒号は発していなかったようです。
最後の競技は、クラス対抗の縄跳び。規定の時間内で何回ひっかからずに回れるかというものです。40人前後がいっせいに飛ぶわけですから、呼吸があわないとすぐ引っかかります。掛け声は勇ましく、テンションが高いクラスが上手かというと、むしろ実績は反対のようです。おもしろのは、3年生のあるクラスです。このクラスは長男のクラスと同じコースの先輩たちで、3年間クラス替えがなく、黄色い掛け声は一切なく、黙々としているわりに、20回近く連続して跳び続けます。クラスに自然と一体感が熟成されているのでしょうか。
1028……9月23日(月)
母・光子の四十九日の法要をカルメンでしました。午後1時から22名の参加。坊主の読経抜きです。徹底した仏教嫌いではないのですが、死者に対する読経で俸禄を得るという仏教のありかたにも疑問を感じます。もっと生者を向きなさい、と言いたくなります。例えば、異教徒の国にでも平気に出かけていくキリスト教団体に比べると、金持ちJaponの仏教徒は一体どんな"慈悲"を施しているのか、知りたいものです。
母は、多くの人から愛された人でした。家に来た者たちには、気軽に食事を作ってあげ、今日参加した人の中にも、彼女の食事の恩恵な与った人はたくさんいます。そして神戸っ子らしい開放的な性格、明るさが幸いして、多くの人が彼女を慕って人生相談をしていたようです。これから母は多くの人たちの記憶の中で生き続けます。
1027……9月22日(日)
俳人の堺谷真人氏がふらりとカルメンを尋ねてきてくました。某大手広告代理店に勤める人で、先日京都で行われた現代俳句協会の第15回青年部シンポジウムにパネラーとして出席されています。筆者と二人で結社という存在の不思議や、俳句という詩型についても意見を交換し、短時間ながらも興味深い内容でした。
俳句の世界では50歳以下は"新人"なのです。まるでひょっこ扱いです。俳句が老人文学と言われている所以でしょうか。まあ、30歳代と思われる堺谷氏のような存在はとりわけ若い世代なのでしょうね。
1026……9月21日(土)
A・「カルメンってホームページあるのですか」
B・「ありますよ。検索サイトで探せばすぐ出ます」
A・「そうですか‥」
B・「ひょっとして yahoo で探したのではないですか」
C・「そうそう、yahooはだめよ。わたし最近はもっぱら goo か google よ」これは今日昼間に筆者(B)とお客様(A.C)と交わした会話です。会話の内容自体変わってはいないのですが、お客様がともに中年女性で、ちょっと見ではネットの話が即座に出てくるのがまだ少し意外感のある人たちなのです。しかもCのお客様は google を「ゴーグル」ではなく「グーグル」と正確に発音していたのにも驚きました。ネット社会は着実にそして深く日常生活に定着していっています。
1025……9月20日(金)
すこし日付けはずれましたが、17日の筆者の行動について書いておきます。なにか映画を観ようかとぎりぎりまで悩んでいたのですが、小泉首相の訪朝ニュースを見つづけたので、出かけるキッカケを失ってしまいました。
銀行に行ったついでに、年に一回ほど訪れる甲南大学の書籍生協へ行くことにしました。そこには、筆者の好きな人文系評論・思想系の本がほどよく並んでいるためです。欲しい本は何冊があったのですが、今月末に締め切りを控えている原稿があるために、触手がのびず、何も買わずに出たのです(もうしばらくいたかったのですが、午後3時で閉店を告げられ、追い出されたためでもあります)。
大学に行く途中、山手幹線を歩いていると、"Coltrane"というピアノバーがありました。まさにJohn Coltrane からとった店名です。木造りのいい感じの店です。コーヒーもやっているので入ろうかと思ったのですが、ちょうど雨が降り始めて歩き急いだのです。大学正門近くの阪急ガードのすぐ南に、フラメンコ教室があります。甲南大学の生徒さんが多いのでしょうか。近年、フラメンコ教室が隆盛で、どこの教室もいっぱいだとか。
大学からの帰り道、阪急岡本駅近くに"kitchen kitchen"という雑貨屋をみつけました。少し高そうな店構えです。お客さんの中に中年男性がいたので、それにつられて入ってみて驚きました。100円ショップでした。しかもかなりハイ・グレートな商品構成です。お洒落系の店の特色らしく値札が小さいので最初は分かりづらかったのですが、商品の殆どが100円です。作りもしっかりしています。これでは道向かいにあるダイソーも真っ青です。筆者はデフレの恩恵を感じました。
1024……9月19日(木)
日中は、30度近くになっているものの、店内は冷房なしでも充分すごせます。涼しい風が入ってくるのです。9月も下旬に近づくようになってようやく冷房をかけっぱなしという状態から解放されようとしています。やがて秋の虫たちの声も聞こえなくなり、秋が日ごと深く進行するようになります。
北朝鮮からミサイルが飛んでくるとすれば、3分から5分でJapon各地に到着するそうです。アッという間です。"連れ合い"にこの時間を具体的に説明しました。"連れ合い"は、いつもぎりぎりまで寝ている次男を午前7時30分ちょうどに、大声で呼びかけます。「7時半やよ、早よ起きなさい」。北朝鮮でテボドン・ミサイル発射。しかし、次男は一回の呼びかけでは起きません。再び5分後「なに考えてるの35分になったわよ」と怒気を含んで叫びます。その声が終わるかどうかの時に神戸にミサイル着弾。一瞬にして火の海。ニュース速報は発射されたというニュースではなく、神戸周辺に着弾した模様と報道。しかもその速報は神戸以外の都市のテレビ画面で流されているでしょう。
筆者は決して北朝鮮を忌避している者ではありません。しかし隣国で核ミサイルを所持している国家が存在していることは、このようなシュミレーションを成り立たせる可能性があるのです。筆者は望みます。Japonと北朝鮮が準戦時体制である現状況に終止符を打ち、平和友好を謳い、旅行者が気軽に訪問しあい、若者同士が気軽に交流しあう仲になってほしいと願うのです。特に筆者の子どもの世代同士で、是非こうした普通の人たちの市民交流が実現してほしいものです。
1023……9月18日(水)
拉致者ならぬ「拉北者」という言葉があります。韓国の日刊紙の日本語サイトをサーフィンしていると、この言葉にぶつかりました。「北朝鮮に拉致された者」という意味です。1953年の休戦合意以降、400人を越す韓国国民が北朝鮮に拉致されいるそうです。その殆どが漁民だとか。それにしてもすごい数字です。
韓国のマスメディアは、今回の小泉-金トップ会談で、Japon側が北朝鮮に強硬な態度にでたから、結果が得られたのだと評価し、これに対して韓国政府はいままで何をしていたのだ、という強い論調で抗議しています。北朝鮮に対して弱腰の姿勢を続けるなら、いつまでたっても「拉北者」の問題は解決しない、と迫ります。
筆者は朝日新聞と読売新聞を毎日読んでいますが、その両紙の報道内容が違っています。国益という概念が頻出する読売新聞は(現場の若手記者はともかくとして)論説部門を書き続けているヴェテラン記者たちは、国(民)益より国(家)益を重んじる傾向があります。いさましく天下国家を語るのが好きなのでしょう。
その読売が(筆者にしては珍しく感じたのは)今日の記事では朝日より鮮烈に政府・外務省のこれまでの対応に噛みついています。今回の会談を成功だと外務官僚は自画自賛しているようです。かつて拉致疑惑が外交問題化されようとしている時、ある外務官僚は「たった11人で日朝正常化交渉がとまっていいのか」と発言したそうです。この言葉だけ取り上げるのは危険ですが、外務官僚というもの、少人数の国民の拉致者なぞで国家と国家との交渉を滞らせることはあってはならない--と思っているのでしょう。そうでしょう、そうでしょう、11人なんて、韓国の400人以上と比べたらどうてっことないですよ。------みなさん、Japonという国の外交はこうした合理的な思考の持ち主が担当しているのです。外務省のお役人たちを褒めてあげましょう。
1022……9月17日(火)
カルメン、今日は休みです。今日のニュースは、小泉純一郎首相と、金正日総書記との会談報道につきるでしょう。拉致問題解決なしには、国交正常化交渉には進展させないとするJapon側の強い意思が、北朝鮮に伝わったのか、冗談好きの金総書記も笑顔がありません。
しかし、拉致された人々のうち、生存者は4人、死亡者は8人という結果が発表。今朝までは全員が生存していることが、問わずもがなの前提としていた筆者を含めた大多数の人たちにとって、これほどショックだったことはありません。
特に拉致家族の会の中心メンバーだった横田めぐみさんと、有本惠子さんが共に死亡と伝えられたのは、絶句するしかありません。有本さんと"連れ合い"とは全くの同年齢。拉致という不条理を受けなければ、結婚・出産を経過して、いまごろ子どもを学校に行かせるために毎朝「早く起きなさい」と声をはりあげている日々が続いていることでしょう。
ここまで、拉致者を放置してきた政府・外務省の責任は重いものがあります。特に外務省。国家同士の付き合いを重視するあまり、ひとりひとりの血の通った国民の生命・財産を守のだという気概が果たして強くあったのでしょうか。
筆者は、バックパッカーとして海外を旅行した経験から、バックパッカーのような名もなく権威もない単独旅行者に対して、Japonの外務省(大使館)の対応の誠実のなさを身にしみて感じています。「日本国は日本国民を守らない」という筆者のテーゼは若い頃の経験が支えているのです。守るべきものが自分の身ひとつという弱者の立場にたてば、自分が属する国家に助けてもらいたいと思う気持ちが反対に強くなるのですが、大使館(外務省)はこうした国民弱者にきわめて冷淡です。
弱者に身をおいてこそいろいろ見えてくるものがあります。かつて単独旅行者の間にはこうしたジョークも交わされていました。「日本の大使館を頼ったらまずいよ。なにかあったらアメリカ大使館に逃げ込むことだよ。いつかさ、クーデターがあった国で、やばいんでその国のアメリカ大使館に行ったら、日本の大使館員がすでにいたっていうじゃない」。もちろん、異国の空の下の創作"民話"かもしれず、事実かどうか確かめる方法はありません。しかし、筆者はさもありなんと真剣に受け止めていたのです。
1021……9月16日(月)
月曜日ですが、振替休日なので、カルメンは営業しています。そろそろ秋祭りのシーズンでしょうか。昨日、東灘区では昼間、だんじりが街をねったそうです。当然、筆者は仕事中ですが、都会の中にあっても収穫を祝う農耕民族としての季節を言祝ぐ習性は変わっていないようです。
明日、休みで、FMわぃわぃの放送がないので、久しぶりの休日です。デジカメを持って、どこか撮影に出かけてもいいし、映画館に行くという手もあります。京都でもいこうかしら。
1020……9月15日(日)
昨夜から今日の日付が変わる時間帯、SさんにいただいたOS9のCDを使って、インストールしました。いままで8.2という博物館的なOSを使っていたのですから、ちゃんと移行するのか心配です。インターネットの接続に少し手間取りました。しかし、マックを5年も触っていると、画面が警告・注意している内容もなんとか意味が分かるようになるものです。マ「マックの前にも5年」。すみません、真面目に読んでいただいている読者の前でオヤジギャクを書いてしまいました。
まだ少しアプリケーションなど、微調整が残っていますが、これで音楽編集も楽になり、FMわぃわぃの放送・DJにも、パソコンで編集した音源を使用できそうです。
1019……9月14日(土)
この「店主のつぶやき日誌」、読者は少ないという前提で書いていますが、カウンターをあえて付けていないので、本当の読者数は分からない(心がけないよう)にしています。ところが、その貴重な「読者」の一人に、助けられたことを今日は報告しておきます。Sさんは、筆者がマックのOSバージョンアップについて悩んでいるとの書き込みに反応。メールで「OS9がひとつ余っているので」と申し出てくれました。助かりました。昼すぎに、カルメンでお会いして貴重なCDを頂きました。Web上ではありますが、あらためて感謝いたしたいと思います。
Sさんとお話しをしていますと、パソコン暦は相当古く、筆者など足許にも及びません。また、かつて灘区に住んでいたこともあるために、共通の知人の話題も話すことが出来て、楽しいひとときを過ごすことができました。現在は大学でも情報処理学(コンピュータ、パソコン)を教えていらっしゃるとのこと。これからも教えていただくことが多そうです。
1018……9月13日(金)
姪が現在、六甲アイランドにある神戸市立小磯良平美術館に契約アルバイトとして働いています。美術のことを話していると、姪は「具体」を知らないことが判明しました。新しく出来た兵庫県立美術館の常設展示場には、内外に誇る「具体」作品コレクションが展示され、それはそれは壮観です。神戸で表現活動をしている筆者の世代(40歳代)は、ちょうど父の世代に該当する「具体」グループの意気込みをなんとか自分の表現活動に継承してみたい(否定的態度を含めて)と心のどこかで思い続けているものなのです。
姪にとっては祖父祖母の世代による美術・表現活動になるのですねえ。でも、神戸というトポスを共有して表現を続けるかぎり(姪は演劇活動をしている)、祖父祖母がこの地でどのような美術活動をしたのか、まずその作品だけでも鑑賞してほしいものです。
1017……9月12日(木)
高校生の長男が家庭科の課題で、家庭内のバリアフリー対策について写真を撮らなくてはならないというので、筆者はデジカメとiBookをカルメンから拙宅に持ち帰りました。最近のデジカメはすべてUSB対応なのですが、拙宅のPCはSCCIのままなので、こういうときはひょいひょいと重たくてももって帰らざるを得ないのです。長男は6.7枚程度、段差のある場所などを写していました。しかし、拙宅は建築時になるべくバリアフリーとなるよう筆者なりに気を配ったつもりです。やがて夫婦が加齢した時、老人夫婦でも住みやすいように設計したのです(住宅会社もそこのところは細々とアドバイスしてくれましたが)。
撮ったデジカメを、PCにメールで送り、それをPC内のQuarkに貼り付けてプリントアウトするという迂遠なことをしました。本当は、USB対応のMOディスクを持って帰ればいいのですが、面倒なのでメール送信にしたのです。
この筆者と長男との作業をじっと見ていた次男。撮影の終わったデジカメを筆者から手渡されると、なにやら15分ほど拙宅の中で行方不明となります。妹の寝込んでいる姿を写してそれをご丁寧に題字をつけてシリーズものにするという、手の込んだ暇人(ヒマジン)ならではの作品を作ったのです。同じ兄弟でも、なんという違いでしょう。筆者は、そのばかげたシリーズ作品を、「しょーないなあ」と言いながらパソコンに映し出して次男と共に見ていました。
1016……9月11日(水)
米国同時テロから一年。なにが、誰にとって、悲劇だったのでしょうか。
あらたな戦争をわれわれは同時代人として看過してしまっていないでしょうか。この一連の動きは、アメリカ主導のグローバリゼーションの世界最終戦の始まりかもしれません。アメリカ的価値が地球規模で「普通」になることの恐ろしさ。57年前、早々にアメリカに敗北したJaponとしては、敗戦によって社会のどのような変化が起きるのかを、さまざまな領域で実感してきました。
筆者は何も戦後社会を否定的に語るつもりはありません。いま、1945年以来の戦後民主主義が築いた社会や価値観を否定することは、あまりに安易で横暴すぎます。ポストモダンの社会像を構築できないままに、コンサバティブな発言を繰り返すことで、一体なにが得られるのでしょう。民主主義を模索する中で、弱者という理由で、少数意見だということで葬り去られたもろもろの事実や主張そのものを、戦後社会の否定の論理によって葬り去るべきではありません。
民主主義とは敗北の歴史ではないでしょうか。少数者の敗北が積み重なっていく。強者、為政者は弱き者に対しては徹底して強圧的であり、司法は少数者に有罪を宣告しつづけ、敗者は悔し涙を流す者と決めつけているかのようです。私たちは、営々と築かれた敗北の事実を記憶し続けなくてはなりません。いつかその敗北をなんらかの形で為政者に認めさせ、逆転するためには、いまや多くの制度疲労を生じているものの、民主主義という政治形態に依拠していくしかないように思われます。
1015……9月10日(火)
まだ、残暑が厳しく、店内は冷房をかけています。9.11を明日に控えて、あの日から一年が巡ってくるのかという感慨が生まれます。アメリカはアフガニスタンに続いて、イラクを攻撃し、サダム・フセイン政権を打倒しようとしています。そしてその次はイラク、北朝鮮が攻撃対象となっています。この三国は「悪の枢軸」とブッシュが呼んでいるからです。まるで前世紀の西部劇に出てくるような形容です。かつて「悪の枢軸」の一員だったJaponの住民からしてみると、やれやれ、アメリカさんは60年前から変わっていないなあ、と言ってみたくなります。
今や、"パクス・アメリカーナ"の絶頂期。こういうときこそ、かつてのスペイン帝国のように、崩落の萌芽がにょきにょきと育っているものなのでずが。
1014……9月9日(月)
カルメンの定休日。昨晩、中座が全焼したとのニュースが飛び込んできました。解体工事中の出来事です。まさか、中座も、解体することを潔く思わずに、建物自身が「自死」の道を選んだのでしょうか。この話、昨日のマックの話の続きとして読んでください。
FMわぃわぃ「南の風」の番組は、元ちとせが「100年に一人」と形容されていることにひっかけて、「100年に一人って誰?」となうって天才唄者・武下和平さんを特集しました。現在、尼崎に住んでおられる武下さんは、30年以上昔から「天才唄者」の呼び声が高く、それまでの島唄を一新してしまうほどの変革をなしとげてしまった人です。今回の放送では、30年前と現在の彼の島唄を聞き比べました。
放送終了後、JR新長田駅まで歩いて帰ることにしたのです。まだ、この季節は日が高いので、歩いていても快感です。長田というところは、面白い小商売をしている人がいて、今日はワゴン車で手製ギョウザを売っている女性を見かけました。老夫婦でやっているたこ焼き屋、お好み焼き屋など、震災から復興してなお、下町の風情が再生産されているこの街の魅力を垣間見させてもらいました。
1013……9月8日(日)
こんな話を読者の皆さんは信じますでしょうか。カルメンにあるマックのiBookのOSは無事9にバージョン・アップできたのですが、問題は拙宅にあるPCのOS8.2をいかにバージョン・アップするかということです。今売っているOSXのパッケージに9も入っていると情報を得て、いっそのことそれを購入して、8.2と決別しようかと思ったのです。
それで昨日の朝、今日かぎりでOSXを導入しようと、拙宅のPC(OS8.2)の前でひとりごちしていたのです。それをPCを聞いたのかどうか、突然フリーズしてしまいました。ウソだと思うでしょ? まさかそんな「2001宇宙の旅」のハル(コンピュータの名前)みたいに人間の音声を認識するなんてこと、あり得ませんからね。でも本当にフリーズしてしまったのです。あとはうんともすんとも言わず、完全にシカト(無視)されてしまいました。
もともとマックというのは、徹底してMade in America(USA)なので、アメリカ人らしく働かせ過ぎるとある時突然プッツンとフリーズするのです。そこでなだめすかしておだてて、なんとか再起動に成功すると、少し前にプッツンしたのがウソのように普通に働くのです。
ところが、少し前のOSXのパッケージにはOS9が同封されていたのですが、現在売り出している10.2はXのみだったのです。で、結局拙宅のOSは8.2でいくことに決まり。それを知ってか知らずか昨晩帰宅して、8.2を起動してみるちと、何ごともなかったようにサクサク動くのです。こんなんありでしょうか。ニノミヤのマック担当の野原氏に喋ると「よくある話や」と笑うだけです。
こんなパソコン・オカルト話。きっとマック・ユーザーなら「うんうん、わかる、わかる」と相づちを打ってくれるでしょう。
1012……9月7日(土)
今週もまた、先代にお客様が。今回のゲストは、韓国人の全成坤氏。近畿大学の大学院に在学中で、崔南善を研究している人です。先代に会いに来たのは、「親日」文学者として戦後韓国社会で糾弾されたこの文学者がかつて「五族協和」を謳った満州帝国の建国大学で教鞭をとったことから、その大学に学んだ先代の話を聞くためにカルメンまで足を運んでくれたのです。
他に清眞人・近代文芸学部教授(哲学・奄美2世)ら、近大の先生も計3人一緒です。筆者にとっては何度も聞いて新鮮味がない先代の追憶話ですが、初めて聞く人には面白いのでしょう。Japonの人、そして韓国の人にとっても、いまは潰えてしまった満州という地域と歴史、そこで産み出された文化を検証してみよう、総括してみようという興味が湧いてくるのでしょう。
果たしてJaponと韓国の人たちにとって「満州」とはいったいどんな"夢"だったのでしょう。筆者もいずれ訪れてみたい場所です。かの地は、中国人の友人の前では中国東北部(旧・満州)と但し書きつきで、会話をすすめますが、不思議なことに韓国人、在日の人たちと話す時は、ストレートに満州といっている自分に気が付きます。こうなると自分にとっての満州というのが一体何なのかということも追求しなくてはならないでしょう。
1011……9月6日(金)
今日もマックの話を。寂しい情報です。筆者が頼りにしていたマックのショップがなくなってしまいます。iBookの部品のことで、ニノミヤのマック・コーナーに電話をすると、今月限りで、ニノミヤ神戸店が閉店になるとのことです。神戸にある数少ないマック専門店だったので、依存度は高く、筆者のマックはすべてこの店で購入したのです。ここがなくなれば、三宮地区はあとセイデンのみとなるのでしょうか。これまでは二つの店で比較も出来たのですが、これからは大阪・梅田のヨドバシカメラに出向かなくてはならないのかもしれません。神戸が不便になってしまいます。たとえヨドバシカメラがセイデンより安くても、往復の電車賃と、時間を考えれば、セイデン価格を受け入れざるを得ないのです。
1010……9月5日(木)
まず、カルメンに置いているiBookのOSを9にバージョンアップしました。ただ、これは拙宅にあるPower PC用を替えるためのOS・CDではないので、このPCをバージョン・アップするためには、別の方法を考えなくてはいけません。まだX(テン)を使う必要はなく(周囲のマック・ユーザーもようやくOS9に移行したのが実態ですので)あわてることはありません。10.2となって、9の機能を大幅に採り入れたようですから、OS9に統一することにします。
ただ、マックのショップにいっても、OS9だけのパッケージは売っていなく、OSXに移行させようとしているマッキントッシュ社の"陰謀"が見えてきます。筆者の周囲でもPCのマックは好きだけど、マッキントッシュ社は嫌いという人も少なくありません。筆者も仕方ないので、OSXの抱き合わせで付いているOS9を余分に払って購入しようかと思っています。友人からOSのCDを借り受けてもいいのですが、システムクラッシュした場合、手許にOSのCDを持っていないと、再起動する時が必ずやってくるので、そんなときを考えると不安なのです。こうしたシステム・クラッシュはたいがい仕事が詰まってきた夜中に起きることが多いのです。
1009……9月4日(水)
残暑きびしき折りです。俳人の堀本吟さんと電話でしゃべりました。先日、岡山県の和気の旅宿で、徹夜の句会、討論会をしたそうです。若い! 俳句の実作者であると同時に、評論も書く吟さんは、定型詩そのものをするどく解体ぶくみの相対化をすすめつつ、俳句を常に崖っぷちに立たせることによって、問い続けていきます。
火曜日夜、宇多喜代子さんのNHK教育テレビ・人間講座「女流俳人の系譜」を見ていると、番組最後に「今の若い俳人たちに"第二芸術論"がぶつけられたら、かつてのように反発・反論をバネにした新しい俳句創作活動が生まれるだろうか」と、筆者の世代を挑発します。なかなか宇多さん、元気に吼えていらっしゃる。刺激になりましたぞ。
1008……9月3日(火)
昨晩、母のお弔い金をもって、筆者の大学時代の友人が二人、拙宅を訪れてくれました。一人は税理士、もう一人は広告制作会社の経営者です。筆者も含めて、三人とも定年のない仕事です。税理士君は、週末はかならず休み。双子男子の中学二年生と、野球のテレビ観戦が趣味。この職業は昨今の大不況の影響はさして受けることなく、泰然と仕事をしています。ただ、今後は税理士が法的に保護されていた独占領域が、規制緩和で、変化の波に晒される可能性があり、将来に不安を残します。逆瀬川に建てた一戸建てのローン完済は70歳。
広告制作会社の社長君は、土・日曜日も出勤。筆者よりよく働く男です。「最近、徹夜は減った」と言っていますが、締め切りが絶対の業界です。だから身体が心配。「定期ものがあったらなあ」。この業界の人間はだれしも思う希望です。健闘を祈ります。子どもは小学校6年生(女)と幼稚園(男)。われわれの世代とすれば、子どもの年齢が若い。おとうちゃん、年齢(とし)をとっても働かなくてはいけません。関学ちかくの西宮の家は賃貸。
1007……9月2日(月)
カルメンの定休日。8月の月曜日はさまざまなことがあり、一回しかFMわぃわぃ「南の風」の放送を担当することが出来なかったため、9月からは少し多めに奄美篇を担当するつもりです。
今回の放送は、東京在住の唄者・森田照史さんのライブを録音したCD「島ど命」を特集しました。東京には朝崎郁恵さんという大ヴェテランの唄者がいらっしゃいます。東京にも多くの奄美出身者が住んでいるのですが、関西ほど唄者の数は多くないように思われます。森田さんはその中で、気を吐いている油の乗り切った唄者のひとりです。今月、芸暦50周年記念ライブを東京で開催する予定だそうです。森田さんは人柄もよく、「花染会」という島唄教室を主宰している人でもあります。
ただ、このCD、森田さんがハヤシにまわっていることが多く、森田ファンの筆者としては、もう少し多く彼の島唄を聞きたかったこともあり、不満が残ります。一度、東京へ行くときは、東京でFMわぃわぃ用に録音してもいいかもしれません。
1006……9月1日(日)
9月です。ですが、親としては解放されていません。今晩が勝負というなさけない状態です。また、夏休みが最後となって、「そういえば、これもあるんだけど」と全く未知の宿題を出してくる子もいます。小・中・高とそれぞれレベルの違う内容で対応していかなくてはならないのも、頭をフル回転しなくてはなりません。そして手早く一つの案件を処理していかなくては、数がこなせないのです。ああ、しんど。
1005……8月31日(土)
偶然の出会いです。昼間、来られた6人連れのお客様。その中で、筆者の顔をじろじろ見ている男性がいます。まあ、こんな仕事をしているので、職場で顔を凝視されるのは慣れているのですが、名乗り揚げたその男性、なんと筆者の高校の時の同窓生でした。どうも2年生の時に一緒だったらしいのです。間近に顔を見ると、なるほどと思い出します。筆者にとって高校3年間で2年生は一番印象が薄い一年間でした。
その友人は次から次へと友達の名前を出して、それに対して一応は相づちを打つのですが、思っている人物と全く違っていたりで、話があいません。その友人、どちらかというと、"いじめっ子"の側にいたので「高校の時、いじめたAにこの前、出会ったら、顔をそむけられた」と面白いことを言っていました。でも、その友人の名誉のために書いておきますが、現在は何人かの社員を引き連れる建設会社の社長として、普通に生活しているナイスガイなのです。
1004……8月30日(金)
インターネットの調子がよくありません。サーバーがDNSの設定を変えるというので、それにあわせて調整したつもりです。カルメンと拙宅で同じMACを使っている(OSバージョンは違う)のですが、カルメンは通じて、拙宅は駄目なのです。サーバーに電話をしようと思っても、週末で駄目。どうやら、OSの替えどきのようです。姪っ子に頼んで、OS9にすることにしましょう。OSXはまだ、友人で使っている者が多くないので、互換性は多いに問題ありのようです。10.2が発売されて、9との互換性が進んだそうでずが、やはり9までの蓄積のある旧バージョンの方がいいのに決まっています。コンピュータの世界というのは、急激な進歩を果たすのは結構なことなのですが、数年に一回、根底的にOS環境を替える必要にかられるのは、なんとも面倒で、この不景気に余分な出費が要るのも頭のいたい話です。
1003……8月29日(木)
そういえば、そういえば、の話です。今日の読売新聞夕刊に載っていた記事で気付いたのでずが、われらのオリックス・ブルーウェーブが現在10連敗しているそうです。ぶっちぎりの最下位であることは時々ちらちらと見ているパ・リーグの順位表で確認しています(なにせ、あのロッテからも6ゲーム以上離されているのですぞ)。
今年、最下位になれば1963年ぶりだそうで、今年は常勝チームの面影は全くありません。関西三球団のなかで、どこか一球団は必ず最下位になるのだという不文律があるのですか。
ファンですので辛口の球団批判を書きます。今年の敗因は三つあります。
一つはフロントの責任。イチロー、田口が抜けた穴を積極的に埋めようとせずに、三分の一のメンバーを替えてまで手に入れたのは、新人中心の選手たち。これでは球団経営のヴィジョンがないと言われても、反論できないでしょう。この球団、大リーグ方式で運営するといいながら、選手の年俸は安ければ安いほどいいという、その"経済原則"を最優先した"せこさ"がわざわいしているのです。
二番目は、監督の不出来。たいした実績もない二流(三流?)の人物を伝統球団に安易に登用したフロントにまず大きな責任があるのですが、監督本人も元気だけが空回りしているのか、全く実績を作れていないばかりか、選手たちの心も掌握できているのか心持たない限りです。監督人選の際、たまたま空いていた年俸が安くてすみそうな現監督を選んだに過ぎないといった感じです。
三番目は、フロントが、ファン心理を無視した球団経営をしていることです。関西に全く縁のない人物を監督にしてみたり、せっかくイチロー人気で観客数が増えたにも関わらず、ポスト・イチローを育てる想像力がなかったりで、プロ野球球団というのは、ファンあっての存在であることを忘れているようです。旧阪急人脈を毛嫌いしている結果がこのような、チーム低迷を招いているのだという昔からのファンの意見をどのように受けとめるのでしょう。
ファンが球場に向かうのは、自分が応援するチームが勝つことが一番の楽しみですが、何がおこるか分からない、または何かがおこりそうな予感のする試合であることを期待するのです。
われらが神戸の球団です。まずはフロントの球団運営ヴィジョンとやらから、リセットするべきではないでしょうか。
1002……8月28日(水)
子ども達が「カエル」の本を読書感想文に選んだので、インターネットで、カエルの声を検索して、ダウンロードして楽しみました。特に琉球弧に棲むカエルたちが、本土のカエルたちとまったく鳴き声が違って、興味深いものでした。絶滅が危惧されているイシカワガエル、奄美大島などに棲息する"五本指"のオットンガエルなども、聞くことが出来るのです。また、恥ずかしいことに、河鹿ガエルの声を聞いたのも初めてです。次男いわく「ヒグラシのような」、長女いわく「ふえを吹いているような」声です。また、この二人にウシガエルの声を聞かせたら、驚いてくれました。筆者の表現では「チベット僧の読経のような」低く響きわたる不気味な声です。
1001……8月27日(火)
夏はワインがあまり出ません。夏でもスペインの赤ワインを飲む人は"通"の人です。美味しいものを知っている"飲むプロ"と言えるでしょう。しかし、暑い夏には白ワインも捨てがたいものがあります。筆者は仕事柄、年中ワインと接していますが、そろそろ秋に向けたワインを考えています。秋になって嬉しいのは、赤ワインが美味しくなること。また、カルメンでは毎年10月ごろに"シェリーフィエスタ"をしています。いよいよ楽しい秋が次の季節となりました。