平成30年12月号(第101号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
博物館
明治村2

MEIJIMURA
 愛知県 犬山市内山 明治村HP

名古屋鉄道HP


 明治村は、明治維新以降日本の近代化によって全国各地に生まれた優れた建築物が、時代の流れに押し流されて失われていくのを惜しみ、名古屋鉄道が中心となって保存活動に取り組み、愛知県犬山市の入鹿池の畔に解体移送して復元し展示したテーマパークである。
 東京ディズニーランドと東京ディズニーシーとを合わせたのと同じくらいの広大な敷地の中に、60数棟の近代建築が、周囲の自然景観とマッチするよう丁寧に配置され展開されている。村内は1丁目〜5丁目まで5つエリアにゾーンニングされ、それぞれのエリアをつなぐように、ボンネットバス・市電・蒸気機関車が村内公共交通機関として運行され、ハイキングがてらの徒歩でも、また交通機関を利用してでも、村内を巡れるように工夫されている。
 いわば日本のモダニズム建築の宝庫といえそうな施設で、このような公共性の強いプロジェクトが、民間企業を中心に整備・運営されている点は特筆すべきだろう。
D芝川又右衛門邸 E品川燈台  F日本赤十字中央病院 G呉服座   
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  D芝川又右衛門邸 芝川又右衛門は、祖父が江戸期に大阪で興した唐物商「百足(むかで)屋」を引き継いだ明治期の豪商で、この建物は自らが西宮市上ヶ原に開拓した果樹園「甲東園」に建築した別荘。設計は、京大建築学科の創始者である武田五一。
E品川燈台 東京の品川沖につくられた人工島である品川台場に建設された灯台。幕末に徳川幕府と列強5ヵ国との間で結ばれた通商条約の結果、外国船の出入りのために必要となり設置された。歴史の足跡を照らす灯台である。左の建物は、伊勢湾の入り口にあった菅島燈台付属官舎。

F日本赤十字中央病院  明治23年東京の渋谷に、皇室から御料地の一部と資金が下賜され建築された。ロッジ風の上品な立面の上に載せられた3本の換気塔がいいアクセントになっている。後方は名古屋にあった歩兵第六聯隊兵舎で、雁行形に配置された姿がリズミカルで美しい。

G呉服(くれは)座 明治初年に大阪府池田市に建てられた芝居小屋。杉皮葺の屋根に正面の切妻破風には太鼓櫓が設けられている。江戸時代後期の芝居小屋の素朴な雰囲気を伝えている。この建物はNHK朝ドラ「わろてんか」に登場する寄席「風鳥亭」としてロケに使われたそうだ。