令和2年10月号(第123号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
金屋町
KANAYAMACHI
 富山県 高岡市金屋町 高岡市HP

高岡市観光協会HP
高岡市金屋町

伝統的建造物群保存地区
 金屋町は江戸時代初期から続く鋳物師(いもじ)の町である。現在100地区以上存在する伝建地区の中でも珍しい職人の町並みだ。
 といっても、表通りの景観は、連子格子に袖うだつを備えた町家が石畳の通りの両側にずらりと建ち並んでいて、一見すると商家の町並みに見える。これは金屋町の町家が、表通りに母屋を建て、その奥に防火を兼ねた土蔵をはさんで鋳造所を配置する、といった構成で建築されているためである。
 鉄や銅の鋳造に常時火を使うため、防火には細心の注意が払われていたようだ。この鋳物師のまちづくりは、加賀藩二代目藩主前田利長が、隠居のため高岡城を築城して高岡を治め産業を興すため、近郊に住んでいた堺の流れをくむ鋳物師たちを呼び寄せ移住させたことから始まったのだそうだ。
 その鋳物産業は今でも高岡の代表的産業の一つとして長く引き継がれているのだから、利長は大名であるとともに優れた都市経営者でもあったといえよう。
 
@釜師畠春斎付近 A大寺幸八郎商店付近 B高木家付近 C三角広場付近  
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  @釜師畠春斎付近 高岡駅から西に向かって20分ほど歩くと広幅員の昭和通りに直交して、金屋町の石畳の通りに出会う。この画はその入り口付近になる。美しく整えられた家並みと石畳の路地の景観は、現代的は昭和通りの町並みとは好対照で、どこかホッとさせてくれる空間である。
A大寺幸八郎商店付近 2階の屋根庇の裏側には雪の荷重を支えるための出し桁とそれを支える登り梁が見える。また隣家との境界沿いには火災の延焼を防ぐ袖うだつを備えた町家が石畳の通りの両側にずらりと建ち並ぶ。連子格子のファサードとともに見事な景観が維持されている。

B高木家付近  左の高木家は、案内パンフに「高木着色所」とあるから、鋳物に装飾用の着色を施す作業所らしい。このあたりも緩く屈折した通りの両側に連子格子の町家が建ち並び、味のある町並みが続いている。

C三角広場付近 石畳通りの中ほどに三角広場(ポケットパーク)と呼ばれているミニ公園がある。昔は数件の町家があったようだが、防災のため町家を移転して公園として整備したそうである。公園の地下には防火水槽が設置されている。鋳物師の町らしい配慮である。