くぐもった呻き声が濡れた紅い唇から漏れ出ると、彼は悔しげに唇を噛み締めた。 ずっと我慢していたのに負けてしまったことが余程悔しいらしい。 彼の綺麗な脚の間に顔を生めていた快斗はそれが手に取るようにわかるから、つい内心で苦笑してしまう。 いつまでたっても意地っ張りな彼。 だが、そんな彼に声を上げさせる快斗も相当意地っ張りだという自覚は十分にある。 「も・・やめろって・・・!」 ベッドに仰向けに横たわり、膝を立てさせられていた彼はついに音を上げた。 彼らがこの行為をするようになって半年近くなるが、それでも毎晩やってるわけじゃない。 互いがその気になった時とか、片方がどうしても相手を求めたい気分になった時とか、あとはその場の雰囲気次第だ。 それでも、互いのぬくもりはいつだって感じたかった。 そして今夜は月が雲に隠れた暗い夜、シン・・と静まり返った部屋の中で無言で過ごしていたらいつのまにか二人はベッドの中にいた。 最初はじゃれあって好き勝手に会話し、でも譲れない話題が出ると意地を張り合い、そしてこういうことになる。 いつのまにかそんなパターンが出来上がってることに苦笑いしていても、彼らは毎度同じことを繰り返す。 それはもう、習慣のようなものなのかもしれない。 寂しい・・・この相手がいなければきっと生きてはいけない。 親も友人も、好きな彼女もいるのに、彼らは互いを求める手を失えない。 もうちょっとね、と快斗は嫌がる彼を宥めるように優しく言って、また彼のものを口に含んだ。 閉じようとする脚を肩で押し、右手で掴んだ足首をさらに深く押し上げて広げる。 新一はしゃくりあげるように喉を鳴らすと、もう諦めたように両腕を目の上で交差させた。 この行為を自分があまり好まないことを知ってるせいか快斗はめったにしないが、やる時はどんなに泣いても容赦がなかった。 新一はこの行為の間絶対に下を見ない。 自分の脚の間で動く快斗の柔らかな癖っ毛の頭を見ることも、指先で触れることもしない。 ただ、その愛撫の感覚をずっと追うだけだった。 「ん・・・!」 新一は声が出ないように両手で口を押さえると、固く目を閉じてピクンと身体を痙攣させた。 これで何度目になるのかもうわからない。 数えられたのは3回までだ。 その後はもう頭の中はもやがかかって何も考える気が失せた。 (ちくしょう・・!もう今夜はこれ以上は出ねえって!) 「快斗ぉ!」 悲鳴混じりに名を呼ぶと、やっと満足げに顔を上げた快斗がニッコリ笑った。 その顔を見た途端新一は思いっきり殴りたい気分になったが、力が抜けきった身体ではそれは到底叶わない。 「・・・・・・!」 快斗の手が膝裏にかかると、新一はまだやるのかと引きつったように肩を震わせた。 「もうしないよ。やっと新ちゃんギブアップしてくれたしね」 くっそお〜〜 新一は勝利の笑顔を浮かべている快斗の顔を睨み付けた。 ぜってえ、後で蹴ってやる! 快斗は伸ばした右手で枕を掴むと、浮かした新一の腰の下に入れた。 新一の顔に一瞬緊張の色が浮かぶが、すぐに息を吐いて力を抜いた。 口で犯られるのは好きじゃないが、快斗と繋がるのは嫌じゃない。 初めての時はレイプだったから相当にひどい気分だったが、今は何故か安堵感を覚える。 本当は一つの存在なのに二つに分かれ離れてしまったように寂しくて、だから自分達の身体が一部でも繋がると心が安心するのだ。 それが”ツイン”と呼ばれる理由なのかもしれない。 ようやく求めることができるというように新一の白い手がゆっくりと伸ばされる。 同じように伸ばされた快斗の手が新一の指に絡むように繋がり、そのまま彼の上に伸び上がった。 「う・んんっ・・・!」 絡まった手がシーツの上に押さえつけられると同時に、快斗のソレが新一の身体の奥深くまで貫いた。 快斗は最後まで新一の中に自分を突き入れると、慣れるまでしばらく動かずに彼の白い顔を見下ろした。 脚を絡ませ、下肢を深く繋ぎ、両手の指を一つ一つ繋げる。 「新一・・・・・・」 快斗は、自分とよく似た顔立ちをした新一の色付いた唇に自分の唇を重ねた。 好き・・・愛してる・・・新一を失ったらきっとオレは・・・・・・
眠りから覚めた時、部屋はなんとなく明るかった。 朝か・・と思ったが、それにしては引かれたカーテンを通して入ってくる光は結構強い。 新一は、掴んでいた枕から腕を持ち上げ伸ばしたままシーツの上にパタッと落とした。 もしそこに誰かが寝ていたら頭を直撃する動作であったが、幸いというか残念というか、そこに快斗の頭はなかった。 んーと新一はもう一度、今度は両手を上に向けて身体を伸ばすと小さく欠伸を漏らした。 昨夜脱がされたパジャマをちゃんと着ている。 それに情事の後のやっかいな不快さもない。 全然覚えていないが、快斗が綺麗にしてくれたのだろう。 ま、身体にかかる負担はこっちの方が大きいのだから当然のことだな、と新一は快斗に感謝する気はさらさらない。 でもって、いつものことだが身体がだるいし・・・ 目は覚めたが、起き上がる気にはとてもなれなかった。 まあ、起きなきゃならない用事もないから別にずっとゴロゴロしててもいいのだが。 ちょっと腹減った・・・かな、と新一がぼんやり思った時、コトとベッド脇のサイドボードにトレイが置かれた。 「目、覚めた?」 「・・・・・」 うつ伏せて枕に顔を埋めていた新一は、僅かに顔をずらして薄目を開ける。 サイドボードに置かれたトレイの上には、サンドイッチと熱いコーヒーが入った白いカップがのっていた。 相変わらずのタイミングの良さには感心する。 「・・・・今何時だ?」 「昼の二時を回ったとこ。よく眠れるよね、新ちゃん」 「抜かせ。寝たのは明け方だったんだぜ」 「うん、そうだった」 クスクスと楽しげな笑い声を上げる快斗にムッとなった新一は、さらに首を捻って睨みつけようとした。 だが、そこで目に入った姿に新一の瞳が大きく見開かれる。 いつもはラフな格好をしてる快斗が、珍しくも濃紺のスーツを着ているのだ。 え?と瞳を瞬かせた新一だが、きちんとネクタイを締めた快斗の顔を見上げた途端眉間に深い皺を作った。 「おまえまた・・・・今度は何やるつもりだ?」 新一が不機嫌になるのも道理。快斗はまたも新一に化けていたのだ。 もともと顔立ちが双子のように似ているのだから、変装というよりは素顔のようなものなのだが。 それでも髪型を変え、仕草をちょっと変えればそこにいるのは黒羽快斗ではなく工藤新一であった。 「ちょっと、パーティにご招待されちゃってさ」 「招待って、オレにじゃねえのか?んなの聞いてねえぞ」 「そりゃね、招待されるようにこっちがいろいろ手を回したからさ」 わりぃね、新一。黒羽快斗より工藤新一の名の方が都合が良かったんだ。 「でも心配ないよ。新一の名を汚すようなドジはしないから」 快斗はニッと笑った口元に人差し指をあてると片目をつぶった。 欲しい情報があるんだよね、と快斗は言う。 「宝石か?」 「ん・・それもあるけど。あと、死んだ親父のことを知ってる男を見つけてさ」 そいつと会うことになってる、と快斗は答えた。 「快斗・・・・」 「あ、心配ご無用。内輪のパーティだけど、警備は万全らしいし」 ああ?と新一は眉間を寄せた。 何を言ってんだか。 新一は溜息をつくと、手を伸ばしてサイドボードの引き出しを開け手を突っ込んだ。 何?というように快斗は瞳を丸くして、突然の新一の行動を見つめる。 新一は引き出しの中から何かをつかみ出すとそれを快斗の手に渡した。 それは掌にのる小さな袋だった。 可愛らしい花柄の巾着。中に何か入ってるみたいだが。 「それ、蘭が作ったお守り」 「お守り?」 ひっくり返すと”新一”と白い糸で名前があった。 「何かってえと事件に巻き込まれるオレに蘭のヤツが心配して作ってくれたんだよ。中にお札が入ってる。服部のヤツもさ、幼馴染みからもらったお守りが命救ってくれてるってんで、蘭のヤツそれ聞いて余計に持ってろって言ってさ」 「なのに、引き出しに入れてるわけ?」 「外出する時は持ってってる」 たまに忘れるけどな・・と新一がポツリ。 快斗は苦笑を漏らす。 「まあ、効くかどうかはわかんねえけど持ってけよ」 「いいの?蘭ちゃんからもらった大事なもんなのに」 「やるわけじゃないぞ。帰ってきたらちゃんと返せ」 快斗はクスッと笑った。 ぶっきらぼうな新一の言葉に含まれる優しさが快斗を幸せな気分にさせる。 そんな顔で言われたら、とてもいらないとは口にできないじゃないか。 「サンキューvんじゃ、借りてくね」 「何か困ったことが起きたら、そいつを握って胸に当てて祈れ。そうしたらなんとかなるかもしれねえぜ」 「蘭ちゃんがそう言ったわけ?愛だよねえ〜v」 「うるせえ!」 新一は顔を赤くすると、また枕に顔を埋めた。 快斗はそんな新一を見下ろし、クスクス笑い続けると腰を屈めて綺麗な黒髪に口付けた。 「ちゃんとコレ新一に返すから。だから、おとなしく待っててよね」
パーティ会場になっていたのは、某建設会社社長の別宅だった屋敷だった。 そこは二年前に会社が倒産したため現在は東都銀行の持ち物になっているらしい。 銀行はそれを時々、得意先や高額預金者のご機嫌取りに貸していた。 その日も、二階建ての大きな洋風の屋敷は高額預金者である人物に貸し出されていた。 工藤新一に変装した黒羽快斗は、タクシーでその場所へとやって来た。 そこは東都駅から車で三十分ほどの所にある高級住宅地として開発された場所であったが、バブルが弾け飛んだ影響からか家が建たず空いた土地が多かった。 だいたい、この屋敷からして倒産した会社の持ち物だったのだ。 一応銀行が所有しているものの、売れるあては今のところなさそうだ。 安くはなったというものの、それでも一般庶民には高嶺の花。 しかも、その値段なら十分都心のマンションが買えるのだから、わざわざ買おうなどと考える者がいる筈もなかった。 開発に失敗した場所は交通の便もだが、生活する上での環境もあまりいいものではないのだ。 しかし、住むには不便でも、短期で借りるにはいいかもしれない。 もっとも、只で借りられるものではないが。 この夜のパーティの主催者は、もと映画俳優で現在は監督業にもっぱら忙しい来栖武夫(くるすたけお)だった。 今度、ゲーム会社と組んで一大アドベンチャー映画を製作することになり、顔合わせも兼ねて関係者が集められたわけだ。 会場となった屋敷のホールには、映画を撮影するメンバーと企画・脚本を担当するゲーム会社のメンバーが三十人ほど集まっていた。 俳優はまだ決まっていないのでパーティ参加者に俳優の姿はない。 そしてまだ極秘の企画のため、マスコミの人間もよんではいないようだ。 会場をこの屋敷にしたのは、そういう理由もあったのだろう。 ホテルだと忽ちマスコミに嗅ぎ付けられるし、写真週刊誌にネタを売ろうと狙っている一般人の目にも触れる可能性がある。 その点、ここは関係者や招待客以外は立ち入れないし、貸した側の銀行が情報を漏らすことはないから安心だった。 問題は警備だが、それはゲーム会社側が民間の会社に頼んでいた。 パーティは立食形式で、テーブルの上に並べられた料理を好きにつまみながら会話を交わせるようになっていた。 新一の姿をした快斗が屋敷を訪れた時には、もう新しい映画について熱っぽい会話があちらこちらで交わされていた。 パーティの主催者である来栖氏は、正装した快斗の姿を認めると嬉しそうに歩み寄ってきた。 来栖氏は四十歳。 彼は大学生の頃、新一の母親で、今は伝説の美人女優と呼ばれる”藤峰有希子”の熱狂的な大ファンであった。 芸能界に入ったのも彼女と共演するためだったのだが、その前に藤峰有希子は結婚し芸能界を引退してしまった。 惜しむ声は相当あり芸能界復帰を望まれたが、今だ実現はされていない。 相手はたかが若い推理作家。 すぐに子供はできたが、女優として大成功をおさめた彼女がこのままおとなしく家庭におさまってる筈はないと思った者は少なくない。 実際、芸能界では華々しく結婚式を挙げたものの、あっさり離婚し芸能界に復帰する者は多かった。 だが、今じゃ世界的に有名な人気推理作家となった工藤優作を夫にもった彼女が、その地位を捨てて女優に戻る望みはかなり薄いと言える。 今も輝くように美しい彼女なのだが。 惜しい!絶対に惜しい!! 来栖氏は諦めなかった。 製作が決まった映画は自分も出演することになっていて、それに彼女を出演させたいと彼は考えていたのだ。 実現できれば映画の成功まちがいなしだし、ひょっとしたらアカデミー賞も夢ではないかもしれない。 もっとも来栖氏にはそんなことよりも憧れの女神との共演が果たせればそれでよかったのだが。 その第一歩が彼女の一人息子、工藤新一をこちらに取り込むことだった。 工藤新一です、と来栖氏と握手を交わした少年は間違いなく母親の美貌を受け継いでいた。 高校生探偵としてマスコミを賑わせた少年に会うと、どうしても先に理知的で鋭い印象の瞳の方に目がいってしまい誰もが父親に似ていると感じるのだが、顔の作りは父親というよりはやはり母親似だろう。 芸能界でもそうはいない印象的な美少年だ。 しかし美貌だけなら、この少年より上の芸能人は何人もいる。 実際、来栖氏が去年使ったモデル出身の俳優は女性と見まごう美少年だった。 だが、彼工藤新一は見かけだけでは語れない。 伝説の美人女優と日本が誇る推理作家との間に生まれただけでも人の関心を引くというのに、類稀な推理力によって日本警察の救世主とまで言われることになった少年だ。 生まれながらスターとしての血筋と才能を併せ持った彼を芸能界が放っておく訳はなかった だが、誰一人として彼を説得できた者はいない。 彼が許すのは新聞の取材だけで、それ以外は一切マスコミにも芸能界にも関ろうとしなかったのだ。 その新聞にも、ここ最近は記事が出ることはない。 というより、殆ど人前に出てくることがなくなったのだ。 一時行方がわからなくなり、死亡説まで流れたほどである。 来栖氏も、ある人物から声をかけられなかったら、こうして工藤新一に会うことはできなかったかもしれない。 「お母さまはお元気ですかな?」 来栖氏が問うと”新一”は、ええと微笑して頷いた。 「あの人は人生を楽しく生きている人ですから。今は父と船旅に出ていますよ」 「船旅ですか。では、当分お会いすることはかないませんね」 二ヶ月は誰とも会えませんよ、と少年は答える。 同じ船に乗っている者以外にはね、と。 そうですか、と来栖氏はガッカリした顔になった。 まあ、本格的に製作にかかるのは一年後であるから時間がないわけではないが。 「久しぶりだね、新一くん」 来栖氏と”新一”の方に三十代半ばくらいの男が歩いてきて話しかけてきた。 本物の工藤新一は工藤優作氏に紹介され二度ほど会ったことがあるようだが、快斗はその男に会うのは初めてだった。 しかし、会うことになってからちゃんと男のことを調べていたから間違うことも戸惑うことも勿論ない。 「お久しぶりです、相沢さん」 男の名は相沢隆一。 今回来栖氏と組んで映画制作をすることになった大手ゲームメーカーの社員だ。 工藤優作とは、相沢がアメリカ留学中に出会い意気投合したという話だが、その出会いはかなり複雑な事情があるらしかった。 でなければ、相沢が闇の情報を得られる筈はない。 相沢が後は私が・・と言うと来栖氏は、じゃあ頼むよと答え離れていった。 工藤新一をこのパーティに招待できたのは、工藤優作氏と懇意だった相沢がいたからなのだ。 なので交渉は相沢にまかせることにした来栖氏だが、真相を知れば嘆くことは間違いない。 なにしろ、この場に来た工藤新一は真っ赤な偽物なのだから。 怪盗キッドが表向きゲームメーカーの社員である相沢と会うことはまず無理。 ゲーム好きな高校生黒羽快斗として会うことも考えたが、相沢からの情報で現工藤夫人である元女優と共演を熱望している来栖氏のことを知り利用させてもらうことにしたのだ。 「お飲み物はいりませんか?」 トレイにカクテルの入ったグラスをいくつかのせて回っていた制服姿の若い女性が聞いてきた。 今回のパーティのために雇ったコンパニオンだ。 「ありがとう。もらうよ」 相沢はグラスを二つ取ると、そのうち一つを隣にいた少年に手渡そうとした。 一瞬未成年という考えが頭をよぎったが、すぐに苦笑でもって打ち消す。 今、自分の前にいるのは工藤新一という名の高校生の姿をしてはいても別人なのだ。 「未成年・・・ということはないよな?」 国際指名手配されている犯罪者。 日本警察をも手玉にとる不世出の大怪盗が未成年だなどとは有り得ない。 相沢にそう問われた少年は、フッと笑みを浮かべグラスを受け取った。 彼が二十年近く前にパリに出現した怪盗キッドでないことはわかっているが、まさか少年ということはないだろう。 星の数ほどの顔と声を持ち、誰にでもなれる謎の怪盗。 その頭脳は天才的で、身体能力も人間業とは思えないほど優れている。 見た感じではほっそりとして未成熟な少年の体型だが、実際は信じられないほどの鋼の筋肉を隠しもっているに違いない。 二人はグラスを持ったまま、人があまりいない広間の隅まで移動した。 来栖氏は相沢が話をしてくれると信じているから、彼らの会話の邪魔をしないよう気を配った。 極秘の情報交換を目的とした彼らには、まさに好都合だ。 相沢はどこから見ても工藤新一としか思えない人物を見つめながら、グラスに口をつけた。 「本当に怪盗キッドなのか?」 工藤優作がかつて怪盗キッドと懇意だったことは知っている。 なにしろ、稀代の怪盗にKIDという名をつけたのはまだ駆け出しの作家だった工藤優作なのだから。 どういう経緯で二人が出会ったのかはわからない。 だが、彼らの出会いがある事件の発端となり、その事件の謎解きは現在も続いているのだ。 そして、今目の前にいる人物がその怪盗キッドの名を継いだ息子だというのだが。 キッドの正体を知らない相沢は、勿論その息子の素性を知る筈もなかった。 「今ここで証拠を見せるわけにはいきませんから、信じてもらうしかありませんね」 勿論信じているさ、と相沢は答える。 怪盗キッドでなければ、誰がここまで本物と見間違えるほどの変装が出来るというのだ。 少年は微笑を浮かべ、手にしていたグラスに口をつけた。 甘い口当たりの酒は彼の気に入った。 「では情報交換といきますか」 「そうだな。時間もないことだし」 相沢は、くっとグラスの中の酒を飲み干し、一つ息を吐いた。 「工藤氏に頼まれ調べていた組織のことだが、偶然その連中に関わりがあるらしい人物と接触してな。そいつから驚くべき話を聞いた」 ほお?と少年も口につけたグラスを傾ける。 「どんな話です?」 「組織が、ある人物の扱いを巡って分裂しかかっているというんだ」 「ある人物・・・・」 知ってるだろう、と相沢は少年を見つめて言った。 「ミステリアスブルーと呼ばれる人物のことだ。今、表でも裏でもその人物を得ようと躍起になっているようだが、それが誰なのかまだハッキリせず、推測のみらしいが。その人物かもしれないというリストの中に、何故か工藤新一の名がある」 「・・・・・・・」 「俺はレディブルーと呼ばれる美少女だという噂の方を有力視してるんだが、彼女の身元は全くわからない。わからないからこそ、本物だと思うんだが」 君は知ってるんだろ?と相沢が聞くと、少年はさあ?と曖昧に笑った。 「工藤氏も知ってるはずだ。なにしろ、彼はミステリアスブルーを守護する一人だってことだから」 そして、怪盗キッドも。 「工藤新一の名がリストに入ったのはそのせいだと思うが、俺は気に入らないね。ミステリアスブルーを守ろうとするのはわかるが、そのために自分の息子を利用することはないだろう」 相沢が本気でそう思って憤っていることが、工藤新一の姿をした快斗にはちょっとばかり意外だった。 そういう考え方をする者もいるというのも驚きだ。 (成る程な・・・・) 工藤優作がそう思われる可能性も視野に入れていたのだとしたら。 有り得ないことではないから、快斗も相沢同様にいい気はしなかった。 「それで、連中はミステリアスブルーをどうしようと考えているんです?」 「一部だが、抹殺しようとしているらしい」 「抹殺?ミステリアスブルーを?」 「既にリストにあった人物が何人か殺されているらしい。工藤氏が言ってた組織同士にはなんらかの繋がりがあったようだが、ここにきて考え方に違いが出てきたみたいだ」 「つまり、リストに名がある工藤新一も殺される恐れがあると」 そうだ、と相沢は頷いた。 快斗は初めて知った情報に眉をひそめた。 まさか、そんなことになっていようとは。 新一が狙われるだろうことはわかっていたが、しかし命を狙われるというのは予想範囲外だ。 これじゃ、当分新一を外に出すわけにはいかなくなってくる。 勿論、あの新一が素直に納得するはずもなかったが。 やっかいだな・・・と快斗が思ったその時、突然相沢の様子が変わった。 苦しげに目を閉じ、唇を噛んで胸元を押さえている。 「相沢さん?」 快斗が身体を前に折りかけた相沢を支えるように肩に手をやったその時、強い殺気を感じた。 まさか・・・! 快斗は苦しむ相沢の身体を抱えて床に倒れ込んだ。 それと同時に、さっきまで快斗が立っていた壁に銃弾が撃ち込まれた。 庭に出るガラス戸にあいた小さな穴を見つけ、快斗は正確に状況を把握した。 (オレを狙っている!) 違う!狙っているのは”工藤新一”だ! 広間の天井に下がっていたシャンデリアを支える鎖が切れ、凄まじい音と共に落下した。 悲鳴がパーティ会場に響き渡る。 「相沢さん!」 相沢は苦しい息を吐いていた。 いったい何が・・・?と首を傾げた途端、快斗自身も身体に異常を感じた。 毒か!? 考えられるのは、さっき相沢と一緒に口にしたカクテル。 あれになんらかの薬が入っていたに違いない。 オレとしたことが・・・マズった! 快斗は悔しげに唇を噛んだ。 自分には薬に対する耐性がある。 毒だとしても、死に至るほどの影響は出ないとは思うが、しかしいったい何を飲まされたのかわからないとやっかいだ。 快斗は苦しむ相沢の様子を確かめた。 意識はまだあるようで、呼ぶと反応が返ってくる。 体温がやや上昇し、僅かな発汗症状とひどくはないが呼吸困難を起こしている。 診た所、死に至る症状には思えない。 毒ではなかったようだが、しかし新一であれば動けなくなっているだろう。 騒ぎを知った警備員が広間に入ってきたのを見て快斗は声を上げた。 「落ち着いてください!いいですか、すぐに警察を呼んで、絶対に外には出ないで下さい!」 快斗がパニックに陥りかけていた客たちにそう指示を下すと来栖氏が駆け寄ってきた。 「相沢くんはどうしたんだ!?」 客達の中で真っ青な顔をして立ち竦んでいる女性を見つけた快斗は、その腕を掴んだ。 彼女は、ひっ!と小さく悲鳴を上げた。 「カクテルの中に何を入れたんです?」 「ご・・ごめんなさい!わたし、工藤さんとおつきあいしたかったんです・・!」 わっと彼女は声を上げて泣き出した。 彼女はずっと工藤新一のファンだったのだという。 「なんの薬ですか?」 快斗がもう一度尋ねると、彼女は小さな声で薬の名を言った。 快斗は険しく眉をひそめた。 それは最近ネットでも売買されているある薬の通称だった。 来栖氏も耳にしたことがあるのだろう、驚いたように大きく目を見開いた。 (ったく・・・冗談じゃねえっての!) 二つのグラスに薬を入れたのは、工藤新一がどっちを飲むかわからないからだ。 つまり、相沢はとんだ巻き添えをくったわけである。 命に別状がないことがわかると、快斗は来栖氏に相沢をまかせ広間を飛び出した。 狙撃者の狙いは自分だ。 自分がここにいれば、必ず巻き添えが出る。 おそらく、工藤新一ならきっとそう考えるだろうと狙撃者は思っているに違いない。 くそっ! 快斗はポケットに入れていたお守りをつかみ出すと堅く握り締めた。 (新一・・・・!)
部屋の明かりを消し月明かりだけになった中、彼は椅子の背にかけてあった黒の皮のジャンバーを掴みバイクのキーを手にした。 カツン・・と彼の履く革靴が音をたてる。 ドアを開き静寂に包まれた外へ出た彼は、一つ息を吐き出してから歩き出した。
できるだけ遠くへ、と快斗は走った。 快斗はまだ新一の変装を解いてはいない。 狙いが工藤新一であるなら、狙撃者は彼の後を追ってくる筈だ。 うまくまければいいが、もし相手がアッシュやハデスクラスなら、逃げ切るのはかなりむずかしいだろう。 「そこまでだ」 闇の中を走る快斗の前に、突然大柄な黒い影が姿を現した。 黒い帽子に黒いコート、黒いズボン。 怪盗キッドが白ずくめなら、その男は黒ずくめ。 闇色に染まった目をし、口には細身の煙草をくわえ、そして狙撃用のライフルを持っていた。 黒ずくめの男たちと常にやりあってきたので今更驚くことではない。 どうせ、そんなところだろうと思っていたし。 距離をあけただけで逃げる様子もなく無言で立っている快斗を、男はどう思ったのかニヤリと口端を上げた。 「工藤新一・・・だったな。おまえとは、一度会っていたか」 らしいですね、と快斗は僅かの間をあけて男に微笑を返す。 長い金髪を腰までたらした黒ずくめの男の眉間が訝しげに寄った。 新一はこの男のことを”ジン”と呼んでいた。 取引きを目撃した新一は、まだ試作品だった毒薬を飲まされた。 今目の前にいる”ジン”という組織の男に。 キッドの敵も黒ずくめだが、酒の名をコードネームに使っていない。 だから必ずしも同じ組織とはいえないのだが、しかし全く関係がないとは言い切れなかった。 どこかスネイクと似た匂いを感じる。 初代怪盗キッドを殺した、あの組織の殺し屋に。 「工藤新一を殺せという指令を受けましたか?それとも、あなた自身のお考えですか?」 「誰だ、貴様?工藤新一じゃないのか」 快斗はクスッと笑う。 「さあ、誰でしょう?少なくとも、あなたの」 敵、と答えたところで銃弾が快斗の頭のすぐ脇をかすめた。 狙いを外したわけではない。 本当なら、頭に銃弾を受けていたはずだ。 僅かに頭を横に倒して銃弾を避けた相手に、ジンはフッと鼻を鳴らした。 「わかったぞ。貴様、怪盗キッドだな」 「ビーンゴv」 快斗はニッと笑うと、ふわりと身体を浮かせた。 「逃がさん!」 ジンはライフルの銃口を快斗に向けた。 「貴様には借りがある!」 ドクターオハラを横から掻っ攫われた記憶はジンの中で今も屈辱として残っていた。
黒い皮のジャンバーにレザーパンツをはき、黒いヘルメットをつけた少年がバイクを走らせていた。 時々、バイクを止めては何かを探すようにあたりを見回す。 時間的には遅くはないが、前も後ろも、そして対向車も殆んどない。 この道は地元の人間には抜け道として使われているようだが、道幅が狭いのでよほどのことがない限り利用されることはない。 だが、彼が向かおうとしている場所へ行くには最も近道であった。 彼はまたバイクを止め、今度は腕時計を見て時間を確かめた。 果たして、間に合っているのか・・・いや、それよりも、と彼は眉をひそめる。 と、彼の瞳に強烈な光が映った。 その光はすぐに消えたが、彼には十分な手がかりだった。 快斗・・・!
チッ!と快斗は舌打ちする。 今の快斗はキッドとしての武器は何も持っていなかった。 ハンググライダーを仕込んでいれば空から逃げられたかもしれないが、今の快斗は暗い地上を走り抜けるしかなかった。 武器といえるものは、細身のナイフが一丁と閃光弾が一つ。 その閃光弾は、ついさっきジンの目を眩ませるために使って今はない。 (さすが、プロだぜ。獲物はそう簡単に逃がさねえってか) どっかに隠れて気配を消し、夜が明けるのを待つ方が得策か。 快斗がそう思案した時、突然バイクのエンジン音が耳に入ってきた。 (このエンジン音は・・・・) 聞き覚えのあるエンジン音。 でもまさか。こんな所を走ってる筈はない。有り得なかった。 信じられないという表情で立っていた快斗の視界に、見覚えのあるバイクが走ってきた。 乗っていた黒ずくめの少年が、快斗に向けて叫ぶ。 「早く乗れ!」 「・・・・・!」 僅かにスピードを緩めたバイクを見て、快斗は迷うことなく後ろに飛び乗った。 まるで曲芸のように、走るバイクに飛び乗った快斗をその目に捉えたジンが悔しげに舌を鳴らす。 「仲間がいたか」
新一・・・なんで? 快斗には、何故ここに新一がいるのかわからなかった。 しかも、新一は快斗の状況がわかっているようだ。 でなければ、普段乗らないバイクに乗って快斗のもとに来るはずなどない。 新一は正確に快斗のいる場所へ来たのだ。 (まさか・・・・) 思い当たるのはたった一つしかない。 「結構効くだろ、蘭のお守り」 「・・・・阿笠印か」 快斗がそう呟いて溜息をつくと、新一はクスクスと笑った。 「そういうこと。おまえはオレのことばっか心配するけどな、おまえだって常に危険な身なんだぜ」 ハデスはキッド殺害を諦めたわけじゃない。 慎二の店で一緒にコーヒーを飲んでいたりすると、ついその穏やかさに安心してしまうのだが、あの殺し屋は今もキッドを標的にしている。 新一にはそのそぶりを見せないが、何度かやりあっている筈なのだ。 ふいに新一の腰に回っていた快斗の腕が、ズッと下がる。 「快斗?」 新一は、どうしたんだと呼びかけたが答えは返らなかった。 新一は慌ててバイクを止め後ろを振り返った。 「快斗!」 快斗は額を新一の背に押し付け、何かを耐えるように唇を噛み締めていた。 「どっか怪我してんのか?」 心配そうに問う新一に、快斗は頭を小さく横に振った。 「怪我なんかしてねえよ・・・・けど、ちょっと休みたい・・・・」 タフな快斗には珍しいセリフに、新一は急いで辺りを見回し休める場所を探した。 敵を振り切ったとはいえ安心はできない。 人目がなく、身を隠せるような場所・・・・ 「もうちょっと我慢しててくれよ、快斗」 新一は再びバイクを走らせると、途中で茂みに隠された斜面を登っていった。
木のベンチに腰掛けた快斗は、うなだれて時々疲れたような吐息を漏らした。 と、ふいにコンと頭に何かが触れ快斗は顔を上げる。 見ると、新一が手に持ったドリンク缶を差し出していた。 「この先に自販機があったんだ。まあ、ここはハイキングコースになってるみたいだから、探せばあると思ってたんだけど」 あって良かった、と新一は笑って買ってきたスポーツドリンクを快斗の手に渡した。 「どうしたんだ?誰に狙われていた?」 「・・・・・」 どうやら新一はジンの姿には気がつかなかったらしい。 だが、誰かとやりあっていたらしいことはわかっているのだろう、心配だが自分に黙ってた快斗を責めるような目をむけてきた。 「まさか、ハデスじゃねえだろうな?」 「違う。あいつじゃない。今回ちょっとドジっただけ」 それより・・・と快斗は言って蘭手作りのお守りをポケットから取り出した。 「ひでえよな、新一。もうこんなのナシだぜ」 んなわけにいくか!と新一は快斗の手からお守りをつかみ取る。 と、その時一瞬触れた快斗の指の冷たさに新一は眉をひそめた。 逆に快斗の額には汗が浮かんでいる。 どこか異常だ。 「快斗、おまえ・・・?」 「ドジったって言ったろ。実はさあ、おまえに化けてパーティに出たら、おまえの熱狂的なファンが紛れてて、ドラッグ入りのカクテル飲まされちまったんだ」 はあ〜〜?と新一は呆れたように蒼い瞳を瞬かせた。 「なんだよ、それ?らしくないじゃないか」 だよなあ、と快斗は苦笑する。 「薬には耐性があるからって気を抜いてたのかもしれないなあ」 油断でした、と快斗は言って首をすくめる。 だが、その顔はちょっと苦しげだ。 確かに快斗には薬に対する抵抗力がある。 睡眠薬すら普通の量では効かない体質だ。 だいたい毒を飲んでも死に至る影響はめったに出ない人間なのだ。 それは、もともとの体質に加え、小さい頃から訓練してきた結果であるのだが。 「いったい何を飲まされたんだ?」 まさか毒ってことはないと思うが。 しかし、最近は過激なファンもいるにはいるし。 もしかしたら、自分が飲まされていたかもしれないから余計に気になる。 「何って・・・」 快斗は少し迷ってから、ぼそっと薬の名を呟いた。 ハ?と新一は信じられないという顔で快斗を凝視する。 それは一種の非合法な覚醒剤の一種だが、実は別の効果でここ最近出回っているものだった。 「・・・快斗」 「効果が切れるまでちょっと待ってて。今、なんかピークみたいでさ、バイクに乗ったら落下確実・・・・」 言いかけた快斗の瞳が驚きに瞠る。 突然新一が腰を屈めてきて快斗の唇をふさいだのだ。 新一? 「効果が切れるまで我慢するつもりかよ?まあ、おまえなら耐えられるのかもしれねえけど、それを見てるオレの身にもなれよな」 快斗が飲んだ薬は媚薬効果もあるのだ。 それを知ってて入れた彼女の所業は洒落ではすまないし、間違いなく犯罪だ。 なにしろ”工藤新一”はまだ高校生なのだから。 「それってさあ・・・つきあってくれるってこと?」 身体は・・特に下半身はかなり熱をもっている。 意志の力で押さえ込んではいるものの、実際はもうパンパンな状態なのだ。 新一に触れられただけで身体は痛いほど反応する。 快斗は新一の腕を掴むと、ベンチの上に仰向けに横たえた。 月明かりだけの夜の闇の中だが、近くにある互いの顔は見ることができる。 特に快斗は闇でも目がきくから、自分に押し倒された新一が今どんな顔をしているかハッキリ見えていた。 新一は快斗の瞳をまっすぐに見つめていた。 「いいのかよ?オレもう限界近くまできてるから、始めちまったら理性ぶっとぶかもしれないぜ」 今更、と新一はフンと鼻で笑った。 「最初がなんだったか忘れてねえだろな?」 うん・・と快斗は頷く。 「オレのかわりに薬飲まされちまったんだから、オレにも責任がないわけじゃねえしさ」 もっとも、快斗が新一の姿をしていなければそんなことは起こらなかったのだが、それは言っても仕方のないことだ。 新一は仰向けになったまま快斗の胸倉を掴み、グイと引き寄せる。 「さっさと溜まってるもんを出して帰ろうぜ」 オレはこんなとこで夜明かしする気はねえ。 「・・・・・・・」 快斗は新一の胸に顔を伏せると、くくくと喉で笑った。 「言い方が露骨だね、新ちゃんv」 快斗の右手はもう新一のレザーパンツを引きおろしていた。 新一が承知してるなら遠慮はしない。する気もない。 下着も引きおろし、レザーパンツと一緒に丸めて新一の腰の下へと入れた。 「ゆっくり慣らす余裕ないから、これで我慢してね」 快斗はそう言うと、先ほど新一が自販機で買ってきたドリンク缶の中身を広げさせた脚の間にゆっくりとこぼした。 下肢に落ちて後ろに伝っていく液体の冷たさに新一は顔をしかめる。 指で広げられたそこにも冷たい液体が入りこんでくる。 半分ほど新一の下肢にかけてから、残りは自分が飲み干した。 新一の脚の間に身体を割り込ませた快斗が、彼の片足膝裏に腕をかけて押し上げ大きく開かせた。 自分が今どんな格好をしているのか新一はあえて考えないことにする。 でなければ、快斗とこんなことはできやしない。 下肢に快斗の限界を示すように熱くなっっているものを感じた新一は、快斗の首に両腕を回して引き寄せ堅く目を閉じた。 「新一・・・」 快斗も新一の頭の後ろに自分の左腕を回して支えると、一気に貫いていった。 衝撃に新一の身体がこわばるが、噛み締めた口からは低い声しか漏れ出なかった。 強情で我慢強いのは新一も同じ。 ハッ・・!と新一は息を吐く。 「くそ・・っ!昨夜よりキツイじゃねえか!」 新一は苦しさに悪態をついた。 かけられた液体が滑りをよくしていたが、だからといって衝撃が和らぐわけではない。 キツイのはオレも一緒、と快斗は笑い、でも理性が保たれたのはそこまでだった。 我慢の枷が外れた快斗は、薬がもたらした欲望を理由に激しく貫き続け、落ち着くまでの間数え切れないほど絶頂を感じて新一の中に欲望を吐き出していった。
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