令和元年11月号(第112号) | トップページ | 年月別リスト | 地域別リスト | |||||||||
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兵庫県 神戸市東灘区御影石町 ほか | 神戸市HP |
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御影界隈は、大正から昭和にかけて高級住宅地として開発・整備が進んだ地域である。明治期に阪神間に鉄道が整備されると、御影界隈は、南に瀬戸内海を望み、背後に六甲山系の山並みがせまる恵まれた地形を生かして、関西で財を成した企業家たちが次々と豪華な住宅を建築して居を構え、関西有数の邸宅街を形成していった。 それらの邸宅と邸宅を中心とした生活様式は、当時の西洋文化を貪欲に取り入れた“阪神間モダニズム”と呼ばれる文化に発展していくことになる。同時に関西在住の著名な建築家たちが、存分に設計の腕を振るいあった地域でもある。 今日残念ながら、これらの邸宅の大半は失われてしまっているが、一般的な郊外住宅の中に混じって何棟かは残されていて、当時の空気を味わうことができる。今後、個人の力でこれらの邸宅街を維持していくのは困難な状況にあるのだろうが、貴重な文化遺産として社会的に存続されていくことを期待したい。 |
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@御影公会堂 | A倚松庵 | B旧乾邸 | C白鶴美術館 | |||||||||
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@御影公会堂 この建物は白鶴酒造の7代目当主、嘉納治兵衛の寄付による資金をもとに昭和8年に完成した。洋館によく用いられている洋式建築とは異なり、ユニークな味わい深い意匠で、貴重な文化遺産である。阪神淡路大震災にも耐えた頑丈さも特筆ものである。 |
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A倚松庵(いしょうあん) 谷崎潤一郎が昭和初期に過ごした住宅。彼の代表作の一つである長編小説「細雪」は、大阪・船場の旧家「蒔岡家」を舞台とした美人四姉妹の物語だが、次女幸子が住む芦屋の分家の様子は谷崎がここで過ごした生活をもとに描かれたそうである。 |
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B旧乾邸
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C白鶴美術館 灘の大手酒蔵である白鶴酒造の7代目当主、嘉納治兵衛の手により昭和9年に開館した美術館。RC造だが純日本様式の重厚な意匠で、洋館風の住宅が目立つこのあたりのお屋敷街では、特異な存在感を示している。昭和初期という時代に流れていた国粋主義の影響かもしれない。 |