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(5)住吉信仰(すみよししんこう)

                   2004年(平成16)7月 28日           淡 路  宏

航海安全・大漁満足・和歌の神様

 古来、住吉神に対する漁業・航海関係者の信仰には絶大なものがある。その神は、日本列島の海上安全・大漁満足を守護する神の代表的な神である。またこの神は、禊祓(みそぎはらい)の神でもあり、和歌の神とも、あるいは商売の神とも信仰され、朝廷から庶民にいたるまで広く崇敬(すうけい)を集めてきた。

 祭神は、底筒男命(そこつつのうのみこと)・中筒男命(なかつつのうのみこと)・表筒男命(うわつつのうのみこと)のいわゆる筒男三神(つつのうさんしん)で、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉(よみ)の国に行ったときの穢(え)を祓(はら)うために禊祓をしたときに、綿津見三神(わたつみさんしん)とともに出現した神々である。

 住吉神社は現在、全国の湾岸に二千百余社が祭られている。最も多いのが福岡県で百九十二社、第二位が兵庫県で百七十一社、第三位が大阪府で百五十八社となっている。

 代表的な住吉神社は、摂津(大阪)の住吉大社、長門(山口)・筑前(福岡)・壱岐(長崎)の各住吉神社である。全国の住吉神社は四社から勧請(かんじょう)したもので、どの地方でも海岸・入江あるいは河口付近に祭られている。

 住吉神社がもっとも活躍したのは神功皇后(じんぐうこうごう)の三韓遠征のときで、筒男三神は神功皇后(じんぐうこうごう)のボデイ・ガ−ドとして、また船団の水先案内人として神功があったという。各地の住吉神社の場所が征韓ル−ト沿いにあるのは、こうした伝承との関連の深さを感じさせる。

 この筒男三神の神子が、船に祭る船霊(ふねだま)の神である。帆柱を立てる部分に「筒」と呼ぶ堅木(かたき)がある。そこに穴をあけて船霊(ふねだま)を祀る。神体として、女の髪・人形・サイコロ・銭などを入れることが多い。筒男三神の「筒」の語源をこれに求め、船霊(ふねだま)の象徴化されたものとみるむきもある。
 筒男三神は、別名:墨江大神(すみのえおおかみ)・住吉大神(すみのえおおかみ)ともいう。


※参考資料    日本神道入門(21世紀の危機を救うミソギの原理)
                     本 田 総一郎 著



<参考>
http://www.ameame.com/dic/dic-7/001/07-ennooduno.html より、抜粋。
●役小角 (えんのおづぬ)
別名・役行者(えんのぎょうじゃ)。
634〜701 大和・葛城郡茅原(現・奈良県御所市)生まれ(伝承:金峯山流山伏問答)
修験道の開祖として日本の宗教史上で、大きな位置づけが与えられている。
実在の人物かどうかは不明。日本の正史「続日本記」にわずかに1条の記載がある。
その後、日本霊異記などの説話集や縁起書で、様々な脚色を受け多くの伝承が作られた。
■主な伝承・出典

続日本紀 文武天皇三年五月二四日の条
「役君小角伊豆島ニ流サル。初メ小角葛木山ニ住シ呪術ヲ以テ外ニ称サル、従五位下韓国連廣足初メ師ト為ス、後其ノ能ヲ害ヒ、讒スルニ妖惑ヲ以テス、故ニ遠処ニ配ス、世ノ相伝ニ言ク、小角能ク鬼神ヲ使役シ、水ヲ汲ミ薪ヲ採セ、若シ命ヲ用ヒザレバ即チ呪ヲ以テ之ヲ縛ス」
■適当な現代語訳
「役小角が伊豆に流罪にされた。はじめ小角は葛城山に住んでいて、その呪術によって世に知られていた。従五位下韓国連廣足をはじめ、小角を師としていた。しかしその後、人々を惑わしているとの訴えがあり、遠地に飛ばすことにした。世間では、こういっている。「小角は、鬼神をこき使って、水くみをさせたり、薪拾いをしている。もし言うことを聞かないときは、呪いで無理強いしている」

日本霊異記 第二十八
葛城山で修行を積み、朝鮮半島から来日した密教僧・慧灌(えかん)と出会う。
慧灌から「孔雀明王経法」を授かったという。その後も修行を重ね、孔雀の呪法を唱え、鬼人(在俗の修行者)を惑わした。そのため、謀反の疑いがあると讒言され、伊豆の島に流罪となる。しかし、昼は島にいるものの、夜は空を飛び富士山に登った。

元亨釈書 本朝神仙伝
修験道の開祖・役小角(役行者)が、大和の大峯山(金峯山から八経ガ岳、釈迦岳、玉置山一帯と推定される)を開山。また、「世を惑わす者」として伊豆大島に島流しになる。
役小角は、五色の雲に乗って富士山に登った。

■主な関連書籍 「別冊太陽 日本のこころ103 人はなぜ山に登るのか」(平凡社)
「別冊太陽 日本のこころ111 山の宗教」(平凡社)
「BooksEsoterica8 修験道の本」(学習研究社

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