平成30年11月号(第100号)     トップページ  年月別リスト 地域別リスト
博物館
明治村1

MEIJIMURA
 愛知県 犬山市内山 明治村HP
名古屋鉄道HP
大井牛肉店HP
北里研究所HP

 明治村は、明治維新以降日本の近代化によって全国各地に生まれた優れた建築物が、時代の流れに押し流されて失われていくのを惜しみ、名古屋鉄道が中心となって保存活動に取り組み、愛知県犬山市の入鹿池の畔に解体移送して復元し展示したテーマパークである。
 東京ディズニーランドと東京ディズニーシーとを合わせたのと同じくらいの広大な敷地の中に、60数棟の近代建築が、周囲の自然景観とマッチするよう丁寧に配置され展開されている。村内は1丁目〜5丁目まで5つエリアにゾーンニングされ、それぞれのエリアをつなぐように、ボンネットバス・市電・蒸気機関車が村内公共交通機関として運行され、ハイキングがてらの徒歩でも、また交通機関を利用してでも、村内を巡れるように工夫されている。
 いわば日本のモダニズム建築の宝庫といえそうな施設で、このような公共性の強いプロジェクトが、民間企業を中心に整備・運営されている点は特筆すべきだろう。
@大井牛肉店 A西郷従道邸  Bレンガ通り C北里研究所   
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  @大井牛肉店 神戸の居留地の近くにあった牛鍋と牛肉販売のお店。ギリシャオーダーでデザインされた建物は、居留地内に建ち並ぶ欧米人の商館とよくマッチしていたのだろう。玄関庇のむくり付き破風が粋なセンスを感じさせる。左後方の洋館は、三重県尋常師範学校。
A西郷従道邸 西郷隆盛の弟である従道が、明治初期に東京に建てた自宅である。自宅といっても別に和風の住宅があったようだから、この建物は、鹿鳴館のような雰囲気をもつ外観から察するに、もっぱら接客ハウスとして使われていたのだろう。

Bレンガ通り  明治村の建物は、1棟ずつ単独で分散配置されているものがほとんどだが、2丁目ゾーンはレンガ通りを中心として、商家や役場・学校などが町並みを思わせる工夫した配置がされている。レンガ敷きの舗道やガス灯もあわせて明治の町並みの雰囲気が味わえる楽しい空間だ。

C北里研究所 日本の細菌学の先駆者である北里柴三郎が、大正初期に東京に建てた研究所。正面玄関の屋根上部にある八角の尖塔を中心に、全体がバロック調の上品なデザインでまとめられた大型の洋館で、名建築が集められた明治村の中でもひときわその存在感を示している。