特型駆逐艦

大正終わりより昭和初期にかけて睦月型に続いて作られた、本格的艦隊型駆逐艦である。
雷装は特に重視され、左右どちらにも指向できる3連装61cm発射管を3基搭載しているほか、主砲も12.7cm連装
対水上砲3基が装備されていた。
水雷戦には滅法強い装備であるが、A、B型砲塔は対空射撃に適しておらず、この点は米国駆逐艦に一歩譲る。

大戦後期には戦訓により対空改装され、砲塔1基を撤去し、25ミリ3連装機銃を搭載などしたが、連合軍の圧倒的航空
攻勢には焼け石に水であった。

特型は大きく分けて、I型、II型、III型とあるが、I型には1艦だけ特I改型というのがある。浦波一艦だけであったが、I型
とII型の過渡的な艦と言えよう。

II型は前期型、後期型があり、後期型は船首楼が約3mほど長くなっているらしい。キットでは再現できていない
ため、改造が必要となってくる。艦橋もIII型のものを流用する必要がある。III型もII型後期型同様の船首楼となる。
1/700では4mm程度延長する必要がある。

本作例では、II型後期型は作っておらず、またIII型について上記の改造を行っていない。



特型駆逐艦各型の勢揃いである。
キットは田宮模型のものをほぼ素組みに近い状態にしてある。

一番手前から特I型、I改型、II型、III型である。
手前のI型、吹雪は完全に模型を素組みして、艦底もキット付属のものを使用しているため、他艦に比べ、少々乾舷が
高い。他の3艦はコンマ3から5のプラ板を貼っているのでそれなりの乾舷である。

デジカメの腕前もあまり良くないのと、ベースが適当でないのであまり良い写真は載せられなかったのはご容赦
願いたい。
 吹雪以外は、リノリウム甲板を一応再現してあるので、見栄えのする作品となっている。

特I改型「浦波」の作り方。
 田宮の吹雪型と綾波型の2つのキットを使う。
 色々なWLの本に書かれていたように、船体や煙突などは綾波のキットのモノを使う。魚雷発射管も盾付きを使う。
 主砲塔は吹雪型のものを使う。艦橋もマストも吹雪型のものを使う。
 下の作例ではピットロードの武装パーツのA型砲塔を使っており、田宮のA型砲塔と比べると少々オーバースケール
 であるのがわかると思う。魚雷発射管もピットロードのものである。当時のピットロード武装セットはオーバースケール
 であったのが欠点であったが、現在発売されているものは良くなっているらしい。

 特型の3(4)型式の違いを見て欲しい。

   特I型「吹雪」     特I改型「浦波」    特II型「綾波」      特III型「暁」
(画像をクリックすると拡大表示します)

 このキットはWLの小型艦でも古いものだが、田宮スタンダードというか、現在でも通用するほどの出来である。
 武装セットも今は各メーカーで共通化されているので、さらにキットのコレクションの質が均質化して良い感じに
 なると思われる。
 ただ、苦言を一言言わせてもらえれば、もうそろそろ、田宮にも頑張ってもらって、駆逐艦のリノリウム押さえの
 モールドも再現して欲しいと思うのは筆者だけではあるまい。
 上掲の4艦の写真を見てもらえれば、リノリウム甲板の塗り分けがあるのとないのとではキットのイメージが変わ
 ってくることがよくわかるはずである。


 特型駆逐艦要目
   基準排水量1680t 水線長115.3m 最大幅10.4m
   武装 12.7cm連装砲×3基 61cm3連装発射管×3基

 特I型
  吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波
 特I改型
  浦波
 特II型
  綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧
 特II型後期型(IIA型)
  朧、曙、漣、潮
 特III型
  暁、響、雷、電

なお、深雪は開戦前に事故で喪失したため、深雪を作る場合は、艦名や駆逐隊番号が必須となるだろう。

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