令和2年8月号(第121号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
佐 治
SAJI
 兵庫県 丹波市青垣町佐治 丹波市HP

丹波市観光協会HP

佐治倶楽部HP

 佐治は江戸時代、京都と山陰地方とを結ぶ街道の宿場町として発展した。
 また明治にはいってからは、周辺地域で盛んだった養蚕業を生かした製糸工業が次々と興り、町は一気に豊かになった。この地で生産された絹糸や絹布は、京都の西陣織や丹後地方の丹後ちりめんなどの高級織物の原料として供給されたそうだから、町の繁栄ぶりは充分に想像できる。 
 現在の佐治は、田園地帯の中にある農村集落のようなたたずまいだが、バイパス道路が昔の町並みを迂回して整備されたため、古い町並みの中に足を運ぶと、旧街道沿いに明治期に成功したと思われる商家の豪勢な邸宅が何軒か残されていて、往時の隆盛に思いをはせながら、静かな町並み散策が楽しめる。

@衣川會舘 A旧足立康子邸 B中島邸(ツバメヤ) C旧朝倉家住宅  
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  @衣川會舘 空き家になっていた昔の商家が改修され、「佐治倶楽部」というコミュニティサークルの活動拠点として、イベントや雑貨・食品の販売活動に利用されている。このあたり、街道沿いに古い町並みが残り、背後には山並みが迫って峠越えを控えた宿場町の風情を残している。
A旧足立康子邸 佐治周辺の農家では、江戸末期から明治にかけて綿花栽培が盛んで、佐治木綿や佐治紬と呼ばれる織物が盛んに生産されていたが、機械織機の登場で衰退してしまった。足立康子氏は戦後、その丹波布の再興と伝承に尽力した第一人者で、足立邸は「丹波布発祥の館」と呼ばれている。

B中島邸(ツバメヤ) 江戸期から続く豪族のお屋敷だそうで、間口の狭い妻入りの町家が多い町並みの中で、広い間口を占めてひときわ目立つ建物である。現在は「ツバメヤ」という屋号の酒店が営まれている。

C旧朝倉家住宅 江戸時代中期の養蚕農家が移築復元され、歴史民俗資料館として公開されている。妻側の片側が入母屋で反対側が切妻になっている。切妻は屋根裏を養蚕スペースにするための採光と換気のためなのだろう。地域活動や文化活動にうまく活用されれば、と思われる。