令和元年9月号(第110号)     トップページ  年月別リスト  地域別リスト 
結 城
YUKI
 茨城県  結城市大字結城 結城市役所HP

結城市観光協会HP
 
 
 

 結城は、鎌倉期から江戸初期まで、この地を支配していた結城氏により整備された城下町である。しかし、城下町というよりも、高級絹織物である結城紬により、江戸後期から大正期にかけて発展した産業の町と呼んだほうが当たっている。
 昭和期にはいって、服装が和服から洋服に急速に切り替わる中で、結城紬の生産量は現在、ピーク時の1/15にまで減少し、産業としては衰退の一途にある。ただ、町の中には隆盛期に建築された「見世蔵」と呼ばれる蔵造りの商家が、20棟余り残されており、なんとか「結城紬の町」としての風格を維持している。
 伝統技術とともにこれらの文化遺産をまちづくりに生かそうと、平成22年に結城紬がユネスコ無形文化遺産に登録されたのを機に、紬の織り体験や染め体験ができる施設もつくられ、町並み景観の整備が進められている。

 @小倉商店  A大町通り  B蔵美館 C旧黒川米穀店    ←画像をクリック 
      
    @小倉商店 江戸期から続いている結城紬問屋。結城に残されている見世蔵の大半は、この建物のように、今風の建物の間にポツンと取り残されたように建っている。見世蔵の雰囲気を生かした町並み景観づくりを誘導できないものだろうか?せっかくの文化財がもったいないように感じる。
A大町通り ほとんどの見世蔵がまちなかに散在している現状のなかで、このあたりだけ連続して並んでいる。手前の黒漆喰壁が「キヌヤ薬舗」、奥の白漆喰壁が結城紬問屋の「奥順」。いずれも明治中期の建物で、白・黒の対比が面白い。

B蔵美館(くらびかん)古い蔵を改装し、小さな美術館・展示場として無料開放されている。本蔵と袖蔵とで構成されていて、ともに壁全体が漆喰で塗りこめられたシンプルなデザインだ。ここだけでなく結城の蔵は、川越や佐原の蔵づくりに比べて素朴で質素なものが多い。

C旧黒川米穀店 明治末期に建てられた商家。白漆喰と黒漆喰を使い分けた重厚な造りの見世蔵だが、周りが新しい住宅地になりつつあり、通りからも離れた位置に建っているので、時代の流れから取り残されたような雰囲気がある。生かし方が難しそうだ。